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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2016年11月生活記録 第11期生 山本芙由美[2016年11月29日(Tue)]
なさん、こんにちは!
第11期生の山本芙由美です。
あと残り2週間ほどで秋学期が終わろうとしています。

現在、秋学期の最終テストにむけて、これまで学んだ内容のレビューをしたりするなど慌ただしくなってきました。
Gender and Communication(ジェンダーとコミュニケーション)のクラスでは先生が様々なSexuality Identity (性自認)を学生ひとりひとりに割りあて、私たちはそれを調べ上げ、レポートを書き、プレゼンテーションするというプロジェクトを進めることになりました。
Sexual Identity(性自認)だけでもざっと数えてみると、20個以上あります。
割り当てられたSexality Identity(性自認)への歴史的文脈的分析、社会的視点、文化的視点、社会への影響、そして考察などが評価の対象となりました。
わたしに与えられたのは「Agender」(アジェンダー)でした。
日本では聞き慣れない言葉だと思いますが、日本独自の性自認として「Xgender」(エックスジェンダー)というのがあります。それと似たような意味をもっているということが調査のプロセスで判明しました。
Agenderには様々な解釈がありますが、一般的に定義としては男性/女性でもなく、性別がないことを認識している人たちです。
また、トランスジェンダーの人たちの中にも性別移行経過の中において、この性自認を使う人がいます。

ここアメリカではファッション業界でたびたびAgenderの人たちが登場し、リーダーシップを発揮します。
しかし、それはしばしばホモフォビア(LGBTQAへの嫌悪)へのアプローチにもなります。
あるひとりのAgenderは好きなスカートをいつも履いて通学しています。ある日、通学途中のバスの中で居眠りをしていると、クラスメイトから火を放り投げられて火傷をしてしまったなど、彼らは常に危険と隣り合わせです。
Sex(性)とGender(性役割)は全く別の物なのですが、違うということだけで社会から「ふつう」ではない人々として見られてしまいます。

スクリーンショット 2016-11-21 8.04.56.png
"https://socatchy.net/agender-is-the-new-black/" から引用

まだ調査の途中ですが、既存のSexuality Category(セクシャリティーのカテゴリー)に縛られず、自由にSexuality life(セクシャリティーとしての日常生活)を楽しむことができるAgenderの人たちには魅力を感じています。

そして、11月は人の前に立って話す機会が多かったように思います。11月12日はワシントンD.C.の諸大学が集まっての会議 INTRICATE IDENTITIES DMV Area Gender & Sexuality Student Conference
(ワシントンDC.メリーランド州、ヴァージニア州における複雑なアイデンティティとしてのジェンダーとセクシャリティをもつ学生のための会議)がギャロデット大学で開催されました。

スクリーンショット 2016-11-21 2.21.15.png

私自身、「Current Issues and Support of the Deaf Japanese LGBT Community」(日本のろうLGBTコミュニティにおける現状と支援)について話しました。最初、苦手意識があったアメリカ手話でのプレゼンテーションにも少しずつですが慣れてきました。

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自分が伝えたいことを明確にすることで、より伝わるということが身をもって経験することができました。他大学のLGBTQAに関する発表を聞いたりしましたが、どれもアカデミックとしてのレベルが高く、刺激的でした。

またどこかで日本のろうLGBTについて話す機会があれば、どんどん伝えていきたいと思っています。

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(感謝祭週間は学校がお休みでフィラデルフィアに行ってきました。LGBTQA Community Center in Philadelphia前にて。)

それでは、また。
2016年11月生活記録 第10期生 山本綾乃[2016年11月28日(Mon)]

わりゆく時代

11月の世界的ビッグニュースといえばアメリカ大統領選挙でしたね!

