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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2017年4月生活記録 第9期生 瀧澤泉[2017年04月30日(Sun)]

IMG_1789.JPG


卒業日を指折り数えつつも、
横には見苦しい風景が。

もちろん、山積みの課題とプレゼン。


月はほぼプロジェクトが中心です。卒業が迫ってくる際に論文を書くイメージがあると思われる方はいるのでしょうか。もう既にご存知の方がいらっしゃるかもしれませんが、日本でいう修士論文が米国にはほぼないんです(ただし学部によります)。自分が入っている学部の場合は必須な条件があります。指定された卒業単位数を通過し、クラスの成績が−B(日本でいうと不合格になる)に一つも入っていないこと、ポートフォリオ提出といった時点で修士号が取れるのです。

Good Luck (グッドラック)…あとは運次第です笑

今まで習得した内容がほとんど通信クラスとプロジェクトばかりなので、プロジェクトの内容と印象に残った映画を少しお話します。

【プロジェクト分析・開発】

国際開発金融機関であるWorld Bank (世界銀行)によるプロジェクト支援
• Tejaswini(インド女性の氏名):インドにおける青年少女・若年女性の社会経済的エンパワメントプロジェクト(2016年)
Empowerment (エンパワメント)とは
日本語辞書で調べてみても、今まで習った内容と釣り合わないため英英辞典(オックスフォード)で調べてみた結果。

《英》
1.give (someone) the authority or power to do something
2.make (someone) stronger and more confident, especially in controlling their life and claiming their right
《和》
1. 人に〜する権利と力を与える。
2. 自分の人生をコントロールし、特に自分の権利を持ってより良く強く主張する。

つまり、「エンパワメント」とは自分の周辺の課題や置かれた状況に気づき、問題を自覚し、自分の生活をコントロール・改善する力をつけるという意味で使われています。

 ただ、注意しないといけないのが、プロジェクトを立てる際に人々に「エンパワメントする」ことは「どのように」行動するかということ。簡単なようで難しいのです。インドの青年少女・若年女性たちの問題の状況を把握し、どのようにエンパワメントするのか。

 分析する中一番引っかかるのは、通学している少女たちは家族の家事や農業を手伝う、または災害に遭い、通えない状況になってしまうことがよくあるケース。バスや車がないため、家から学校まで数時間もかけて歩いて通っている。或いは結婚する傾向もあり、途中で退学になることもある。どうやって女性が貧困から抜け出せるのでしょう…?(ワークショップやトレーニングを受けたくても時間がないという状況になる)。

 そのプロジェクトは目の前にある課題を見つけ、青年少女・若年女性たちがワークショップやトレーニングを受けながら自立できる環境、そして経済を向上させるために5年間の企画で行っているそうです (NGOs/NPOs、協会、女性局と子どもの発達と社会保障、女性開発協会(JWDS)、およびその他の行政部門に参加しています)。

 しかし、地元住民はこのプロジェクトの参加に肯定的および否定的な立場を持っているのです。インドは、先住民、気候変動、健康問題から経済、教育、健康、環境から多くの影響を受けてしまう。

 例えば、互いが同じインド人でもそれぞれの背景、言語、伝統、宗教などの価値が異なるため、各グループは他のグループとの意見が合わず、プロジェクトを実践できるかどうか。或いは、干ばつの問題で水が足りなくなると生活ができなくなり、他の街に移動してしまうことも少なくないのです。そのようなリスクを乗り越えるようにプロジェクトが課題に面した時に改めて調整しなければならないと思います。

【プロジェクトデザイン】

アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)の助成金によるプロジェクト企画
• Inclusion Education for DeafBlind children in Mali (マリの盲ろう児のためのインクルージョン教育)

 去年、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)からアフリカにあるマリにろうと盲者のためのインクルージョン教育に助成金の募集がありました。私のクラスメイトの人も申し込みしたいと相談したが、自分たちが団体を持っている立場でないと責任を負えないという状況のため、ギャロデット大学の監視者の下でプロジェクトを申請する形になりました。ろう、盲、盲ろう児のためのインクルージョン教育のうち、私は盲ろう児のためのプロジェクトの担当に。

