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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2015年3月生活記録 第9期生 瀧澤泉[2015年04月26日(Sun)]
3月中間までは雪が降ったり寒かったりして厚めのコートを着て過ごしましたが、だんだんあたたかくなり、薄めの上着で十分に心地よく生活しています。
春休みもあり、息抜きに旅行に行ったり、実家に帰る学生たちが何人かいました。

英語(English)クラス

3月中間から「We Beat the Street」という小説を読み始めました。その小説はNewarkという町に麻薬、覚せい剤などの販売者が多くいる中、黒人の3人が育てられました。その3人は医者になることを目指し、互いに支えあいながら夢を達成したという実話です。少年3人は若い間、違反行為により刑務所に入られた経験があったが、幸いにも家族や友人の支えにより夢の道に進むことができたということです。
アメリカ生活の中でやっとその小説に関心を持ち読む機会を得られました。
他にCloze(クイズ)、ボキャブラリー、要約、エッセイなど多くの課題にクラスメイトと協力しながら理解力をあげていきます。


家族、子供、コミュニティ(Family, Child, and Community)クラス

➢ 学校の教師とソーシャルワーカーの関係者との関わり方
今回は子どもと学校の教師やソーシャルワーカーの関係者との関わり方について、クラスメイトとチームを組んで議論しあいながら学びました。学校で一人一人の子どもに関わる時間が限られており、問題を解決するのに苦労することが多いため、社会福祉事業、心理学者、学校カウンセリング、チームリーダー等の対応によって、子どもの行動や発達を分析し、教師や親にアドバイスや提案を挙げることがあります。
学校だけではなく、福祉関係とのつながりで子どもの成長や環境対応ができることで生活の展開ができるのだと考えられます。

➢ 教える指示 VS 学ぶ指示について
上記の教師や社会福祉関係者と関わる時に5つの仕組みを認識する必要があります。要するに教育や子どもの成長などの目標に合った計画表みたいなものです。計画表が決まり次第、教えたり、行動を分析したりすることで新たな発見をすることができます。発見した面を次回にどう活かせるのかを考えるという意味で「教える指示 VS 学ぶ指示」ということです。
1.Structure (構造・骨組み)
2.Management (経営)
3.Curriculum (カリキュラム・教科)
4.Motivation (モチベーション)
5.Method (方法・手段)

教師の経験話によると、ある聾学校にASL(アメリカ手話)を、なかなか覚えられない、知らないろう児に対し、課外時間に別の部屋で教師が子どもの好みを調べ、それに合った遊びを提案することで次から次へと新しい言葉を覚えるようになったという話を聞かせてくれました。関心深い話のタイトルは「バス」であり、教師が聾学校の中で働いた時の話です。子どもたちが学校の帰りにとても楽しみにしていることは「バス」でした。バスは子どもから見れば、とても大きくてタイヤも大きいのです。普段家の自動車を見ているのですから。そして子どもたちはタイヤの大きさを比べていました。その子どもたちを見た教師はある提案を出しました。子どもたちが帰った後、教師は古いタイヤを取りに行き、クラス部屋の真ん中に置きました。翌日の朝、子どもがタイヤを見て大喜び、子ども自身が様々なアイデアを出し合って遊んでいたという話です。子どもの生活の中で色んな物を見る経験を引き出して、言葉や手話を学びつつ遊ぶ事は重要なことだと思います。

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☆おまけ☆

VL2 (Visual Language & Visual Learning)
ギャロデット大学内にあるプロジェクトであり、eBook(電子本/絵本)を販売したり、講演会が行われたりしています。前から興味をもち、担当者の面接を受けた結果学生としてインターンシップが始まりました。現在はアート係の所でアーティストのアシスタントとして働いています。今までのスキルを活かしつつ、アーティストからの依頼を受けてお手伝いをしているので刺激的な経験を得ています。
2015年3月生活記録 第7期生 中川美幸[2015年04月22日(Wed)]
こんにちは。3月といえば、日本では卒業シーズンですね。大勢の友達が卒業して行きましたし、沢山の知り合いが新しい道を歩んで行くこの季節、久しぶりの風邪と喘息で苦しんだ私は、とうとう実習担当の先生に実習先から連れ出されてしまいました。私の喘息の咳が教室に響いたようです。体調不良を我慢することは、実習先の生徒に対しても良くないので、お願いだから休んで欲しいと言われました。でも宿題が山ほどあったので、宿題をやりつつ、薬を飲んでは寝て、また起きては宿題やるという繰り返しでした。それにしても氷点下の世界は私にとっては寒かったです。

★ 授業★
☆EDU 621 - Literacy Teaching and Learning: Early Childhood(読み書き指導と学習:幼児)