皆さんもご存知の通り、11月8日はアメリカ大統領の選挙・開票日でした。
ギャロデット大学には学長をはじめ大勢の学生が集まり、固唾を呑んで開票を見守りました。
各州の結果が出るたびにみんなで一喜一憂しました。


結果トランプ氏が当選されました。
翌日、学長が緊急集会を二回に分けて開き、自主的に参加した学生や教職員との情報交換が行われました。
ギャロデット大学は、ろう者、LGBTなどマイノリティな学生が多く集っていることから、トランプ次期大統領に対して不安な気持ちを隠しきれない様子でした。
(ギャロデット大学は私立でありながらも国からの補助金を頂きながら運営しています。LGBTQAの学生も数多く存在しています。トランプ次期大統領は討論の際にマイノリティ立場の人々を排除するような発言をしていたので、彼らは将来に大きな不安を抱えていたのです)
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しかしながらトランプ氏は、少なくとも全米によって選ばれた次期大統領であり、彼らの声を反映した存在です。今後の動きに注目していきたいと思います。
私の卒業証書はトランプ次期大統領のサインが記載されるため、彼は私にとって特に歴史的な存在になりそうです。

EDU665 児童文学クラス
ろう・難聴児の差別問題について分析しています。これをAudism(オーディズム)といいます。この差別問題には二通りあると考えます。まず第一に一般学校で、ろう・難聴児が差別や偏見を受けるケースです。第二はろう学校内で、比較的エリートなろう・難聴児が他のろう・難聴児を差別するというケースです。
私は一般学校、ろう学校の両方を経験しており、以前からAudismに関心を持っていることから、このテーマの絵本を通して調査・分析することにしました。
ろう教育の資料が多いギャロデット大学に在籍できている今、この機会を大切にしたいと思います。
問題意識と背景、それに見合う絵本探しをしてきました。今後は絵本を分析する過程に入ります。

私が見つけた、ろう児・難聴児に関する絵本を三つ紹介します。
これらの絵本は、日本のろう学校の授業にも取り上げたい貴重な内容です。
・Mandy (Barbara D. Booth)
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・My Heart Grow (By Emily Arnold McCurry)
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・MOSES Goes To School (By Issac Millman)
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EDU639 初等科算数科指導法
このクラスは実践的な内容です。
今月印象に残った教材を紹介します。

大きな数
コップを使って、一の位、十の位、百の位を視覚的に理解します。
実際自分がかつてつまづいた内容だったので、これはとても分かりやすいと感じました!


Kahoot!(カホット!)
これはクイズ形式のアプリです。
教員があらかじめ四択クイズと答えを作り、児童生徒に答えさせるという内容です。
カラフルなので、楽しみながら答えることができます。
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放課後プログラム(ASP)
11月中旬にようやく手続きが終わり、12月から晴れて放課後プログラムのスタッフになれます。ようやく子どもたちと毎日かかわりあうことができるので、とても楽しみです。

サンクスギビング
今年のサンクスギビングはフロリダ州より南方にあるバハマへ行って来ました。
カリブ海に浮かぶ島に癒されながら、エネルギーチャージができました。
かつて私は旅行することに消極的だったのですが、この留学生活を通して様々な場所へ足を踏み入れることができ、大きな自信と成長に繋がっています。旅行の計画や現地でのコミュニケーション、そして様々な情景を目に焼き付けることは、将来教員になった際に、子どもたちに伝えられる貴重な経験となっています。
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2016年10月生活記録 第9期生 瀧澤泉[2016年11月28日(Mon)]
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いろどりー秋の森ーみ〜っけ


、ふと思えばノートを取る大切さをますます感じてきました。大学時代はデザイン学科に関わるいくつかの科目を習得してきましたが、聴覚障がい者のために情報バリアのないようパワーポイントの内容とデザイン材料を同時にスクリーンに提示したため授業を受ける際にあまりメモを取る必要がありませんでした。それ以外の時間でもパソコンに向けて盛りだくさんなアイデアを描き、データ化して残しておくことが日常でした。

しかし、今年の春からノートを手放すことができないくらい毎日書くようになりました。きっかけは教授がノートを持ってくるようにと毎回に言われたときからです。ノートに馴染むようになった自分が理由をいくつか挙げてみよう!と思い、今回はノート話になっちゃいました。

