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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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【自己紹介】第16期生 皆川愛[2019年08月27日(Tue)]
こちらの内容は手話の映像でもご覧いただけます。


こんにちは!
第16期奨学生の皆川愛と申します。
テーマは、ろう者への医療・看護ケアです。

私は看護師注射器(血)としてろう者と関わる中で、
医療機関において人権侵害といえるような経験を受けているろう者を目の当たりにしてきました。
例えば、電話ができないと抗がん剤治療を受けられませんと告げられ、
適切に治療を受けられず亡くなったろう者。
この問題は「聞こえないから」「電話ができないから」という理由に集約されるでしょうか。


?なぜろう者学なのか

ろう者学の理論に、Bahan氏(2008) が提唱した感覚的志向(Sensory orientation)があります。
この理論によると、聴者は聴覚・音声的志向に基づいた行動や生活様式が主であるのに対し、
ろう者は視覚・触覚的志向であると言います。
連絡方法=電話という方程式は、聴者が聴覚・音声的志向だからです。
ろう者は、FAXやメールといった視覚的志向に基づいて連絡方法を採用しています。
当たり前ってなんだろう、聴者のやり方が普通で、当たり前なのか。

こうした大衆文化、すなわち聴文化とろう文化にはズレがあります
医療は、このズレに敏感になって提供されるべきと問題意識を持っています。

?私が目指すもの

@ろう者への文化的技術向上トレーニングプログラムの開発
医療場面においてろう者が直面している問題をろう者学の理論を用いて説明しつつ、
これらのズレを縮小すべく、医療者に対するろう文化のトレーニングを行いたいと考えています。

Aろう者を対象にした医療アセスメントツールの開発
また、現状として、診断や治療・ケアの方針を見立てるためのアセスメントは、
日本語で、かつ聴者のやり方で実施されることが多いです。
それによって、ろう者への正確なアセスメントがなされず、症状の悪化や、誤った投薬が起こっています。
そこで、ろう者が正確に診断を受け、治療やケアを受けられるように
日本手話でアクセスできる医療のアセスメントツールの開発を目指します。
このアセスメントツールは病院だけでなく、老人ホームの施設や学校での普及、
介護保険などの申請の評価の一つとして役立てられるようシステムにおける普及も考えています。
ギャロデット大学では、様々なラボ(研究室)がアセスメントツールのアメリカ手話への翻訳を行っています。方法を学び、日本手話に応用できるよう、自分を磨いていきます。

これらの二つの目標達成のために、ギャロデット大学大学院のろう者学で2年学びつつ、
ラボで様々なことを吸収していきます。

応援、ご協力をお願いいたしますかわいい

<参考文献>
本文で紹介したBahan氏の理論です。
Bahan, B. (2008). Upon the formation of a visual variety of the human race. In Bauman, H-D. (Ed.), Open your eyes: Deaf studies talking (pp. 83–99). Minneapolis: University of Minnesota Press.
Posted by 皆川 at 06:10 | 自己紹介/紹介 | この記事のURL
第16期留学奨学生の紹介[2019年08月25日(Sun)]
第16期留学奨学生の紹介

今年4月から行われていた第16期留学奨学生募集選考により選出された奨学生1名をご紹介します。

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第16期留学奨学生
皆川 愛(みなかわ あい)

留学目標:ろう者への医療・看護ケア
留学先 :ギャロデット大学 大学院 ろう者学部(文化学専攻)
    米国 ワシントン D.C.

この8月に渡航し、米国にて留学をスタートしました。
今後ともよろしくお願い致します。

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 08:22 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL
2019年7月生活記録【第13期生 山田茉侑】[2019年08月08日(Thu)]


今月は、ボストン郊外にある博物館Plimoth Plantation(プリマス農園)に行きました。展示の仕方が面白いな、と思ったので紹介したいと思います。

その前に、プリマスの歴史を少し。
昔、イギリスでは宗教の自由を認めていませんでした。特に、ピューリタンたちはカトリックを信仰しないことで罰を受けていたのです。それなら、誰にも邪魔されずに自分の信仰を貫ける場所を探しだそうと、ピューリタンたちは旅にでました。
メイフラワーに乗って、大西洋を横断し、1620年にたどり着いた場所がアメリカにあるマサチューセッツ州プリマスという場所です。
ここは、アメリカが現在の歴史へと動き出した場所の一つでもあるのです。


