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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2020年5月生活記録【第16期生 皆川愛】[2020年06月08日(Mon)]
修士課程一年目の学業を無事に終えることができました。
このようなお機会をくださった日本財団並びに、日本ASL協会の担当者、理事の方々、いつも応援してくださる皆さまのおかげです。

一年目の学びを振り返り、ろう者学とは何かなぜ文化学(以下、カルチュラルスタディーズ)が重要なのか現時点での自分なりの理解を記しておきたいと思います。
この学びの旅は果てし無いもので、まだまだ勉強、理解しないといけないことがあると痛感しています。
一年後、私の回答はまた変化しているかもしれませんし、まだまだ旅の途中ですので、
何か間違いや不明点、ご意見などあればいつでもご教示いただけますと幸いです。

1. ろう者学と、ろう者学を学ぶ意義

日本でもろう者学という言葉をチラホラ目にするようになりました。
しかし、ろうの歴史を学ぶ、ろうについての話ならなんでもろう者学と言えるという風潮に懸念を持っています。
義務教育で社会科が教科として存在するのに対し、社会学は主に高等教育以降で扱われています。
もちろん、社会科での学修が基盤となっており連続性があることは事実です。
ろうに関することだからなんでもろう者学だと言えるわけではないということをはっきり記したいと思います。

ただ、私が散見する限り、欧米でもろう者学の明確な定義はまだ提唱されていません。

それでもなお、ろう者学の目指すところは明確です。
10月の生活記録でも引用したように、ろうに取り巻く言説(以下ディスコース)を細かに分析し、デフフッドを提唱したラッドは
「ろう」の意味を問い直し、再構築す必要性を訴え、以下のように述べています(Ladd, 2003)。
1.jpg


社会の構造を俯瞰し、ろうの問題を理解するために、ろう者学は一つの学問”discipline”というより、
歴史学、形而上学を含めた哲学、社会学、文化学、科学的な言語学、神経科学などを網羅した学際的分野、
すなわち多分野にまたがる諸学提携の学問”Inter-discipline”と言えます。

また、ろう者学の先駆者でもあるレインは、
「ろう」にまつわるディスコースとそれを取り巻く制度を捉えることの意義について以下のように指摘しています(Lane, 2008)。
2.jpg

ろう者学には、何かと正しい答えや実践があるわけではなく、
個々がろう社会を変えるために役立てる一つのツールに過ぎないと理解してます。
そして、その知のツールをどう使うかは個々次第です。

私自身、様々な理論を学んだことで、グラディーション豊かなメガネで社会の本質を理解する、
クリティークする、その視点が養われたように思います。
それが私にとってこの一年の大きな収穫です。

今回は、ろう者学において重要な学際的方法論となるカルチュラルスタディーズについて書き留めたいと思います。

2. カルチュラルスタディーズ
自分の専攻でありながらも、カルチュラルスタディーズと文化人類学と何が違うのか、
どんな学問なのか理解していませんでした。
9月の生活記録でも少し触れましたが、現在になって見返すと、短慮的だったと思います。
哲学的な用語が続きますが、一年かけて消化した自分なりの言葉で書いていきます。
そして、それはまた今後変化するかもしれないこと、ご容認ください。

カルチュラルスタディーズの定義において、
「日常の中で身体化、自然化された知(常識)を文化として対象とし、社会の中で働く力関係について分析する学問とその実践(伊藤, 2000)」
が一番腑に落ちています。
自分の言葉でまとめると、伝統的に正しいと正当化されてきたディスコースを問い直し、知を構築し直すことです。
さらに、それを通じて、何かアクション、すなわち実践を行うのに役立ててくれます。

1950年代に盛んになったカルチュラルスタディーズは、
これまで研究されてきた文学というものが、上部階層にいる貴族や官僚集団によるものであって、
下部階層にいる労働階級の人々の日常文化に焦点が当てられてこなかったことに対する疑問から始まりました。
5月生活記録_文字盤2.png


このように初期のカルチュラルスタディーズは、
抑圧された人々の生活と体験に焦点を当て、不可視化されてきた声を引き出すことにありました。
今日、カルチュラルスタディーズは、多種多様な領域を扱っており、さらに様々な広がりを持っていますが、あくまでも一つの技法に過ぎないことを強調しておきます。

