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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2016年10月生活記録 第11期生 山本芙由美[2016年10月31日(Mon)]
んにちは!11期生の山本芙由美です。

ハードな中間テストが終わり、まずまずの評価をいただくことができ、ホッとしているところです。
今月はクラスのことも含め、LGBTQA関連について書ききれないほどのたくさんのことを経験しました。

今月で一番印象に残ったGender and social(ジェンダーと社会)のクラスでは"Just one of the guys?" Kristen Schilt著、2010年という本を読んで、その本を中心にTrans menについて様々な視点から議論をしました。
スクリーンショット 2016-10-31 6.09.46.png

Schilt先生はシカゴ大学の先生でジェンダー学を専門としています。彼女はカリフォルニア州からテキサス州に住むTrans men 65名を対象に職場の経験についてインタビュー、フィールドワーク調査しました。それをまとめたのが、その本です。その65名のTrans menは年齢、Transの種類(Trans gender, Trans sexual, 男装者など)、人種、性自認/性指向、居住地、仕事の内容、カミングアウトしているかどうか等、バックグランドがとても多種多様です。
※Trans men 女性として生まれ、性自認が男性の人(男性として生きる/生きたい人)

インタビューでは、彼らの多くはTransになる前にはレズビアンやクィアから始める人が多く、Transの経過を知っている同僚もいたり、彼らの反応は様々です。データでは肌が白いほど教授や公務員などの高収入の仕事に就くことができ、黒人の場合、ギャングの世界に入る(らざるをえない?)人もいるとのことです。10代からTransを始める人はホルモン療法代、手術代を稼ぐためにブルーカラーの仕事に就く人が多いそうです。
先生いわく、Trans womanはTrans manと比べて雇用や昇進の決定について不平等で、安定した生活を送ることが難しいケースが多いとのことです。

また、実際にクラスではTrans man二名をゲストとして呼んでお話を聞いたり、二人ともカテゴリーとしてはTransですが、性自認、性指向が違ったり、またトランスゲイとして男性と交際している人もいました。

ゲストの一人、Alex Leffersさんはギャロデット大学のろう職員です。彼は大学内のLGBTQA啓発に積極的で、このような動画を編集しました。
アメリカ手話におけるLGBTQA手話単語を表していますが、とても分かりやすいので、紹介させていただきます。
スクリーンショット 2016-10-31 7.00.57.png
https://www.youtube.com/watch?v=S10Som3v91A

私はアメリカでろう者、聴者関係なく多くのLGBTQAの人たちと交流してきましたが、Sexuality Identity(性自認)について聞くと、ほとんどの人が一つのIdentityで答えません。例えば、トランスジェンダー+パンセクシュアル+ポリアモリーなどです。順番も重要です。アメリカならではの複雑な背景がそうさせるのだと思っています。

そして、10月11日はNational Coming Out Day、NCOD) は、自身の性的指向や性自認をカミングアウトしたLGBTQAの人たちを祝い、人々の認識向上を目的とした記念日です。毎年10月11日がこの日にあたり、世界中のLGBTコミュニティで祝典などが行われています。
この日もギャロデット大学のLGBTQA Resource Centerがバックグラウンドが様々なLGBTQAの人たち7名(ろう者5名、聴者2名)を呼んでカミングアウトについてのパネルディスカッション企画をたててくれました。

そこに学長のBobi氏が登場し、彼女のカミングアウトストーリーを聞くことができました。彼女がまだ幼い1987年10月11日にはワシントンD.C.で初めてプライドパレードが実施され、当時、彼女は父親とその様子をドキドキしながら眺めていたということでした。

S__17686530.jpg

また、幸いにその日は私の誕生日でした。カミングアウトデーが誕生日なのは不思議な縁を感じました。

S__17686531.jpg
(第10期奨学生の山本綾乃さんもお祝いに駆けつけてくれました。Thank you Ayano!)

そこで、うれしい報告です。
11月12日にワシントンD.C.の諸大学が集まっての会議 "Intricate Identities" Conference(”複雑なアイデンティティ”の会議)が実施されます。第11回目になるそうですが、今年はギャロデット大学が担当することになりました。この会議はLGBTQAの学生や研究者が集まってプレゼンテーションやワークショップをします。

プレゼンテーション採用がなかなか難しいと聞いていた中、私も日本のろうLGBTQAについて応募したところ採用されました。今、クラスの勉強と並行しながら、そのプレゼンテーションのための準備で忙しいですが、11月の生活記録で良い報告ができるよう頑張ります。

それでは、また。
2016年10月生活記録 第12期生 福島愛未[2016年10月30日(Sun)]
こんにちは、12期生の福島です。
ここフリーモントは9月と変わらぬ、朝晩はぐっと冷え、昼は半袖でも過ごせるほどホットな気候です。

が!!! 先日、アメリカに来て初めて豪雨に遭遇しました。いつもからっとした天気だったので不意打ちの豪雨にはまいってしまいました。その上、カフェに向かう途中だったのでびしょびしょです。

出かけ先のカフェで雨を眺めていると、韓国人の友人に

「日本人は雨を見ると何が思い浮かぶの?」

と聞かれ、「( ´_ゝ`)????」となりました。

どうやら韓国では雨が降るとチヂミを食べながら、マッコリと呼ばれるお酒を嗜む習慣があるそうです。

梅雨生まれの私はいつも誕生日が雨なので、毎年梅雨がくるたびに鬱陶しいと感じていましたが、雨が来るたびにチヂミとマッコリを嗜むなんで素敵だなあと思いました。今度雨が降ったら早速試してみよう!と思ったのですがここカルフォルニアではめったに雨は降らないそうで…いつになることやら。

ゾンビのおもちゃ.JPG
↑Halloweenシーズンのおもちゃ屋さんにはこんなものまで売っています。
 興味本位で近づくと急に飛び出してくる仕組みで、尻餅を付きそうになりました。

■□Studies■□

■Grammar
10月はいくつか英語文法のルールを学んだのですが、その中でも
Subject- Verb Agreementについてご紹介します。


Subject- Verb Agreementには

@Singular Noun (可算名詞)
APlural Noun  (可算名詞)
BNon-count Noun(不可算名詞)
の三種類のルールがあります。

英語には、物を「数」として捉えるかまたは「量」として捉えるかという2つの概念があります。
日本語は「量」で数える概念がないので、この区別が分からず苦戦していました。

