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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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10期生の国内研修(必修研修)[2014年07月31日(Thu)]
10期生の国内研修(必修研修)

留学奨学生に対する国内研修として、6,7月に下記の必修研修を実施しました。
必修研修以外にも選択研修として、ASLと英語のレッスンを、1月から7ヶ月間みっちり行ってきました。これらの研修をすべて完了し、辻・山本両10期生は、いよいよアメリカへ出発です。

1、第62回全国ろうあ者大会(長野)への参加(6月13日ー15日)
評議員会の傍聴、研究分科会、式典、展示と参加。自分の留学目的となる分野を中心に、学習しました。

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↑展示会場にて。左から引率の大杉会長、山本奨学生、辻奨学生


2、合同研修会(6月28日、6月30日、7月9日)
日本におけるろう運動、海外旅行保険概要、日本財団についてなどの集中講義。

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↑全日本ろうあ連盟小椋武夫理事(右)による「日本におけるろう運動」

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↑日本財団吉田稔リーダー(中央)による「日本財団について」

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↑留学を修了した奨学生(同窓会)と10期生との時間
今年新たに先輩奨学生との情報交換の時間を研修に組み入れました。
渡米準備、渡米後の勉強、学校、生活等々、体験にもとづくアドバイス、相談など。
(左手前から)山本10期生、辻10期生、野崎事業責任者、管野3期生、岡田3期生、太田1期生、高山2期生


事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 10:18 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2014年6月生活記録 第7期生 中川美幸[2014年07月23日(Wed)]
6月は、色々な再会と再発見をさせて頂きました。
夏休みとはいえ、自分の留学の課題を最優先したので、
あちこちの聾学校を見て回ることが多かったです。
でも自分がアジア、そして日本でどうしたいかを
具体化させることが出来た有意義な月でした。

今月も、いくつかの聾学校を見学させて頂きました。
恩師が教えているA聾学校ですが、児童・生徒数が多く、
幼稚部やひよこの子供達、保護者とお話しする機会を頂きました。
この学校も聾者の教員が少ないため、不安感を抱く親御さんがいます。

わたしたちろう者は不幸ではなく
普通に学び、
普通に過ごし、
普通に働きもします。
しかし、その情報がないので、不安で泣くそうです。

B聾学校ですが、田舎にあるため、生徒数が少なく、
毎年ボランティアをさせていただいています。
ある日、私が昼休み給食を食べていたところ、
ある生徒が同級生と友達を連れてやって来ました。
「何故この学校には聞こえない先生が全然いないの?」
(小学部に一人だけです。)
私の友人達もここの教員採用試験を受けているのですが、
なかなか採用されません。
聴覚障害をもつ仲間たちと情報交換をしながら
ここの聴覚障害教員が採用されますように、、、と祈るばかりです。

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また
私が関わっていたバドミントン部やバレーボール同好会にも顔を出したところ、
聴覚障害者のスポーツは以前より種類が拡がってきており、とても嬉しく思いました。
スポーツ(体育部)は必要不可欠で、
ろうコミュニティーのひとつでもあるのです。
私も大切な仲間たちとは、スポーツを通して出会ったのです。
スポーツは、難聴者も人工内耳装着者も聾者も関係なく参加できる
素晴らしいものだと思います。

今回ろう塾も初めて見学させて頂きました。
私が教えていた子供の親でもあるスタッフから、
ぜひ来て欲しいとの依頼があり見学しました。
聾教員として、この塾はもっと発展して欲しいと思いました。
日本の聾学校では口話で教えていることが多く、
授業についていけない生徒が多いのです。
アメリカ留学では
手話による言語獲得をテーマにしていたので
この塾の指導方法は本当に参考になりました。

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7月も日本の聾学校の様子を
書きたいと思います。
Posted by 事業担当者 根本和江 at 10:25 | 奨学生生活記録 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2014年6月生活記録 第9期生 福田桂[2014年07月16日(Wed)]
 
 ベイエリアは、聴覚障がい者向けの福祉サービスを提供しているDCARA(= Deaf Counseling, Advocacy & Referral Agency)という福祉事務所がサン・リアドロ、フリモント、サンノゼ、アラメダ、サンタ・クララの5つの支局があります。
 以前、デフコミュニティのクラスでDCARAのことを学び、フリモント支局のスタッフがから事業の説明をしてもらいました。DCARAは、日本の聴覚障がい者情報センターと同じような事業内容を行っています。そのなかで、以前、盲ろう者へのサービスは提供していましたが、現在はライトハウスが盲ろう者へのサービスを提供しています。
オーロニでは、DCARAやカリフォルニアろう学校との連携をして、ろうコミュニティでは、様々なサービスがあります。春学期からはDCARAサンノゼ支局から一人のスタッフが毎週午前中お見えになり、学生向け生活相談や就労のサポートが行われています。
 DCARAは定期的に多くのデフコミュニティを提供しています。最近では、ろう者刑務所のワークショップに参加させていただきました。これについては、7月生活記録で報告させていただきます。