今月も絵本を読み聞かせして、みんなで議論しあい、評価しました。今回は感情を教えるという意味で、この本を選んだのですが、面白かったです。これは実習先でも読めそうです。

きつねの感情の本 わたしがいちばんさ!
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☆EDU 626 - Intgrtve Mthd ECE: K-3(幼児教育の統合教育)
今月は模擬授業の多い月でした。例えば、私は朝の会をやりました。皆でやるのですが、うちの先生はとても厳しいので、英語と算数がないとだめと言われました。日本とは全く違い、朝の会で算数???ああああどうしょう、、、、、と考えたあげく、模擬授業をやる教室に桜の花をたくさん貼って、生徒達で数えるという活動を考え出したら、褒めてくれました。やってみないとわかりませんね。いろいろな模擬授業はとても勉強になります。

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☆EDU 789 - Practicum II/Seminar: Deaf Ed(実習)

* 素敵な世界のお勉強*
今月は色々な国の勉強をしました。日本を教えるための準備で徹夜したり、2時間しか寝ていなかったりと3月は徹夜の多い月でした。4歳児に教えるためには、手作りの教材が必要なのです。実習先にはパワーポイントもホワイトボードもありません!!今まで実習先に恵まれすぎたと思いながら、何枚もの紙に説明や質問を書いたり、教材を作ったり、写真をプリントアウトしたり、何度も徹夜しました。その様子を見ていたルームメイトから、あなたの体はロボット?と言われてしまうほどです。でも生徒達に楽しんで欲しかったので、頑張りました。

生徒たちに、日本のお菓子をテストしてみました。
ナンバーワンはポッキー!!!
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日本の着物に様々な色を塗りました。
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福笑いを教えました!!
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日本の名前を教えました!!
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* 面白い理科*
この学校の理科の実験がとても面白いです。4歳なのに、もう試験管と実験ゴーグルをつかって遊んでいます。
また、火山のお勉強で、火山に溶岩が流れる様子をみせて、話し合ったりしています!

実験をする子供たち
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* 初めて英語を教えました*
生徒たちは4−5歳児なので、先生方はひとつひとつ書き方を教えているようです。今日はアルファベットのAを教えて欲しいと言われて挑戦しましたが、なんとまあ、難しいことでしょう。先生のアシスタントが助けてくれたのですが、ある生徒は人の話を聞かないし、ある生徒は他の単語をやりたいと泣くし、大変だったのですが、なんとか説得し、Aから始まる単語を教えました、、、、

英語の単語帳
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☆ 頂き物の多かった月☆
今学期は、実習が大変な時期で、更にクラスも多くて、睡眠もなかなか取れず、大変です。その上、朝食や昼食を食べ逃すことが多かったのです。なので、日本の友人たち、ギャロデット大学の友人たちから貰った野菜や食べ物は本当に助かりました。わたしには友人らが神様に見えました。

日本の友人が送ってくれた蟹雑炊
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2015年3月生活記録 第10期生 辻功一[2015年04月18日(Sat)]

こんにちは、今日も生きています。
10期生の辻 功一です。

これまでの人生、遊びや仕事で徹夜したことはあっても、勉強のために徹夜したことは一切記憶にないのですが、今学期すでに宿題の為に三度徹夜してしまってるこの頃です。
季節の変わり目、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

電光掲示板
<疑惑の電光掲示板。詳しくは「今月のコロンブス」で>

今学期はオーロニ大学生活で初めてのメインストリーム(一般学級)で英語を履修していますが、本当に授業の進め方がデフプログラムのと異なります。

第一に、とにかく授業のスピードが早いことです。この英語のクラスに関して僕は事前にカウンセラーや先輩たちにリサーチして評判の良かった教授の授業を選択したのですが、蓋を開けてみるとこの教授、滑舌がかなり良くて、授業開始から終了までものすごいスピードかつノンストップで話します。
おまけに手話通訳さんのスキルも高く、教授のスピードに付いていく手の残像で、その姿はまさに千手観音です。
でも残念ながら僕の手話の読み取りスキルがまだまだなので、大半が僕の目を素通りしてしまいます。そこで通訳さんと相談して、通訳さんの裁量で教授の話す内容から取捨選択した上で手話のアクセルを緩めて貰ってます。

