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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2016年2月生活記録 第9期生 福田桂[2016年03月30日(Wed)]
 
International Visiting Student Program改め
International Special Student Program生として第2学期目(春学期)を迎えた。

留学生活上最悪のスタート...

 1年間の休学を経て復学した今学期は、
渡米日の少し前から軽い風邪を引き、アメリカへ向かう飛行機内ではゴホン、ゴホンと咳をしたので、他の乗客にたくさんの迷惑をかけたかもしれない。ごめんなさい...
 到着後にも咳の症状は治まらず、学期初のクラスも欠席してしまうほど、丸一週間38度の発熱が続いた。病院へ行って処方してもらった薬は数日間でやめ、日本財団が実施している電話リレーサービス(制度化を目指し現在進行中)の利用を通して、日本のかかりつけの医院と家族に緊急でお願いした日本の薬が届いてから飲んで、おかげさまですぐに回復できた。
以前、日本人の元ルームメイトが現地の内用薬を飲んだ時、薬が強すぎて体質に合わなかったのか何度も嘔吐するなどあまりにもひどい様子だったのと彼女の世話をした記憶があるので、アメリカの薬は絶対飲みたくないと思った。

 さて、春学期の履修クラスです。

 自分の留学テーマに関する専攻はなく、事実上、特別学生なので専攻でなくても自分が学びたいと思っている分野のコースを選択することが可能になっている。
 実は、どうしても履修したい他のコースがあったが、私は英語が必須受講の為、クラススケジュールの関係上、複数のコースとの組み合わせが難しく、クラスの登録完了をするのに渡米直前まで時間がかかった。私の準備不足だ。

1.英語 Reading & Writing
 前学期に続き、必須受講のクラスです。悪天候による数回の休講、また、途中で先生の変更により一時中断し、本格的な授業は2月に入ってからになった。
 今月はオバマ大統領の物語「A Dream Fulfilled」の本を読んだ。オバマ大統領の少年時代、家族、大統領になるまでの経緯、彼のこれまでの人生を綴った本である。クラスで議論する予定だったが、先生の指導方針によりなくなった。興味深い本だったのに残念。一方で、ライティングは宿題してきたいくつかの語彙を学生同士で議論し、最終的に答え合わせをするなどの方法で進めた。

2. 【INT 101】通訳学入門
 通訳学の基礎を学ぶ。
 「What is interpreting? (通訳とは何か?)」
通訳は手話通訳、音声通訳等があるが、通訳の目的はビジネスで行うものではなく、利用者に理解してもらうための義務がある。通訳のチームは2人態勢で行うので共同作業となり情報やアイデアを共有しなければならない。
 ろう通訳者の業務と役割
ろう者の通訳は有資格(Certified Deaf Interpreter)と無資格(Deaf Interpreter)の2種類。全米手話通訳者登録協会で聴者の通訳者と同様に認定試験を合格し通訳士として活動できるが、全米ではDeaf Interpreterの方が注目されている。業務的に日本で活躍されている盲ろう者通訳と共通点がある。そして、国立通訳者教育センター協会(National Consortium of Interpreter Education Center)や普段利用しているキャンパス内の通訳サービス(Gallaudet Interpreting Services)の紹介があった。
National Consortium of Interpreter Education Center(NCIEC)
http://www.interpretereducation.org/
Gallaudet Interpreting Services (GIS)
http://www.gallaudet.edu/gis.html

3. 【ITS 101】情報技術 - コンピューター・アプリケーションT
 昨年、全国盲ろう者協会主催の盲ろう者向け指導者研修会で受講して感じたことがある。盲ろう者の生活ではITが普及し、パソコンを習得している当事者は増加しているが、Windowsの進化により不慣れな方が多く、盲ろうのインストラクター不足等、課題の残る現状にある。パソコン基礎操作を習得し、就職に活用できるまでの支援が将来的にあればと考えた。
 最新のMicrosoft Office2013を活用し、 一般的にWord(ワープロ)、エクセル(表計算)、アクセス(データベース)、およびPowerPoint(プレゼンテーション)を学ぶ。