3. 「ろう」にまつわるディスコース
カルチュラルスタディーズ の手法を採用しているラッドによると、ろう者、ろう文化にまつわるディスコースは、
@学術的な文献
A新聞や雑誌、テレビなどのメディア
Bろう専門職が研究の場で繰り広げ、発信されたもの
Cろう社会の日常
に大別されると記述しています(Ladd, 2003)。

@学術的な文献
蓄積されてきた実験的研究に基づく文献が大半です。
これは9月の生活記録でも触れているように、結果的に制圧を生み出しました。
心理学の分野で、ろう者は攻撃的、自己中などの記述があったり、
聴力検査の基準の明確化によって、ろう者が逸脱や劣等のラベルを貼られたりした経緯があります。
また、10月の生活記録にもあるように、
言語学の父のソシュールは主に音声言語の特性に基づき、言語の定義を正当化しようとした点で、
手話は言語の対象から逸脱したとも解釈できます。

Aメディア
メディアなどを通じて報道される大衆文化は、それを常識化してしまいがちです。
メディアで報道されることはほんの一部にしか過ぎないにも関わらずです。

現在の状況で見ると、新型コロナウイルス感染流行状況下で、ろう・難聴者を扱ったメディア報道のほとんどがマスク使用による不便性に焦点を当てたものでした。透明マスク開発の重要性が謳われていたように思います。
それがコロナ流行下でのろう・難聴者の日常生活を反映しているのでしょうか。
メディアはパワーを持つという認識のもと、報道内容を理解し、解釈する必要があります。

Bろう専門職が学術の場で繰り広げ、発信されたもの
9月の生活記録で紹介した米国のパッデンとハンフリーズが提唱したろう文化の基準(Padden & Humphries, 1988)も、
ろう社会の中の多様性の中での切片を対象にしているに過ぎません。
「サインネームが決まったら(与えられたら)、それはろう者として、ろうの世界の一員に歓迎された証だ」という一例があります(Padden, 1980)。
確かに、デフファミリーやろう学校、特に寄宿舎育ちのろう者は、そこでサインネームを与えられることが多いかもしれません。
しかし、今日で東京をはじめとし全国で寄宿舎に入るろう児・生徒は減っていますし、
後にろうコミュニティに関わり、手話を習得したろう者はどうでしょう。
また、こうした慣習は時代によって変わっていくものでもあります。
このように既存の知識を問い直すところがカルチュラルスタディーズの担うところです。

Cろう社会の日常
ラッドはこれがほとんど記録されたこなかったということに問題意識を持ち、
ラッドは英国のろうコミュニティにおいて、
焦点化されなかった集団(これをサバルタンを呼んでいる)に焦点を当て、記述を行なっています。

4. まとめ
今日、日本におけるろう者を取り巻く状況はどうでしょうか。
聴者マジョリティ社会に「ろう」について伝えるには、学術論文やメディアが大きな役割を果たしています。
社会構造を批評的に考えるという点で、ろう者学は大いに役立ちます。
しかし、これまでの文献の著者から、ろう者学の理論構築は主に欧米、それも白人を中心に展開されており、
日本、またはアジアにおけるろう者学の発展が望まれると考えています。
ラッドが分析対象とした「ろう」にまつわる4つのディスコースを紹介しましたが、これは英語文献のみを対象にしたもので、
国内におけるディスコースは未だ未だ掘り出されてないことがたくさんあります。
その辺も含めて、
「ろう」にまつわるディスコースを塗り替えていく、作り上げていけるのは新しい世代だと思います。
この生活記録では、一つの議論の契機になれば幸いです。
来年度も皆さまにお役に立てる情報発信に努めてまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


5. 新型コロナウイルスにまつわる情報

@アンケート調査ご協力のお礼
先月の生活記録で公表した「ろう難聴者を対象にした新型コロナウイルスにまつわる意識調査」に
呼びかけ、回答にご協力くださった皆さま、誠にありがとうございます。
おかげさまで500名以上からご回答をいただき、現在、解析を行なっています。
こちらは次回の生活記録にて簡潔な報告をさせてください。

中間報告動画はこちらより

研究代表のクシャルナガルから日本手話によるメッセージもあります。(0:43〜1:17)

