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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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オンライン座談会”留学のススメ” 留学奨学生に聞いてみよう! &第18期生留学奨学金説明会[2021年05月31日(Mon)]
オンライン座談会”留学のススメ” 留学奨学生に聞いてみよう!
&第18期生留学奨学金説明会


海外留学や留学奨学金事業をもっと知ってもらおうと、留学奨学生を招いて行うオンライン座談会の第3弾
今回も米国留学中の奨学生に協力をもらい、座談会を進めていきます。
海外の大学で学ぶって、どんな感じなのかな。奨学生の体験談を参考に、海外留学について検討してみませんか。
参加してくださった方々からのご質問にもお答えしていきます。
併せて、4月から募集開始となった第18期留学奨学生募集についてもご紹介します。

これから留学をする/留学を希望している方他、多くの皆さまの参加をお待ちしています。

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テーマ:「留学準備のいろは」
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◆進行役   武田太一さん(当協会理事/4期生)
◆参加奨学生 辻功一さん(10期生)(2014年−米国カリフォルニア州立大学チコ校卒業)
       大西啓人さん(16期生)(2020年−米国ギャロデット大学大学院在学中)
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1.日時:2021年6月27日(日)午前10時30分〜11時50分

2.方法:オンライン(Zoomミーティング)
     (カメラや音声をオフでもご参加頂けます)
     (ご質問は、チャットにて受け付けします)

3.参加費:無料

4、定員:30名程度(先着順)

5、申込方法&申込締切:
  申込画面からお申込みください(クリックすると申込画面に変わります)
  または、Fax、Eメールで、@氏名、Aメールアドレスを明記の上、日本ASL協会まで。
  6月23日(水)まで *定員に余裕がある場合は、〆切後も受付いたします。
  お申込頂いた後に、アクセス方法等をご案内いたします。

6.その他:日本手話で話します。
      日本語音声通訳、字幕(UDトーク-修正なし)が付きます  

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 15:19 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL
オンライン座談会”留学のススメ” 留学奨学生に聞いてみよう、第2弾開催[2021年05月18日(Tue)]
オンライン座談会”留学のススメ” 留学奨学生に聞いてみよう、開催

去る5月9日(日)、海外留学や留学奨学金事業をもっと知ってもらおう第2弾、留学奨学生と一緒にZoomを使ったオンライン座談会&留学奨学金説明会を実施しました。

今回は、米国留学中の山田13期生と皆川16期生に参加してもらい、テーマ「海外での留学生活」で話を進めました。
大学での授業の様子(雰囲気)や時間割を写真などで紹介、膨大な量の予習や宿題に追われる日々や余暇の過ごし方から、直接参加者からチャットで寄せられた質問、英語学習のコツ、米国留学を決めた理由、留学するタイミング、インターンシップ、留学して良かったこと、留学の活かし方やこれからの目標などの他、米国での新型コロナウイルス感染事情を心配してくださる質問に回答。
海外留学の様子、イメージが沸いてきたでしょうか。

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進行役の武田理事・4期生(左上)、奨学生からは山田13期生(左下)と皆川16期生(右上)

今回、進行役を担当した武田理事・4期生(下写真)。
参加者から寄せられた質問を読みあげ、2人に質問。
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山田13期生は(下写真)、ボストン大学大学院ろう教育コース修了(修士学位取得)。
英語学習は、まずは自分のレベルに合った簡単なものを楽しみながら読む。単語を覚える手助けになる。オススメの本は「WHOHQ」。
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皆川16期生(下写真)は、ギャロデット大学大学院ろう者学部修了(修士学位取得)
英語を英語で学べと言われるが、わからないと挫折する。日本語で読んで内容のわかる本の英語版を読むと想像がつき読みやすい。出来るところからコツコツと。
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参加してくださったみなさま、ありがとうございました。

次回は、6月27日(日)実施です。お楽しみに!

