2019年3月生活記録【第13期生 橋本重人】[2019年04月08日(Mon)]
インターン先のOSWD(Office for Students with Disabilities)からこんにちは。3月の最後の二週間は中間テスト期間だったため、該当する学生にテスト用紙を渡したり、テストを受ける部屋へ案内したりと大忙しでした。学生たちの不正行為がないかどうかをモニターで何度かチェックしたり、担当の教授との連絡を見落とさないようにパソコンメールを確認したりと気を張ってきたため、午後からの授業は眠くて仕方がなかったです。
さて、この春学期に受講しているのはこちらです。
@Language Acquisition and Cognitive Development(言語獲得と認知発達)
ATeaching Students with Disabilities(障害のある学生の指導法)
BField experience in Education: Deafness(ろうの教育現場体験)
CIndependent Study(学生自主研究)
DChildren’s Literature(児童文学)
@とAの授業については2018年第12期生の西さんの1月生活記録に書いてあるため省きますが、印象に残ったことがあればまた報告します。
BField experience in Education: Deafness(ろうの教育現場体験)
本来ならば、ろう教育専攻をしている学生はろう学校へ体験へ行きます。現場での指導を見学したり、指導案を作成し許可を得てから学生自ら授業を行ったりします。しかし私は授業や指導方法を見学するよりも、ろう発達障害の児童生徒と関わりのあるカウンセラーのもとで学びたかったのですが、難しいと断られました。途方に暮れていたときに、ギャロデット大学の教授から「OSWDでインターンをしてみたらどうか」という助言をいただきました。最初は戸惑いましたが「ろう発達障害の大学生と関わることで、もしかしたら、何かヒントが得られるのではないか」と思い、OSWDでのインターンを決めました。
CIndependent study(学生自主研究)
Independent Studyとは学生が与えられた課題を、個々人で研究して単位を取得する方法です。Directed Study(直接研究)とも言われ、アメリカのほとんどの高校や大学ではそのような方法を取り入れています。教員から学ぶのではなく、学生自ら興味のあるテーマを選んで調査・研究をすることで、自分の専門分野をさらに深く学ぶことができます。もちろん、教員からの助言も受けながら研究を進めます。ご存知の通り、私はアメリカのろう発達障害について研究をしています。その研究を進めていく中で、ある論文を読んで発見したことがあります。
実は、意外とアメリカのろう発達障害についての論文は少ないのです。たとえば、Deaf and Hard of Hearing students with Learning Disorder(学習障害のあるろう・難聴学生)についてですが、1980年と90年代には19の論文がありました。ところが2000年からはその数がぐっと減ってしまい、2つの論文のみとなります。それはなぜか。時代の潮流として、人工内耳が注目されるようになったからです。ろうの赤ちゃんや子どもが人工内耳を装用して、どう変わってきたか、どのように発音が上達したかの研究が注目の的として俎上に上ってきたのです。そして、2010年代にろう発達障害に関する論文が徐々に出てくるようになりましたが、まだまだ少ないそうです。他の障害を併せ持つろうの子どもに対して、教員がどのように指導したらいいかが求められるようになったと言われます。
(上の研究結果はこちらの論文を参考にしました。)
Guardino, C., & Cannon, J. (2015). Theory, research, and practice for students who are deaf and hard of hearing with disabilities: Addressing the challenges from birth to postsecondary education. American Annals of the Deaf, 160(4), 347-355.)
そのため、私が進めている研究はなかなか思い通りにうまくいきません。教授と話し合いながらどのように研究を進めていくか試行錯誤していきたいと思います。
Dの授業についてはまた次月に書きたいと思います。それでは、また来月。