4. 【LIN 101】言語学 - 手話と手話のシステム
 言語学入門のクラスである。
 言語学は苦手な分野だが、履修したい理由があった。全米やシアトルの盲ろう者のコミュニティを研究し、触手話及びプロ・タクタイル(Pro-Tactile)を主に言語的に研究中のTerra Edwards先生で盲ろう者の中では有名な方である。以前から習得中の触手話に大変興味があるので、先生が教楩を執っているクラスで触手話において何らかを学び得ればと思っている。
 言語学の主要な特徴として、一般的にアメリカで使用されている手話言語や手話システムで構成、手話及びバリエーションをいくつか紹介している。今学期は言語、言語と文化、アメリカ手話の構造、言語バリエーションを学ぶ。

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1月大雪の時、寮の4階から撮った写真(左:昼間、右:夜間)

2月12日、OSWD(障がいを持つ学生)のミーティングに参加

 議題:「Inclement Weather and Accessibility Challenges」
       (悪天候とアクセシビリティの課題)

 ニュースでご存じと思うが1月末の週末はワシントンDCでは大寒波が襲来し、一時的停電になった。電力停止した一部の寮は使用できないので、夕方になると学長の指示を従って、キャンパス内のホテルの大広間へ避難。半日で復旧したので、深夜中に帰宅できたが、例年のない事件で寮生たちは終日大混乱だった。
 そんな出来事があり、OSWDでは過去に例のないミーティングをした。
ある車椅子使用の学生は積雪の為、外出移動ができず、また1人部屋だった盲ろう学生も情報がなく、夜には動けず布団に包まって過ごした方も何人かいたようです。寮のスタッフやキャンパス警察からの連絡がなかった事等、対応方があまりにもひどく、不満を抱え感情的になった方々は怒り心頭に発し、緊急のミーティングを行ったのであった。最終的には今後の対策や対応方について議論した。
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〈ミーティングの様子〉
【自己紹介】 12期生 福島愛未[2016年03月29日(Tue)]



みなさんこんにちは
初めまして
12期生の福島愛未です。

先日、筑波技術大学を卒業しました。
専攻は、建築です。

日本では聴覚障害者の体に合わせた空間が少ないです。
一般的に聴覚障害者の家やろう学校は聴者の空間をベースにしており、
そこにお知らせランプなど情報機器を設置することが多いです。

しかしアメリカでは聴覚障害者の体、文化に合わせた空間作りの
研究(デフスペースデザイン)が進められています。

アメリカに留学するにあたって
聴覚障害者が快適かつ安全に過ごせるよう、デフスペースを学びたいです。

みなさん、今後とも応援・御協力よろしくお願いします。

第12期生の西です。[2016年03月28日(Mon)]



こんにちは。
12期生の西雄也と申します。

私の目標はデフアートの魅力や意義を教育現場等で伝える事です。
留学先では主にデフアートの教育方法を学びたいと思っています。

現在、仕事と両立しながら、留学の準備を進めています。
英語については自分の興味あるテーマをとりあげ、文章を繰り返し読み、過去に学んだことを思い出しながら読んだりしています。
まだまだ心配な事はありますが、頑張って勉強していきます。

皆さん、今後も応援、ご支援の方どうぞよろしくお願いします。
2016年2月生活記録 第7期生 中川美幸[2016年03月24日(Thu)]
2月といえば、バレンタインデーですよね。私は、大好きな友達から手作りの抹茶チョコレートを貰いました。お礼に手紙と一緒にバラを渡したら、早速部屋に飾ってくれました。
縮小 ユーダン チョコレート.jpeg

講義
☆ EDU633 Language Arts in Elementary Education 小学校の英語
小学校で読み書きをどうやって進めていくか、色々話し合い、意見を出しあったりしています。このクラスはテキストを2冊読まないと進められないので、互いに読み込んでいます。実習でもこのテキストでも大切なことは全て重なり合っています。例えば、この本では「生徒の興味を大切にして欲しい」と述べているのですが、今までの実習でも生徒が興味を持ったら、それを活用することを学びました。更に、テキストの中でも「生徒だけでなく、自分も」と繰り返しています。それは、ケンダル聾学校の先生も言っていたことなのです。「私たちは教えるだけではない。私たちは生徒たちから学び、彼らと共に伸びていく」と言いました。本当に多くのことを考えさせられたクラスです。

縮小 アミークラス 小学校の国語.jpeg
小学校の英語 −読み書きについてー

☆ EDU793 教育実習 Practicum
残念ながら実習先がまだ決定していません。けれども、卒論の発表で多々変更があり、ずっと悪戦苦闘していたので、実習が始まらない分、卒論の発表に集中出来て良かったです。