 幾つかの資料や盲ろうのリーダーをしている、或いはベテランの人を依頼し、ワークショップやトレーニングを実践しようと企画を立てることに成功しましたが、申請する締め切りが学期の中間の時に締め切るため、期間的に間に合わず、経験のみにプロジェクトを作り上げることになりました。

どちらも12ページ以上書きました。一週間で終えないといけなかったため、毎日家やギャロデット大学で一日中引きこもってしんどかったです…笑 どっちも将来に仕事として使える内容でした。

印象に残った映画があります。

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「13th」-- 憲法修正第13条


その映画はIDP773のクラスで習ったものです。すんごく衝撃的な内容でした…!
今まで思っていたこととは違っていました。

今住んでいるところのDCにあちこちに黒人がいるのですが、今でも貧困で犯罪者の率が遥かに高いのです。昔から黒人と白人との間に人種差別が多く、今でも白人の警察官が黒人たちを見かけると意味のない暴力を振っている日々です。米国の奴隷制度の歴史が関係していると知っているにも関わらず、今になってもその問題が変わらないという疑問に思っていた私がわかってきたのがその映画です。ソーシャルメディアは本当にパワーがあります。

もし時間がある方は是非とも是非とも見て欲しいです。


それでは...また五月に会えるのかしら?

2017年4月生活記録 第10期生 山本綾乃[2017年04月28日(Fri)]

Never give up!

今月は、バイリンガル教育の講義の内容をお話させて頂きます。
担当教授は、アメリカのろう教育の中で有名な Laurene Simms 教授です。彼女もろう者です。
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今まで思っていたバイリンガル教育とは、私の勉強不足ということもあり、
日本語と日本手話を両方同時に使った授業を行うことというように解釈していましたが、実際の概念は全く違うものでした。

バイリンガル教育の理論は、以下の表の通りになります。
Screenshot 2017-04-28 09.25.30.png

まず、一つの言語(Language Separation)とは、一回の授業の初めから最後まで日本語だけ、または日本手話だけというように、一つの言語使用に集中するという理論です。この時注意したいのは、日本手話だけの授業の中で、パワーポイントに英単語を入れてしまうと、二つの言語を使ったPCUという方法となってしまい、この概念は成り立ちません。

二つの言語を使った理論は4つあります。
1. Preview, View, Peview、これはそれぞれ一つの言語を交互に使います。例えば、Rreviewは日本手話、Viewは日本語、Peviewは日本手話というように、明らかに変換します。
2. PCUとは目的がある限り、日本語と日本手話を同時に使うことができるということです。
3. 翻訳には2種類あります。まず、日本語の文章と手話が対応していること、そして日本語の文章とは関係なく、手話言語で自由に想像を膨らませて表現する方法です。
4. 言語翻訳とは、質問と答えが違う言語であるということです。例えば、質問が日本語、答えは日本手話となります。日本手話が彼らの自然言語である場合、それを活用して深く掘り下げて説明できるよう配慮した理論です。

以上の指導法のツールをバランスよく指導案に取り入れて授業を行うことが大切だと学びました。実際に自分でも8つの指導案を作り、2回ミニ模擬授業を行いました。手話だけの授業を作ることは、なかなか簡単なものではありませんでした。

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(ろう教育のバイブル書。バイリンガル教育の情報がぎっしり詰まっています)

日本語と日本手話は異なる文法で成り立っています。そのため、二つの言語を同時に学ぶと混乱してしまいます。特に日本語と日本手話両方とも概念の基礎が成り立っていない児童生徒の場合、まさに聴者が英語とスペイン語を同時に学んでいるのと同じ感覚となってしまいますね。
理想の言語獲得の流れは、早期教育の中で、積極的に手話でのコミュニケーションを図り、子どもの言葉や概念の基礎を楽しみながら作ることです。それが、第二言語の読み書き日本語の円滑な獲得につながります。

ほとんどのろう学校現場では、おそらく視覚的なパワーポイントを通して、PCU(日本語と日本(語対応)手話が同時に使われた授業)が行われているだろうと思います。"日本語が中心として使われている日本社会の中で、手話だけだと聴者とともに生活することが難しい。日本語も同時に使うと、二つの言語を同時に獲得できる、まさに一石二鳥だ" と思われるかもしれません。しかし、それは彼らの言語獲得の機会の近道どころか遠回りになり、逆効果となってしまいます。