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1.ディスカッション
 他の奨学生たちでも意見があったように大学院は主にディスカッション(議論)が多く、それぞれの学生にいい考え方や異なった意見など多様性が強いためそれぞれの重要な面や多様な意見がどんどんと出てきます。
 実際は授業に参加する前にテキストや資料を読む必要があるのですが、私はいつもいいポイントや疑問などまとめてノートに書いて授業に持っていきます。授業中にノートを見ながらここちよく抵抗なくディスカッションできます。ディスカッション能力を少しでも伸ばすことができるんじゃないかなと思っています。
 自分の頭の中だけでは覚えたくても次から次へと進んでしまい、忘れがちなのです。学生たちの見解や価値観に対して「そういう考え方があるんだ」とか「結論を分析してみたいな」など思ったらノートにメモしています。教授によると、「ほんの一瞬間の言葉」が大事だと言っています。国際開発学部はデータを収集し、分析し、議論し、インタビューするなど繰り返ししながら進展できるように工夫する必要があります。ある一つの考え方と異国による考え方が違うケースが非常に多いそうです。そのため、人それぞれの意見や価値観を記録に残すことが必要とのこと。
 クラスメイトたちはパソコンのほうが好きな人もいれば、メモを最低範囲に取る人もいます。人によるのですが、コミュニケーションをする際に「アイコンタクト」が大事だとよく聞きます。無理に話す必要はないのですが、人をみて・言葉に触れて、心地よく話し合うことで好転な結論へたどり着いた経験が今まで何度もありました。そのためパソコンでテキストを見る、或いはメモを打つ目的で使うと議論し難いのです。(コミュニケーション手段による課題がいくつかあるのですが、平等に議論できる環境を作ることも必要)

2.講演会
 講演会の現場で資料を渡してくれる機会が少ないので難しい。(講演者本人にお願いすればパワーポイントの資料をメールしてくれる場合があります)。上記に書いたように重要な点を書くことがありますが、メモしたものと今まで習った内容を比較することができるのでメモする意味が大きくあります。印象に残った言葉や評判など残しておきたいものです。
 質問したい内容をあらかじめに準備、或いは講演中に聞きたいことをメモすればスムーズに聞くことができる時があります。私はあまり頻繁に書かないのですが、内容に対してじっくり考えながらメモしていくのです。その後、クラスメイトとお互いにノートやレポートを見せあいながら違いは何かを考えることができました。

3.アイデア・提案
 習得した内容に自分のアイデアや提案を記入しておいています。後になると考え方や価値観が変わる場合があります。その時でも更に書き込むので、今までどのような進み具合がわかるんだなと気づきました。
 プロジェクトやプログラムは異国の環境(背景)や住民たちによってケースが変わります。ベテランでも未経験者でも人それぞれのスキルや知識があるので、いくつか記録を残すことで後から改めて認識できるようになりたいなと思いました。
 ノートにこまめに書くのに時間がかかるからしんどいけれど、それでも諦めずにノートを書くことが大事だなあと思いました。

それでは11月に会いましょう!
第10回留学奨学生帰国報告会、1月7日(土)開催![2016年11月25日(Fri)]
第10回留学奨学生帰国報告会、1月7日(土)開催!

ギャロデット大学で学んだ4人の奨学生が留学で学んだ各専門分野について報告します。
*日本手話/日本語音声の手話通訳・パソコン通訳付き

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川俣5期生   川口7期生  中川7期生  福田9期生

かわいい参加申込み、ただいま受付中ですかわいい


1、日時
2017年1月7日(土)10:00−16:30

2、場所
日本財団・2階会議室(東京都港区赤坂)

3、内容
<留学生帰国報告会>
10:15−11:10 報告@ 第5期生 川俣郁美
「障害者の、障害者による、障害者のための国際開発」

11:15−12:10 報告A 第7期生 川口聖
「言語学って何だろう?」

(12:30−13:15=昼食休憩)

