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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2019年5月生活記録 FINAL 第10期生 辻功一[2019年06月08日(Sat)]

こんにちは、今日も生きています。
10期生の辻 功一です。

今回の生活記録は帰国後の日本で書いています。
5/13〜17の学期末試験、5/18の卒業式をもって4年間のカリフォルニア州立大学チコでの生活を終えました。チコ校で4年、オーロニ大学も含めると丸々5年。数字から見ると長いような気がしますが、本当にあっという間でした。

BADM 495 (Applied Strategic Decision Making)
「戦略的意思決定」
このクラスは、全ての必須科目を履修した上で、これまで学んだことの総仕上げの実践的なプログラムとして最後に受講するキャップストーンプログラムです。
イノベーションのための思考法から様々なフレームワークを利用した分析とレポート作成、そしてプレゼンテーションなど自分にとっては復習のような形でありましたが、実践的な内容を改めて学ぶことができたと思います。
このクラスは前回受講したMBAクラスと同じ教授ですが、僕は彼のグローバル感覚での考察が気に入っています。彼はカナダ出身で、オーストラリアの大学で博士号を取得、米国のある企業のCFOを務めた後、ニューヨークや上海で教鞭を執り、2017年からチコ校にてMBAプログラムを受け持っています。
来学期のクラスでは野外学習(?)の一環で一週間チリでグローバルビジネスを学ぶといった試みが行われるそうです。受講したかったのですが、1学期早く履修してしまいました。残念!教授は「留年すればいいよ」とサラッと言ってましたが、そんな事したら大慌てする方々が日本にいらっしゃると思いますので(笑)

MGMT 389K (Internship in Entrepreneurship and Small Business Management)
「起業家精神と中小企業管理のインターンシップ」
インターンシップという名のクラスですが、実際にはインターンシップ先のオフィスにて自身のビジネスプランを進めていくといった内容でした。
オフィスに入り浸りで自身のプロジェクトの調査やら計画書の作成をしていました。そして最後にはレポートを提出しておしまいです。
5年ぶりにwebサイトを制作しましたが、意外としっかり覚えているもんですね。自分でもびっくりしました。

最初ASLも英語もままならなく、こんなレベルでビジネス留学なんて99.9%無理無理という状態で渡米したのですが、オーロニ大学でナンシー教授をはじめトム教授やバニー教授たちに丁寧に手取り足取り教えていただいたおかげで、希望するビジネス学部のある大学に転学することができました。
またチコはサンフランシスコから車で3時間離れている上に、デフコミュニティも無いのでオーロニ大学のように手厚い手話通訳システムが整ってないのが不安要素ではありましたが、幸いなことにチコ校のカウンセラーさんや常駐の手話通訳者さんの理解やサポートに恵まれ無事に卒業することができました。
おまけに最後にはビジネス学部からEntrepreneurship Leadership Award(起業家精神リーダーシップ賞)も戴きました。

Entrepreneurship Leadership Award
<Entrepreneurship Leadership Award>

いま振り返ってみると、この留学は本当に大勢の人々にご支援いただいたからこそ、やり遂げれたんだなと思います。二人三脚ならぬ多人多脚ですね。
これからは後に続く挑戦者たちの脚の一部になれるようサポートしていきたいと思います。もちろん、僕自身も挑戦者であり続けていきたいと思っています。

以上です。
読者のみなさま、そして日本財団、日本ASL協会のみなさま、5年間ご支援をありがとうございました。
2019年5月生活記録【第13期生 橋本重人】[2019年06月08日(Sat)]
 みなさん、ギャロデット大学のFowler Hallからこんにちは。ただいま、夏休み真っ只中です。

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 周りの学生はそれぞれの地元の州に帰ったり旅行に行ったりしていますが、私は前学期からの自主研究がまだ終わっていないため、こうして研究の続きを行っています。アメリカでのインクルージョン教育に関する論文をいくつか読み進めているところです。また、6月末から障害を併せ持つろう学生の言語獲得と認知発達という夏季講義を受講する予定なので、楽しみにしています。それについてはまた次月に報告します。
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 ギャロデット大学に入学してから早一年が経ちました。振り返ってみると、以前通っていたオーロニ大学の雰囲気とは全く違ってダイナミックな環境のため、最初は「やっていけるのか…」と不安でいっぱいでした。何より、学生や先生たちのアメリカ手話のスピードがとてつもなく速く、指文字を頑張って読み取ろうとしても、始めと終わりの文字しか読み取ることができませんでした。そんな環境に慣れるのに精一杯でした。また、私が在籍しているろう教育専攻の同期のほとんどが手話が堪能なため、グループディスカッションでは読み取るのに必死で自分の意見を言うタイミングをつかむことができなかった時もありました。でも、ありがたいことに、私が理解できているかどうかを、時折確認してくれる教授や友人がいてくれたからこそ、なんとか授業についていくことができました。プロジェクトも課題論文も提出日ギリギリでしたが、なんとか提出することができました。サポートしてくれたみんなに感謝でいっぱいです。特に同期のCさん、1年間ありがとうございました。
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 ギャロデット大学ではイベントやワークショップがたくさん行われています。掲示板にはその紹介のポスターが所狭しと貼られています。ギャロデット大学の他の日本人留学生たちの生活記録にも書かれているように、ろうアイデンティティの確立、ろう者の経験談や手話ポエム、手話言語学、ろう通訳、ろう映画、バイリンガルろう教育、国際ろう交流会(アジア系、中近東系など)、他の国へのインターンシップ紹介、効率の良い学習方法など、ワークショップのテーマは多種多様で、どれもろうに関することばかりです。日本でもそういったワークショップがありますが、ギャロデット大学での規模は大きく、そこにはろう学生だけでなく、ギャロデット大学に勤務している教授や事務員、図書館司書、助手、用務員なども参加しています。コーダや手話通訳や言語聴覚士を目指す聴学生も積極的に参加していました。そういったイベントで積極的に意見を言うのは、ろう者だけかと思えばそんなこともありません。コーダや聴者の立場からの意見を聞くこともできる貴重な機会でした。