バイリンガル教育はとても奥深い理論がたくさんあります。
教員は児童生徒の言語レベルを把握し、彼らに合った方法で教室設定していく必要があります。教員も概念の理解、指導案への応用に慣れるまで大変だと思いますが、児童生徒のより正確な言語獲得のためには、この方法が効果的だそうです。


ケンダルろう学校放課後ブログラムの活動
現在は、ヨガやローラースケートなども新たにプログラムに加わりました。毎週定期的に、外部から専門の先生が来校、指導されています。聴者の先生の場合、外部の手話通訳者がつくという素晴らしいシステムに感動しました。
日本のろう学校の土曜クラブやフリースクールなどにも、こういった専門性のあるろう者や聴者をお招きし、様々な世界に触れる機会をもっと増やしたいと思いました。教室内にも新しいゲームが増え、スタッフである私自身も、子どもたちとともに様々な活動に刺激をもらっています。

あと二週間足らずで、卒業式を迎えることとなりました。
課題やプレゼンテーションがまだたくさんありますが、最後まで諦めずに頑張ります。
2017年4月生活記録 第11期生 <牧谷陽平>[2017年04月23日(Sun)]

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<Ontario 湖に隣接する家。湖の水が冷気で凍り家の一部が氷の世界でした>


幼稚園や小学校の絵本・おはなしの読み聞かせで,日本語の文を読みそれをクラスメイトと意見を交わしながらその内容を学習するといったことは,日本じゅうどこの学校でもある風景です。一方で,手話で表現されたお話をクラス内で議論しあうクラスはどうでしょうか。パワーポイントで日本語入力・作成したものを黒板や白板に映し出して,それを手話を使って進めるのは,手話の授業ではありません。日本語を一切使わないで手話のみでストーリーや議論を進めていくクラスです。このクラスを取り入れているろう学校は,一体全体,日本でいくつあるのでしょうか。文部科学省のデータによると,日本には118のろう学校 があります (2014年現在,分校含む) 。その10%11校にも満たないか,それぐらいのろう学校が取り入れているとなると残りの90%のろう学校は,手話より日本語が上という 位置づけという考え方になりますね。手話は日本語に劣らず,他の言語と同じ位置づけにあります。


今年は4月に雪が降りました。Rochesterは気温の上下があいかわらず激しく,5~10度の日の2日後に一気に25度まで上がり,そこからまた2日間で10度ぐらいに下がることもしばしば。

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<20度前後の春が来るのは5月上旬でしょうか>


さて本題です。

 『オオカミ少年』という話をご存知でしょうか。村にある少年がいて,その少年は退屈な日を過ごしていました。退屈な彼が思いついたのは, 『オオカミがでた!! 』 とウソを叫んで,慌てた村人を見て笑って楽しむことでした。少年は2回,このウソで村人をパニックにさせ,それを見て楽しんでいました。しかし,2回目のあと,本当にオオカミが現れて,『オオカミが出たー! 』と叫ぶが,村人たちは今までのことでそれが嘘だと考え,少年の助けに応えませんでした。その結果,少年はオオカミに襲われてしまったというストーリーです。このストーリーに似たものが手話で表現されたものがあります: “The Wolf Who Cried Sheep” by Ben Bahan の動画のURLを下に用意しておいたので,鑑賞して下にある質問に答えてみてください。




