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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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第12回留学奨学生帰国報告会、開催[2019年01月31日(Thu)]
第12回留学奨学生帰国報告会、開催

去る1月5日(土)、よく晴れて寒さも和らいだ日、品川駅から徒歩圏内にある東京海洋大学品川キャンパス白鷹館を会場に、帰国報告会を実施しました。

今回の報告者は3名。お正月明けに、いきなり午後1時~5時過ぎまでの報告会でしたが、80名を超える参加者が集まりました。

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司会は武田4期生、さすがの安定感。

帰国報告@瀧澤泉(第9期生)
「国際活動での絵本の役割」
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「いろいろなスキルを持っているステークホルダーとネットワークを作り、協力しながら一になって活動することが必要。そのために、絵本を作るプロジェクトを作り、活動を広めたい。」

帰国報告A牧谷陽平(第11期生)
「『ろう教育辞典』の索引をつくろう」
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「手話言語をきちんと研究したい。評価テストを作って普及させ、熟練度を評価し、手話教材を増やしていく。」

帰国報告B福島愛未(第12期生)
「ろう者とDeaf Space Design -デフスペース・デザイン-」
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「日本各地にある隠れたDeafSpace Designの情報を集めたい。私の力だけでは限界があります。皆さんも、これはデフスペースかもと思ったら、私に連絡ください。」


会場内には、これまでに留学した大学や奨学生の紹介を掲示。
現在米国留学中の辻10期生、西12期生、橋本13期生、山田13期生の近況報告や事業紹介のビデオを流しました。(写真右下:山田13期生)
2019-04.jpg
また、同窓会のナヴォア4期生(旧姓:福永/写真左下)も山口県から報告会の手伝いに駆けつけ、
協力してくれました。


参加してくださったみなさま、ありがとうございました
今後とも、ご支援のほど、よろしくお願いします。


*2019年度 第16期生 4月募集開始(予定)です*
 2019年4月に日本財団からの助成が正式に決定後、事業実施が確定します。

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 18:30 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2018年12月生活記録 12期生 福島愛未[2019年01月23日(Wed)]


新年、明けましておめでとうございます。



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(ついに日本に帰ってきました。久しぶりの関西空港!着陸時にはホロリと涙が出ました。)

こんにちは、12期生の福島です。
12月25日をもって無事に約2年間の留学生活を終えることができました。
最後のブログは2年間の総まとめで終えたいと思います。


2017年 Ohlone College


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(Ohlone Collegeの噴水。亀がたくさんいました。)


初めての海外生活!英語もアメリカ手話も全くできない状態でしたが、現地につけばなんとかなるだろう精神で行ってみれば、言葉も文化も食べ物も全く異なり毎日新しいことを学ぶ日々でした。二日目に一人で初めてバスに乗った時は、降り方がわからずよくわからない場所に行ってしまい、お腹を壊してトイレを探し回る羽目になりました。アメリカって日本みたいに公共トイレが少ないんだと衝撃を受けた日でもありました。Ohlone College(オーロニカレッジ)での生活がスタート!



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(トム先生のDeaf Community:ろうコミュニティのクラスで。)


手話がとても魅力的だったトム先生。
最初の3ヶ月は全くアメリカ手話が読み取れず、毎日10回、20回以上はその単語の意味なに?と聞いていました。それでも嫌な顔一つせず、根気よく教えてくれた先生方、友人達に感謝しています。

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(ろう関係のイベント情報が掲示されていました。)


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(低い本棚のおかげで隅々まで見渡せました。)


サンフランシスコにある図書館では、ろう者や難聴者のための本の貸し出しサービスを行なっていました。ここで、アメリカにきて初めてDeafSpace Design(デフスペース デザイン)について考えるようになりました。西海岸では、DeafSpace Designという概念はまだ浸透していませんでしたが、ろう者が使いやすいように空間の使い方を工夫がありました。


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(ホームステイ先から一番近いバス停でパシャり。)


できるだけ自転車での通学を心がけていました。大学が山の上にあるため、朝はヒィヒィ言いながら登り、帰りは渋滞にはまっているバスを横目にささーっと坂を降って家に帰るのが習慣でした。そのおかげもあって、Ohlone College在学時には、マイナス10キロも痩せました!やはりダイエットには運動が一番ですね。

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(当時は訳がわからないと嘆いていた授業の一面も、今見ると・・・あれ、わかる!英語力伸びました!)