13:15−14:10 報告B 第7期生 中川美幸
「−米国のろう教育−手話による言語習得のアプローチ」

14:15−15:10 報告C 第9期生 福田桂
「盲ろう(ろう盲)当事者主体のコミュニティの形成づくり」

4名の報告終了後は…
<交流会(ティーパーティ)>

15:30−16:20 報告者を囲んで、直接、話を聞けるチャンスですひらめき
同窓会や現役奨学生も参加します。

4、参加費
無料

5、定員
120名 *定員に余裕がある場合は、締切以降も受付できます

6、申込方法
日本ASL協会事務所に@お名前A連絡先を添えてお申込みください。
12月17日(土)まで
(チラシ参照)

チラシは、こちらをクリック
http://www.npojass.org/wp-content/uploads/2017/11/nfflyer20180106-1.pdf


事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 17:02 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2016年10月生活記録 第11期生【牧谷 陽平】[2016年11月14日(Mon)]
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10月の中頃には紅葉の季節になりました


10月に入るや否や,急に課題も増え,さらには中間テスト (Midterm) の時期になり,自分とは何か,自分自身と向き合う1か月になりました。多分,今学期で10月が一番大変ではないかと思います。(11月はまた課題の量が減るので大丈夫… と祈りたいですね)

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MSSEの1年目のクラスメイトたち。今年度の 1st grade の人たちは一致団結しています


それはさておき,10月の報告です。今回は Linguistics of ASL and English のクラスの説明を重心にしていきます (今学期はこのクラス以外は授業の内容が理解しにくい内容のため,生活記録に書くことはあまりしないだろう)。

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写真左に映っているのはコックさ・・・じゃなくて先生です。
このクラスがいちばんのお気に入りなのですが,宿題の量がほかのクラスに比べて極めて多いです


1. 言語とコミュニケーションシステムの違い
言語は現在のことだけでなく,過去や未来のことについて議論できる (英語,日本語,日本手話,アメリカ手話など)
コミュニケーションシステムは,現在のことしか話せない (モールス信号,手旗信号など)

2. 手話の5つのパラメータ
手話は
[1] 手の動き
[2] 手の形
[3] 手のひらの向き
[4] 手の位置
[5] 顔や肩,体の動き
の5つからなっていて,1つが変わると手話の単語も変わります。たとえば
[1] “考える” と “靴” (靴は香川県の手話です。人差し指だけ立てて,人差し指をこめかみにこすりつける手話です)
[2] “井” と “田”
[3] “モノ” と “子ども” (両手をパーの形にして,動きは同じだが,手のひらの向きが上向きと下向き)
[4] “幼稚” と “桜”
[5] “本当” の手話で,眉を上げる→疑問,眉を下げてうなずく→本当です,という回答

3. Battison の手話のタイプ
Battison という手話の研究者が,手話の表現を6つに分類したもの
Type 0 – 片手,体の他のどこにも接しないもの
Type X– 片手,体の他のどこかに接するもの
Type 1 – 両手,両手とも同じ形であるもの (同じ動きのものと,反対の動きのもの)
Type 2 – 両手,両手とも同じ形だが主になる手が動き,もう一方の手は固定
Type 3 – 両手,両手で手の形が異なるもの
Type C – 2つの手話を組み合わせて1つの手話になるもの

日本手話の例:
Type 0 – アシタ,ミル
Type X– ホントウ,ウソ,オナカガヘル
Type 1 – (同じ動きのもの) イマ,モラウ,(反対の動きのもの) オキナワ,シバラク
Type 2 – インサツ,ユウセン (優先)
Type 3 – シマ,ナゼ
Type C – ドクショ,タンジョウビ

もう一つのクラス,歴史のクラスではクラスの内容とは別に,各自で歴史のことを独自でリサーチ(調査)し,それをまとめたレポートを提出する内容です。アメリカのろうの歴史をやるといっても,ピンとこないし,何から始めたらいいのかわからなかったところ,クラスメイトと教授が,「日本のろう教育の歴史を調べてみてはどう?私たちも知りたい」と言ってきたので,それをテーマにレポートを作成することに決めました。

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この歴史のクラスでロチェスターろう学校を訪問した時の写真。かなり古い歴史でした