☆ EDU799 卒論実習
卒論プロジェクトを仕上げるために、自分の手でE-bookを作るべきだという大学院の卒論委員会からの提案により、実習の中で、E-bookを作成することになりました。まず、早速日本語翻訳を済ませた後は、聾学校の教員や手話の先生、テレビの手話キャスターなど様々なろう者の方に手話翻訳をお願いして、データ集めです。これは多くの方の協力無しではやっていけないということを改めて実感しました。
縮小 もでる.png
聾学校の教員にも協力して頂きました。

縮小 日本手話の練習.jpeg
色々な手話を見て、自分でも表現の練習です★

★ 卒論★
私の卒業プロジェクト(capstone)決行からあっという間にもう2ヶ月経ちました。教育関連会議で発表するための予稿が採用され、3月の発表まで毎日複数の教授と話し合い、原稿を修正してはまた修正。3月の発表のことは後ほど載せたいと思います。

★ 仲間たちの温かい支え★
実習がまだ始まらない、卒論の発表があと少しなのに全然進まないなど、ずっとストレスが溜まりに溜まっていたのですが、大切な友人たちが食事を作ってくれたり、プレゼントを送ってくれたりしました!!彼らの支えは、本当に私の大学院生活を支えています。彼らがいなかったら私は生きていけなかったのだろうと思います。

友達がつくってくれた夜食
縮小 Saudi Arabia ごはん.jpeg

外国の友人が送ってくれたお茶
縮小 あるだからお茶.jpeg

★ 番外編 ★ 
−交通事故後の手話通訳手配− 
2月、タクシーに乗っていて交通事故に遭いました。相手の車が私たちの車に突っ込んで、私も頭と首をぶつけたのです。その際、警察との話し合いの場に手話通訳者を呼んでくれなかったことにすごく腹がたちました。交通事故にあった後、警察官がiPadを持って来て、テレビ電話出来ると言ったので、すごく嬉しかったのですが、実際にテレビ電話の手話通訳者に向かって事故の状況を色々説明しても、スムーズに話が通じません。画面上の私の顔が暗いし、wifiがなかなか繋がらないのですぐ切れてしまいます。日本ではすぐに手話通訳者が来るので、日本は恵まれているのだということに気づかされた瞬間でした。病院でも、8箇所くらいで実際に手話通訳者を手配して欲しいとお願いしたのですが、無理だと言われました。「病院にはテレビ電話がありますよ。」という答えでしたが、私としては、事故の際の手話通訳がとても良くなかったので、手話通訳者の派遣を手配して欲しいとあちこち電話して、やっと最後の某病院で「明日手話通訳者を手配します」と対応してくれました。多くの病院では、手話通訳者の派遣を依頼せず、テレビ電話で済ませようとしている合理的な対応が増えているようなので、日本でもこのようなことにならないよう、バランスを考える必要があるかと思いました。例えば、田舎の方では、緊急の場合もあるので、テレビ電話の方が助かるかもしれませんが、都会では手話通訳者を呼ぶことも出来るのではないかと思いました。
縮小 事故のあとの手話通訳最悪.jpeg

交通事故の後の手話通訳(テレビ電話)
2016年2月生活記録 第10期生 山本綾乃[2016年03月23日(Wed)]
は なぜ尊いのだろう。
今月は命についてじっくり考えさせられた月でした。
(その理由は一番下にあります)
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(ギャロデット大学の仲間たち)

アセスメントクラス
誰でも試験を受ける時は緊張します。その緊張を少しでもほぐす方法は何かを考えました。試験前に復習する、体を動かす、良いにおいをかいでリラックする、など様々な意見が出ました。また、100マス計算で時間を計ることに賛成か?という議題も出ました。Yes. 競争社会の中で生きるためには、頭の回転を速くする必要がある、No. 緊張で本来の力が出せない、時間に余裕をもって取り組ませるべき。などと様々な意見が出ました。さてみなさんはいかがでしょうか。


言語獲得クラス
脳の仕組みについて学びました。なぜ早期教育が大切なのか。人間の脳は、3歳程度で大人の脳と同じように出来上がってしまいます。そのため、ろう児が言語獲得の基礎を身に付けるためには、早期から視覚的な環境を整える必要があります。
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教育実習
3月21日からメリーランドろう学校フレッデリック校、幼稚部で教育実習が始まります。この学校は、カリフォルニアろう学校と同様にバイリンガル教育に力を入れている学校です。書類や指紋審査などで時間が大幅にかかってしまいましたが、ようやくアメリカの教育現場を直に経験できるのだと今からわくわくです。
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(お世話になるろう学校の看板)