そして、とにかく宿題が多いことです。このクラスの宿題はエッセイが中心なのですが、教授は文法などの英語力よりエッセイを書く上でのプロセス、特に情報のリサーチ、整理、そして真実、真相はどこにあるのか深く考慮することに重点を置いています。
例えば先日はCause(原因)/Effect(結果)、要するに因果関係のエッセイで僕は「ダム」をテーマに取り上げたのですが、教授曰く、世界銀行と国際通貨基金(IMF)の役割は何か?という一見ダムには関係なさそうな所まで掘り下げなさいとのこと。
僕がたどり着いたのは、ダムに功績と罪過はあれども結局はグローバル企業の搾取に過ぎないという結論でした。(もちろん意見は色々あるのでダム肯定論者を否定してる訳ではありません)
そういう訳で、リサーチから膨大な時間を費やしてしまい、徹夜でもしないと間に合わないという状況です。もちろん僕の英語力が問題なければそこまで時間を費やすことはないのですが・・・。
教授には僕の英語力の無さに呆れられながらも、本当に親身に添削やアドバイスを頂いています。

最後に、とにかく静かであることです。聞こえてくるのは教授のスピーチのみ。
時たま生徒から質問が出るのですが、それは教授が重要な事を言い忘れていた時とか核心をついた質問であることが多いです。
一方、デフプログラムでのクラスは、その質問本当に必要?という質問がほとんどで、しかもおしゃべりや携帯をいじっている生徒もいてその都度教授が叱ったりとか、ここ本当に大学?という雰囲気ですよ・・・(暴露しちゃった)もちろん、デフプログラムのクラスも教授から直に手話を通して受講できるなど、このクラスしかない良さもあるのですが。

そういう訳で、厳しいけれどもメインストリーム学級の方が手話通訳さんのおかげもあって、僕には性に合うようです。

以上です。
日本ASL協会から8,320km離れたオーロニ大学からの報告でした。
ありがとうございました。
今月のコロンブス
電車の電光掲示板では到着時刻が秒単位で表示されていることを発見
BARTの電光掲示板なんですが、秒単位で表示されている割にはしょっちゅう遅れるんですよね。しかもいつの間にか到着予定時刻がすり替わってたりとか。

2015年3月生活記録 第10期生 山本綾乃[2015年04月15日(Wed)]

今月も生活記録の時期になりました。
毎月のことですが、一日一週間一ヶ月が
驚くほど本当にあっという間です。
課題や余暇活動の時間をバランスよく使って、心の調整をしています。

デフクラス
reading and writing


課題の『Letters My Mother Never Read』という本は、9章で構成されています。
1章ごとに読み進めて、それぞれの質問に自分の言葉で答える練習をしています。
本の内容を理解し、自分の言葉でまとめるという練習は
これからの生活にも役立つと信じて頑張っています。
その他にも様々な英文を読んでまとめる練習をしています。


聴クラス
reading


聴クラスの授業のスピードにも慣れてきました。
毎週単語テストがあり、さらに教科書の1章を終えたらその総テストがあります。
他に『Gone garl』という映画化にもなった小説を読んで、クラスで話し合います。
その他に新聞の記事や雑誌、論文を読んでまとめる課題も毎週あります。

日本の大学では考えられないほど、たくさんの課題が次から次へと出され
初めは戸惑いましたが、今ではナンシー先生だけでなく
先輩のチューターも受けながら楽しくこなしています。



Deaf education

聞こえない子どもの9割は聞こえる両親から生まれます。
聞こえない子どもが生まれると、聞こえる両親は少しでも聞こえる子どもに近づけるよう
人工内耳をつけたり、発音の練習をしたりします。
そして、聞こえる学校に通わせるということが繰り返されています。

クラスで「For A Deaf Son」というドキュメンタリーを見たので
みなさんとも共有したく、ここに載せます。
英語字幕付きです、ぜひご覧下さい。
(https://www.youtube.com/watch?v=SCzl4kuWLw0)



このドキュメンタリーを見た後は、意見交換をしました。
自分の経験を話すと感極まって涙があふれる学生もいました。
彼らを見て、自分も小学時代に両親への手紙を書く際に
涙が止まらなかったということを思い出しました。
しかし、このような機会は貴重だと感じています。
なぜなら感情を表出する機会が多ければ多いほど、
自分を客観的に、そして冷静に見つめることができるようになるからです。

現代や未来の聞こえない子どもたちが
家族や学校の中に、自分の居場所を見つけられる教育が必要なのだと再認識しました。

その他

3月は春休みがあり、友達とカナダのビクトリアに旅しました。
ここは毛皮貿易が盛んであり、1849年にイギリスの植民地となりました。
そのため当時のイギリス女王の名をとり、「ビクトリア」という地名なのです。
現地には、毛皮を使った洋服や雑貨がたくさん販売されており、
ヨーロッパ風の建物や色とりどりの花が咲いていて美しい街でした。
アメリカとは違った世界を味わうことができ、充実した休日でした。
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(カナダ:ビクトリアの街)