◆今回のひとこと◆
ロチェスターはカナダのトロントより南にあるのですが,気温がトロントより低く,雪も10月末に降り積もりました。これは南北という位置関係ではなく,北極圏から吹いてくる寒流が,ロチェスターの真北にあるオンタリオ湖に影響されて,雪雲になったのですね。オンタリオ湖は “湖” とはいえ, “海” のような役割を果たすとは・・・。
2016年10月生活記録 第10期生 山本綾乃[2016年11月10日(Thu)]
らを信じる。

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(ギャロデット大学の裏にある国立公園)

今月は発表の機会が多くあり、自信を得ることもできました。そのいくつかを報告します。

絵本の読み聞かせ
このクラスでは、同級生を児童生徒に見立てた絵本の読み聞かせの課題があります。日本でも学部時代にサークル活動でろう児を前に絵本の読み聞かせをしたことがありますが、正直表情や空間表現(CL)に自信がなく、控えめでした。
思えば日本の大学では、日本手話による絵本の読み聞かせ授業がありませんでした。ギャロデット大学には、手話を評価できる教授が存在し、学校の中で発表や評価をする機会があることが大きいです。
私に与えられた課題図書は、中国に伝わる昔話「虎姑婆(ロンポポ)をもとに作られた絵本で、エド・ヤング作の「ロンポポ」でした。絵本の内容を読み込み理解した後、アメリカ手話やCLの個別指導を受けながら繰り返し練習しました。発表当日の朝は緊張がピークに達し不安に押しつぶされそうでしたが、三度練習することで不安が軽減し無事発表することができました。結果、同級生や先生から予想以上の評価を頂くことができ、自信につながりました。
絵本は乳幼児だけでなく、小学生の子どもたちにも大切な要素がたくさん含まれています。帰国後は絵本の読み聞かせにもチャレンジし、子どもたちにいろいろな世界を伝えたいと思います。
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(ロンポポ:絵本の中では怖い話でした。興味ある方は日本語版もあるので、ぜひ図書館で探してみて下さい)

算数のミニ模擬授業
算数のクラスでは、二回の模擬授業がありました。一回目は角度、二回目は三角形の面積をテーマに行いました。準備をしている過程で、日本での模擬授業や教育実習が懐かしくなりました。現在ろう学校で働いていらっしゃる現役の先生から"あなたなら素敵な先生になれる"とのありがたいコメントをいただき、自信につながりました。

修士論文の情報集め
10月は文献集めを中心に進めました。個別教育計画や個別教育計画会議に関する本や論文を読み、簡潔にまとめる作業を行いました。引き続き私なりの見解をみつけていきたいです。

肝心の放課後プログラムですが、書類手続きなどに時間がかかっているため、現在活動をお休み中です。その間、個人的にベビーシッターのお仕事をさせて頂きました。1歳半の子どもですが、とてもおしゃべりで、小さな手のひらがひらひら踊っています。子どもたちが思い描くそれぞれの世界を、彼らのことばで表現できる権利と自由を守るお手伝いをしたいと感じました。


11月8日に迫ったアメリカ次期大統領選の勢いが更に増してきました。民主党候補のヒラリー・クリントン氏と共和党候補のドナルド・トランプ氏による熱い討論が繰り返され、それに反応する国民の政治への関心の高さを肌で感じています。私も夏に一時帰国した際、地元の選挙で投票しましたが、これからは今まで以上に地域、日本、世界の課題に目を向け、一票の重さを大切にしていきたいと思いました。

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(教育学部のみなさんと:月イチで集まり近況の報告をし合っています)
2016年10月生活記録 第10期生 辻功一[2016年11月07日(Mon)]

こんにちは、今日も生きています。
10期生の辻 功一です。

天高く馬肥ゆる秋、こちらアメリカではハロウィンやベテランズ・デー(復員軍人の日)、サンクスギビングにむけて慌ただしくなってきました。そのなかでも特に4年に1度の大イベント、大統領選挙もたけなわとなり2大政党候補が一層激しいつばぜり合いを演じています。