<*2021年度 第18期生 募集中(8月15日〆切)*


事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 10:03 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL
2021年4月生活記録【第16期生 皆川愛】[2021年05月08日(Sat)]
月は2年間の学びを生活記録で振り、ろう者学とは何か、これまでの動向を振り返り今後の指標を記しておきたいと思います。

カチンコ動画はこちら
リンク:https://youtu.be/63Q350bzMCM



2年間のろう者学の内容に特化した生活記録を振り返ると、
・ろう文化(Padden & Humphries, 1988; Holcomb, 2012)
・ヘゲモニー (Gracims, 1989; Turner, 1996)
・文化学(カルチュラル・スタディーズ)
・インターセクショナリティ(Crenshaw, 1989)
・音声優勢主義(Derrida, 1976)
・反本質主義
・オーディズム(Humphries, 1967; Lane, 1996; )
・デフゲイン(Bauman & Murray, 2014)
・感覚的志向(Bahan, 2014; Bahan, 2005)
・感覚のヒエラルキー(Classen, 1997)
・デフエコシステム
・オリエンタリズム
・二項対立
・アイデンティティ政治(Shakespeare, 2006)
・記号的レパートリー(Kusters et al, 2017)
・生権力(Froucault, 1977)
・言語イデオロギー(Kusters et al, 2020)
・手話の標準化(Adam, 2015; WFD, 2015)
など、それぞれの概念を紹介してきました。

今読み返すと、当時の浅学を思い知らされるもので、アップデートが必要なものもたくさんあります。
用語だけ並べて知ったつもりかと言われたこともありました。
大学で看護を学び、臨床経験で身につけた点滴技術のように、それによって目の前の命が救われるようなことはないかもしれません。
学問に優劣もないですが、ただろう者のことを話して、ろう文化を学ぶだけでしょと言われることも度々あり、その度に悔しい思いをしました。
ろう者学はリベラルアーツに根ざした多学際的学問です。
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一日にしてわかるものではありません。
2年経った今わかったことはほんの少しです。実践にすぐ役立てるか、何ができるのか自分でもわかりません。
これは今後も続くでしょう。きっと長い道のりです。

*過去の生活記録を含め、間違いや見落としは全て私の責任にあります。
 生活記録の掲載や更新は来月をもって終了しますが、
 問い合わせや修正の提案などはいつでも受け付けております。

これを読んで、ろう者学を学ぶことの意義を少しでもわかっていただければと思います。
そして、ろう者学が単なるろうの生き方の追究と思われませんように。

*今まで「ろう者学」と用語を使ってきましたが、それについて少し思うことがあり、私見を述べさせてください。
 ろう者と称しているところで、ろう者のことを学ぶ、ろう者の言語や文化を学ぶというふうに思われる可能性を思索していました。
ろう者学は、ろう者とそれを取り巻く社会の構造を追究します
 「ろう者」という言葉が誤解を招いているのかなと思いました。
 実に英語表記はDeaf people Studies(ろう者学)ではなく、Deaf Studies(ろう学)です。
 日本でこれまで使われてきた言葉を変えるのはいかがなものだとも思います。
 ただ、ろう学など、他の用語も可能性としてありうると最近は思慮を巡らしています。
 これについては今後も皆様にご意見を頂きたいと思います。

これまでに紹介した概念、これらに共通しているのは社会構成主義の視座に立つということです。
社会構成主義とは、簡単にいうと考えや観念は人々の社会的交流から生まれる言説が現実を作るという考えです。
ろうを取り巻く言説については、Ladd(2003)がまとめております。 *詳しくは2020年5月の生活記録

大学院生活で2年間お世話になったダークセン・バウマン先生。
彼の手話はとてもクリエティブで、パワフルで、毎回心動かされます。
ろうを取り巻く問題について様々なレンズで突いていくこと、私の目を開かせてくれました。
先生との有益で刺激的な語らい合いは宝物です。心から尊敬している先生です。
彼はTED Talksの中でこのエピソードから始めています。
スクリーンショット 0003-05-07 22.02.43.png

僕はコロラド州で生まれました。いわゆる”平凡”な幼少時代を送っていました。外で遊び回り、友達や家族と過ごしました。そしてある日突然、衝撃的な僕の人生を変える出来事に遭遇します。21歳の時です。聴者になりました。どういうことでしょう。僕は生まれた時から聴者だったわけではないです。生まれた時からずっと聞こえていました。環境音、母の声、電話が鳴る音、、全てです。聞くことで完全にアクセスできていました。ただ、それまで聴者としての自分のアイデンティティを自覚する瞬間がなかったのです。
この例から「聴者」という概念は、個人の中で、社会との交流の中で作られるということがわかります。

「ろう」の意味も然り、社会によって構成されています。だから、「ろう」の意味は変えられる。
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次の世代のろうの子どもたちに何を残すか、社会の「ろう」の意味を少しずつ変えていけば、彼らが生きやすくなるかもしれない。
負の経験を減らせるかもしれない。
綺麗事だと言われればそうかもしれません。
私は言葉だけ並べてアクションを起こしていません。でも、世界を変えるための行動戦略はいろいろあります。