スキー
ギャロデット大学のみんなでスキーへ行きました。
ギャロデットのバスに乗って、スキー場へ行き、3時間ほど滑りました。アメリカの上級者コースは、予想以上に急だったのと雪質がさらさらしていて、滑るのに一苦労しました。それもまた良い思い出です。


日本手話ワークショップ
言語学学部のアンナさんの修論研究協力として、みゆきさん、いずみさんと一緒にギャロデット大学で日本手話ワークショップを開催しました。
学生や外部の方々から大好評で、募集をしてから二日間で定員を超えました。参加希望者が予想を大幅に超えたため、参加者の枠を20人ほど増やし、計50人が集まる貴重な時間となりました。また次回も開催してほしいとの声も頂いたので、ぜひ実現したいです。
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(宣伝ポスター)

アクシデント
人生で初めて、自動車との接触事故を起こしてしまいました。怪我はそれほどひどくありませんでしたが、一週間ほど心理的ダメージを受けました。日常ごく当たり前のようにニュースで見ている交通事故。自分の身にも起きたことが今でも信じられませんが、生きていることに感謝。勉強できることに感謝。明日があることに感謝です。改めて命の大切さを学ぶことができました。多くの友達や先輩方に支えられながら乗り越えることができました。今後さらに気をつけて行動したいと思います。
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(澄み渡った青空と白い雲が私を励ましてくれる)
2016年2月生活記録 第10期生 辻功一[2016年03月16日(Wed)]

こんにちは、今日も生きています。
10期生の辻 功一です。

ふふふふふ、、、日本に帰ったら日本の友人がなにそれ!アメリカでなにしてたんだ!と目を白黒させるのを妄想しながら、ほぼ毎日、例のジムで秘密特訓中です。何の特訓かは、先ほど申したように秘密です。

可愛らしい家
<どっかの童話にありそうな可愛らしい家>

さて、今月の生活記録では今学期の受講クラスの説明をしたいと思います。

ACCT 201 (Intro to Financial Accounting)
いわゆる日本でいう「会計」のクラスですが、このクラスが非常にややこしくて単語からルールまで全てが複雑でチンプンカンプン。
たまらずKindleで日本語の会計入門的な本を探してダウンロードして読んでみたのですが、日本語でさえ微妙に意味がわからないという・・・。
誰だよこの謎かけ問題作ったのは・・とぶつぶつ呟きながら、それでもホームワークや会計専門の個別指導を通して少しずつ理解しています。
教授から聞いたのですが、アメリカ流の会計を学ぶために遥々日本からきた留学生がいて、かなり上の領域にいっているそうです。それを聞いて励みになりました。

ECON 102 (Principles of Macro Analysis)
「マクロ経済学」つまり国家や国民、市場といった大きな視点から経済のメカニズムを理解するものです。知っているようで知らなかったことも結構あって楽しみながら授業を受けています。教授がパキスタンからの移民で、アメリカ経済を客観的に見ていて時たま辛辣なコメントも出てきます。
余談ですが、アメリカの場合GDPやGNIは常に世界上位にあるのにどうして貧しい人が増え続けているのかという質問に、僕が「1%」と答えた流れで、教授が1%について知っている人はいるかと生徒たちに尋ねたところ、約100人中ほぼ全ての生徒が知らなくて、急遽授業内容を変更して2日にわたり1%についての講義になりました。
この教授は理路整然と解説するのでオーロニ大学のベネットウォーカー教授(詳しくは2015年5月の生活記録)と同様、好きな教授の一人です。

ENGL 130EI (Academic Writing)
ENGL 030E (Writing Workshop)
前学期に続き「英語」クラスを受講しています。今学期のクラスはさらに踏み込んだ、いわゆる大学レベルの英語になります。とはいっても留学生のためのクラスで、前学期に引き続き同じ教授に指導頂いています。
留学生じゃない方(ま、アメリカ国籍ってことになりますが)のクラスとの違いは、多分、生徒数の違いかなと思います。あちらのクラスは1クラス100人に対し、こちらのクラスは40人位です。中東、アジア、ヨーロッパなど様々な国の生徒がいて、文化の違いなど色々な話が聞けて楽しいです。ホームワークはしんどいですが。