プリマス農園には、入植当時の生活(ネイティブアメリカンの小さな村と、イギリスからの入植者の小さな村)が再現されており、そしてスタッフたちが当時の装束を着てあたかもそこで生活しているかのように振る舞っていました。
なので、250年近く前のアメリカにタイムスリップし、実際に目で見て、話をし、当時の様子を学ぶことができます。


入場料は3種類あり、プリマス農園のみで$30。
オプション1と2をつけると少し料金が上乗せられます。
オプション1:メイフラワーに乗る、オプション2:製粉所の見学
障害者割引は適合され、プリマス農園+オプション1,2全て込みで一人$17でした。
その時にペンと小さなメモ用紙を渡されることになるのですが…。


当時の様子を再現したネイティブアメリカンの村
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畑の手入れをするネイティブアメリカンたち。スタッフたちの後ろにある小さな家が、5つほど他の場所にも建っておりました。家の中には、たくさんの動物たちの毛皮がカバーや毛布として使われておりました。毛皮は重く、外側は毛でフサフサしている傍、中はツルツルしてました。密封という形で暖をとるのかな、と予想しております。


薪をくべて芋を蒸している様子。実はこの方の背中にはかっこいいタトゥーが。友達とも話したのですが、スタッフがしているタトゥーや化粧、アクセサリーなどは、昔の様子を再現しているものか、それともスタッフ個人のものなのか、わかりにくかったです。これは日本と違うところだなと思いました。
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当時の食べ物。そういえば、イギリスからの入植者の村では、スープらしきものが作られていましたが、スタッフからはおいしくないよと。
この豆のようなものを使った料理はおいしいのだろうか。
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左側のスタッフが、アクセサリーらしきものの作り方を他のスタッフに教えている様子。たくさんの見学者がここに集まっていました。スタッフ二人のコミュニケーションから学べるものもありそうで、楽しそうですね。
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ダーツのようなゲームもありました。
羽が後ろについているため、まっすぐ飛ばすのに苦労しました。
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そして、こちらからはイギリスからの入植者の村。


村の後にある海は、どこまでも青く広がっていました。
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家の中は、このような感じです。
ベッドの下にあるのは、尿瓶です。昼間は外で排尿をするそうです。しかし、夜間は電気がなく真っ暗であること、寒い気候、安全などのため、ベッドの下の瓶の中に排尿をするそうです。
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6羽ほどのニワトリが、村中を走り回っておりました。スタッフの誰も見ていなかったため、脱走しないのかこちらがヒヤヒヤしました。
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こちらは、ハーブの収穫をするスタッフたち。博物館として機能させるために、一年中毎日同じことをしているのだろうか、ハーブは毎日植えているのだろうか、それとも本当に季節に沿って当時の生活を再現しているのだろうか、と気になるところです。
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スタッフの一人が、ASLのできる方でした。その方によると、嵐のため一度は大西洋横断を断念したものの、2度目のチャレンジで3ヶ月かけ、ここまでたどり着いたそうです。「食べ物や料理の仕方、気候、暮らし方など、何もかもが以前とは違う。イギリスにいた頃がとても懐かしい。」新しい大陸での生活は、野心とは裏腹にとても大変だったようです。



往来博物館は、動かない展示と読みにくい説明書きというイメージがあります。プリマス農園は当時の様子を目で見て、そしてスタッフ同士のコミュニケーションから学び取る展示スタイルで、子どもから大人まで楽しく学べそうです。
残念ながら、時間が押していることもあり、今回の訪問ではメモとペンを一切使うことはありませんでした。そのため、全くコミュニケーションが見えない中での訪問になってしまいました。願わくは、近い将来、聴覚障害者への割引がなくなり、スタッフ同士のコミュニケーションが完全に見える化されますように。