8分の手話の動画ですが,これをクラス内で議論しました。この議論中に出た,先生からの質問は


    1. 1.   登場するのは何?
    2. 2.   どんな風景設定で,何がどこに住んでいて,その場所は? (手話で指さししながら)
    3. 3.   手話で (札幌 に似た表現) これは何?
    4. 4.   ヒツジ村はどんな村?
    5. 5.   手話 (上から村を見るシーンからパーにした両手で窓を表すシーンに移行する) これはどんな動き?
    6. 6. ヒツジ村の登場人物はだれ? それぞれの仕事は?
    7. 7.   Mayor ってなに?彼の仕事は何?
    8. 8.   Mayorの仕事場に来るヒツジの手話 (何かをつかむしぐさの手の形から, “1” の手の形に切り替わる) は何を表している?
    9. 9.   Mayorの家に突然やってきたヒツジの特徴は何? 性格は何?
    10. 10. 何が起こったのか? 対応法は何?
    11. 11. Whisperer って何?どんなもの?
    12. 12. オオカミ村の設定にうつり…どんな所に位置している?
    13. 13. オオカミの登場人物は何人? どんな特徴? どんな仕事? どんな性格?
    14. 14. “Sheep!!” と叫んだオオカミの仕事は何?
    15. 15. なぜ “Sheep!!!” と叫んだ?
    16. 16. “Sheep!!!” という叫び声を聞いて,問題13のオオカミたちはどうした?
    17. 17. 問題14で叫んだオオカミのところに,問題13のオオカミがたどり着いたときに見たものは何?そしてとった行動は何?
    18. 18. 今の状況の設定はヒツジ村?オオカミ村?
    19. 19. なぜ2回目 “Sheep!!!” と叫んだ? 1回目の叫びとは違う理由?
    20. 20. 2回目のウソが発覚したときのオオカミの反応は?なんて言った?何をした?
    21. 21. 問題20の対応を見て, “Sheep!!” と叫んだオオカミは何を感じた?
    22. 22. 再びヒツジ村に戻って…新たにだれが出た?どのように村にやってきた?どんな特徴?
    23. 23. どこでそのヒツジと村人みんなで会議をした?
    24. 24. その会議の内容は何?
    25. 25. Whisperer は今まで何をしてきた?
    26. 26. オオカミ村に戻り…何が現れた? Whisperer はどのように表れた? ナゼそのような手の形で表現しているのか?
    27. 27. オオカミ村で3回目の叫びのときの他のオオカミの反応は?
    28. 28. オオカミたちが見たものは何?  誰が運転していて誰がのっていた?
    29. 29. オオカミの子どもがさらわれたとき,オオカミ村の人たちが “ Sheep!!!” と叫んだオオカミのいるところで,見たものは何? それを見て何と言った?
    30. 30. なぜWhisperer は耳栓をしたのか? なぜ甲高い声で叫んだのか?
    31. 31. その甲高い声 Baaaaaaaaaaaaa 1回目のオオカミたちの反応は?
    32. 32. その後どうなった?
    33. 33. どのように倒れてしまった?
    34. 34. その後Whisperer はどうした?
    35. 35. ヒツジ村に戻って… オオカミの赤ちゃんたちをどうした?
    36. 36. 問題9でやってきたヒツジは,オオカミ赤ちゃんにどんな対応をとった?

と約8分の動画の中に,こんなにたくさんの情報が盛り込まれていました。上の問題のうち,3つは生徒からの質問ですが,それ以外は先生から出された問題でした。それに答えるのも,なるべく生徒に応えさせる。先生はこれぐらい質問を引き出せないと,生徒は十分に学習できません。生徒が理解できていないということは,100%先生に責任があるのですから,そこは真摯に受け止めてもらいたいです。流れは,


全体を見る(ストップなし)

状況ごとに区切って動画を見る

その手話は何?一語一語を聞く

状況ごとの動画を見て部分復習

(くりかえし)

最後に,全部をもう一度見る



です。Chris教授は,生徒に学習させる際,単語や文の内容をまず学習させるのは大変な間違いであると,下の絵をみんなに見せてくれました。


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まず全体 (IDEA) から学習すべきであるとおっしゃっていました。書記言語が身についていなく,手話言語が身についている生徒には,


1.    上の手話言語(SL) のアイデア (IDEA) から入って

2.    その中間の文など部分的なところ (PARTS) を学習させ

3.    手話単語 (VOCABULARY) を学習させる


その後


4.    下の書記言語のVOCABULARY に橋わたしする

5.    その後,下,下へといき

6.    最後に書記言語のアイデアを学習させる


ことが大事と言っていました。成人である私たちが1時間もかけて議論したのですから,ろうの子どもたちは数時間かけて議論していく必要があります。

ちなみに, 「オオカミ少年」を英語でいうと “The Boy Who Cried Wolf” なのですが, cry は叫ぶという意味です。題名を日本語に翻訳すると “cry” が省略されるのはなぜでしょうか。(201511月の生活記録の今回のひとことも参照)