@Singular Noun(可算名詞)
 book
 man
 person

APlural Noun(可算名詞)
@の単語の複数形です。
たとえば
      book →books
      man →men
      person →people    など

BNon-count Noun(不可算名詞)
数えられない「量」として捉えるもの
たとえば
       感情:love beauty
  全般を表すもの:food fruit
    液体・気体:air grass oil    など

日本では液体、たとえば水が数えられないので気をつけるようにと言われていたのですが
それ以外にも数えられないものがあるとは思いもしなかったので勉強になりました。(ただ単に、真剣に授業を聞いていなかったせいもあるとは思いますが...)
特に驚いたのは「homework」がNon-count Noun「不可算名詞」にあたることです。なので、たくさん宿題をしたと表す時に「homeworks」は使えません。「homework」が正解です。アメリカ人でも以外と間違えている人が多いと聞き、さらに驚きました。他にもcheese、happiness、sugarなどがNon-count Nounになることを知り、英単語を覚える時はこれらにも気をつけなければならないと感じました。


英英辞書には、英単語の横にcountable(可算名詞) 又は uncountable(不可算名詞) のどちらかが記されています。英和辞典にはなかったなあと思い調べると英和辞典では可算名詞の「可」または不可算名詞の「不」と記されているか、またはcountableの「C」又はuncountable「U」と記されていることが多いようです。

このブログを見ているみなさんも英和辞典を使って調べる機会があるときは是非Subject- Verb Agreementに
注目してみてください。

■Reading
先月はMain Idea(主題文)を見つける方法を学びましたが、今月はSupporting Details(支持文) について学びました。
Supporting Details(支持文)には、

これさえ抑えておけばSupporting Detailsの意味がわかるという"Major Details"
読まなくても特に問題ない"Minor Details"

があり長文を読む際にはMain IdeaとSupporting Detailsのルールを抑えておけば短時間で全体の意味を把握することができます。
英語検定などで出題される長文を見る度に、全部読むなんてできないと諦めていたことが多かったのですがポイントさえ掴むことができれば短時間で内容を理解できることが可能だと知り、これはやるしかない!と以前よりも真剣に取り組んでいます。

■Writing 
今月も”Letters My Mother Never Read”を読み、Essayを書くというスタイルでした。
先月までのEssayは、夏休みの間にNancy先生のtutorで分からないところがないほど丁寧な指導を受けた部分だったので特に問題なく2週間かけてゆっくりと書き進めていました。しかし今月は3日後までに40ページ読んできて!というようにかなりハイスピードになりとても大変でした。英語的な言い回しも多く、理解するのに膨大な時間が必要でした。
11月はさらにハイスピードになり、Essayも深く掘り下げていかなければならない予感がします。ひとつひとつの宿題を丁寧に取り組む予定です。

■Deaf Community

10月のクラスではサンフランシスコにある San Francisco Public Libraryに行ってきました。この図書館の一室に、ろう者のためのDeaf Services Centerがあります。アメリカにも図書館は数多くありますが、ろう関係の本を取り扱っている図書館は稀です。そのためろう関係の本を読みたくてもなかなか見つからないということがしばしばありました。そこで多くのろう者が集まって声をあげ続けた結果、1977年にサンフランシスコの古い図書館の片隅にろう関係のコーナーができたそうです。1996年に図書館を新しく建設する際、その一室にDeaf Services Centerが設けられました。

説明中.JPG

ろう関係の本だけではなく、ろう関係のビデオやDVDもそろっており、日本の本もありました。ここには、ろう者と手話ができる聴者の職員さんが働いていました。 Deaf Services Centerに置いていない本を探したいときも手伝ってくれるそうです。


日本の本.JPG
↑「君の手がささやいている」の漫画もありました!3巻までしか読んだことがなかったので4巻をちょこっと読ませてもらいました。

Deaf Services Centerはろう者のための空間、Deaf Spaceの特徴がいくつか見られました。その一つが本棚です。
通常の本棚は天井までの高さですが、Deaf Services Centerの本棚は1.2mほどの高さです。その理由は、手話によるコミュニケーションが円滑に行われるためだそうです。実際に離れたところにいる友人に「この本見つけたよ」・「何探してるの?」と声かけができる素敵な環境でした。

手話ができる.JPG

図書館.JPG

クール.JPG
↑図書館のシンボルもかっこいい!


□■
HAPPY HALLOWEEN

家.JPG
↑たまたま通りかかった家の装飾がすごかったので思わずパシャリ。

アメリカにきて初めてのHalloweenは友人とゾンビ衣装をまとい、サンフランシスコに行きました。
ゾンビ衣装を作る為に服を燃やしたり、血のりを付けたり...Halloween当日も楽しいのですが、衣装を作ったりするのもHalloweenの醍醐味ですね。町中には様々な仮装をした人で溢れかえっており、とても楽しかったです。


顔無し.JPG
Japanese Townにあったカボチャ達。
よく見ると、何かに似ていると思いませんか。とてもキュートでした!


9月は慣れないことが多く失敗も恥ずかしい体験もたくさん経験しました。10月は生活にもずいぶん慣れ、初めてのことでもひるむ事なく挑戦できるようになってきました。11月は進学に向け行動していきたいと考えています。
ではまた来月:)
2016年9月生活記録 第11期生 【牧谷 陽平】[2016年10月21日(Fri)]
9月の頭に,友人とナイアガラの滝を見に行きました。15分間のクルーズで滝を間近に見に行ったのですが,15分は足りなさ過ぎました。
IMG_3659.JPG

アメリカ側のナイアガラの滝。カナダ側は大きすぎて写真1枚にとどめることができませんでした


8月にRochester につき,クラスの決定,それから留学生の手続き,などなどが続き,やっとクラスが始まったかと思ったら,私のちょっとしたミスでJASS の関係者を忙しくさせてしまい,さらに私もばたばたして落ち着かない月になりました。9月末には落ち着き始めたのですが,9月中旬までは毎日が落ち着く暇もなかったです。。。。。
"あつい" (熱い,暑い) 夏が終わりを迎えようとしています。