苦手だった英語の勉強を頑張ろう!と思えたのも、このナンシー先生のおかげでした。わからない!と音をあげそうになる私に根気よく丁寧に教えてくださったナンシー先生に答えたい!とOhlone College在学時は朝の4時から夜中の12時まで必死に勉強していました。人生で一番勉強した時期でした。その甲斐があって、英語力はぐんぐん伸びました^^



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(冬休みが始まる前にパシャり。嬉しさが滲み出ていますね。)


クラスメイトのアメリカ手話は、秋学期が終わる頃にようやく少しずつ理解できるようになりました。指文字が多く、苦戦したのを覚えています。読み取れるようになる前は、クラス内で人前に立って発表したり、クラスメイトとのグループワークをすることが苦痛で仕方ありませんでしたが、毎日の積み重ねの成果が目に見えるようになった時は本当に嬉しかったです。



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(日本の友人に会えた嬉しさで自然に笑顔が溢れました。)


待ちに待った冬休み!日本から仲良しの友達が来てくれました。留学先のフリーモントはもちろん、サンフランシコやアリゾナ、ラスベガス、ロサンゼルスを楽しみました。友達が空港に向かうためのタクシーに乗った時は、アメリカに来て初めて泣いてしまいました。この時に友人とたくさん話せたことが春学期も頑張るエネルギーになったのだと思います。

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(ホースシューベントと呼ばれる場所で。怖い!)


本当にありがとう!

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(人生で初めての事故、骨折、松葉杖生活。)


冬休みも終わりに差し掛かる頃、交通事故にあい、足の小指を骨折してしまいました。しっかりと直すためには手術をしてボルトを入れる必要があると言われた時は、本当に絶望しましたが日本に帰るよりもここで手術を受けて勉強を頑張りたいと決めました。その気持ちを汲み取ってくれた母が駆けつけてくれ、人生で初めての手術を乗り越えることができました。

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(子供の頃はギプスをするのがかっこいいと思っていましたが、実際は大変!)


手術後も3ヶ月ほど松葉杖生活が続き、毎日タクシーでの通勤でした。また春学期は聴者のクラスにも挑戦しており、クラス内にろう者は一人だけという環境で毎日英語との戦いでした。その生活でさらに追い討ちをかけたのは、聴者クラスとろうクラスが山の上と下に別れており、そのような状態の中エレベーターが稼働せず、松葉づえで階段を登らないといけないことでした苦笑。それでも乗り越えることができたのは、懸命に支えてくれた友人達のおかげでした。クラスが違っても移動のお手伝いをしてくれたり、代わりに昼ごはんや夜ご飯を作ってくれ、買い物や洗濯までしてくれていました。一生頭が上がりません。

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(カリフォルニアで有名なワインの聖地、ナパ)


泣きたくなるような時は、友人が色々なところに連れて行ってくれました。そのおかげで無事に春学期を終えることができました。

が、夏休みの始まりに今度は盲腸に!!!!あせあせ(飛び散る汗)
またまたアメリカで手術を受けました、とほほ。

たくさんのハプニングで心が疲れてしまい、それに伴って足の状態も悪く、半年間休学することに。
久しぶりに日本に帰国して家に帰るとホッとしました。

2018年 Gallaudet University
(ギャロデット大学)


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(ワシントンDCの冬は曇りが多く、この日もどんよりしていましたが心はワクワク。)


2018年1月、念願のGallaudet Universityに!半年間のリハビリを終え、足も心も準備万端です!

