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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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第9期留学奨学生、募集中[2012年07月31日(Tue)]
第9期留学奨学生、募集中
表紙画像.jpg
募集要項は、この表紙が目印です!

アメリカの大学等で学び、日本やアジア諸国の各分野に生かしたい志しを持った方々を募集し、留学支援を行います。
(学歴、年齢、応募時の英語・アメリカ手話の能力、資格は不問)

申込締切:9月8日(土)午後6時(当協会必着)

詳細は、
当協会ホームページ http://www.npojass.org にてご確認ください。
*募集の説明、留学奨学生からのメッセージ動画も掲載中

事業担当 根本

Posted by 事業担当者 根本和江 at 12:05 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2012年6月生活記録 (第5期生 川俣郁美)[2012年07月18日(Wed)]

◆◇ボランティア@ムンバイ◇◆◇


deaf school.jpeg
ボランティア先にて
(校長の許可を得て掲載しています。)


サマークラスが修了し夏休みにはいった。夏休みは、インドに来ている。6月に二週間、ムンバイにあるSanskardham Rotary聾学校でボランティアをさせてもらったので、今回はそのことについてお話ししたい。
 
Sanskardham Rotary聾学校は1995年、一人の女性(現校長)と2人のろう児を持つ親によって設立された。はじめは、ある学校の一部屋を借りて24人のろう児に教育を行った。生徒数の増加に伴い、教室数を増やした。数々の支援のもと、2008年には新しい校舎を建てた。まだ真新しさを漂わせるこの校舎には、パソコン室、化学室、体育室、多目的室、図書室などがある。幼稚部から短大(ろう者のための短大はマハーラーシュトラ州では初(ムンバイがある州))で構成されており、現在4歳から22歳の生徒が140人在籍している。また、重複障がい児のためのクラスもある。インドにはヒンディー語、英語、タミル語、ベンガル語、マラーティー語、マラヤーラム語など、20以上の公用語があるが、Sanskardham Rotary聾学校では、州の公用語であるマラーティー語に加え、英語とヒンディー語を教えていた。

ボランティアでは、もう1人のギャロデット生と一緒に7,10,11,12,13年生(日本でいう中学1年生、高校1年生から大学1年生)に、ろう文化、盲ろう、ギャロデット大学、英語、ろう文学など、毎日異なるテーマを教えた。生徒は皆、やる気に満ち溢れていていて、私たちのぎこちないインド手話にも真剣に耳を(目を)傾けてくれた。

インドでは、聴者のことを「normal (普通)」と呼ぶのが一般的に浸透している。ろう文化のクラスでは、生徒と一緒に「普通ってなんだろう」から考えはじめ、私たちろう者も「普通」の人である。耳が聞こえないのは障害ではなく、個性のひとつである。聞こえる人は「聴者(hearing)」と呼ぶ。手話通訳や字幕など、社会的な配慮がなされてないとき、そこに障害が生じる。ということを話し合った。
 
また、質問を投げかけると、複数の生徒が同時に発言したり、発言者を見ない(聞かない)生徒が多々いたので、同じ内容の発言が繰り返されることがよくあった。発言は一度に1人のみ、前に来て発言するかみんなが見えるように円になるように座ること、発言する前にはみんなが自分(発言者)を見ていることを確することなどを促進し、同じ内容の発言が繰り返さないようにした。そうすることで、生徒みんながディスカッションに参加できるようになり、ディスカッションの質も高まった。

最終日には聴者を「普通」と呼ぶ生徒がいなくなった。また、しっかり発言者を見るようになった。発言者の手話が見えないときは、自分から積極的に発言者が見える位置に移動したり、発言者に移動してもらうようお願いしていた。今後も生徒にこの姿勢を維持してもらえればと思う。二週間のボランティアを通して、教えることの重要さ、難しさ、楽しさを学んだ。