さて,私が今学期とったクラスは5クラスです。

クラスの名前を簡単に説明します。
1. 一般的な指導法とは
2. ASL と 英語の言語学
3. アメリカの学校の歴史
4. 心理学
5. コンピューター
です。

以下でクラスのことを説明しますが,
実をいうと,歴史とコンピュータ以外のクラスは,Simultaneous Communication (SimCom と略して,同時法というやり方) のため,得られた情報が少ないと思いますが。。。

1.General Instructional Methods

ろう・聴関係なく,教育の中で一般的な指導法を学ぶクラス。
9月は心理学者と哲学者のことをグループに分かれて調査して,そのプレゼンをしたり,
各自でちょっとした記事を読んでそれをまとめるといった,ちょびちょびとした作業がでました。9月は指導案の作成の仕方を中心に学習しました。
生徒に指導するときは
[1] Skill
[2] Concept
[3] Context
の3つを常に意識しておかないといけません。「整数 (1, 2, 3, …) を表記させた数直線上に,いくつかの空欄を設け,規則性を理解したうえで,生徒がその空欄に当てはまるものを答えることができる」を例に挙げて説明します。skillは最終的に生徒ができるようになること,つまり “空欄に当てはまる数を答えられるようになること,” そして
Concept は
Context は

2. Structures of ASL and English

今学期でもっとも宿題の量が多いクラス。ASL & 英語の言語学のクラスです。このクラスが一番のお気に入りのクラスです。私が長年求めていたものがこのクラスにありそうです。しかし,毎週出される “Batch” という宿題はかなりの量です。毎回,60~80ページの出された教科書やワークブックから,重要なキーワードを先生がまとめたもので,それの説明を見つけて,
Q1. すでに知っていることば
Q2. 知らなかったことば
Q3. 衝撃を受けたことば
Q4. クラスメイトやほかの人に教えたい言葉
のどれに当てはまるか,コメントをする宿題です。
たとえば
Gloss Notation という言葉が宿題にあります。これの説明がどこにあるか探します。これは英語とASLがそれぞれ独立した言語であることを明らかにするために,アルファベットの表記を大文字でする,といったことです。
英語のルールは,“文頭は大文字で, それ以降は小文字で ” ですが,ASLのルールは “すべて大文字” で表現することです。
English : What is your name? (あなたの名前は何ですか)
ASL : YOUR NAME q

です。こういったものがたくさんあり,毎週毎週しているのですが,そのストレスは計り知れないものであります。。。


3. History of American Educational Thought and Practice

アメリカの学校の歴史を学ぶクラスです。先生はASLなので慣れれば理解できるのですが,アメリカの歴史を知らない私にとっては,ちんぷんかんぷんなことも多くあります。今度機会があれば,カリフォルニア州立大学にいる辻さんに聞こうと思っています。

4. Psychology and Human Development

心理学のクラスです。先生は親がろうである,つまりコーダ (CODA) なのですが,先生に彼自身のアイデンティティを聞くと,「ろう,聴の両方です」と今までにない答えが返ってきました。なんとも “奇妙な” 人です。アメリカには奇妙な人がたくさんいますね。でもそれが多様性をなしていていいんですね。

5. Raster and Vector Graphics

去年も Adobe Photo shop, Illustrator を学んだのですが,今回はそれをさらに掘り下げていくクラスです。これは修士レベルでも,学士レベルでもなく,準学士レベルのクラスです。日本でいえば専門学校のクラスです。大学院に在籍して,準学士のクラスを取る私って奇妙な気がします。でも私はテクノロジーも学習したいので,少しずつクラスを取っていきます。


先ほども言いましたが,先生がASLでなくて英語と手話を混ぜたコミュニケーション方法でクラスを進めているため,クラスの内容の90%は理解できていません。毎日がそれとの格闘で,毎時間毎時間頭は疲れきっています。
 去年の Ohlone College と違って,アメリカの大学レベルの英語が読める前提でクラスが進められていっています。それに対して日本の高校で学ぶ英語のレベルはアメリカの小学校2~4年生レベルの英語です。毎回毎回,理解できない英語に対してクラスメイトに意味を聞いたり,クラスを少しストップして先生に聞いたりして,意味を明らかにすることの繰り返しです。しかし宿題の量も多く,追い付かない状況が続き,宿題が減った週に少し追いつき,また追いつかない,といったような状況が繰り返し続きます。引き続きがんばっていきます。ではまた10月の生活記録でお会いしましょう。

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Asian Deaf Club (アジアン デフ クラブ) のイベントが開かれていました。こんなイベントが毎月あり,ろうの "居場所" を作ってくれているのは大切なことですね
2016年9月生活記録 第9期生 瀧澤泉[2016年10月19日(Wed)]



ザアザアと雨が降り、止み上がると同時にひんやりと寒気が襲ってきました。
タンスに長袖の服装を入れ変える時期になりました。


うとう秋がやってきましたが…
夏学期の間にあまりにも休みがなかったからなのか、長期型の風邪が襲ってきました。クラスに追いついていくのに精一杯だったため、生活記録も投稿できずに苦労した一ヶ月間でした。

この頃、ようやく落ち着いてきてちょっとホッとしています。
山のような課題を提出しながら努力する毎日です。

GOV 791: 国際関係・国際開発論 (International Relations and Development)
 教科書二冊:途上国開発の成形(Shaping the Developing World)と国際関係における真相(Cases in International Relations)を読み、レポートを提出しつつ当日のクラスで議論し合います。政府関係や立場の視点の違いを知るだけではなく、原因はどこにあるのかなど深く分析して理解する必要があります。

IDP 795: 国際開発研究分野方法 (Research Field Methods for International Development)
 そのクラスは今年から新しく出来た科目であり、言語学部二年制の学生たちと共に受けることになりました。4単位なので水曜日のみ4時間のクラスを受けるので、かなりエネルギーを消耗します…
 前半は研究に関する準備や目的など義論し合いました。時には哲学に関する歴史を奥深く考えながら研究し、理由へとたどり着くのですが、自分の考え方に少々ズレがあると感じます。根拠があるかどうか考えても時間がかかるので、資料やテキストを研究しながら探っていきたい。
 後半はオマーン出身の男性二人に手話に関する質問をしながら国際開発学部の学生たちはその様子を分析し、気づいたことや疑問を研究する形になる予定です。