おまけ
最近プリマスでヤギの赤ちゃんが最近生まれたようです。
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尻尾をふりながら親らしきヤギとじゃれておりました。嬉しそうな様子にこちらも幸せな気持ちになりました。

Posted by 山田 at 10:50 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2019年7月生活記録【第13期生 橋本重人】[2019年08月08日(Thu)]
毎日暑いですね。ワシントンD.C.も日射しが強く、ときどき日陰へ避難しています。

今受講しているサマークラスはあと2週間で終わります。先月お伝えしたようにLanguage and literacy Development for Deaf students with disabilities(ろう重複障害のある学生の言語と読み書き能力の発達)というクラスを受講しています。複数受講していた秋学期や春学期と違って、この夏休みは1つしかクラスを取っていないため、同時進行が苦手な私にとっては集中しやすい環境です。毎日にらめっこしているテキストは、すでにボロボロになってきています。
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障害種別として、学習障害とADHD、知的障害、自閉スペクトラム障害、精神及び行動障害、感覚障害(聴覚障害と視覚障害)、神経運動障害と外傷性脳損傷の児童生徒に分かれており、それぞれの言語発達や言語指導について研究の結果をじっくり読み、その結果をもとにどのように指導したらいいかを学びました。
興味深いことに障害がどんなものであろうとやはり共通するのは、周りにいる親や大人が子どもたちに話しかけることが大切であるということです。早い時期に言葉をかけてくれた子どもたちは、全くその対応をしてくれなかった子どもたちと比べてコミュニケーション能力やリテラシー(読み書き)能力は長けているという研究結果がありました。大人たちがその子にできることは何かを常に考えながら、言語発達の土台を築き上げていく必要があります。この子は◯◯だから言語の力を身につけることは難しい、と何もしないで判断してしまうのはよくありません。子どもの可能性を潰してしまうのと同義となります。誰にでもバイアス(先入観)を持ってしまうのは仕方がありません。バイアスを持たずに関わることは難しいことのようですが、それでも子どもたちの可能性を信じていきたいものです。

課題を進めていくにつれて、このクラスは前述の障害種別の児童生徒にどのように言語指導をするべきかに焦点を当てており、ろう重複障害の児童生徒については全く触れないことに気づきました。プロジェクトは英語を第二言語として学んでいる児童生徒についての実況調査やディスレクシア(読み書き障害)のある児童生徒にどのように指導をしたらいいか、専門家たちにインタビューするというものでした。あれれ?ろう重複障害についてはまだなのかな?と思いながら取り組んでいて、気がついたらクラスもあと2週間ということでした…。残念ながら、このクラスでろう重複障害に対する新しいことを学ぶことはできませんでした。でも、違う観点から言えば、それぞれの障害種別の基本的なことの復習として学ぶことができたと思います。自分のやりたいことは、やはりそんなに簡単には見つかりませんね。自分で切り拓くしかありません。

話が逸れますが、ギャロデット大学の近くにUnited States National Arboretum(米国国立樹木園)があります。大学から徒歩で45分から1時間かかりますが、とても自然が溢れていて木の下で昼寝なんかもできます。実は、その国立樹木園の管理棟横には、盆栽園があります。その盆栽園の中には日本の宮内庁から寄贈された黒松盆栽や、原爆投下後の広島で生き延びた盆栽など、貴重な盆栽が展示しています。
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ワシントンD.C.滞在が長い友人曰く、その樹木園は4年前と全然雰囲気が違うとのことでした。以前は、ヨーロッパ系の来園者が多かったそうです。今はアジア系、中東系、アフリカ系やヨーロッパ系などの多様な人々が集まってくつろいでいます。みなさん、やはり自然が好きですよね。可愛らしい植物を見て嫌な気持ちになるなんてありませんよね。木や池を眺めるとストレス発散になります。

実は、アメリカに越してたくさんの木を見るようになった私の視力は、2年前の右0.3、左0.3と比べてなんと右0.5、左0.8も上がったのです。信じてもらえないかもしれないですが、本当に視力が回復し、体調によってはメガネを必要としないときもあります。
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それでは、また来月に。
Posted by 橋本 at 09:59 | 奨学生生活記録 | この記事のURL