11月8日の選挙にむけて数回、大統領候補の討論会が行われたのですが、Facebookで中継を見る機会がありました。そこで興味深かったのがASLでの同時通訳で、いろいろな工夫が散りばめられているなと感じました。
その際の画面のキャプチャーをご覧ください。

大統領選討論会
<アメリカ大統領選での討論会>

  • 手話通訳のスペースが広く、手話が読みやすい
  • 司会や候補者ごとに通訳者を割り当てている
  • 同性での通訳(男性には男性の通訳、しかも容姿の雰囲気が近い人を起用している印象)
  • 通訳者の話し方も候補者の性格や声のトーンに合わせている印象

面白かったのがドナルド・トランプ氏の通訳で、大統領選挙の討論には相応しくないような汚い言葉、例えば日本語でいう「畜生」「嘘つき野郎」を平然と言ってのけるんですよね。字幕も同時に読んでみたのですが、さすがに前述のようなダイレクトな表現はしていなかったので、ASLでの超訳だったのかなと思います。
一方、ヒラリー・クリントン氏の通訳は何を言っているのか非常に分かりづらかったです。それはおそらくヒラリー氏はより複雑な言い回しや専門的な内容を話していたので、通訳も自然にPSE色が強くなりスピードも早くなったため、僕の読解キャパシティーを超えてしまったからなのかなと思います。

ハロウィン
<パンプキンのトランプ氏 その名も「トランプキン」>

さて、学業の方ですが、早いもので今学期も残り半分というところまで来ました。
チコ大学ではビジネス専攻の中でも特に会計部門のレベルが高く授業の進捗も早いので、毎学期、大勢の脱落者を出すことで有名です。
僕は今学期、ACCT 202(管理会計)を取っていますが、勉強時間の80%はこのクラスに注ぎ込んでいます。それでも僕的にはうまく時間配分できているかなと自己評価しています。
残り半分もこの調子で進めていきたいと思っています。

天高く馬肥ゆる秋は秋でも、アメリカを含む世界情勢は前漢の趙充国曰く「到秋馬肥、變必起矣」の雰囲気が漂っていますが、無事に今年を乗り切っていきたいものです。

以上です。
日本ASL協会から8,188km離れたチコ大学からの報告でした。
ありがとうございました。
今月のコロンブス
粗大ゴミは圧倒的にマットレスが多いことを発見
とにかくいたるところにマットレスが捨ててあるんですよね。他にソファーも結構見かけます。そこらへんは日本のとは違いますねー。日本は家電が多いような気がする

2016年10月 生活記録 【第12期生 西 雄也】[2016年11月01日(Tue)]

秋になるとこれまでより気温が下がり、日本の秋並みに冷えてきました。そして全然降らなかった雨が降るようになってきました。昼間晴れている時は日差しが強く、半袖でも大丈夫な程暑いですが…。
ここカリフォルニアでは日本の梅雨(夏)とは違って秋、冬の時期に雨が多くなるようです。
元々ドライな気候なのでジメジメすることなく、雨が降っても傘をさして歩いている人を見かけることが多くないです。

最近、アメリカでは大統領選挙が間近になり、その話題があちこちで挙げられている状態です。テレビを観てみるとトランプとクリントンが討論を交わしており、日本とは違ったスタイルや表現があり、討論の会話もストレートに表現しています。イベントのような上映もあったりするので、観ている方も面白いものだと感じました。(字幕を読み取れるほどの英語力はまだまだですが…)そして、沢山の若い人から大人までよく大統領選についての話題が出てくるので、日本との大きな違いを見せつけられました。アメリカに対する愛国心なのか、大統領が誰になるかで国勢の運命や情勢が左右されるという事を国民の多くが認識しており、テレビのメディアからもその雰囲気が醸し出されているようです。

◆進学準備
10月に差し掛かるころには進学に向けて色々な大学・大学院の準備や情報収集等で慌ただしくなります。そこでOhlone College Newark Campus(分校。オーロニ大学から車で約15分の所)で開催されたTransfer Day(編入説明会)に参加してきました。ここでは様々な大学がブースを設けており、自分の興味ある大学の情報収集を行うことを目的としています。色々な大学のパンフレットを入手したり、手話通訳を介して担当の方に質問したりしました。他にも、後にオーロニ大学でギャロデット大学の紹介の為の講演が開催されたので参加し、貴重な情報を得ることができました。