EDU 834: 特別教育と福祉におけるプログラムの開発と評価 (Program Development and Evaluation in Special Education and Human Services)
 二年制の科目であり、プログラムを作り上げる方法を学ぶ科目です。団体や非政府組織(NGO)にどのように改善するべきかなど分析しています。

EDU 835: プロジェクト計画と実行 (Project Design and Implementation)
 二年制の学生(現在4人)とグループになり、一からどのプロジェクトを作り上げるか議論し合いました。その結果、USAIDから募集されているアフリカ西部の共和国にあるマリ(Mali)でのろう者と盲者の教育プロジェクトを申請する形でチームワークに入りました。基本的に教師よりも学生たちが中心に行動しなければならないため非常に大変な科目ですが、なんとか頑張って最後までいきたいと決めました。

それでは10月の生活記録に会いましょう。
2016年8月生活記録 第9期生 瀧澤泉[2016年10月19日(Wed)]
夏休みの物語が幕切れ、
弾けた水がますます染みて地面が濃くなるかのように
多くを学んだ夏休みでした。

 習が終わり、秋学期の準備に入りました。自分の本当の夏休みがないとは言え、ほんの3日間しか休めずに…

IDP780 (Online): Supervised Practicum for Master of Arts Degree in International Development (大学院国際開発学部の指示下実習科目)


 指示下実習先のUnited States International Council on Disabilities (USICD)(障がい者に関する米国国際評議会)が8月12日(金)が終わる予定でしたが、指示担当者がもっと仕事を私に是非依頼したいと言われたため秋学期が始まる前ギリギリまでに務めました。
 よくよく考えると、指示担当者は難聴者であり、手話言語はその方にとって第二言語のため互いのコミュニケーションがなかなか難しく苦労していました。その場面を考えると、異国や日本の中でもコミュニケーション方法が分かれているのだろう。それでも諦めずに、他の方法を探って互いに理解し合うまでに時間をかけていくことがその一つの方法。アメリカの場合、障害者差別禁止法(Americans with Disabilities Act “ADA”)上に手話通訳費用が多額なため、株式会社よりも民間企業(小規模な会社)から行事や会議以外に予算の面で使用し難いのが現実なのです。その状況の上、自分ができることは何なのか考えさせてくれる重要な経験を得ることができました。

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左側は聴覚障がいを持つ職員Andreaさん

 
 ほどに話した3日間に休息できたことを話しましょう。仲のいいクラスメイトと一緒にドライブであちこちへ見て回りました。West VirginiaにあるHarper Ferryで自転車巡り、ニューヨーク(NYC)、フィラデルフィア州へ行ってきました。

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行く途中にラマを発見!赤ちゃんのラマを初めて見ました。


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他に鹿も見つけました。改めて自然が豊かな場所なんだと感じました。


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火頭山ラーメン(NYCの近くにあるミツワマーケットにて)
日本の雰囲気に本当にそっくり!
味はまあまあでしたが、久々に日本の感覚に懐かしさは隠せませんでした。



学期スタート!
8月30日に秋学期が始まりました。今回は4つの科目を履修しました。

GOV 791: 国際関係・国際開発論
(International Relations and Development)

IDP 795: 国際開発研究分野方法
(Research Field Methods for International Development)

EDU 834: 特別教育と福祉におけるプログラムの開発と評価 (Program Development and Evaluation in Special Education and Human Services)

EDU 835: プロジェクト計画と実行
(Project Design and Implementation)


GOV 791とIDP795は一年制の科目ですが、去年は単位の事情のため習得できなかったので政治関係と研究方法を基礎から磨きつつ、二年制のクラスを習得する形になります。
2016年9月生活記録 第10期生 辻功一[2016年10月16日(Sun)]

こんにちは、今日も生きています。
10期生の辻 功一です。

タイでの夏学期講義、そして日本でのひとときの休暇と、充実した夏休みを送り、気持ちも新たにしてアメリカ最大の総合大学システム、カリフォルニア州立大学に戻ってまいりました。

ウェスティン・セントフランシス
<サンフランシスコのユニオンスクエア前にあるウェスティン・セントフランシス>

さて、カリフォルニア州立大学チコ校での3学期目の受講クラスを紹介したいと思います。

ACCT 202 (Intro to Managerial Accounting)
前学期に引き続き「会計」クラスです。今学期の会計はより実践的な内容で、そういえば日本の会社に在籍していたときに会議で見かけたなあと思う表(損益計算書や貸借対照表など)が出てきます。当時はちんぷんかんだったのですが、今思えばあれはそういう意味だったのか!と懐かしいやら、惜しいやら複雑な心境です。

ECON 103 (Principles of Micro Analysis)

こちらも前学期に引き続き「経済」クラスです。今学期は「ミクロ経済学」。つまり消費者と企業の間での経済活動の動きを分析するものです。

MATH 107 (Finite Math for Business)
こちらもまた前学期に引き続き「数学」クラスです。前学期は統計について学んだのですが、今回は何というのかな、実際にビジネスにおいて価格設定や売上見込みを計算するのに活用できるような計算方法を学んでいます。

POLS 155 (American Government: National, State, and Local)
一般教育で「アメリカ政府」です。正直、アメリカの選挙権を持っていないし、興味も無いのですが、必須科目です。アメリカの学校は本当に自国の歴史や制度について、長い時間をかけて教えていますね。

PSSC 101 (Introduction to Plant Science)
これもまた一般教育で「植物学」です。ビジネスとは全く関係ないのですが・・・、これも必須科目です。あともう少しで一般教育科目全て消化できるので、頑張ります。

さすがに5クラスともなるとテストの数も多く、一つのテストが終わったと思ったら他のクラスのテストが次週に迫っていたりと、テスト勉強漬けの毎日を送っています。まあそれでもテスト勉強を通してちゃんとインプットできていると実感していますし、勉強ができるという至極贅沢な時間を過ごしているので、適度に息抜きを取り入れながら、勉学に励んでいます。
それにしても僕が10代の時はこんな考え方を持つようになるとは想像もつかなかったなあ。学生のうちに留学するのも良い機会だとは思うのですが、一度社会生活を送ってからの方が目的意識をより強く持って留学に挑むことができるので、人生に「早い」「遅い」は無いと思いますね。