これまでの欧米でのろう者学の動向を見ながら、今後のろう者学が切り開いていくであろう分野を私なりに考察したいと思います。

ろう者学の学術的研究と教育が盛んになったのは1980年代です。
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ウィリアム・ストーキー(Stokoe, 1960)による手話の音韻構造の発見が発端です。 
これまで手話は単なるコミュニケーション手段であり、言語ではないと言われていた言説がこの時点で覆されます。
そこから「ろう者」とは何かというところで、米国の学者を中心に盛り上がります。
そして、キャロル・パッデンとトム・ハンフリーズによってろう文化の構成要素が提示されます(Padden & Humphries, 1988)。 *詳しくは2019年9月の生活記録
視覚言語である手話を使い、音声を使わず、血縁関係ではなくろうコミュニティとの繋がりが重視されるマイノリティグループであり、手話にも文学があり、それらがろう者の価値であり、文化と位置付けられると主張しました。
当時はろう文化の明文化が目的だったのだろうと思います。
ジム・キールやディ・ラッドも英国のろう者と社会を描写しています(Kyle, 1990; Ladd, 1998)
なおLaddは後に本が出版され、そちらがしばしば引用されていますが、彼が博士論文として提出したのは1998年です。
それらは聞こえないという負の病理に焦点を当ててきた医学モデルに対する挑戦です。それを打ち消そうと、文化や言語の視点からろう者の存在を訴えます。
グラハム・ターナーは文化を明文化する重要性を理解した上で、文化はリスト化できるものなのかと疑問を呈します。
文化は単なる行動様式を示すのではなく、その行動様式を構成するもの、すなわち社会を理解するための知見だと言っています(Spradley & McCurdy, 1987)。
これが生んだのはろう社会でのろう者によるろう者の排除です。
デフファミリー出身でなければ、ろう者らしい行動を振る舞わなければならない、そうしないとろう者じゃないと主張します。
この傾向は特に米国で顕著だったようです。

その後、1990年代から2000年代にかけてろう者への抑圧についての議論が盛んになります。
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ハーラン・レーンはアフリカの植民地史にろう者社会への抑圧と共通性を見出しました(Lane, 1996)。
心理学行動で社会面、認識面、行動面、情緒面において劣っているとみなし、
生物学的に(アフリカは肌の色で、ろう者は聴力で)劣っているせいだと合理化するのです。
そしてそこには支配者がいます。具体的にはアフリカでは植民者、ろう社会では聴者の専門家です。
ラッドもろう者を文化言語的マイノリティとして位置付け、
多数派文化である支配側と不均衡な力関係にあり、植民地主義の位置範疇に位置付けられると主張しています。
(*日本語文献では森壮也監訳による「ろう文化の歴史と展望」)
そして、トム・ハンフリーズが博論で提唱したオーディズムの概念が世間に広まったのは、レーンの書籍で紹介されたこの頃です。
(*日本語文献では長瀬修の訳による「善意の仮面:超能主義とろう文化の戦い」)
そして、オーディズムにもいくつかの次元があると提唱します。 *詳しくは2020年1月の生活記録
抑圧論は聴者社会からの支配とそれへの抵抗を露わにしました
しかし、そこに共存はなかなか生まれません。ろう者が抑圧されていると主張するだけで何も生まれないという反省が出てきます。

そして、ポストモダニズムとして出現したのがデフゲインです。 *2019年12月生活記録でも書きましたが、アップデートしたいです。
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デフゲインの提唱過程はこうです。(自分の解釈であることはご了承ください)

違いは社会的に良くないものとみなされています。特に日本はそうかもしれません。同化を求められます。
でも、違いこそが社会への貢献を生む。

全ての「違い」には物差しがあります。
物差しによって優良、普通、もしくは不良と判別されます。心理学的行動や聴力といった物差しが該当します。
ある物差しでは優良だったものが、別の物差しでは不良とみなされるかもしれません。
歴史的には差別は、権力あるものが物差しを作り、それによって不良か優良かを区別しました。
不良かどうかなんて確証もないのに、物差しで合理化してしまうのです。

