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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2019年3月生活記録【第13期生 橋本重人】[2019年04月08日(Mon)]
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インターン先のOSWD(Office for Students with Disabilities)からこんにちは。3月の最後の二週間は中間テスト期間だったため、該当する学生にテスト用紙を渡したり、テストを受ける部屋へ案内したりと大忙しでした。学生たちの不正行為がないかどうかをモニターで何度かチェックしたり、担当の教授との連絡を見落とさないようにパソコンメールを確認したりと気を張ってきたため、午後からの授業は眠くて仕方がなかったです。

さて、この春学期に受講しているのはこちらです。
@Language Acquisition and Cognitive Development(言語獲得と認知発達)
ATeaching Students with Disabilities(障害のある学生の指導法)
BField experience in Education: Deafness(ろうの教育現場体験)
CIndependent Study(学生自主研究)
DChildren’s Literature(児童文学)

@とAの授業については2018年第12期生の西さんの1月生活記録に書いてあるため省きますが、印象に残ったことがあればまた報告します。

BField experience in Education: Deafness(ろうの教育現場体験)
本来ならば、ろう教育専攻をしている学生はろう学校へ体験へ行きます。現場での指導を見学したり、指導案を作成し許可を得てから学生自ら授業を行ったりします。しかし私は授業や指導方法を見学するよりも、ろう発達障害の児童生徒と関わりのあるカウンセラーのもとで学びたかったのですが、難しいと断られました。途方に暮れていたときに、ギャロデット大学の教授から「OSWDでインターンをしてみたらどうか」という助言をいただきました。最初は戸惑いましたが「ろう発達障害の大学生と関わることで、もしかしたら、何かヒントが得られるのではないか」と思い、OSWDでのインターンを決めました。

CIndependent study(学生自主研究)
Independent Studyとは学生が与えられた課題を、個々人で研究して単位を取得する方法です。Directed Study(直接研究)とも言われ、アメリカのほとんどの高校や大学ではそのような方法を取り入れています。教員から学ぶのではなく、学生自ら興味のあるテーマを選んで調査・研究をすることで、自分の専門分野をさらに深く学ぶことができます。もちろん、教員からの助言も受けながら研究を進めます。ご存知の通り、私はアメリカのろう発達障害について研究をしています。その研究を進めていく中で、ある論文を読んで発見したことがあります。

実は、意外とアメリカのろう発達障害についての論文は少ないのです。たとえば、Deaf and Hard of Hearing students with Learning Disorder(学習障害のあるろう・難聴学生)についてですが、1980年と90年代には19の論文がありました。ところが2000年からはその数がぐっと減ってしまい、2つの論文のみとなります。それはなぜか。時代の潮流として、人工内耳が注目されるようになったからです。ろうの赤ちゃんや子どもが人工内耳を装用して、どう変わってきたか、どのように発音が上達したかの研究が注目の的として俎上に上ってきたのです。そして、2010年代にろう発達障害に関する論文が徐々に出てくるようになりましたが、まだまだ少ないそうです。他の障害を併せ持つろうの子どもに対して、教員がどのように指導したらいいかが求められるようになったと言われます。

(上の研究結果はこちらの論文を参考にしました。)
Guardino, C., & Cannon, J. (2015). Theory, research, and practice for students who are deaf and hard of hearing with disabilities: Addressing the challenges from birth to postsecondary education. American Annals of the Deaf, 160(4), 347-355.)

そのため、私が進めている研究はなかなか思い通りにうまくいきません。教授と話し合いながらどのように研究を進めていくか試行錯誤していきたいと思います。

Dの授業についてはまた次月に書きたいと思います。それでは、また来月。
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2019年3月生活記録 第10期生 辻功一[2019年04月08日(Mon)]

こんにちは、今日も生きています。
10期生の辻 功一です。

残り2ヶ月となりました。
インターンシップのオフィスに向かう途中、あちこちで通行規制されていて何だろうと思っていたら、目の前を自転車がビュンビュン走り抜けて行きました。
チコは市街ロードレースを開催する位、自転車競技がポピュラーなんですよ。小さい街にも関わらず自転車屋さんがいくつも営業してます。