以上です。
日本ASL協会から8,188km離れたチコ大学からの報告でした。
ありがとうございました。
今月のコロンブス
街のカー用品店で普通にビンテージカーのパーツが買えるのを発見
日本のオートバックスよりちょっと小さめのカー用品店でも50年以上前の車のパーツが売ってあったのには軽く衝撃を受けました。それほどの需要があるってことですね

2016年9月生活記録 第12期生 福島愛未[2016年10月06日(Thu)]
こんにちは、12期生の福島です。
9月に入ってからここ、フリーモントは朝晩はぐっと冷えるようになりましたが昼間は相変わらず真夏の暑さです。9月の気温は4年間住んだつくばに少し似ていますが、湿度は180度異なります!湿度が低いだけで高温でも驚くほど汗をかきにくく、日影に入れば「さむー!」っとなりますが快適な環境です。

 9月の下旬になるとスーパーマーケットでは様々な形や色のカボチャが並び初め、グッズ売り場ではこれでもか!というほどハロウィン向けのコスプレ衣装や小物がずらりと並んでいます。

IMG_7197.JPG
↑ 家の近くの小さなスーパーマーケットにあったスイカより大きいカボチャ達


■□Studies■□

■Grammar
 前回のブログで紹介した文法の可視化ですが、前回はこのような短文から始まりました。
スクリーンショット 2016-10-05 午後10.28.40.png


 最終的には下記の写真のように複雑な文も可視化することができるようになりました。
スクリーンショット 2016-10-05 午後10.53.11.png


 この方法により構造のルールが明確になり、それぞれの句がなぜその位置にくるのか理解することができました。以前は自身で英文を書くと構造のルールを理解していないために意味不明の文になっていましたが、最近は構造のルールを意識するように心がけることでずいぶんと良くなってきました。
 9月下旬になると文法の学習に入りました。現在形、過去形、未来形と基本的なことは高校や大学で学んだのですぐに理解できましたが過去形・過去進行形 または 過去形・現在完了形の区別が難しく今も格闘中です。これらは、高校・大学時代にも学びましたがちょっとめんどくさいと思い逃げていたところです…。文法はこれから確実に必要な知識になるので、今回は逃げずにしっかりと向き合いたいです!!!

■Reading
 前回の紹介ではクラスが始まったばかりでReadingとWritingが逆になっていたので改めて紹介します。Readingクラスでは大学・大学院で使用するような一歩レベルの高いVocabularyを取得しつつParagraph(1段落:1節)の読み方を学びます。9月はMain Ideaの見つけ方について学びました。英語のParagraphはほとんどが

Main Idea(主題文)
Supporting Details(支持文)

で成り立っています。Paragraphを読む際には全文を読むのではなくその中で一番いいたこと、Main Idea つまり日本語でいう主題文を先に見つけ、内容を理解することで全文の意味が掴みやすくなります。このMain Ideaの位置はいくつかのルールに則っています。そこで今回はMain Ideaのルールについて学び、実際に見つける練習を繰り返しました。

■Writing
 このクラスではEssayの書き方を学びます。この授業では “Letters My Mother Never Read” という本を読み、2Chapter(約30ページ)ごとにEssayを書いていくようです。
本写真.jpg
↑ “ Letters My Mother Never Read ”

 9月中旬まではまずEssayの書き方を細かく学び、下旬になるとEssayを書く前の下準備 Essay Planを書き始めました。英語がぺーぺーの私は、まず30ページもの内容をまとめるのに必死です。その Essay Plan もようやくGOサインがもらえたので Essayに取りかかっているところです。

■Deaf Community
 このクラスでは留学生が集まるので初めは、アメリカのDeaf Cultureについて学びます。その際に使用する教科書がイラスト入りで分かりやすいので、英語力が乏しい留学生にとって英語やASLを学ぶ場所にもなっています。10月、11月にはアメリカのDeaf Communityに関する施設を見学する予定なのでとても楽しみです。

デフカルチャー.jpg
↑Deaf Communityの教科書、「DEAF CULTURE Our Way」

9月の授業で学んだ中で特に印象的だったDeaf Cultureの一部をご紹介します。

ろう者が集まる場所ではたびたび「トイレ行くわ!」・「ちょいトイレ!」というような声かけがあります。聴者の場合「トイレに行く」というストレートな言い方は、こどもならまだしも大人はほとんどないようです。「トイレ」という情報をストレートに伝えるろう者はマナーが悪いのでしょうか?
IMG_7282.JPG

答えは、「いいえ」です。
ではなぜろう者は「トイレ」というストレートな言葉を用いるのでしょうか。いくつか理由がありますがその一つは、情報共有のためです。聴者であれば足音・ドアの開閉音・トイレの使用音など様々な音からお手洗いに行ったことが推測できますが、ろう者の場合は視界に入る情報がすべてです。友人とおしゃべりに夢中になっていれば立ち去る姿を確認できず気づいたときには、あれ!どこにいった?と不安になることもしばしばです。そこで立ち去る時には「トイレ」・「出かける」などストレートに伝える習慣が身に付きました。多くのろう者はこの行動に見覚えがあるのではないでしょうか。誰かに教えられたわけでもなく自然と身に付いた人も多いと思います。


私自身もこの行動に見覚えがあり、同時に聴者に対しては「トイレにいく」とわざわざ伝えていないことにも気がつき、この行動は聞こえないことからくるものなのかと感動しました。


 このように自分にとっては何気ない行動でも、ろう者特有の行動でありかつDeaf Cultureと言えます。自身のどのような行動がろう者特有であるかを学ぶ機会は貴重です。今後ろう者の体に合わせた建築を考える上で、この知識はとても参考になります!