社会的に不良とみなされていた「違い」に価値を見出す
違いはただ聴力だけ。知的指数だけ。数です。そこではなく、人間に目を向ける。

これまでの「ろう」の意味を超えなければならない。その先にある新しいものを見出す。

ストーキーの言語構造解明以前よりろう者の言語は手話だと言われていますし、私もそうだと思います。
でも、実世界で人と人とのコミュニケーションは一つの言語に依拠しているわけではありません
肉屋や魚屋さんに行けば、聴者でも口頭で品物を唱えながら、欲しいをものを指さす。
プレゼンテーションで音声や手話で話すけれど、パワーポイントによるイラストや文字情報もある。
それがトランスランゲージングに見出される記号的レパートリーです(Kusters et al, 2017; De Meulder et al, 2019)。
人間は一つに依拠すると危険です。実際、コロナ禍で一筋縄ではいかないことがたくさん浮上しました。
口話でコミュニケションを取ってきた人はマスクで口元が見えず大変でしょうし、聴者も声援を送れなくなりました。
前職で出会った糖尿病によって視力を失った高齢ろう者は「若いうちに触手話を覚えておけばよかった」と言っていました。
一つの方法に依存するより、いくつかの方法を持っていたほうが、万時に強い
だから多様性は重要なのです。

聴者にはろう者の経験から学ぶことがある。発声器官が未発達の時でも赤ちゃんの表出を促せるとしてブームになっているベビーサインも手話の存在が契機になっています。
オンライン学会でも字幕をつけたことで、ろう・難聴者だけでなく、家で子どもと接しながら字幕で内容を把握できる。

社会の構造、権力、そこから生まれる抑圧が消えることはないと思っています。それを理解した上で、違いを尊重し、人間として見ること。
これが今後のろう者学の目指す方向と私は考えています。

<参考文献ペン

Bahan, B. (2007). Upon the formation of a visual variety of the human race. In Bauman, H-D. (Ed.)Open your eyes: Deaf studies talking (pp. 83–99). Minneapolis: University of Minnesota Press.

Bahan, B. (2014). Senses and culture: Exploring sensory orientations. In H-D. L. Bauman & J. Murray (Ed.) Deaf Gain: Raising the stakes for human diversity (pp. 223 - 254). Minneapolis: University of Minnesota Press.

Bauman, H. D. L, & Murray, .J J. (2014). Deaf gain: An introduction.  In H-D. L. Bauman & J. Murray (Ed.) Deaf Gain: Raising the stakes for human diversity (p. xv - xlii). Minneapolis: University of Minnesota Press.

Classen, C. (1997). Foundations for an Anthropology of the Senses. International Social Science Journal,153, 402-423

De Meulder, M., Kusters, A., Moriarty, E. & Murray, J. (2019). Describe, don’t prescribe. The practice and politics of translanguaging in the context of deaf signers. Journal of Multilingual and Multicultural Development, March 2019. doi: 10.1080/01434632.2019.1592181

Holcomb, T. K. (2012). Introduction to American Deaf culture. California, CA: Oxford University Press.

Humphries, T. (1975). Audism: The making of a word. Unpublished essay.

Kyle, J. (1990). The Deaf Community: Culture, Custom &Tradition. In Siegmund, S. (Ed.)
Sign Language Research & Application (pp.175-185), Hamburg: Signum-Press.


Kusters, A., Spotti, M., Swanwick, R., & Tapio, E. (2017). Beyond languages, beyond modalities: Transforming the study of semiotic repertoires. International Journal of Multilingualism, 14(3), 219-232. https://doi.org/10.1080/14790718.2017.1321651

Ladd, P. (2003). Understanding Deaf culture. Clevedon, UK: Multilingual Matters.

Lane, H. (1992). The Mask of Benevolence. Disabling the Deaf Community. San Diego, CA: DawnSignPress.

Padden, C. (1989). The Deaf community & the Culture of Deaf people. Reprinted In S. Wilcox (Ed.) American Deaf Culture: An Anthology (1-16), Silver Spring, MD: Linstok Press.