 私は、情報保障のため、盲ろう者向けの通訳者が必要ですので、事前に主催側へ依頼するようにしています。DCARAには手話通訳者派遣コーディネーターがいて、全盲ろう者が担当し、レイニー大学の障がい学生支援コーディネーターと兼務されているようです。
ワークショップなどで通訳者依頼をする時、当事者のニーズに応じて、まず希望する通訳者がいないどうかを確認しています。このように当事者のニーズに応じたサービスができることが素晴らしく感じました。
カリフォルニアでは、有資格のろう通訳者は5人おり、逆に資格のないろう通訳者が比較的多くいます。盲ろう者向け通訳の知識を習得し、また、そのろう盲者を理解しニーズに応じることも大切だと思っています。

春学期の後は・・・

 サマークラス開始まで3週間の休みがありましたので、友人とお会いして、毎週火曜日午前中にやっている園芸クラスに参加しました。園芸クラスはライトハウス主催です、ゴールデンゲートパーク内にグリーンハウスで盲人と盲ろう者合同で、野菜を植え付け、水やり、収穫等を行っていました。収穫した野菜等は持ち帰ることもできます。幼少の頃を思い出し、いつも楽しませていただいています。
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園芸クラスの様子(盲ろう者が苗付けをしている)

6月27日、ヘレン・ケラー女史の誕生日
(6月22〜28日盲ろう者啓発週間)


 以前、「福祉ネットワーク」という番組で、盲ろう児の授業風景を観て盲ろう児の教育に興味に持ちました。また、パーキンス盲学校はヘレン・ケラーとその家庭教師サリバン女史の母校で、盲ろう者プログラムも取り入れています。そのようなことでパーキンス盲学校を見学するため、ボストンへ行く計画をしていました。しかし、ボストンへ発つ数日前に、盲ろうの友人から通訳介助の依頼がありました。ボストン行きの計画をしていたので、お断りしようと思しましたが、内容や目的を確認した後、通訳介助を引き受けることにしました。パーキンス盲学校訪問は、アメリカ滞在中のうちにぜひとも行きたいと思っています。

盲ろう者向け情報機器活用訓練

 6月8日〜13日まで5泊6日、ライトハウスでの情報機器を活用した短期集中訓練が行われました。その訓練生への通訳介助をする機会をいただきました。近所に住んでいる盲ろうの方の依頼でした。盲ろうの方の家からパラトランジットサービスと呼ばれる福祉送迎車に乗り、目的地に向かいました。
 チップの習慣化されているアメリカでは、そのサービスは無料ですが、チップ代として6ドルを支払われなければなりません。
 ライトハウスのバスに乗り、バークレーのライトハウスからサンフランシスコのライトハウスを経由して2時間半バスに揺られて行きます。途中、ぶどう畑を通り、緑豊かな自然に囲まれた場所にあるキャンプハウスに到着しました。
盲ろう者向け情報機器活用訓練の訓練期間は9日〜12日まで。毎日9時半開始、ランチ休憩を入れて16時半終了します。訓練以外は自由時間とスケジュールを組んでおり、盲人との合同訓練で、盲ろう者の訓練を受けるのは6人。点字ディスプレイを使用したパソコン操作と画面拡大ソフトウェアを使用したパソコン操作、ipadを使用した操作、ワード文書の基本操作、点字学習など個々の目的に合わせた個別訓練を行っていました。

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訓練中の様子(点字プレイルセンスを打つ弱視ろう(左)、全盲難聴の指導者(右)

ライトハウスのスペシャリストを除く全員が盲ろう者であり直接指導をあたっていました。指導者は、大学でIT関連を勉強されている方や専門知識を持った方でした。そのなかで、全米盲ろう者協会のスタッフを務めていた盲ろうの方の「協会活動時代のお話」をお聞きできました。このような機会を与えてくださった盲ろうの方に感謝しています。

*** 日本で視覚と聴覚の重複障害を一般的に「盲ろう」と呼称されていますので、整理の都合上、今月より「盲ろう」と記載させていただきました。