■□全体
 先生のASLはほぼ理解できるようになってきましたが、学生のASLは指文字がとても早く、且つ全体のスピードも目が回るような早さなので未だに半分程度しか理解できません。それでも初めの週に比べると少しずつ癖や早さに慣れ、知っている単語も増えてきたことで理解できるようになってきました。もう一踏ん張りです!また9月中旬にはテスト!テスト!テスト!で人生で一番勉強していました笑。英語アレルギーと言っていたほど英語の存在を毛嫌いしていた私ですが、最近はそろそろ英語と向き合わなくてはという姿勢に変わってきています。このままいくと英語が好きになる日がくるのでしょうか。


■□
 9月のビックイベントは「Google本社の見学」です。かの有名なGoogleの本社を実際に見に行く機会がありました!人数制限があったため、Reading Writingクラスを受講している学生のみ!本当にラッキーです。Google本社は一言でいうと「Home」のような環境でした。まったりとした空間で、社員が快適に仕事ができる環境になっていました。ビーチバレーのような設備があったり昼ご飯やコーヒー、ちょっとしたおやつが無料で提供されていたり、ランニングマシーンで走りながら仕事ができるなど驚きの連続でしたが特に驚いたのはペットの犬をつれてきていた人を見た時です。聞けば犬だけではなく猫でも可能で、過去には馬をつれてきた人もいたそうです笑。
 Google本社で働いてるろう者に会うこともできました。案内してくれたろう者は過去に日本を観光した経験があり、母校の筑波技術大学も訪れたことがあるそうです。一気に親しみがわきました笑。
 また学生の質問に答える時間も作っていただき、Googleにはどのようなサービスがあるのか。ろう者も快適に働くことができるのか。実際にどのようにコミュニケーションを取っているのか。Googleに入るためには何が必要なのか、など積極的な質問が飛び交いました。Google本社には手話通訳者がおり必要な時は共に仕事をするそうです。さらにGoogleで調べるときに出てくる日替わりのイラスト、実は少し前まで担当していたグループの中にろう者がいたそうです^^このような大きな仕事も任せてもらえるとは、本当に驚きですね。まさにろう者にとって働きやすい理想的な環境に近いのではないかと思いました。


最後に、Googleの手話をご紹介します。
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↑写真の私のように、アルファベットの「G」を鼻の前まで持っていき、小さく円を描くと「Google』の手話になります。ASLの「検索(アルファベットのCを鼻の前で小さく描く)」という手話からもじったそうです!
是非使ってみて下さい。

ではみなさん、10月も元気に過ごしましょう!きらきら


2016年9月生活記録 第10期生 山本綾乃[2016年10月05日(Wed)]
ASP!

9月からケンダルろう学校の放課後プログラムのスタッフとして仕事をさせていただいています。
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今年5月末、ケンダルろう学校が放課後プログラムスタッフの募集をしていることを知りました。秋学期以降教育実習があるか分からない状況の中で、これはチャンス!と早速申し込みました。書類審査とインタビューに通過し、無事スタッフになることができました。

放課後プログラムとはいえ、子どもとかかわる責任重大な仕事であることから、このプログラムが開始する前に、三日間きっちりと事前説明会がありました。

主に3歳から小学生までの子どもたちが集まります。さすがアメリカ、人種多様です。肌の色も髪の色もさまざま。しかしみんながお互いを受け入れ、楽しく遊んでいることに感動しました。彼らにとっては当たり前のことですが、日本で育った私にとっては新鮮な環境です。
これから一年間どんな活動になるのか楽しみです。
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(スタッフ着用のTシャツ)

さて今学期履修した講義について報告します。
昨年一年間と大きく違うのは、今学期の講義は全て必修講義ではなく、自分の興味ある講義です。そのため、学びのモチベーションがさらに上がります。

EDU_767__: Capstone
修士論文の講義です。主に自分で調べ、まとめ、教授に提出、確認する流れとなっています。
私の研究テーマは一言でいうと”IEP”です。
IEPとはIndidual Education Plan、つまり個別教育計画です。日本の学校にも個別教育計画はありますが、アメリカの学校にも同様の考え方があります。全学期の講義や教育実習の中で、アメリカのろう学校にはIEP Meetingというものがあり、様々な専門職がひとりの子どものために集まり、計画を作っていくという取り組みです。
子ども、保護者、教職員、カウンセラー、医療機関関係者など子どもを取り巻く様々な方々との情報交換や、統一した教育を円滑に進めるための方法を学びたい私にとって、このテーマが最適だと考えました。
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(IEP会議のイメージ)

EDU 639: Elementary School Teaching Methods in Mathematics
初等科算数指導法の講義です。学部時代にも同じ講義を取りましたが、算数を楽しく教えるために必要な知識や教材などの情報を得るために受講することにしました。教授がなんと前学期お世話になったメリーランドろう学校小学部5年生の担任の先生なので、生の情報を得ることが出来て嬉しいです。
ゲーム感覚で楽しめる様々な教材を紹介してもらいました。いくつか紹介します。

1、セブン エイト ナイン
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("7ate(8)9'"というゲーム。ウノ形式、右上にある数字を足したり引いたりした数字を出すというルール)

2、ジェンガ
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(おなじみのジェンガにかけ算を加えたゲーム。答えが当たったら自分のもの、外れたら上に重ねておく、最後に数の多い方の勝ちというルール)

EDU665: Children Literacy
絵本や児童書を分析する講義です。教授の指定する児童書だけでなく、毎回、自分のお気に入りの絵本、伝統文化の本、多様性の本など図書館などから借りて情報交換します。
驚いたことは、学校や図書館で使用することが認められない絵本が多いことです。多様性あふれるアメリカは、宗教、文化、性などに対してシビアなのです。

EDU 735: Introduction to Special Education and the IEP process
これはアメリカの教育法、個別教育計画の過程について学ぶ講義です。
ADA法やIDEA法など様々な法律が出てきますが、同級生と一緒に整理しながら理解しています。
保護者の話を聞いたり、IEP会議に参加したりもします。自分の修論と最も関係のある講義となりそうで楽しみです。

その他、学内の行事に参加しました。
AMY教授のメモリアル儀式
9月16日、教育学部のAmy教授のメモリアル儀式がありました。
ろう者であるAmy教授は、ろう教育にとってかけがえのない存在でしたが、今年の夏突然若くして亡くなられてしまいました。全米からご家族、親戚その他関係者が大勢集まり、彼女の偉大さを改めて実感しました。安らかにお眠りください。

ギャロデット大学新学長の就任式
ギャロデット大学初の女性ろう者学長。さらに彼女には奥さんがいます。
マイノリティー要素を多く持った学長ならでは。留学生にも理解があり、私たちのイベントにも顔を出して下さる素敵な方です。これからのギャロデット大学の更なる発展に期待大です。
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(昨年度の卒業生を送る会に、学長がおいでになり、お祝いの言葉を述べて下さいました)
2016年9月生活記録 第11期生 山本芙由美[2016年10月03日(Mon)]
んにちは!第11期生の山本芙由美です。