Spradley, J., & McCurdy, D. (1987). Culture and the Contemporary World. In Spradley and McCurdy (eds.) Conformity and Conflict: Readings (pp.1-10), Boston. Toronto: Little, Brown.
Posted by 皆川 at 10:53 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2021年4月生活記録【第16期生 大西啓人】[2021年05月08日(Sat)]


手話動画1
※手話内容はブログ記事と同様です。
※日本語字幕はついていません。

みなさんこんにちは。
コロナウイルス感染状況についてまたすごいことになってますね…(泣)大阪や東京を筆頭に感染数がまた増えていると聞いてます。アメリカも感染数は減っているとはいえ、まだ数万人いる状況です。みなさんも感染対策をしっかりしながら、お体に気をつけてくださいね。
ワクチン接種に関して、高齢者や医療関係者などを優先的に少しずつ始めているとも聞きました!嬉しいですね!私のような若者たちがいつ接種を受けられるのかわからないですが、早く受けられることを祈っています。

実は私、2回目のワクチン接種をこないだギャロデット大学で受けました。種類はモデルナでした。1回目の接種では特に副反応はありませんでしたが、2回目は副反応が大きく、1~2日間寝込んでいました…。

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現れた症状については頭痛、腰痛、筋肉痛、神経痛、関節痛、高熱などでした。みなさんも今後、接種を受ける場合は十分に準備を整えてから受けることをオススメします。現れる症状に関しては人よりけりですが、重い場合と軽い場合があるそうです。接種を受けた日から数日たった今、元気になりました!


さておき、本題に進みましょう。

今回は「多文化教育」について、授業内でクラスメイトたちと一緒にプロジェクトとして、多文化教育に活用できるオンラインリソースを制作しました。これを紹介したいと思います!

みなさんはPinterest(ピンタレスト)というツールを知っていますか?
様々な人々が様々なトピックにおいて情報を共有できるツールで、例えば教育関係、服飾関係、スポーツ関係、健康関係など多くの情報が公開されています。自分のアカウントがあれば、興味のある分野や興味のあるトピックや情報を見つけたとき、ピンすると自動で自分のフォルダに移動してくれるので便利です。

Photo May 05, 23 18 36.jpg

そんなピンタレストに私たちの作ったボードがあるので、ぜひ見ていってください!
https://pin.it/3QRivsM

なぜこれを作ったのか、どんな情報をまとめているのか、課題点はなにか、順番に説明していきたいと思います。

@なぜこれを作ったのか?
私たち教育者は常に学び、成長し続ける必要があり、また児童生徒にとって効果的な学習を提供できるために質の高い教材や利用できる情報が必要です。私たちはオンラインリソースやオンライン教材において、ろう児童生徒のために有効な情報がまとめられている場所がないと気づき、これを作るべきと考えたことがきっかけでした。これを必要だと思う理由は主に3つあります。

・ろう児童生徒には聴者たちと比べ、多様な実態、背景、経験があり、多様性について知るべき情報源が少ないため、知らないもしくは深く考えていない教育者がいるため
・ろう教育において、聴者に適している教材や指導が使われており、ろう児童生徒にとって非効率的かつ差別的に感じることがあるため
・オンライン教材や情報源が多くあるにも関わらず、ろう児童生徒向けではないため

私たちはこの活動を通して、1)多文化教育だけではなく、反差別教育など多くのろう児童生徒に有効な情報源を集めること、2)多文化教育や反差別教育で悩まされている多くの人々たちのために中心となる情報源を作ること、を目指しました。

目標が達成できているかどうかは微妙ですが、私たちが制作したオンラインリソースを通して多くの人々にとって参考になれたらと思います。

Aどんな情報がまとめられているのか?用途は?
私たちはろう児童生徒のために活用できる情報を多文化教育だけではなく様々なトピックをまとめると幅広く“教育”を貢献できると考え、以下のような情報をまとめました。

・ろう教育
・多文化教育
・反差別教育
・LGBTQ教育
・リテラシー教育
・家庭教育

などになります。私たちがまとめた情報では日本語で構成されている情報源や英語で構成されている情報源、様々な例がありますが、それら全てはろう教育において有力情報であると私は思います。このように世界中の人々が協力し、多くの情報が共有されれば、ろう教育における多文化教育や反差別教育など多様な教育をさらなる発展を遂げられるでしょう。このオンラインリソースを自国の情報だけではなく他国で取り上げられている内容について知ることができる、気になる情報があれば活用することができるコミュニティとして成り立つことができれば嬉しいです。

また、私たちはろう児童生徒のことを第一にろう教育における多文化教育やその他に関する情報を集めましたが、これらはろう教育だけではなく、特別支援教育、自立教育など幅広い分野において割り当てることができると考えています。もちろん学校だけではなく、家庭にも使える情報にもあります。例えばろう児を持つ親が情報が足りないとき、育児で困っているとき、このオンラインリソースは家族にとっても有効なのではないでしょうか。