チコ市街ロードレース
<チコ市街ロードレース>

BADM 495 (Applied Strategic Decision Making)
「戦略的意思決定」

eBankという銀行運営シミュレーションゲームを通して戦略思考を身につけるといった授業がありました。

プレイヤーが設定できるのは毎月の「雇用数」と「利子率」の2つのみで、
この2つの数値が様々な要素(従業員の熟練度、利子率の競合会社との差、従業員のキャパシティ、顧客満足度など)と絡み合い、それらを元に業績が推移していくという内容です。

期限は4年。
このゲームを生徒各々で進め、4年後に誰が一番多くのキャッシュを手元に残しているかを競いました。

このゲームを観察したところ、以下の特性がありました。
  • 利子率が競合より高ければ顧客数が増加する
  • 従業員が足りなくなってキャパオーバーしてしまうと顧客満足度が下がり、顧客数が減少する
  • 従業員にはベテランと見習いがあり、ベテランが増えれば増えるほどキャパシティが増えるが、ベテランになるには一定のトレーニング期間が必要
  • 雇用数と利子率が全てで、サービスの差異化などは一切考慮されていない

これらの性質を踏まえ、規模効果を追求することで優位性を構築する「スケール型事業戦略」を取ることにしました。
  • ベテラン従業員を一刻も早く増やすために最初から雇用を最大にし、それと同時に顧客数を稼ぐために(従業員のキャパを超えない範囲で)利子率を高めに設定する
  • あくまでも4年後の結果が全てなので、3年目から雇用を停止し、見習いからベテランへの移行慣性だけでやり過ごす

高い利子率と多くの雇用で当然ながら3年目までは赤字でしたが、ベテラン従業員も揃い、多くの顧客を抱え、雇用を停止した4年目は大幅な利益が出て一気に黒字という結果でした。
この結果から学んだことは、理論に基づいた戦略であれば、スタート段階の借金や赤字は心配しなくて良いということですね。とはいえ、実際に赤字が続くとやはり不安になってしまいますね。(笑)

MGMT 389K (Internship in Entrepreneurship and Small Business Management)
「起業家精神と中小企業管理のインターンシップ」

ほぼ毎日、昼から夕方までオフィスに入り浸っています。
プロジェクトを進めるにあたって、メンターさんや利害関係者と連絡を取る機会が多いのですが、電話リレーサービスが大活躍しています。
元々Sorenson社のサービスを利用させていただいていたのですが、最近Convo社に変更しました。
Convoは特にDeafビジネスのサポートに力を入れており、サンフランシスコのピザレストラン MozzeriaもConvoを利用して顧客からの席予約を受けたり、発注などを行なっています。
スタッフが耳の不自由なピザの名店。繁盛の影にはテクノロジーあり | GIZMODO


以上です。
日本ASL協会から8,188km離れたチコ大学からの報告でした。
ありがとうございました。
2019年3月 生活記録 【第12期生 西 雄也】[2019年04月08日(Mon)]

ワシントンDCでは春らしく暖かくなってきたかと思うと、急に雪が降るほど寒くなることもあるという不安定な気候です。また、段々と暖かくなってきたと同時にと少し花粉症にかかってしまうなど、春が近づいてきていると感じるこの頃です。
そして、クラスの状況は、中間に差し掛かり、課題など多くなってきました。
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↑春のギャロデッド大学内にあるトーマス・ギャロデットとローレント・クラーク

今回、一つのクラスで、ろう者の家庭や社会の中でのリテラシー(読み書き)の課題や言語獲得の問題について学びました。

すなわち、リテラシー能力の内容には、言語獲得や言語発達による影響があるとも言われています。
例えば、言語獲得や言語発達の面では、家族の中でコミュニケーションができているかどうかや、社会(学校や街の中、友人関係)の中で取り巻く環境による情報獲得とコミュニケーションのあり方などから、
「論理的思考」や「情緒力」、「想像力」、「考えや思いを表現・理解する力(共感力)」に影響や違いが生じるという内容です。
また、家庭や社会的な背景、コミュニケーションのあり方、培ってきたもの、様々な状況などによって確立してきます。
もし、これらのうち何かが欠けていたり、不足しているものがあれば、「論理的思考」や「情緒力」、「想像力」、「考えや思いを表現・理解する力(共感力)」の力に偏りが生じたり、何らかの課題が生じることがあります。