 私はなるべく、時間があれば参加するようにしてきました。ろう教育を学ぶためにギャロデット大学に来ていますが、そればかりでなく、ろう教育から離れて様々な観点で物事を見ることも大切だと思っています。違う視点で見るからこそ気づかなかったところを発見することができることもあります。また、参加者と意見交換をすることで、多様性の中で私にできることは何か、を考えさせられる機会となりました。

 留学も残りあと1年間となりましたが、体調を整えながら取り組んでいきたいと思います。

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 大学の近くにあるアジサイが綺麗に咲いていました。日本を思い出します。

2019年5月 生活記録 【第12期生 西 雄也】[2019年06月07日(Fri)]

こんにちは。生活記録を書くのも今回が最後となります。

春学期クラス

今学期が大学院の最後のクラスであり、最終プロジェクトも無事に終えることができました。

春学期のクラスでは、リテラシー教育と絵本の読み聞かせクラス、デフスタディのデフコミュニティのクラス、Capstoneを履修しました。これまで過去に履修したクラスもそうですが、上記の3つのクラスではろう者の言語獲得の状況、バイリンガル教育やろう者の置ける社会状況、アイデンティティなどをベースに論理的に学びながら議論していきました。

これまでのクラスの内容については前回の生活記録にあります。

その中で、多文化的視点や様々な背景を理解しながら、ろう者とは何かを考えながら、教育や接することの大切さを学び、深く再認識したものです。

Capstone
このプロジェクトは、一年かけて行うものであり、私の学んでいるろう教育専攻で卒業するのに必須なプロジェクトです。クラスの必須科目を全て履修し終えるだけでなく、この課題をパスできるかどうかで、卒業できるかどうかを決定するものです。

私は"Deaf Art Curriculum for Deaf Children"といテーマで研究を進め、論文作成とパンフレットをイメージした作品を作成しました。
作成時は資料によるリサーチやDe'VIAの仲間へのインタビューや交流などを通してまとめたものです。また、いくつかの資料の収集と解読、まとめるのには苦労しましたが、無事やり遂げることができました。
その中でデフアートとDe'VIAの違いだけでなく、意味や目的などについて自分の中で知りながらまとめることができたのは大変有意義なものでした。
その後、教授たちへのプレゼンテーションも行い、良い評価をいただくことができたので良かったと思っています。

卒業式卒業式花見(さくら)
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さて、5月16日にギャロデッド大学で大学院生のみの卒業式、17日に全校(大学・大学院)の卒業式がありました。自分はどちらも出席し、この日ギャロデッド大学大学院ろう教育専攻を修了し無事に卒業いたしました。

これまで大学院生活は、勉学の面で色々苦労もありましたが良き友人や教授に恵まれ、充実した生活を送ることができました。またこの貴重な機会や支援をいただいた日本財団・ASL協会の方々に対し感謝の想いでいっぱいです。今後、これまで米国で学んだことを活かせるように頑張っていきたいと思います。

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↑お世話になったアドバイサーでもあるマリベル教授と
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↑いくつかのクラスを共にしたことのある卒業生のクラスメイトと

卒業後はいくつかのワークショップに参加する予定です。また、OPTというインターンを行うかどうかについて検討中です。

今までありがとうございました。

第10期 辻功一奨学生、帰国[2019年06月03日(Mon)]
第10期 辻功一奨学生、帰国

6月1日、第10期の辻功一奨学生が留学を修了し、無事に日本に帰国しました。

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<成田国際空港にて>

米国サンフランシスコの北東部の州都サクラメントから約1時間のところにあるチコ市にあるカリフォルニア州立大学チコ校の起業家コースで、マーケティングやマネジメントなど起業家としての知識をみっちりと学んできました。在学中はいくつかのビジネス系コンテストで、優勝、準優勝など入賞を果たした実力派。今後の活躍にご期待ください。
ご支援いただいたみなさま、ありがとうございました。

*辻奨学生は、今年度開催の帰国報告会で、留学報告の予定です。
 日程決まり次第、お知らせいたします。

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 17:30 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2019年5月生活記録 【第13期生 山田茉侑】[2019年06月02日(Sun)]
みなさんこんにちは。
うだるような暑い日が来たかと思えば、コートを外せない日にもなったりと、最近は天気自身もどこへ行けばいいのか分かってないらしく右往左往しているようです。

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暑い日は家の庭で宿題をしています。写真はその時の様子です。
ここで飲むマンゴージュースはおいしい!