今回の一言 <アメリカのダメだこりゃシリーズ>

(今回は長いため おやすみ) 

2017年4月生活記録 第11期生 山本芙由美[2017年04月22日(Sat)]
こんにちは!第11期生の山本芙由美です。

日本では桜が満開になる頃でしょうか、こちらワシントンDCでは気温差が激しく、せっかく咲いた桜も短期間ではかなく散ってしまいました。私の地元である京都、円山公園の桜が恋しくなってきました。

さて、4月は最終テストに向けて、どのクラスも大詰めです。ソーシャルワーク学部のLGBT Studies(LGBT学)では最終プロジェクトとして、それぞれチームに分かれてビデオ撮影編集することになりました。私のチームは学内のLGBTQA Resource Center(LGBTQリソースセンター)の紹介、そして、Gender Identity(性自認)/Sexual orientation(性指向)に関するASL手話単語を担当することになりました。他のチームは「LGBTQとメンタルヘルス」、「ジェンダーとトランスジェンダー」、「政治的な問題としてのLGBTQ」などと興味深いテーマが取り上げられていました。

そして、完成した動画については帰国報告会でお披露させていただきますが、同じ性自認でも捉え方や持ち方は人それぞれで、これが正しいといったコンセプトがないということが伝わってきます。

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例えば、動画に出演されるDavidさんは私と同じQueer(クィア)ですが、彼は異性愛主義社会(Heterosexism)に対抗するという意味で性自認として位置づけています。私はHeterosexismに対してはもちろん、LGBTQコミュニティー内でのラベリング、カテゴライズ化に対抗するという意味で使っています。アイデンティティーについて、政治哲学者のミシェル・フーコーが注目したように、権力と抵抗の関係は複雑に錯綜しています。 人々は抑圧のカテゴリーを利用しつつ,抑圧自体を抵抗とアイデンテイテイの核とします。(Foucault1979) そのように、Queerを自認する人が100人いるとしたら、その捉え方も100通り、他の性自認にも同じことがいえると思います。

私自身、これまで日本で動画を撮影したりしましたが、字幕やイラスト、カットしたりする等の編集作業は素人に近く、いつも得意な友人にお願いしていました。今回、幸いにも学生自治会などで動画編集経験が豊富なDavidさんがいたおかげで、彼にひとつひとつ優しく(?)教わりながら進めることができました。多くの人たちが魅かれるような演出、字幕の作り方については日本と違って、やはりポップな感じでした。そのような演出や技術を日本でも活用したいと思っています。

ここアメリカではソーシャルメディアなどでLGBTQに関連した動画が多く発信されています。ポジティブにポップな感じで語る動画が多く、楽しく鑑賞することができます。そのような中、「BuzzFeed」という動画発信サイトが有名で、LGBTQに関係した教育動画やインタビュー動画、ファッション動画などが毎日発信されています。もちろん、英語字幕もついていて、私たちろうLGBTQも楽しく鑑賞することができます。


そして、ギャロデット大学では4月14日〜16日までColor Fest 2017(LGBTQろう学生の集い)が開催されました。今年で10年目になるということでキャンパス全体が虹色に染まるなど、盛大に行われていました。私自身もろうパンセクシュアルの友人と組んで二つプレゼンテーションをしました。

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ひとつ目が「International Deaf LGBTQ scholars in Higher Education of US and Human right protection: Are you or they safe in the LGBTQ-friendly institution or the city where are you in?」(米国の高等教育機関における、ろうLGBTQ留学生の人権: あなたがいる国/市街地はLGBTQに友好的で安全ですか?)です。これはギャロデット大学に在籍する国際ろうLGBTQ留学生を中心としたワークショップで、自分の国のLGBTQに対する法律、法整備についての理解、LGBTQであることで死刑や服役させられる国から来たろうLGBTQ留学生が卒業後、自分の国に戻った時、安全に生活を進められるかどうかなどを話し合いました。国際ろうLGBTQ留学生を中心としたワークショップは初めての試みでしたが、やってよかったと思っています。