そして、ろうの子供たちに対して、一般的に聴者家庭と同等に自然にコミュニケーションができているかどうか(会話が絶えずあるか、親子同士のコミュニケーションにリミットが生じているか、自然にコミュニケーションができているか、手話なのか口話なのか、デフファミリーであるかなど)の背景を考え、
音声言語が主である、社会の中でろうの子供やろう者は聴者と対等でないなど、言語剥奪に繋がるケースが生じるという見方や様々な背景によって違いがあることも取り入れて議論しました。
また、このような様々な背景があるろう者に対して、必要なアプローチ方法や理解、教育は何かをバイリンガルアプローチをベースに議論を深めました。

ここで言うバイリンガルアプローチには、自然な手話(ASL)によるコミュニケーションや言語獲得の環境の上、英語を身に着けることが重要であるというものです。

完全にリテラシー能力を身につける以前に、ろう者を取り巻く言語獲得や背景によって違いが生じるものの、これらの問題に対する改善点を考えることや、これらの状況を理解しながら教育する方法を考えることの大切さについて改めて考えさせられたものです。

2019年3月生活記録【第13期生 山田茉侑】[2019年04月07日(Sun)]
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ボストンには、ネックレスのように各公園が繋がっています。これらの公園を、エメラルド・ネックレスと呼びます。

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写真は、そのうちの公園の1つです。
春の兆しが訪れた頃、その公園でランニングをする人も増えてきました。次第に暖かくなり、バカに高い冬のガス代からやっと解放されると浮き足立ったルームメイトたちと毎朝8時にランニングをすると決起したものの…1日目でチーム破綻してしまいました(笑)。新年度の抱負ですが、やる気とその時の気分の乖離を少しずつ減らし、いろいろなことにチャレンジしたいと思います。

今回は、ASL 言語学クラスで面白いと思ったことを共有したいと思います。
手話単語には、Iconic(図像的/ 類像的)、Arbitrary (恣意的)の2種類あります。詳しくは、2018年2月の橋本さんの生活記録を参照していただければと思います。
簡単にいうと、見た形のまま表現している単語をIconic(図像的/ 類像的)、パッと見ただけでは意味が分からない単語をArbitrary(恣意的)といいます。

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こちら、TREE(木) のASL単語で、iconic(図像的/ 類像的)手話単語の一例です。 木の形から手話単語化しています。

さて、手話はIconic(図像的/ 類像的)の単語があるから、言語というよりジェスチャーに近い、いつでも誰でも獲得できる、と思われがちです。
本当にそうでしょうか。日本語や英語のような音声言語は、Iconic(図像的/ 類像的)ではないから言語であると言えるのでしょうか。

クラスでいくつかクイズが出されましたので共有したいと思います。

下の画像を見て、どちらが「Kiki(キキ)」で、どちらが「bouba(ボウバ)」か推測してみてください。

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どうでしょうか。

答えは、左が「bouba」、右が「kiki」です。

「kiki」は高い音なので、「尖っている」ものとイメージできます。


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また、上図のように発音した際の唇の形から、どちらが「Kiki」で、どちらが「bouba」か想像することもできます。

もう一つ、クイズです。

どちらが「mil(ミル)」で、どちらが「mal(マル)」か推測してみてください。

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答えは、左が「mil(ミル)」、右が「mal(マル)」です。

なぜかというと、

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発音した際「m ”i” l」のiは舌がより口蓋の近くにあり、一方で「m ”a” l(マル)」は舌がより口蓋から離れます。そのため、発音から、どちらが「mil(ミル)」でどちらが「mal(マル)」か判断することができます。