お昼休みには、ことわざや著名人の名言を読み、その意味を話しあった。 使ったことわざと名言をいくつか紹介したい。

"As long as we have deaf people on earth, we will have signs. And as long as we have our films, we can preserve signs in their old purity. It is my hope that we will all love and guard our beautiful sign language as the noblest gift God has given to deaf people."
--George W. Veditz, (1913). “The Preservation of the Sign Language”. (translated from American Sign Language by Carol Padden and Eric Malzkuhn)
「ろう者が地球にいるかぎり、手話は存在する。私たちの映像がある限り、私たちは昔の手話をしっかり守りぬくことができる。ろう者に与えられた神からの崇高な贈り物として、この美しい手話を、私達みんなで愛し、守りぬくことが、私の願いである。」ジョージ•ヴィディッツ
(1913年に第7代全米ろう協会会長ジョージ•ヴィディッツにより手話で収録れた貴重な映像から)

You cannot judge a book by its cover. 
表紙を見てその本の価値を判断してはならない。
(見た目だけで、物事や人の価値を判断してはならない。)




◆◇デフエンターテインメント◇◆◇


Deaf Entertainment Poster.jpg


週末には偶然、ろう者によるエンターテインメントショーがムンバイで行われたので、鑑賞してきた。小さなイベントかと思ったら、500人ほどの入場があり、驚いた。インド手話読み取り力が貧しいために、よくわからない部分もあったが、パントマイムに始まり、短編映画、手話ソング、物語など、笑いあり泣きありの楽しいショーであった。イベントが終わっても劇場や出入り口付近で、閉場になっても駐車場で長々と楽しそうにおしゃべりしているろう者をみて、ろう文化は世界共通だと思わずにはいられなかった。ろう者は日常生活で手話で話せる人に会う機会が少ない。そのため、このように手話で話せる人が集まるイベントでは、おしゃべりに延々と花が咲く。私もその輪に混じって、インド人との交流を楽しんだ。



taji mahal.jpeg
インドの代名詞、タージマハール


snake.jpeg
いつか見たドラえもんのワンシーン


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北インドの郷土料理、ターリー






2012年6月生活記録 (4期生 川上恵)[2012年07月13日(Fri)]



これまで部屋内で撮影していたが、今回は天気が良いのもあって外から報告します。

5月下旬からインターンが始まった。インターンとは学生の身分のまま、会社に通って仕事の経験が出来る制度である。私のインターン先は日本でいう手話通訳者派遣センター(米国では派遣会社)で、2カ所通っている。ギャロデット大学内にある派遣会社と、同大から地下鉄で約20〜30分ぐらいのところにあるメリーランド州の派遣会社である。

ギャロデット大学内にある派遣会社は、略称してGIS (Gallaudet Interpreting Service)と呼ばれている。場所は、私の後ろにある建物のうち一番奥にあるもの、がそれである。GISにはメンター制度というものがある。その中にメンタリングという言葉がある。これは例えば、通訳者養成学校を卒業したばかりの若手通訳者や技術をより高めたいと考えている通訳者が、経験豊富な手話通訳者と一緒に仕事をしながら勉強していくことをいう。このときベテラン通訳者は教える立場ではなく、助言や会話を通して彼らの目標達成をサポートする立場となる。

メリーランド州にある通訳派遣会社BIS(Birnbaum Interpreting Service)では、通訳技術を高めるための計画書の作成について学んでいる。例えば、2年後裁判関係の通訳者になりたいとする。その前に必要な勉強は何か。まずは専門用語を覚える。ニュースで放映された事件の時に使っている専門用語を学ぶ。裁判所に行って手話通訳の状況を観察する。こうした内容の計画を作るために行う相談(ミーティング)を見学したり、例えば病院、裁判、学校などを想定したシナリオを作る方法を学んだりしている。

現在インターンを始めて1ヶ月間、次回はさらに具体的な内容について報告したい。

2012年6月生活記録 第4期生(福永 梢)[2012年07月04日(Wed)]
o*夏季集中講義第2弾 *o

  アメリカにも「個別の教育支援計画」みたいなものがある。法的に日本より細かく定められており、IEP、BIP、504 Planといくつか種類がある。表にまとめたので、参照にされたい(*画像をクリックすると、別画面にて大きく開きます)。