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(SAND BOX:サンドボックスと呼ばれる部屋で。)



この部屋でDeafSpace Design (デフスペース デザイン)の基礎をみっちり学びました。Ohlone Collegeの時と異なり、ここGallaudet Universityの先生方や学生達の手話が早く、最初の1ヶ月ほどは慣れるのに必死で家に帰るとすぐに寝てしまう生活が続きました。



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(国会議事堂の前で。)


Galladuet Univerisityで学んだのは、DeafSpace Designだけではありません。ほぼ毎日のようにキャンパス内のどこかで「Deaf (ろう)」について考えるイベントがありました。また常に手話を重視する環境にいたので、自然とろう者としてのアイデンティティが強まり、手話の言語権利について考える機会も増えました。

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(Holi:ホーリーと呼ばれるイベントで色付きの粉を投げ合いました。)


また様々な国から学生が集まるこの大学では、各国の文化を学ぶことができるイベントも頻繁に開催されていました。この日は、インドの文化を学びました!




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(本場のタコス!美味しい!メキシコはコーラの消費量が世界一です!)


夏休みの間に訪れたメキシコ!初めての南米にワクワクしました。実際に行ってみると、インターネットで書かれていたような危険な場所ではなく、見知らぬおっちゃんがテキーラの飲み方を教えてくれたり、美味しいタコスやサボテンを紹介してくれる人がいたりと親切でとても話しやすい人達が集まる国でした。また、メキシコの首都であるメキシコシティを訪れた際には、現地の聾学校も見学しました。


(IPPLIAPと呼ばれる私立の聾学校で。)



メキシコでも、DeafSpace Designという概念はないのにも関わらず、建物にはろう生徒が学びやすいような工夫が多くありました。この時、日本にも隠れたDeafSpace Designのアイデアがあるのではないかと思いつきました。




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(忙しい時にも関わらず案内してくださったスタッフの皆さんと。)



夏休みの終わりに、ミネソタ州にあるMinnesota State Academy for the Deaf (ミネソタ州立ろう学校)にも訪れ、この時完成したばかりのDeafSpace Designを取り入れた新しい寮の見学にも行きました。この見学を通して学んだのは、DeafSpace Designを取り入れる際には現地の教員、スタッフ、生徒達、コミュニティの意見を尊重し、何度も話し合って一緒に作り上げていくことが大切だということでした。

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(歴史を感じる一枚。)


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さらにミネソタ州立聾学校の近くにある、CharlesThompson Memorial Hall と呼ばれるDeaf culb (ろうクラブ)にも見学に行きました。この建物は、アメリカで初めてのろう建築家、Olof Hanson (オラフ ハンソン)によって建てられた建物で、1916年に完成した建物にも関わらず、建物内にはDeafSpace Designのような工夫があちこちに散らばっていました。このような工夫が1910年代には考えられていたのだと思うと鳥肌が立つほど感動したのを覚えています。




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ニューヨークで行われたWorld Deaf Architecture (世界ろう建築家) Conference では、米国各地から建築の仕事に関わるろう者が集まり情報交換や、企業が提供する新しい建築技術の情報を手話通訳を通して学ぶなど非常に有意義な時間を過ごすことができました。同じ仕事を持つろう者同士の情報共有は重要です。これまでろう建築家と交流する機会がほとんどなかったため、貴重な経験になりました。

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長かったはずの夏休みもあっと言う間に終わり、ついに最終学期を迎えました。最終学期は自分と専門と少し異なる分野のクラスも取っていたため、朝早くから学校に行って予習、復習の繰り返しでした。この場所はDeafSpace Designの一部で私のお気に入りの勉強場所でした^^

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(イエール大学の学生達と合同クラス。)


念願のDeafSpace Designのクラスで特にお気に入りだった講義です。イエール大学の学生がこのキャンパスを訪れ、3日間DeafSpace Designを学びました。この講義を通して、DeafSpace Designを全く知らない聞こえる人にどのようにDeaf Culture (ろう文化)やDeafSpace Designを教えるかを学びました。また、聞こえる人たちの行動特性を改めて目のあたりにすることができ、ろう者の行動特性と比較することもできました。さらに、イエール大学の学生たちによる建築作品が素晴らしく、良い刺激も受けました。

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(DeafSpace Designの建物内にある廊下にも、個人のちょっとした工夫が見られました。面白い!)