上記のクイズ、思ったよりも簡単に推測することができたかと思います。

そのほかにも「にゃんにゃん」「ガリガリ」など、オノマトペが音声言語のIconic(図像的/ 類像的)として知られています。
このように、音声言語にも手話のようにIconic(図像的/ 類像的)単語はあります。
なので、Iconic(図像的/ 類像的)があるから、すなわちジェスチャーに近いから、手話は言語ではない、というのは間違いなのです。
また、2月の橋本さんの生活記録でも触れられている通り、Iconic(図像的/ 類像的)だと思っていた手話単語が実はArbitrary (恣意的)だった、ということもよくあります。さらに、異なる国の手話で育った者が、初めて上図のASL「TREE」の手話を見たとき、「木」だと認識できないケースもあります。それは、その方の言語の「木」に関する単語(木、森、林、枝、葉っぱなど)で使われている音韻(手の形・位置・動き)がASLとかなり異なるからかもしれません。
ちなみに音韻に関しては、日本手話にはある手の形(Hand Shape)がASLにない、ASLにはある手の形(Hand Shape)が日本手話にはない、ということもあります。どうしてそうなったのか、日本手話では大事と思われていることでも、ASLでは大事だと思わないこともある、逆もまた然り、ということです。

このように、ASL言語学のクラス、ときには音声言語と比較しながら、ときには世界各国の手話も参考にしながら学べるので面白いです。

ちなみに、最近新元号が発表され、それに伴い新元号の手話をスピード決定するという話がありましたね。そのときに、どういう手話になるか友達と推測しあい、一つ面白いなと思うことがありました。友達の案の一つに、「令和」の「令」の漢字から手話化するのではないか、というものがありました。「丼」「小」など、このような文字(ここでは漢字)の形を手話化するのは日本手話の特徴の一つではないかと思っております。
他の国の手話も、こういった「文字から手話化する」ことはあるのか非常に興味あります。

それでは、翌月にまたお会いしましょう。





*音韻とは
言語がどういう構成でできているのかを分析するために、言語を分解し続けた結果、最も小さい群でできているもののことを音韻といいます。

例えば「甲板に出る」の「甲板」はローマ字で綴るとKanpanで同じnが2つあります。しかし、音声学的にはそれらのnは異なる音でできています。
[Kampan]
口の中の動きまでは詳しくはわかりませんが、か「ん」では唇が閉じ、ぱ「ん」では唇が閉じません。このように、音韻レベルまで言語を分析したら、同じ綴りでも異なる要素でできていることがわかります。
音韻は単語よりも小さい群なので、「n」だけを見ても意味がわからないように、音韻だけを見ただけでは意味がわからないです。その意味のわからない最小単位がいくつか組み合わさり、かたまりになったときにようやく単語として意味のわかる形になるのです。

手話も言語なので、手話言語を分析していくと最後には3種類の音韻「手の形」「位置」「動き」によって構成されていることがわかります。
第16期留学奨学生、募集開始[2019年04月02日(Tue)]
第16期留学奨学生、募集開始

日本財団聴覚障害者海外奨学金事業による、2019年度第16期留学奨学生の募集
始まりました!
給付型奨学金)

日本やアジア諸国のろう者コミュニティで必要と思われる分野で活躍することを志す
ろう者・難聴者(一部、聞こえる人)を支援します!

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飛行機 大学・大学院進学コース
 /ろう者・難聴者…学位【学士・修士・博士】取得を目指す
 /聞こえる人…学位【博士ーろう教育、または手話言語学に限る】取得を目指すNEW
飛行機 キャリアアップコース
 /ろう者・難聴者…専門性を高めたい社会人向け


募集期間:2019年4月2日(火)〜5月31日(金)
     *応募は、5月1日より受付開始

応募〆切:2019年5月31日(金) *例年より早まっています、ご注意ください

*応募書類には、外国語(英語等)の証明(英検やTOEIC,TOEFL等の結果)の添付が
 必要になります

募集の詳しい内容は、こちらからご確認ください。
http://www.npojass.org/archives/18157

チラシ
http://www.npojass.org/wp-content/uploads/2019/04/16th-Flyer.pdf

たくさんのご応募、お待ちしています。


<留学説明会>
東京他会場で、順次開催予定。決まり次第、お知らせします。


事業担当 根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 12:00 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)