ここワシントンDCは突然、大雨が降ったりするなど、てんやわんやなお天気が続いています。さて、ギャロデット大学に入学してから約1ヶ月が過ぎました。
生活面や学業面でようやく落ち着きを取り戻した頃です。

そして、私は元気です。

まず最初に履修クラスについて報告させていただきます。

【HIS381】Gay and Lesbian History (ゲイとレズビアンの歴史)

歴史学部のクラスです。このクラスでは欧米中心にLGBTQAの歴史について学びます。歴史におけるSexuality Identity (性自認)、同性の関係、LGBTQAコミュニティの発展、LGBQAへの権利や政治運動、HIV/AIDS、Post gay Queer Identity (構造主義におけるゲイクィアアイデンティティ)について触れていきます。
古代から近世、近代、現代への時間的プロセスを読みとりながら、LGBTQAはどのように変わってきたのかを学ぶことができます。このクラスは大量の英語文献を読んで議論、レポートを書くスタイルですが、LGBTQAの歴史を学ぶことで今後の運動で何が必要かなどを客観的に考えることができます。
現在、インターセックスの歴史を学んでいますが、彼らの生きてきた時代的背景、社会システム等によっては彼ら自身を修正(手術療法)をしなければならない等、彼らの生きにくくさについて改めて勉強しているところです。

※インターセックス;外性器・内性器・内分泌系・性染色体など身体的な特徴が、男女に判別しづらい人の状態。医療的対応が必要な場合もある。当事者が知らない・知らされていない場合も少なくない。「インターセックス(半陰陽)」「性発達障害」「性分化障害」とも言われてきたが、2009年に日本小児内分泌学会は総称を「性分化疾患」と統一。一方、「性別越境者」「性を超える人」と表現する人もいる。

【COM430】Gender and Communication (ジェンダーとコミュニケーション)

このクラスは私たちが生きる社会における男/女の役割(ジェンダー)について学びます。生物学、教育、宗教、文化、家族、メディア、労働など様々な視点から、ジェンダーコミュニケーションについて調べたり、考えたりします。
現在、フェミニズムの3つの波(リベラルフェミニズム、ソーシャル/マルクス主義フェミニズム、ラジカルフェミニズム)について学んでいますが、それだけでなくセクシャリティについても取り上げられています。
議論の中で特に印象に残ったのはVisual Community(視覚的コミュニティー)である、ろうコミュニティーでその人の性自認をどう表現、他人に説明するかについてでした。現在、日本でもそのような議論があるので、それをクラスで紹介したら皆さん大変、興味を持ってくれました。
授業初日、自己紹介で先生が自分のことをレズビアンだと堂々と公言しました。これまでの留学生活で、ろう先生自身がLGBTQAだと公言するクラスを受けるのは初めてかもしれません。


【SOC250】Gender and Society  (ジェンダーと社会)

社会学的な視点からジェンダーについて学ぶクラスです。個人的レベルから政治的レベルまで、ジェンダー(男らしさ/女らしさ)がどのように形成し、社会化しているかについて学びます。
文化によって出てくるジェンダー差異という言葉もこのクラスで初めて知りました。
例えば、リオオリンピックに参加した国の中で肌を見せてはいけないという文化があったり、男女がお互いに視線を合わせたりしてはいけないという文化があったりします。また、手話通訳者派遣で同性原則の国があったりします。
先日のクラスでは、先生いわく、アメリカ手話は「Very Gender Neutral Language(ジェンダー役割においてとても中立的な言語)」だそうです。
私自身、それについてはまだ議論の余地があると感じていますが、今後のクラスでも積極的に発言して、日本の状況についても共有していきたいと思っています。

【SWK318】Human Diversity (人間の多様性)

ソーシャルワーク学部のクラスです。学生に"多様性"への意識を高めるためのクラスです。ここギャロデット大学では、人種、民族、文化、言語、セクシャリティー、実に多様なアイデンティティをもつ多くの学生が在籍しています。
このクラスを受講することで、それぞれがもつ個人的な固定概念、価値観を自分自身で分析、他者への理解が可能となります。
ディスカッション型のクラスですが、先生の授業への取り組み方や進行方法については大変、参考になっています。学生の多様なアイデンティティや背景に気を使いながら、学生の発言を促したり、丁寧に解釈しなければならないからです。
また、日本ではなかなか思いつかないこともこのクラスで知ることができました。例えば、ひとりの学生がアフリカンアメリカン、クィアゲイ、ろう、インテグレーション出身といように様々なアイデンティティをもつとします。下の画像にあるように、ひとつのカテゴリーだけでは解釈しきれません。そして、どのクラスでも"Intersecution(交差)"という言葉がよく使われていました。
アイデンティティといえば、日本では "重なる"イメージが強いのですが、"Intersection(交差)"という言葉を浸透させることで、様々な立場を可視化させることが可能になるのではと思っています。

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(多様な個人的、社会的バックグラウンド)

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(クラスで使用するテキスト;見た目だけでは判断できない、その人の文化的背景)

LGBTだより

ギャロデット大学にはLGBTQAろう学生のための"LGBTQA Resource Center"があります。そこにほぼ毎日、通い詰めている私ですが、実に多様なイベントを開催してくれています。
昼休みにお弁当を持ち寄って集まる "LGBTQA Brown Bag Lunch"で様々なトピックについてのディスカッションをしたり、LGBTQAについて活動する学生のためのセルフケアについて学ぶワークショップがあったりと、内容がとても充実しています。
センターのコーディネーターであるCaraさんは私と同じQueerでアクティブな人です。

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("LGBTQA Brown Bag Lunch"のチラシ;この日のトピックはバイセクシャルについてでした)

そして、今年8月、Caraさんを含めた関係者の熱心な取り組みのおかげで、学内に"All Gender Restroom(全てのジェンダーのためのトイレ)"の配置が実現しました。まだ数に限りがあるものの、学内のすべてのトイレに配置実現を目指したいということでした。

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"All Gender Restroom(全てのジェンダーのためのトイレ)"