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↑ Netwark Campus内の編入説明会ブース


◆フリーモントろう学校見学
デフアーティストで有名なDavid Call先生がフリーモントろう学校に在籍しているという情報を頂いたので、本人とアポイントメントをとり、David先生とお会することができました。その時は小学部のクラスを見学する機会を作っていただき、この日の指導内容は、メキシコでは有名な『Day of the Dead(死者の日)』をテーマとし、「骸骨」をモチーフにした作品作りの指導を進めていました。授業終了後は、校内に掲示されている小〜高等部の生徒たちが制作した何点かの美術作品 を沢山紹介していただきました。高等部のクラスの様子も見学したかったのですが、この日は大学のクラスの時間上調整が難しかったので、次回はなんとか調整をし、再訪問する予定です。

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↑ David Call先生と

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↑David Call先生の作品

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↑フリーモントろう学校内に飾られていたデフアート
他にも色々な作品が展示されていました)

◆クラス
10月に入る頃にはこれまでより一層宿題の量が増えてきました。

Writingクラスでは本格的にエッセイを書き始め、来週までにエッセイをまとめ、次週までに次の章(全部で40〜50ページ)を読んでくるようにという感じで、ペースが速まっています。わからない単語を一つ一つ調べると効率よく進められないので、これまでとはまたひと際違った勉強の工夫が必要になります。

Deaf Cultureでは、ADA法ができた背景には黒人差別に対する運動から学んだという話や、ADA法が施行されてからは昔よりろう者や障害者に対する状況が良くなったが、まだまだ「平等」になる為の合理的配慮は十分ではない。多くの課題が残されているということについて議論を進めました。他にも「ろう者」「難聴者」の違いについての議論があり、要するに口話が出来る出来ない、手話が出来る出来ない、補聴器をつけて聞こえるから難聴、などのくくりで決まるものではない。時代によって状況は変わる、もっと深い意味があり、そのポイントや背景には「Culture(文化)」が絡むという。それについて深く掘り下げながら柔軟に考える点も必要になるという感じで議論が深まり、楽しく授業を受けることができました。

Deaf Communityのクラスでは他の施設の見学へ行く機会があり、サンフランシスコ図書館へ訪問しました。そこにはデフサービスセンターというろう者専用の本があるスペースがあり、アメリカのあらゆる場所からろう者に関する書籍や、ろう者が執筆したろう者に関する本、そして他国のろう者に関する本(日本の本はみんなの手話など)の本が多数置いてありました。そして、そこの空間はろう者が描いたアートが飾られていたり、本棚の高さがろう者に合った空間づくりの工夫が施されていました。

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↑サンフランシスコ図書館内にあるデフライブラリー
(本棚の高さを見てみると、ろう者がお互いの顔や手話が見えるように意識してつくられていますね。)



◆ハロウィーン
10月に入ってからは、ハロウィーンの時期が近付いている為、あちこちのスーパーでは大きな赤いかぼちゃが沢山店頭に並んでおり、色々な家にハロウィーンをテーマにした飾りが飾られているのを見かけました。そして、ハロウィーンの日(10月31日)が近づくとハロウィーンのイベントが増え、オーロニ大学内でも学生や職員たちが仮装をするというイベントが開催されたので、参加し楽しむことができました。
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↑オーロニ大学の職員達の仮装姿

授業の中で知ったのですが、元々ハロウィーンはメキシコが最初に生まれた民族行事だそうです(最初の発祥はアメリカかと思っていました…)。『Day of the Dead(死者の日)』をもとに作られたイベントだそうで、亡くなった人の魂がこの世に帰ってくる、そして死者を敬い、祝うために作られたイベントであると共に仮装をして悪霊を払うという意味合いがあるようです。後に、アメリカやヨーロッパなどでイベントの一つとして広まり、「死=怖がらせる」のも入れて楽しんでいますね。