A新型コロナウイルスに関して作成した手話動画

・新型コロナウイルスにまつわる受診の目安と検査

厚生労働省から5月8日に受診の目安の変更が発表されました。
受診(相談)の判断方法の最新情報から、検査を受けてどうなるか、退院に至るまでの大まかな流れです。
PCR検査の方法についても触れています。

・WHO「新型コロナウイルスにまつわるよくある疑問や誤解」

「コロナウイルスに感染すると一生陽性なの?」
「蚊によってコロナウイルスに感染することもあるの?」
「コロナウイルスは高温多湿に弱いの?」といった疑問に答えています。
国際基督教大学の李先生をはじめ、コンサルチームが多言語へ翻訳しています。https://covid-no-mb.org 
5月28日現在、67言語に対応しており、今回、日本手話への翻訳に携わらせていただきました。

日本は各地で梅雨入りし、高温多湿の日々と伺っています小雨
新型コロナウイルス感染対策として、マスクの装用が未だに期待されていますが、
それによって熱中症を引き起こす危険性も指摘されています。
皆さまどうぞ暑さや湿度、コロナウイウイルスには気をつけてお過ごしください。

<参考文献>
伊藤公雄(2000)カルチュラル・スタディーズが問いかけるもの.理論と方法, 15(1), 75-88

Ladd, P. (2003). Understanding Deaf Culture: In Search of Deafhood. Clevedon, UK: Multiling Matters.

Lane, H. (2006). Do Deaf people have a disability?. In H-D. Bauman (Ed.), Open your eyes: Deaf Studies talking (p.277-292). Mississippi, MI. University of Minnesota Press.

Padden, C. (1980). The Deaf Community and the Culture of Deaf People. In C. C. Baker & R. Pattison (Eds.), Sign language and the deaf community (pp. 1-16). Silver Spring, MD: National Association of the Deaf.

Padden, C., & Humphries ,T. (1988). Deaf in America: Voices from a culture. Boston, MA: Harvard University Press.

Saussure, F. D. (1998). Course in General Linguistics. Chicago, IL. Open court.
Posted by 皆川 at 10:25 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2020年5月生活記録【第13期生 橋本重人】[2020年06月08日(Mon)]
こんにちは、13期生の橋本です。新型コロナウィルスの新規感染者数が以前と比べて減ってきているようですが、まだまだ安心できないですね。こちらも買い出しとジョギング以外は自粛しています。

さて、3年間書き続けてきた生活記録も今回で最後です。まずご報告があります。2020年5月に無事ギャロデット大学を卒業しました。本当に緑豊かなところで2年間学ぶことができたなぁとしみじみ思っています。
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昨年度の春学期から続けてきた学生自主研究の研究発表と論文作成を、期限日までに終了することができました。「ろう発達障害学生のインクルージョン教育に対する教員の態度と技能」という研究テーマを取り上げ、アメリカのろう学校に勤務する教員を対象に、インタビューを行いました。文献レビューを行う際、テーマに関する資料がアメリカにも日本にも全くなかったため、論文作成には非常に苦労しました。インタビューでは、アメリカの各州(インディアナ州、ウィスコンシン州、コロラド州など7つの州)のろう学校の教員たちの、ろう発達・重複障害学生に対する使命感を強く感じ、また、前向きな姿勢に感銘を受けました。一人ひとりの児童の可能性を信じて取り組んでいる様子でした。教員として基本的な知識や指導方法を学ぶ意欲を持つことは大切である一方、素晴らしい指導方法を習得するよりも、その児童を受け入れ、実態に合わせながら指導する態度や信念を持つことが大切であると、この研究を通して知ることができました。