HIST 130 (United States History)
「アメリカ歴史」・・・。いや、決して興味がない訳ではないんですが、アメリカ歴史を学ぶ時間や暗記に費やす脳のメモリがあるんなら、先述の会計の単語のひとつでも覚えたいなというのが本音ですけども。こちらのクラスはいわゆるGE(一般教育)で、卒業するためには避けて通れない道なのです。
それにしても、(昔の)アメリカ人の極悪非道っぷりには・・・さすがに辟易します。ただ、あくまでも僕の意見ですが、アメリカ人のこの我の強さが転じて、マイノリティもマジョリティと対等に渡り合えるからこそ、いまのアメリカ聾者の地位があったりするのかなと僕は思います。それに引き換え日本は我を殺す美徳みたいなのがあるじゃないですか。それはそれで文化に適応した素晴らしい考えだとは思うのですが、どうしてもマイノリティの立場は弱くなるのかなと思いました。

MATH 105 (Statistics)
「数学」ですよ!いや、何年振りの数学だろ・・・。元々、僕は数学は英語に次いで絶対に人生に必要のない知識だ!と断定していた位の大嫌いでして、何の因果か、英語と数学を今になってここで再び勉強するはめになるとは。ただし正確にいうとこのクラスは「統計」で、数学とは似て非なるものです。教授の「数学と統計の違いは?」の質問に僕が「数学は完全な答えを求めるが、統計はおおよその傾向を求める」と答えたところ、教授はブルブル震えながら「それがパーフェクトな答えだ!」と叫んだのが、今思い出しても笑えます。
ともかく、人生にとって必要のない知識だという考えを改めながら日々、数学を学んでいます。

1%
<これもいわゆる1%ってやつですね(笑)>

ところでメインストリーム学級では本当に通訳の質が教授の質より大事で、通訳の質が悪ければ、いくら素晴らしい講義でも半分も理解できないまま終わってしまう可能性があります。通訳の質というのはいかに英語の文法をASL(アメリカ手話)の文法に置き換えるかという点にあると僕は思います。(あくまでも僕のASLスキルからの観点ですよ〜!)
ASL通訳と言えば、英語をアメリカのサインに置き換えるのは当然ですが、それだけではあくまでもサインであって、まだ手話になってないんですよね。アメリカ手話の文法に置き換えて、初めてASL通訳になると思うのですよ。
だって想像してみてください。例えば映画で英語を日本語の単語に置き換えて、文法は英語のままってありますか?ありませんよね。それと一緒でやはり手話も文法(それだけじゃなく色々必要な要素はありますが)も含めて翻訳してこそ通訳と言えるのですよね。
でも言葉に表すのは簡単ですが、実際通訳するとなるとやはり難しくて、ましてやアカデミックとかになるとそれなりの知識が必要になります。(教授の解説を完全に理解してる上で先読みする必要があるため)
そういう意味で僕は通訳の質というのに非常に敏感になっています。通訳の質に関してはできるだけ積極的に口出しし、こういうのもおこがましいのですが、通訳者さんと一緒に成長するという気持ちでいます。(これこそアメリカ人的な我の強さですかね?いや違いますよね、もはや聾者の義務でもあると思うんです)

以上です。
日本ASL協会から8,188km離れたカリフォルニア州立大学 チコ校からの報告でした。ありがとうございました。
今月のコロンブス

座礁したためお休みです

2016年度2月生活記録 第11期生【牧谷陽平】[2016年03月14日(Mon)]
1月末は気温が20度越え,2月末は15度を下回る日があり,暑いのか寒いのか分からない日々が続いています。ここCalifornia州は過去4年間,水不足でしたが去年秋からは雨がたくさん降っています。2月末〜3月頭にかけては,2週間のうち雨が降らなかった日はたったの5日間でした。山の色が緑になる期間が延長される?ことができることを期待しています。
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≪さき: 2月頭の Fremont はとても暖かかった。20度を超える日があって半袖でも外出できた≫
≪あと: 2月中旬に遠隔指導で Washington D.C. に行ったときは70年に1度の寒波が来ていて氷点下10度以下になりました≫
この2枚の写真,気温の差が30度以上もあります