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(LGBTQA Resource Centerが無料配布している虹色キーホルダー;通学のお友になってくれています)

そして、先日9月30日、ギャロデット大学で新学長の就任式が執り行われました。
Roberta "Bobbi" Cordano氏がこれまでの学長で初めてのろう女性です。そして、参列者の中には彼女のパートナーや子どもがいました。演説の中でパートナーのことを堂々と"wife(妻)"と表現したり、紹介する姿には、とてもインスピレーションを感じました。

ギャロデット大学を含め、これからの米国ろうコミュニティの変化が楽しみです。

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(キャットシッターを頼まれた友達の家猫 "Kimiko"さんと)


2016年9月 生活記録 【第12期生 西 雄也】[2016年10月01日(Sat)]
◆オリエンテーション・秋学期スタート!
8月24日にオリエンテーションが行われ、今年度入学したろう学生は約40名でした。国際ろう留学生は日本、モンゴル、インド、イラク、フィリピン、メキシコから入学していました。既に在学しているろう学生の中にもタイ、韓国、アフリカなどの学生が在籍しているので、これから色々な国の人達と異文化交流ができることが楽しみな気持ちで一杯です。オリエンテーションでは、それぞれの新入生から自己紹介や講師からオーロニ大学の紹介・概要、先輩からのアドバイス、オーロニ大学内に在籍している警察から不審者(銃を持った人)対策のムービーを上映した上での説明が行われました。
8月29日に秋学期がスタートした時からは、これまで人気が少なかった大学内は、一斉に活気づいてきました。

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↑ オリエンテーション

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↑ 今年度の新ろう留学生と(許可頂いてます)


◆履修クラス
私が秋学期に履修したクラスは下記の通りです。大学進学を目指すクラスがほとんどであり、全てろう学生のみ履修しているクラスです。

DEAF-175A Grammar
文法の基礎や構図を学ぶという内容であり、文法の意味や英語の使用に焦点を当て、適切に文法構造を学んで行くことを目指しています。クラスが開始してからは、Diagramming Sentencesという英語の文章をあるシステムの図表を用いて分析していきました。この方法は日本では見たことがない方法でしたが、わかりやすい内容でした。その後はbe動詞や一般動詞の基本などを学んでいるので、中・高で勉強したことを思い出しながら取り組んでいます。

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↑ Diagramming Sentences

DEAF-189A Reading
このクラスは履修する生徒数が多く、約25名以上もいる為、部屋が ぎゅうぎゅう詰めの状態です。それでもなんとかクラスを進めることができています。講義の内容はレベルの高い語彙を文例を通じて理解したり、英文のパラグラフの構成を理解するために主にTopic(何を論じるか)やMain idea(文の中心となる考え方)などを用い、どの様な場面や文章に適しているかを考え、効果的に解読するにはどうしたら良いかを学んでいくクラスです。またそれぞれ割り当てられたグループを作り、そのグループで一つの単語を分析し、みんなの前で発表することや、クイズゲーム形式で問題を解いていくということも行われました。

DEAF-188A Writing
主にエッセイの書き方を学ぶ内容であり、読んでいる本の内容を理解し、クラスメイト同士でグループワークを行う取り組みをしています。このクラスでは、『Letters My Mother Never Read』(Jerri Diane Sueck)という本を活用し、エッセイを書いています。この本は8才で母を火事で亡くし、母に対する想いを込めた手紙の内容や、家庭の問題や自分自身の生い立ちや生き様を綴った、筆者自身のストーリーであり、悲しい内容です。宿題はというと、次回の講義までに何ページから何ページまで読むという課題が出され、それに対してエッセイを書き出していきます。全部で15ページだとしても私自身の語彙力、英語力がまだまだであるという課題があり、解読するのにかなりの時間を費やしています。

DEAF-161-01 Deaf Community
基本的な流れはASLの小テストやテーマに沿った英語の小テストや『Deaf Culture-Our Way』という本を用いての英文の解読、ろう文化(ろう者が制作した作品や活動しているスポーツなどの紹介)について幅広く学んでいます。そして、「デフコミュニティ・ろう文化」に関してなのか、時々それぞれの学生たちが前に出てテーマ(例:年齢順、身長順、アメリカから遠く離れている国の順など)に基づいてコミュニケーションを交わしながら、順番に並んでいくという、ゲーム形式の様に楽しむことができています。たまたまですが、このクラスは手話通訳養成クラスの時間が重なっている為、時々そのクラスの人達と交流する機会もあり、楽しむ事ができています。更に今後講義の内容に含まれているろう者に関する施設、公共機関などを見学する企画があるので、楽しみにしています。



↑↑講義の中で紹介いただいた、デフキャンプの為にニューヨークへ集まった学生たちが制作した作品です。プロモーションビデオを意識して作られた手話で表現した音楽の動画はなかなか斬新的でした。

DEAF311 Deaf Culture (聴講生として参加)
このクラスはろう学生のみ履修できるというクラスです。なぜなら、ろう文化と聴者の文化は違う。ろう文化とは何かを研鑽していくことが目的であり、Tom先生自身が出版した『DEAF CULTURE』の本も取り入れながら、ディスカッション形式で、ろう文化について議論を深めていきます。「文化」とは何か?「ろう文化」はどうやって身に付くものなのか?「文化」の原点は抑圧や強制されて創るものではなく、その人が持って生まれたものや環境、生活などによって自然に身に付くことであるなど「ADA法」のことも取り入れながらの議論が交わされ、それぞれの意見が奥深いものであると感じました。


◆秋学期が開始して…
秋学期が開始してから一ヶ月が過ぎようとしています。日本の大学とは違って、毎回多くの課題が出され、それに追われながらも週末は友人と食事をしたり、近くの場所へ観光をするなどの息抜きをし、心身ともにバランスをとったりしています。課題については、済ませるのに多くの時間を要しますが楽しむ気持ちも持ちながら取り組んでいます。またアメリカならでのディスカッションやディベートが体験できていることは、日本とは違った内容・雰囲気を味わうことができているので、貴重な体験ができています。
現在、わからない英単語を日本語で調べることに頼ることが多く、一刻も早く英語力を身に付けるには英語で英語を理解していく必要があるので、英英辞典で調べる習慣をつけていきたいと思っています。