カウンセリングクラスでは、マイクロアグレッション(微細な攻撃)について印象に残っており、それは卒業した後の私自身の課題でもあります。マイクロアグレッションとは、話し手にその意図がなくても、言われた人にとっては不快・差別に感じる発言や行為のことです(Sue et al, 2007)。2月の生活記録に書いてあるように、「え?知らないの?」とか「あなたはろうだから、人一倍頑張る必要があるよ!」「私は黒人の友達がたくさんいるよ。だから、大丈夫」といった些細なことでも言われた人にとっては違和感と感じることがあります。普段の生活の中でどういう場面にそういったマイクロアグレッションに出会ったか、その時どんな気持ちだったかを数名のろう者(特に、人種、移民、LGBTQ、そして、他の障害を併せ持つろう者たち)にインタビューしたり、インターネットで調査しました。どれだけ傷ついたか、さらには一生忘れられない場面だったと辛そうに話す姿に、ひしひしと彼らの思いが伝わり、私はその時どのように言葉をかけたらいいか分からないほどでした。多様性のあるアメリカ社会ではそういったマイクロアグレッションは慎重に扱う問題であります。それは私自身の言動にも当てはまることがあり、人権意識や差別に繋がることについての十分な理解がなかったことによるものだと気づくことができました。

渡米前に「こんな私でもやっていけるのだろうか…」という不安でいっぱいだった私が、カリフォルニア州のオーロニ大学で出会ったナンシー教授とトム教授、メンターであるステファニーさんが丁寧に指導・助言をしてくださったおかげで、ギャロデット大学に無事進学することができました。
ワシントンD.C.のギャロデット大学は、教育学部の学長であるマリベル教授、ろう重複障害を専門とするクリス教授、OSWD(障害のある学生支援室)のスタッフたちの手厚いサポートに恵まれ、素晴らしい経験を積むことができました。

それから、皆さんにぜひお勧めしたいことあります。それは、メモ書きです。第9期生の瀧澤さんの生活記録(2016年10月生活記録)にも書いてありますが、本当にノートやメモ帳に書き記すことはとても役に立ちます。印象に残ったことや気になったことをすぐにメモに取ります。私は常にズボンのポケットに収まるサイズのメモ帳を持ち歩いていました。読み返してみると、知らなかった情報や英単語も書いていました。振り返ったり、何かを思い出したりする時にそのメモ帳が役に立ちました。備忘録にもなります。

卒業後の課題として強く感じているのは「アメリカでの研究を日本のろう社会に貢献できるものは何か」です。アメリカと日本は文化も状況も全く異なるため、全てがそのまま適用できるとは考えにくいです。日本の実態に合わせて、私が積んできた知識と経験をどのように生かすか、特にろう発達障害の児童生徒と関わっている教員や保護者のサポートを中心に考えたいと思います。大学院を卒業したからと言っても、まだまだ学ばなければいけないことがたくさんあります。どういった支援・配慮がベストなのかを当該の児童生徒はもちろん、その保護者と教員たちと対話しながら進めていきたいと思っています。

読者のみなさま、そして日本財団、日本ASL協会のみなさま、3年間のご支援をありがとうございました。
IMG-3265.jpg

参考文献:
Sue, D. W., Capodilupo, C. M., Torino, G. C., Bucceri, J. M., Holder, A. M. B., Nadal, K. L., & Esquilin, M. (2007). Racial microaggressions in everyday life: Implications for clinical practice. American Psychologist, 62(4), 271–286.

Posted by 橋本 at 09:51 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2020年5月生活記録【第13期生 山田茉侑】[2020年06月08日(Mon)]
みなさまこんにちは。早いもので、この記事が留学生活最後の記事となりました。


卒業式花見(さくら)ボストン大学大学院を修了しました花見(さくら)卒業式
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(写真は、Zoom卒業式の様子)

卒業式は新型コロナウイルス の影響で延期になりました。そのため、専攻だけの小さなZoom卒業式になりました。
去年の12月、学期末試験が終わったあとに先生や友人たちと卒業式に再び笑顔で会おうと、約束をして別れたのを思い出していました。今学期は大学を離れて、学期丸ごと(3ヶ月間)を使っての教育実習があったため、同期全員があちこちの州に引っ越し、それぞれの地で教育実習をこなしていました。なので、まさか12月のお別れが実際にみんなで会える最後のお別れとなるとは思いませんでした。人生何があるかわかりませんね。そんなことを考えながら、Zoom越しの卒業式を眺めていました。


卒業式はTodd先生を中心に進められました。Todd先生のコメントの中に、おもしろいものがあったので、ぜひ共有したいとおもいます。

マラソンランナー、エリウド・キプチョゲ選手をご存知でしょうか。
今まで人類がマラソンで2時間を下回って走りきることは不可能だと言われていました。ところが、2019年10月13日、オーストリアのウィーンにて1時間59分40秒の記録をもってエリウド・キプチョゲ選手が世界記録を破ってゴールしました。
人類の限界をその記録をもって破ったことは、当然世界中で注目されました。