ただ現時点ではこれらの情報において、日本教育の一部、アメリカ教育の一部しかまとめていません。(プロジェクトメンバーが日本人とアメリカ人しかいなかったため。)
しかしこのピンタレストの利点として、誰でもボードを編集でき、情報を共有できるのです。制作したのは私たちですが、誰でも情報を追加できるということです。今はまだ情報が少ないですが、一大プロジェクトとして今後も発展できると想定しています。

B課題点
私たちは授業を通して、ろう教育に参考できる情報源をまとめましたが、課題点があります。
先程、Aで説明したとおり、このオンラインリソースは情報を世界中から集め、私たちはお互いが支え合うことができるコミュニティを作りたいと考えました。自国だけではなく、他国においてどんな教育法でやっているか、どんな教材を多く使われているかなど知ることができれば、大きな力になれると思い、制作しました。しかし現時点では英語力を要することになってしまいます。

例をあげると、日本のろう教育においてよく使われている教材については知っているが、アメリカではどんな教材が使われているのか気になりますよね。その場合、アメリカでの記事やオンライン教材に関する論文などを読めばいいのですが、そこには英語で書かれていますね…。英語が読める方であればいいかもしれませんが、読めない方もいます。同じようにアメリカの教員でもスペイン語で書かれた記事を読むことができない人もいます。このように言語面における問題が残っており、私たち学生の範囲では解決できず、未解決のままとなってしまっています。
ゆくゆくはコミュニティとして設立し、通訳者や翻訳家の方々など力になれる方がいれば解決できるのではと考えていますが、理想的な想像だけで現実的な見通しは今のところありません…。
何か良いアイデアがあればぜひ協力し合いましょう!


さいごに、

授業内でプロジェクトメンバーと共に重要性や有効性について考えながら、プロジェクトに取り組むことができ、かなり良い経験となりました。
多文化教育は一般的に多人種、多国籍において多く取り上げられているテーマですが、学習障害(LD)や多動注意欠損障害(ADHD)、LGBTQなど多様な背景をもつ学習者がいることを考えると、人種や国文化だけではなく、様々な形で活用できると思います。私自身もこのプロジェクトを通して、多様性について改めて考えさせられ、様々な背景をもつ学習者にとって快適な教育のために私たちができることは何かを考えられるようになりたいと強く思えました。
先程述べた言語面における課題点に関しては現時点では解決することは難しいですが、日本だけではなく他の国のケースについて知ることができる点はとても重要であると思います。私は今まで日本で育ち、今までの教育が固定概念化され、多角的な視点で見ることができませんでした。アメリカにきて様々なことを学び、日本のろう教育の強みや課題点など改めて考えることができたのです。これは「日本」という環境が客観的に物事を見ることが難しい状況に陥ってしまっている面もあると思います。他国で学んだことで気付かされることと同じように、この情報源を用いて他の国の様々な情報を知ることで自分がやっている教育や受けている教育について客観的に考え直すこと多角的に物事を見ることが必要になってきます。自分の周りにある出来事を客観的に考え、改善すべきところがあるかきちんと検討することによって自分にとっても教育を受ける子どもたちにとっても影響を与えることもあるでしょう。こうして人は常に学び続けるべきだと思っています。

以上が私たちのプロジェクト報告でした。

【Reference】
García-Fernández Carla Marie. (2014). Deaf-Latina/Latino critical theory in education: the lived experiences and multiple intersecting identities of deaf-Latina/o high school students (dissertation). https://repositories.lib.utexas.edu/bitstream/handle/2152/25088/GARCIA-FERNANDEZ-DISSERTATION-2014.pdf?sequence=1

Murray, J. J., Snoddon, K., De Meulder, M., & Underwood, K. (2018). Intersectional
inclusion for deaf learners: moving beyond General Comment no. 4 on Article 24 of the United Nations Convention on the Rights of Persons with Disabilities. International Journal of Inclusive Education, 1–15. https://doi.org/10.1080/13603116.2018.1482013

Stapleton, L. D. (2016). Audism and racism: The hidden curriculum impacting Black
d/Deaf college students in the classroom.
https://www.academia.edu/35003418/Audism_and_Racism_The_Hidden_Curriculum_Impacting_Black_d_Deaf_College_Students_in_the_Classroom
Posted by 大西 at 05:17 | 奨学生生活記録 | この記事のURL