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(カナダからの留学生Sallyさんと)

ふたつ目が「Myth Busters: LGBTQA+ Community」(LGBTQコミュニティーにまつわる怪しい神話)です。LGBTQコミュニティーにもさまざまなステレオタイプがあり、LGBTQ障害者はセックスに関心がないという神話、トランスジェンダーは男性あるいは女性に性別移行したい人というような神話などがあります。これは全てステレオタイプによるもので、実際、トランスジェンダーには性転換をする人、男装・女装で生活する人、本当にさまざまです。自分自身で先入観をどう識別し、正しい情報を得れるためにはどうしたらよいかといったトレーニングをしました。

また、翌週の20日にはUniversity of Maryland (メリーランド大学)での国際留学生のためのLGBTQ教育プログラム会議 Somewhere Over the Rainbow Conference 2017で日本人ろうQueer留学生として感じたこと、日本のろうLGBTQコミュニティーの開発支援についてお話させていただきました。この会議は高等教育機関などで留学生を支援する専門職の人たちや留学生の多くが参加者で、ほとんどが聴者でした。参加者に英語音声言語で確実に伝えるために手話通訳の方と何度も打ち合わせをしました。私のASLスキルがまだ乏しい中、私の伝えたいことをしっかり通訳してくれた通訳者の方には大変感謝しています。

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(日本の文化的背景について)

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(メリーランド大学リーダーシップ主導ディレクター、LGBTQ平等センターで勤務されているNic Sakurai氏と)

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(お世話になった手話通訳者の方たちと)

春学期まで残り2週間となりました。春学期終了後の研修先も確保でき、ホッとしているところです。研修先はアメリカ以外の国ですが、そこでもろうLGBTQ支援について、しっかり学びたいと思っています。詳細は5月生活記録で報告させていただきたいと思っています。

それでは、また。


第14期留学奨学生、募集開始[2017年04月21日(Fri)]
第14期留学奨学生、募集開始

2017年度第14期留学奨学生の募集が始まりました!

今年度は、募集内容に変更があります
・選べる2コース(大学・大学院進学コース/キャリアアップコース)
・対象者拡大
・留学先(国・地域)の拡大 などなど
日本やアジア諸国のろう者コミュニティで必要と思われる分野で活躍することを志すろう者・難聴者を支援します。

募集の詳しい内容は、こちらからご確認ください。
http://www.npojass.org/archives/15549

第1次応募締切(留学先決定者): 2017年6月30日(金)
第2次応募締切(上記以外の方): 2017年8月20日(日)

たくさんのご応募、お待ちしています。

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<留学説明会>
東京会場 − 2017年5月20日(土)午後
その他の地域でも、順次開催します。


事業担当 根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 23:00 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2017年3月生活記録 第12期生 福島愛未[2017年04月03日(Mon)]
こんにちは、12期生の福島です。
3月中旬になると雨の回数も減り、日中は27度を超える日が続きました。冬の間はあまりきになっていなかった紫外線が気になり始めてきました。日本に居た時は夏になると日傘を愛用していましたが昨年度渡米したあと、現地では誰も日傘を使っていないことに気づいてから気後れしてしまい日傘を使わなくなったのですが、最近赤毛のアンのようなそばかすができていることに気づきショックを隠しきれません。カリフォルニアの強い紫外線!どうやら今年の夏は日傘を使う必要があるみたいです...。そんな私の心配をよそにカリフォルニアの人々は紫外線を浴びまくっています。日焼けをしていることが逆に美しいと感じるようです、これにはびっくり。

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日本ではあまりみかけないような花がたくさん咲いています。ん〜!春だなあ〜。