ただし、その記録は公式ではありません。非公式です。

なぜなら、写真を見てわかるように、このレースは数々の人工的な条件を加えてのチャレンジだったからです。

400 02-eliud-kipchoge-marathon-attempt-1012.jpg
(写真はエリウド・キプチョゲ選手が走っている様子。CNNの記事から引用https://www.cnn.co.jp/showbiz/35143908.html )

ナイキの厚底シューズを使い、7人が風除けとして選手の周りを囲みながら走り、先導車が2時間を下回る走りになるように常に選手の足下をライトで照射し、精密に計算された時間にドリンクの配給があり、とさまざまな人工的な計算が加えられていました。

でも、それでも2時間という人類の壁を突破したのです。
Todd先生は、人生それでいいんじゃないか、と言いました。

「ろうの子どもと親たちが笑顔でいてほしい。」そのために、わたしに何ができるだろうか。そんな想いを持って留学した3年間。いろんな方に支えてもらいました。一人じゃ到底思い浮かばない、いろんなアイデアや考え方に触れることができました。いろんな方との出会いがあり、背中を押してもらって、ここまで道を開くのを手伝ってもらいました。

エリウド・キプチョゲ選手が人類の限界を超えたように、みなさまの支えによって、この留学生活がわたしの大きな糧となり、これからの人生の豊かな土壌になると確信して言えます。
Zoom卒業式の後、3年間を思い出してホロリときました。

Todd先生は、エリウド・キプチョゲ選手の例を出して、ここで得られた縁を大切にこれからも上手く使っていってほしいと言いたかったのだとおもいます。
赤いガウンをまとって卒業式の場に立てなかったことはとても残念でしたが、とっても大切なことを思い出させてくれたかけがえのない卒業式となりました。


改めまして、3年間に及び、留学をあたたかく支えてくださった日本財団、日本ASL協会のみなさま、そして家族や友人、先生方に心からお礼を申し上げます。ここまで来ることができたのも、ひとえにみなさまのご尽力のおかげです。3年間、本当にありがとうございました。



これからですが、OPTを使ってアメリカのろう学校で教職をする予定でいます。
(まだ正式な辞令がおりていないため、詳細を書くことは控えたいとおもいます。)
O P T (Optional Practical Training)とは、1年間に限ってアメリカで合法的に働くことを許される制度です。学生ビザ(F-1)を使って留学し、学位を取得した人がOPTの対象になります。
日本へ本帰国をする前に、短い期間ですが今度は現場を通して、多くのことを学び、実践力をつけていきたいと思っております。
そのため、今後も何らかの形で情報や教材を共有できるようにしたいと思います。
そして、日本の早期教育と親支援の発展のために何ができるか、現場から考えて参りたいとおもいます。これからも引き続き、何卒よろしくお願いいたします。



◆教員免許状についての情報
参考までに、アメリカの学校で働く場合、日本と同じく教員免許状が必要です。ただ、日本とアメリカで少し取得のシステムが異なります。日本では教員免許状取得に必要な単位をとって大学を卒業したら免許が取れます。一方でアメリカでは、教員養成大学/大学院を卒業後、州の試験に合格してはじめて免許状が取れます。

州立のろう学校で働く場合、数年間は免許状の取得を待ってくれる場合もあります。私立のろう学校やチャータースクール(親の要望で建設された学校)は待ってくれないケースの方が多いと思います。

もしも、日本の教員免許状を持っていて、その上でOPTを使ってアメリカの学校で働くことを考えている場合…吉報です。
いくつかの州では日本で取得した教員免許状が使えます。
アメリカのろう学校で働くなら、特別支援学校教諭 聴覚障害領域の免許状が必要になります。将来アメリカのろう学校で働きたい方に参考になれば幸いです。



◆参加型手話絵本「ムロと🤟」
2020年4月生活記録にて、eBookの URLを貼りました。家庭や教育現場でぜひ遊んでいただけると嬉しいです。
ムロ ILY.png



それでは皆様また会う日までごきげんよう!
Posted by 山田 at 05:51 | 奨学生生活記録 | この記事のURL