今月は、サマークラスで受講するクラスについて紹介したいと思います。
Deaf Literature and ASL Folklore 「ろう文学とASL伝承」

こちらのクラス、実は学部生向けと院生向けに内容を分けているそうです。
ボストン大学には「ろう者学」という学部生向けの専攻がありますが、そちらのクラスでは広くろう文化やデフアート、ASLの語り聞かせなどに焦点を当てているそうです。一方、ろう教育専攻の院生のクラスでは、子ども達にどうやって「ろう文学とASL伝承」を教えるかに焦点を当てているそうです。


このクラス、非常にありがたいです。日本のろうの子どもたちにも「ろう文学と日本手話伝承」というクラスが必要だとは分かっていても、実際にクラスを受け持つことになったら、一体全体何をどう教えていいのかわからない…というのは多くの教員の本音ではないでしょうか。

このクラス、まだ始まったばかりなので、今回は今までやってきたことを紹介したいと思います。

「6 Scene Story Video」
手話または書き言葉で6単語からなる文を、6つのシーンで表す。
例えば「Book lovers live a longer life(英語: 本を愛する者は孤独である)や Mom loves brother more than me(英語:母はわたしよりも弟が好き)、My Body My Decision Not Yours(ASL:わたしの体はわたしが決める、あなたのものではない/ 中絶禁止法に対して)」など、6単語のASLや英語の文を6つのシーンで表します。1つのシーンあたり3-8秒、理想は6秒です。


実際に動画を作ってみました。この動画のメッセージは何か、当ててみてください。答えはブログの最後に記載しました。


6つのシーンからなるビデオを聴衆に見せる際、6単語からなるASL、英語のメッセージは隠しておきます。ビデオを公開した後、聴衆は動画に隠されたメッセージが何かを当てます。この時1単語1単語当てるのではなく、「猫を見たら死ねるほど猫が好き?」などというようにメッセージのポイントを当ててもらえたら成功です。いかに聴衆にメッセージが伝わる動画を作れるかがこのプロジェクトのキーです。


英語は各単語が離れているので、数えやすいのが羨ましいところです。日本語では、俳句5・7・5や短歌5・7・5・7・7に置き換えられるのかな、と思っております。




「ASL伝承の典型的なテーマ」
・Deaf People “find a way” :ろう者ならではの方法がある、という逆発想の物語。
・Tales of oppression:聴者からの抑圧に関する物語。戦後戻ってきた聴者に仕事を奪われる、など。
・To the chagrin of hearing people:聴者への皮肉の物語。聴者は声に頼っているので上腕筋が育たない、など。
・hyper-hearies: 大きな音や騒音に関する物語。聴者はカミナリの音や20回以上かかってくる迷惑電話にうんざりするが、ろう者は気にしない、など。
・Search for Home: 居場所を見つける物語。自分は何者なのかを探し続けてろうアイデンティティーを獲得する、など。

手話伝承は、上記の種類が多いそうです。授業中では、実際に6つのサイコロを使って、それぞれのイラストを含めた物語をグループで即興で作りました。一人ではアイデアをひねり出すのも大変ですが、友達とグループワークになるといくらでも面白おかしくすることができて楽しかったです。この授業は、子ども時代に受けたかったな、と思いました。

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他のグループは、ろう羊が自分の居場所を探す物語(Search for home)を考え出しておりました。風の噂でろう者集団がいると知り喜んだのも束の間、実際に出会ってみると口話主義集団だったので「Lie!!!!!!!!!!!!!」と集団を後にする、というオチを入れていました。


毎回、宿題では実際に自分も物語を考えて動画を撮り、またそれと並行して指導案(1つの授業の進行案)を作る流れになっております。論文中心のクラスとは違って、自分も子ども時代に戻って学校で学んでいるかのように授業を受けられるので、毎回のクラスが待ち遠しいです。


それでは翌月にまたお会いしましょう。




6 Scene Story Videoの答え
「I love my cat to death: 死ぬほどうちの猫が好き」

第16期留学奨学生 応募受付終了[2019年06月01日(Sat)]
第16期留学奨学生 応募受付終了!

5月31日(金)もって、第16期留学奨学生の全コースの応募を締め切りました。
ご応募、誠にありがとうございました。

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事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 17:33 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)