2016年春学期は5つのクラスをとることにしました。
3つは2015年秋学期に引き続きとることにした英語で,
残りの2つは自分の専門への入門としてとりました。

1. Grammar(文法)

秋学期の続きです。春学期が始まってからほぼ1か月,"Noun Clauses" [名詞節]をしました。
たとえば,

【1】
通常の疑問文で
「いつ彼が来るの」は
When does he come?
ですが,この文頭に「私は知らない」=I don't know を加えた文
「私はいつ彼が来るのか知らない」は
I don't know when he comes.
とwhen以降の節の語順が疑問文でなくて通常の文と同じ順序になること

【2】
Quoted Speech(日本の英語教育でいう「話法」)
「彼は '父に会う' と言っていた」
He said, "I will meet my father."
これを " " なしの文に変えると " " の中の人物の語が変わります
この場合,"I" は「彼」のことなので he,
"my father" は「彼の父」なので his father となりますから,
文を書き換えると
He said that he would meet his father.
※ that は that 以降の文のことをさし,will が would(過去形) になっているのは
彼が会う予定である(will),と言っていることが,
過去になった(彼が言った) ので would を使用します。

この2つのことを1か月間,みっちりと学習しました。日本でももう少し時間をとって,
【和訳なしで】問題演習をたくさん繰り返していけば,日本からの留学生も2倍,3倍になるのだと思いますがね(もちろん問題集もアメリカのものを使うことで)


2. Reading(読解)

このクラスも秋学期に引き続き,あの分厚い本を読んで,内容を把握するということを引き続きしました。文を読むときに大事なことは

「本題がどこにあるか」

「本題の根拠になっている一般的な考え方はどこか」

「一般的な考え方の,具体的な例やデータは何を言ってるか」

これを常に意識して,段落の内容を要約して,それができたら
長文(3段落以上 = A4判の紙1ページ以上)を読む練習をしました。


3. Writing(記述・エッセイ)

このクラスは
Narrative of the Life of Frederick Douglass
という,黒人の Frederick Douglass が自分で経験したことをつづった本を読み,
それをまとめていくというクラスです。
19世紀はアメリカ南部で黒人差別がされてきた時代で,
農場の持ち主であるマスターと奴隷との間に生まれた子どもはみな黒人とみなされ,
一生その子どもは奴隷としての人生を歩んでいくことや,
奴隷たちがちょっとのミスをしたり,
マスターの気に入らなかったことをしたりすると,
むち打ちにされてしまう様子が具体的に書かれています:

Hester は Douglass のおばであり,ほかの農場にいる黒人奴隷の Ned と恋に落ち,
二人っきりでデートしているところをマスターに見つかると,
マスターは Hester を台所に連れていき,その手を太いロープで結び,天井にあるフックに結び付け,彼女をむち打ちにし始めた。"After rolling up his sleeves, he began to beat her with the heavy whip, and soon the warm red blood came dripping to the floor." (Douglass 7)
「彼(マスター)が服の袖をまくりあげ,重い鞭で彼女を打ち始めた。するとすぐに,あたたかいい血が床に始めた。」

具体的に描かれていて,情景を思い浮かべることができる人にとっては,想像もしたくないことでしょう。
先生がクラス内でマスターの演技をするのですが,先生が白人であることから,その情景はまるで差別時代を再現しているかのようでした。
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≪クラスで使っている Frederick Douglass 自伝の本。市販されている本で難しい個所を少し変えてくれているので読みやすくなっていますが,私にとってはまだまだですね≫

4. Educating the Deaf (ろう教育)

現在のアメリカのろう教育のクラスです。聴者が15人程度,ろうは5,6人です,現場のことをたくさん話してこれからどうしていけばいいのかを議論していくクラスかと思ったのですが,法律,法律,歴史,歴史,・・・・とカタい話ばっかりなのでがっかりしています。
ときどき,ろう教育を左右する大きな出来事が出てくるのですがそれには食いついています。



5. Introduction to Multimedia (マルチメディア入門)

このクラスはとろうかどうか迷ったのですが,私のこれから極めていく専門として,Multimediaがどのようなものであるかを知るためにとりました。このクラスは3時間のクラスなのですが,今のところほとんど,演習のクラスです。Adobe Photo Shop を基本として使用して,写真の加工・合成から GIF のようなアニメーション作成までします。
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≪Multimediaのクラス。先生は中東アジア圏の人で,英語は第2か国語だからうまくしゃべれないと先生は言っていましたが,クラスをするぐらいだから英語は喋れると思うんですがね≫