■□Studies□■

■162 Reading
今月は分からない単語を辞書で調べず、文脈から推測する練習をしました。私の苦手な分野です。実際にこの方法は英語を勉強する上で一番大事なのではないかと思います。渡米したばかりのときは英語がさっぱり分からず、英和辞典で調べまくる日々でしたが、ろうプログラムの英語の先生から英和辞書を使わず英英辞書を使うか、文脈から推測する方法が英語を伸ばす一番の方法だと怒られていました。が、基本の英語すらわからなかったのでこっそり英和辞書を使っていましたあせあせ(飛び散る汗)春学期になると自分でも驚くくらいボキャブラリーが増えてきたことで、英英辞書を使って意味を理解することができるようになってきました。最近では英英辞書を使うか文脈から推測するように心がけるようになってきたので英和辞書を全く使わなくなる日がくるかもしれません!(今から使わない!とはまだ断言できないのです笑)TOEFLでもまだまだ知らない単語が多いので文脈から推測する技術は大事です。

■151B Writing
今月もこのクラスが一番苦しかったです。Reading よりWritingが得意とはいえ、まだ瞬時に自分の考えを英語で書けるようなレベルには達していません。じっくりと自分の意見を考えたあと実際に書いてみて、文法や他の言い回しを考えながら修正していく方法を取っています。ですが、クラス内では突然「◯◯について自分の意見を書いたあとパートナーを作ってディスカッションをしなさい、ハイ!始め!」といったような不意打ちが多く、そのたびにあわわわと慌ててしまいます。また自分の意見を主張しなさいと何度も注意されます。これでもか!というほどぐいぐいと意見を言うのが好ましいようですが、いざとなると自分の意見を述べることは日本人にとって難しいことだと気がつきました。でも他のクラスメイトの意見を聞くとなるほど!と自分にはない視点に気づかされることが多く毎クラスごとに感心しています。

■189B Reading
今月も引き続き「Manzanar」を読み進めていました。今月は主に収容所での生活の様子や筆者の父が英語が堪能なことから他の日本人にスパイ扱いされ「犬」と呼ばれていたこと、アメリカ政府により全ての日本人に「日本への忠誠を放棄しアメリカに忠誠を誓う」、「米軍に従軍するか」などの調査が行われ、Yes-Yesと答えるかNo-Noと答えるかその後の待遇も変わるということから日系人同士でも様々な葛藤・争いが起きたことを学びました。読み進める中で、どうしても英語だとイメージが掴めない箇所がでてくるのですが、クラス内で質問すると先生と他の生徒がジェスチャーで表現してくれ一気に理解することができます。ろう者ならではの学び方ですが時々、聴者は英語の表現がわからないときどのように解決するのだろうと疑問に思います。
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■□
3月下旬は待ちに待った春休み!!!!!!!!!!!でした。とは言え、春休みのほとんどの日は2月の手術のために欠席した分の宿題をこなす日々でしたが、せっかくの春休みなので少しはリフレッシュしたい!と思いノープランで友人達と旅行に行ってきました。実はまだギプスを取る許可をもらっておらず、ギプス付きでの旅行になりましたが、これも面白い経験でした。どこに行くか話し合った結果、189BReadingクラスで読んでいる「Manzanar」が実際にLV近くにあると知ったことから見に行こう!となりました。

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本の中には収容所は風がつよく朝起きると小屋の中に真っ白になるほど砂が入り込んでおり、冬は寒さに苦しみ、夏は猛暑で多くの人が病気で苦しんだと書いていました。実際に現地にいくと高い山に囲まれ、風がこれでもかと吹き荒れ、砂埃が舞っていました。また敷地内にはミュージアムがあり、当時の生活の写真が多く飾られていました。このような当時の生活の様子が数多く残されているのは収容された日本人の中に、カメラの部品を分解して持ち込みこっそりと撮っていた人がいたからだそうです。Manzanarのミュージアムには当時の生々しい写真が多かったのですが、冬休みに訪れたLAのミュージアムに展示されている写真は笑顔ばかりです。これは当時のアメリカ軍がアメリカ市民に日本人はつらい思いをしていない、快適に過ごしているとアピールするために撮ったものだそうです。この対照的な写真はとても考えさせられました。また筆者が当時住んでいた小屋はこのあたりではないかなど友人と議論しながら学ぶことができ、今後のクラスでもイメージしやすくなるのではないかと思い貴重な経験ができました。