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(インターンシップ先の上司達とベルギーのインターンシップ生と。)


秋からは大学内にある、Office of campus Design and Planning (キャンパスのデザインと計画のオフィス)と呼ばれるDeafSpace Designのオフィスでインターンシップも経験しました。ベルギーから来た同じインターンシップ生とほぼ毎日のようにこのオフィスで、DeafSpace Designについて学びました。これまでDeafSpace Designのコンセプトは理解していても実際にどのように仕事に結びつくのか想像できなかったため、このインターンシップは貴重な経験となりました。


同じ建築を学ぶ、ろうの女性と会うのは初めてで、しかも他の国の学生!
毎日お互いの国の建築について語り合うのはとても楽しかったです。どのようなスキルを身につければ良いのかなどの情報交換は本当に勉強になりました。また二人ともDeafSpace Designを学んでいることから、自国でDeafSpace Designをどのように生かすかなど相談し合う機会もあり、今後の活動になるヒントも得ることができました。彼女に出会えたのはとても幸運でした。本当にありがとう!

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(Gallaudet Universityの学長と)


<最後に>


約2年にわたる留学生活を無事に終えることができたのは、日本財団の皆様をはじめとする留学事業関係者の皆様、先輩方、友人達、そして家族のおかげです。本当にありがとうございました。

留学生活は終わりましたが、日本でDeafSpace Designを広めるのはこれからです。今年4月から大学院で日本に合ったDeafSpace Designを模索していく予定です。

これからも応援よろしくお願いします。

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(久しぶりの地元大阪で。)


12期生 福島愛未


2018年12月生活記録 【第13期生 山田茉侑】[2019年01月08日(Tue)]
みなさま、新年あけましておめでとうございます。
今年も何卒よろしくお願いいたします。

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写真は、ボストンにあるコモン公園のイルミネーションです。奥にライトアップされたマサチューセッツ州の議事堂が見えます。


今回のクリスマスは、友人の家にお邪魔してきました。日本ではクリスマスは恋人との時間のイメージがありますが、アメリカでは大切な家族との時間として存在するそうです。

そこでカルチャーショックを受けました。
アメリカのプレゼント事情ですが、一人一人が家族全員にプレゼントを用意するという文化があるため、ツリーの下には数え切れないほどのプレゼントが転がっていました。友達による裏話ですが、クリスマスが迫ってくると、家族全員分へのプレゼントを考えないといけないため、ストレスになることもあるそうです。


さて、今回は9月生活記録の続き「ASLの音韻分析が英語獲得に役立つ!?」に触れたいと思います。覚えていますでしょうか。

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結局この話題について、今学期に深く扱われることはありませんでした。ただ、その答えの一つに、どうやらワーキングメモリーが関係しているようです。

ワーキングメモリーは、リズム遊びなどで鍛えられます。
聴者は、子どもの時から様々な音楽やリズム遊びに触れているため、約7つの数字などを一気に覚えることができます。例えば、電話番号などを短期ですが一瞬で記憶することができますね。
しかし、ろう者の場合はワーキングメモリーが十分育っていないこともあります。それは、ワーキングメモリーを育てるリズム遊びが、音によるものであるため、聴者のように楽しむことができないということが理由としてあげられます。書き言葉を獲得するには、言語獲得の土台の一つであるワーキングメモリーを無視することはできませんね。

アメリカの0-5歳児クラスでは、よくASLのリズム遊びをしているのを見かけました。
ただし、ここで見かけるリズム遊びは、歌に手話を合わせたものではなく、ASLの音韻を工夫して使ったものです。手話を構成する音韻は、ボストン大学では全部で5種類 (手の形、位置、手の動き、向き、NMM (Non-Manual-Markers))あると習っております。

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写真は、色と動物を合わせた歌です。
CSD (California school for the Deaf)やTLC (The Learning Center for the Deaf)の0-3歳児クラスで使われているものです。
2拍子からなり、同じ手の形同士の手話を組み合わせた仕様になっております。(GREEN GREEN BIRD は全て手の形(G)で表せ、ORANGE ORANGE BISONは全て手の形(O)で、YELLOW YELLOW WHALE は全て手の形(Y)で表せる手話です。)


一方、TLCの3-6歳児クラスではASL音韻の一つである「位置」と、なにか動物の特徴を使ったリズム遊びをしているのをよく見かけました。
ちなみに、ASL音韻の「位置」は全部で5種類 (赤, オレンジ, 黄, 緑, 青部分)あります。