もう少しで春学期も折り返し地点。英語の先生にたくさん質問できるうちに英語をたくさん勉強していきます。

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≪さき: 2月頭に友人の家で旧正月のパーティーに誘われました。おいしかったです≫
≪あと: 2月中頃にサンフランシスコに行ったとき,たまたま中国の旧正月のパレードに遭遇。
2016年2月生活記録 第11期生 山本芙由美[2016年03月08日(Tue)]
んにちは!
自宅の近くにあるMIssion Blvd通りにある桜の木が綺麗なピンクの花を咲き始めています。
日本の春を思い出しながら通学を楽しんでいます。

さて、春学期ではReading、Writing、Grammar、Deaf Education、Counseling of Deafなど合わせて5つのクラスを登録しています。
私自身、普段から、ろうLGBTへの相談業務が多いのでCounseling of Deafを受講していますが、カウンセラーとしての自覚、クライアントとの関係性、カウンセリングの訓練など、どれもためになる内容ばかりで毎回、目から鱗です。
受講生が全員ろう者で、中にはろう学校の先生、カウンセラーなど様々な職業、年齢の方が受講されています。様々な視点から経験を語り合う、このクラスには何か特別なものを感じながら参加しています。

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(トム先生とのカウンセリング訓練の風景)

去る2月13日、ソーシャルワークを専門とするMR. ERNEST E. GARRETT V氏(アーネスト・ギャレット・三世)の講演を聴くため、ワシントンD.C.にあるGallaudet Universityへ向かいました。

私自身、Gallaudet Universityに足を踏み入れるのは初めてのことで、
アメリカ手話を第一言語とする、ろう者のための大学というようにその規模の大きさ、キャンパスの広さに脱帽しました。
カリフォルニアとはひと味ちがう景色を楽しむことができました。

さて、ギャレット氏からは、「自己管理と自己責任:責任はあなた次第!」「「25年後のADA法、黒人ろうリーダーの見解」についてお話を聞くことができました。最初のテーマについては、日本でろうLGBTの活動をしてきた私にとって関わりの深い内容で、いろいろ考えさせてくれるものがありました。人を支援することは簡単ですが、(そうでない人もいますが)自分自身を支援するのはなかなか難しいことです。
最近、日本でも少しずつ広まってきているようですが、アメリカでは”Supervisor”という存在が重要視されています。Supervisorというのは、相談者が関わる分野において、第三者の視点から意見・アドバイスを提供する者のことです。彼らに話を聞いてもらうことによって具体的な方向性が見いだせるとのことです。私自身も機会があれば積極的に利用したいです。

また、翌日14日は留学生仲間からのお誘いを受けて、Gallaudet Universityから車で20分ほどのところにあるAmerican University主催の 「AMERICAN UNIVERSITY CONFERENCE ON LAVENDER LANGUAGE AND LINGUISTICS」(アメリカ大学ラベンダー言語と言語学)という勉強会に参加してきました。

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(とてもアカデミックなセッションでした)

私自身、「LANGUAGE AND SEXUALITY IN FRENCH AND FRANCOPHONE CULTURES」(フランス語とフランス語圏文化における言語とセクシャリティ)というセッションに参加しました。その中で、様々な報告があり、私自身、一番関心を持ったのが Prade,Fleur氏からの報告 (Central Oregon Community College) "le Deuxieme Sexe ;" The rise of women in positions of power, a problem of linguistic identity for French (フランスにおける言語アイデンティティの問題としての女性の権利向上と位置づけ)でした。
フランス語には男性名詞と女性名詞があることで知られていますが、そこには女性蔑視としての意味が含まれていたり、男女役割(Gender)の押しつけ、どちらの性にもあてはまらない人たちはどのような使い方をされるのだろうといった内容でした。
日本手話にも男性/女性を区別するための手話単語がありますが、世界ではフランスのように男性名詞/女性名詞が今でも使われている国があります。ことばも時代に合わせて変化します。時代の変化にどう対応、方向性について、関心深い報告を聞くことが出来ました。

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(セクシャリティ言語学という学会誌も出版されています)

翌日にはニューヨークにいる友人に会いにいきました。有名なタイムズスクエア、Musiam of SEXというところにも行きました。

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短期間での出張でしたが、フリーモントに戻った後は改めて英語の勉強に励もうという気持ちになりました。多くの出会いに感謝です。


それでは、また。