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またManzanarだけではなくLake Tahoeと呼ばれるすーっと見入ってしまうような湖やNapaと呼ばれるアメリカでも有名なワインの生産地を訪れ(ドクターストップがかかっていましたが)ちょびっとだけワインを嗜むことができました。(3ヶ月も我慢してるの!ほんのちょびっとだから!4日後にはギプスが取れる予定だったから!と言い訳をさせてください)

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そして3月末にようやくギプスを取ることができました。とはいえ、まだうまく歩けず少し歩くだけで激痛が走るのでゆっくり少しずつ歩く距離を伸ばす予定です。これから週に2回ほどリハビリに通う予定ですが、そのリハビリ先でも手話通訳が用意されているようで安心しています。少しずつ自分の思うように動けるようになり、それに伴ってストレスも少しずつ解消されつつあります。


春学期も残り半年、これからさらに授業の内容も難しく、複雑になるので気を引き締めて頑張りたいです。では皆さん、また来月きらきら

2017年3月生活記録 第10期生 辻功一[2017年04月01日(Sat)]

こんにちは、今日も生きています。
10期生の辻 功一です。

春をすっ飛ばして急に暑くなってきました。
オーロニ大学のあるフリーモントの時もそうだったのですが、ここでは春と秋があまり感じられないんです。急に寒くなるし、寒いと思っていたら急に暑くなります。おかげで日本から持ってきた春物、秋物の服の出番があまりないんですよね。四季がはっきりと感じられる日本が懐かしいです。

ドーナツ
<セント・パトリックスデーに向けたドーナツ。日本のセンスとは異なります>

さて、先月にも報告させて頂きましたように、今学期からビジネスコースの上位クラスを受けています。
さすがに内容もより具体的に、そして実践的になってきました。

FINA 307 (Survey of Finance)
ファイナンス。
とても相性の良い教授に当たりました。
常々感じているのですが、手話通訳を介して授業を受けた際の理解度は、教授の授業の進め方や考え方に依存します。
例えば、教授がより授業を楽しくするために話を逸らしたり雑談やジョークを頻繁に取り入れたとしても、手話通訳を介して聞く僕にとってはノイズでしかないのですよね。耳ではさらっと聞けるのかどうかはわかりませんが、手話は集中して読まないとなかなか理解できない上、それが授業にあまり関係ない話だったと後からわかると疲れます。
あえて話の順を追わず結論から話し始めた場合も、私の脳内では「???」となってしまいます。
このファイナンスの教授は理路整然と1から10まで順を追って説明するので、非常にわかりやすいです。
ちなみにこの教授は中国からの留学でアメリカで博士号を取得し、会計関係の勤務を経て、ファイナンスの教授になったそうです。

MGMT 450 (Intro to Entrepreneurship)
起業入門。
この授業はかなり実践的です。もともと起業家だった教授が自身の経験や知識を交えて、起案からリサーチを経て計画書に落とし込むところまで具体的に指導していただけます。
また過去にこのクラスから実際に起業し、今も順調に経営している会社もあるそうです。
2、3名でチームを組んで各チームごとにプロジェクトを進めていくのですが、コミュニケーションや手話通訳の確保の難しさから僕は特別に一人だけにしてもらいました。チームひとりです。
3月29日にBusiness Concept Competition(ビジネス・コンセプト・コンペティション)がチコ大学で開催されるのですが、このクラスで進めているプロジェクトでエントリーし、第一次審査をパスしファイナリスト10名に選ばれました。
29日のコンテストで入賞すれば、4月に開催されるChico Pitch Party(チコ・ピッチ・パーティ)というコンテストに出場できます。僕は先日に行われたエレベーターピッチで既に入賞しているので、このコンテストの出場権は持っているのですが、もし新しいプロジェクトで勝ち進むことができたら、エレベーターピッチの方の出場権は放棄するつもりです。

頑張ります。

以上です。
日本ASL協会から8,188km離れたチコ大学からの報告でした。
ありがとうございました。
今月のコロンブス
アメリカの傘はとても貧弱であることを発見
この間の雨続きで傘を2つも壊してしまいました。アメリカで購入した傘なのですが、ちょっと風が吹いただけでひっくり返って骨が折れてしまいました。日本のは100円ビニール傘でもなかなか壊れないのに・・・