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位置  (赤/ オレンジ/ 黄/ 緑/ 青部分=頭部/ 口周り/ 胴体部分/ 腕/ 空間)

例えば、この音韻「位置」を使って、わたしのクラスでは「アザラシ」のリズム遊びを考えました。
「アザラシ」といえば、「ツルツルした頭」で 「ひげ」のある 「毛に覆われた」動物で 特徴的な「足ひれ」をもち 「前ヒレで前進」する生き物ですよね。ASLで表すと・・・


ツルツルした頭/ ひげ/ 毛に覆われた体/ 足ひれ/ 前進している様子

このリズム遊びは、アザラシの特徴をASLの音韻「位置」5種類全てを使って考えあげたものです。TLCの5歳児クラスでは、子どもたちが自主的にこのようなリズム遊びを楽しそうにしているのをよく見かけました。

このようなリズム遊びを繰り返していくうちに、ろうの子どものワーキングメモリーは鍛えられ、約5つの数字などを短期間暗記できるようになるそうです。
そして、様々なASLの音韻を使ったリズム遊びに幼い頃から触れることで、それがのちに小中学部のASL音韻分析活動に繋がるそうです。その活動では、実際にろう児童生徒がASL単語を音韻レベルに分析し、また構築していきます。
春学期に、そのことについてもう少し詳しく学べたらと思っております。

それでは、翌月にまたお会いしましょう。
2018年12月生活記録【第13期生 橋本重人】[2019年01月08日(Tue)]
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新年明けました。
今年もどうぞよろしくお願いします。


昨年12月半ばに秋学期の授業が終わりました。私の在籍しているろう教育専攻では、一般的な最終テストではなく、プロジェクトの発表やエッセー、手話動画を提出して成績が決まります。本当に苦しくなって途中で課題を投げ出したくなる時もありましたが、大学の同期や友人たちと支え合って、なんとか乗り越えました。夜遅くベッドに入っても、早朝には目が覚め課題の続きに取り組む毎日でした。真っ暗の部屋の中でモソモソとしていたら、ルームメイトが起きてしまった時もありました(そのルームメイトは聴こえます。ごめんよ)。課題提出がすべて終わり、成績の知らせが届いた時はホッと胸をなでおろしました。そして、今は寮からアパートに引っ越し、生活に必要なものを買い出しに行ったりして過ごしています。必要なものを揃えるのは大変ですね。

さて、今回はアメリカの学校を見学したことを書きたいと思います。全ての学校はEDU785のField Experience and Seminarというクラスを通して見学しました。

・ロックビル高校(Rockville High School)
場所:メリーランド州
対象:高校(10年から12年まで)
今年はキュードスピーチ通訳を必要とする難聴学生が多いため、どの教室に行ってもキュードスピーチ通訳をよく見かけました。また、知的障害のあるろう・難聴学生のための特別支援学級の教室も見学しました。そこでは、身近な物の名前の単語(書記英語とアメリカ手話)を指導していました。つい最近海外から移住してきたろう学生何人かも一緒に学習をしていました。
その学校はキュードスピーチ通訳だけでなく、もちろん、アメリカ手話通訳も取り入れているとのことでした。FMマイクを使用しているろう・難聴学生はいませんでしたが、彼らは人工内耳と口話のみで会話をしていました(本当に通じ合っているかどうかまではわかりません)。なんとなく、緊張感のある学校でした。

・メリーランドろう学校コロンビア校(Maryland School for the Deaf, Columbia)
場所:メリーランド州
対象:早期教育から中学部まで
メリーランドろう学校には二つのキャンパスがあり、コロンビア校とフェデリック校があります。フェデリック校には早期教育部門から高等部まであります。ここ、コロンビア校の特徴といえば、重複障害を併せ持つ児童生徒が多いことです。フェデリック校はバイリンガルろう教育に、コロンビア校は重複障害の児童生徒の指導方法に力を入れているそうです。メリーランドろう学校は学生による団体やクラブ活動にも力を注いでいます。例えば、学生協議会、ヒスパニック系のろう学生団体、寮の中のリーダー、ジュニアNAD(国際ろうあ連盟)、LGBTQ団体などです。他にもAcademic competitions(学生のクイズ大会みたいなもの)にもチャレンジしており、他のろう学校と比べて積極的に学生の自主性を取り入れているそうです。

・フロスト中学校(Frost Middle School)
場所:バージニア州
対象:中学校(6年から9年まで)
とてもフレンドリーな雰囲気であり、生徒たちは口話、キュードスピーチ、手話など様々なコミュニケーション手段を取り入れている感じでした。口話で話すけど読み取りはキュードスピーチ通訳が必要、手話で話すけど口話のみ読み取ることができる生徒など、さまざまでした。私のろう教育専攻の同期に韓国系学生(養子として5歳からアメリカで暮らしている)がいますが、あるアジア系の男子生徒が私たち二人に「韓国人なの?」と聞いてきました。その同期が「そうだよ」と答えると、その生徒は目を輝かせて「僕も最近韓国から引っ越してきたよ。あなたの服装はとてもクールだね。僕もあなたみたいな先生になりたい。それからね…」とまくし立てるように話してきました。その時、今まで見学してきた学校の先生たちの中に、アフリカ系やアジア系の先生はあまり見かけなかったことに気づき、ある学部主任らしき人が「我々には白人だけでなく、POC(People of colors)の先生が必要である」と力説していたのを思い出しました。男子生徒は自分のロールモデルとなる人と嬉しそうにしていた姿を見ていると、やはりどの学校にもロールモデルが必要なんだなと痛感させられました。確かに、私自身も高校時代に目標となるろうの先生がいたからこそ、教育学部を選んだのだと思い出しました。

・リバー学校(The River School)
場所:ワシントンDCのジョージタウン
対象:1歳半から小学3年まで。
口話中心の学校でした。聞こえない子どもだけでなく、聞こえる子どもも一緒に学習をしていました。15人という少人数のグループで、そのうち3〜4人が聞こえない子どもでした。私が見学した限り、全員人工内耳を装用しており、聴覚活用ができているようでした。先生たちは手話を使わず、FMマイクを通して説明をしていました。驚いたことに、デフファミリーの子どもも在籍していました。その子は家の中では手話を使い、学校では口話で話しているそうです。自分から口話で学びたいという意見を尊重して、両親は通わせているそうです。
先生たちのほとんどがギャロデット大学の卒業生であり、しかも、その学校はギャロデット大学と連携をしているため、手話の良さも十分理解した上で指導を行なっているそうです。保護者と相談して、その子の学習面や生活面を見て、ケンダルろう学校に入った方がいいか、メインストリームの学校に行ったらいいかを決めるそうです。なるほど、先生たちは中立的な立場に立ってそれぞれの教育方法を知る必要があるのですね。口話がいいから、口話でやっていきましょう!という雰囲気ではありませんでした。

2018年12月 生活記録 【第12期生 西 雄也】[2019年01月08日(Tue)]


新年あけましておめでとうございます

本年も更なる成長を目指したいと思います

どうぞよろしくお願いいたします


12月中旬ごろに全てのクラスがついに終わり、冬休みが開始しました。秋学期を振り返ると、毎朝早くに起床してのインターンシップや午後からのクラや多くの課題をこなすことに苦戦することがありましたが、無事に終了できたことに感謝したいと思ったものです。

冬休みが開始してからは、アメリカの中心部にあるカンザス州まで車を走らせ、カンザスシティに1週間滞在しました。滞在目的は、カンザスろう学校とMuseum of Deaf History, Arts & Cultureというろう博物館への訪問することです。また、訪問した時期がクリスマス期間だったので、友人とクリスマスバーティや交流を楽しむことができました。

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↑家にはクリスマスのためのライトアップが飾られていました。

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↑クリスマスディナー



Kansas School for the Deaf (カンザスろう学校)

訪問した時、学期末に差し掛かっている頃だったので、多くの生徒が登校していない状況でした。しかし、友人の協力によって中学生のアートクラスを見学しました。その時、生徒達は陶芸を制作していました。授業終了後、担当教諭と美術の授業やデフアートや生徒の様子など色々話したうえに、カンザスろう学校の校内を案内させていただきました。ろう学校の教室や廊下、図書館、食堂などさまざなな場所に生徒のアート作品が展示されていました。展示されていた作品の多くはデフアート関連のものであり、賞をとった作品も展示されています。様々な表現の違いに刺激や魅力を感じながら鑑賞しました。

他に、現在は亡くなっていますがデフアーティスト、そして、De'VIAの最初の創立者でもあるChuck Bairdがカンザスろう学校出身であることが判明しました。少し彼についての生い立ちや作品の展示もあったので貴重な体験をさせていただきました。

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↑カンザスろう学校

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↑数々の作品

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Chuck Baird


Museum of Deaf History, Arts & Culture

この博物館はろう者の歴史、芸術、文化などをテーマにした博物館であり、アメリカの中で唯一の博物館です。場所はカンザスろう学校のすぐ近くに建てられており、ろう学校から徒歩ですぐ行ける距離にあります。
館内のスペースはそんなに広くはなく、30分から1時間かけて観てまわることができます。これまでアメリカのろう者の活動と実績、またADA法のことや手話の表現の根源について、コンパクトにまとめたものを展示してあります。
更にDe'VIAを元にしたデフアートの作品も展示してあり、そのほとんどの作品がChuck Bairdによるものでした。カンザス州出身者だからなのでしょうか。

館内を観てまわってみて印象に残ったことは、ろう者の価値観や努力、アイデンティティを反映しているかのような博物館でした。

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※館内は撮影禁止


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URL: https://www.museumofdeaf.org
↑Museum of Deaf History, Arts & CultureのHP(英語のみですが…)
このHPに一部、館内の様子が載ってあります。


続きを読む...
2018年12月生活記録 第10期生 辻功一[2019年01月07日(Mon)]

こんにちは、今日も生きています。
10期生の辻 功一です。

たまたま春に、大規模山火事で壊滅したパラダイス近くの川に架かる100年以上前の木造橋を見に行っていたのですが、先の山火事で焼け落ちたと聞いて、信じられなくて実際に見てきました。
本当に焼け落ちていて、石で出来ている橋脚だけ残っていました。周りにあった家も無くなっていて、衝撃を受けるとともに、山火事の恐ろしさをひしひしと感じ取りました。

さて、大規模山火事の影響を引きずりながら、12/21に2018年秋学期が終了しました。

MGMT 698 (Special Topics in Management)
「デザイン思考」
MBAの学生たちとサンフランシスコにあるVerizonイノベーションセンターへ見学に行きました。
世界最大級の電気通信事業者Verizonは5Gサービスに注力しており、5Gで何が出来るのか色々なサービスを紹介していただきました。その中で印象に残ったのはVerizonが胸を張って紹介していた最先端サービスは、実は中国では既に実用レベルで運用しているんですよね。。。そこにはツッコミませんでしたが。
中国の真っ黒な部分はここのブログで言及するのもどうかと思うので、あえて触れませんが、さすが巨大実験市場、中国です。
もう一つ、印象に残ったスライドがあったので紹介します。

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<5Gによってサービスのあり方が変わる>

2019年、つまり今年は5Gによってあらゆる物がインターネットに繋がり(IoT)、世界が大きく変わるだろうと予測されています。

最終試験は、MBAのクラスらしく(全てのMBAクラスがそうだとは言いませんが)免除となりプレゼンテーションで幕を閉じました。最終プレゼンテーションのテーマは「革新的な技術やビジネスモデルをいかにキャッチし自分のものにするか」という内容でした。

ただ漠然とネットや雑誌の記事を読んでるだけではほとんど意味をなさないので、僕は3層の組み合わせによるアプローチを提案しました。
3層のピラミッドのようなものです。

上層:最先端技術や最新ビジネスモデルのウォッチング
中層:キュレーションを使った広い範囲での情報収集
下層:身近な問題や人々が不便に感じていることを探す

それぞれの具体的な解説は省きますが、目的意識を明確に持ってそれぞれの層の情報に接すると、自ずとイノベーションを生み出しやすい環境が出来ると思います。


冬休みは2週間の短い間ですが日本でしっかり充電し、最後の学期に向けて鋭気を養いたいと思います。

以上です。
日本ASL協会から8,188km離れたチコ大学からの報告でした。
ありがとうございました。