Screen Shot 2012-07-03 at 11.51.29 PM.png


  「子どものためのDSM-IV」クラスでIEPとBIPを作成し、発表し合った。思い入れが強いからなのだろう、提案や疑問に対して自己防衛しがちな場面が見られた。何か言われると何としてでも理由を探して、正当化する。経験豊かな教授に別の言い方を勧められても、妥協すらしない。IEPとBIPは子どもとその家族のためであることを前提にした話し合い方、提案や疑問の受け止め方など、とてもよい勉強になった 。

o* 夏季集中講義第3弾 *o

  最後の集中講義は「生徒における薬物・アルコール依存症」であった。ろう・難聴児を対象とした回復プログラムは、全米で1箇所(ミネソタ州)にしかない。このプログラムにいた人によるゲスト講演があったのだが、印象に残ることがあった。ある生徒が「もうやらないと腹をくくって辞めたのですね」と言ったとき、「いや、したい気持ちはあるよ。でもできないんだ。できない。その結末はほしくないんだ」と答えてきた。その正直なコメントに、心の中の葛藤がさらに伝わって胸が熱くなった。この葛藤は一生続くものだという。
  カウンセリングのロールプレイも大変勉強になった。特に、スクールカウンセラーが「これをすると退学になる」と言って、生徒が「それでも構わない」と言った場合。「いやいやちょっと待ちなさい」となりそうなところだが、教授は「あなたがそう言うなら、いいわ。あなたが決めたことを尊重するわ」と対応した。自己責任と言えば冷たく感じるかもしれない。しかし、「もし気が変わったら、いつでも来てね」とも伝えており、自己決定の権利を認めることは生徒を一人の人間として見ているということ、とも言えると思う。

o* 夏休み *o
    夏季集中講義が終わって、ようやく夏休みらしくなった。今年の夏休みは恒例のバイトだけでなく、個人プロジェクト、スポーツ、交流など活動的に過ごす予定である。

IMAG0204.jpg

↑仲の良いクラスメイトとPotluck Party(持ち寄りパーティー)
2012年5月生活記録 (第5期生 川俣郁美)[2012年07月03日(Tue)]
◆◇サマークラス◇◆◇
5月14日から6月1日まで三週間、サマークラスを履修した。一般教養過程総合学習クラスのひとつで、ビジネスとアートについて学んだ。
美術館や展覧会へ行って現代アート、ハイブローアート、ローブローアート、グラフィティ、コンピューターゲームのアート、アフリカ系アメリカ人のアートなど、様々なアートについて学んだ。
また、Googleやフェイスブックなどの、利用無料の企業がどのように企業を運営させているのかを調べたり、消費主義、非消費主義について学んだ。消費主義とは商品やサービスの利点を効果的に宣伝して、消費者に購入を促すものである。が、中には不当な広告もある。
例えば今人気のある、「One for One. あなたが一足買うたびに、靴が必要な発展途上国の子供たちに一足贈られます。」がコンセプトの某ブランドシューズ。新しくかっこいい靴が手に入るとともに、発展途上国をサポートできる、が売りの一石二鳥の靴である。が、よく考えてみると、靴を与えるという行為は、地域全体の発展には繋がらない。

靴はどこにでも手に入る。無料の靴が町に送られてきたら、町の靴屋さんは、靴が売れず営業困難に陥るかもしれない。子供たちの親達は、タダで靴が手に入るからと、仕事を怠るかもしれない。これでは町全体の経済を悪化させてしまう。
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ。」ということわざがあるように、物を与えるだけではなく、持続的な発展に導くサポートをすべきである。

このクラスでは、アートとビジネスについて様々なことを学ぶことができたが、アートとビジネスを交互に学んだだけで、ひとつのトピックをアートとビジネス両方の視点から見ることはなかったため、総合学習という感じがしなかったのが少し残念である。



◆◇食いしん坊万歳!◇◆◇


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アメリカンバーBBQの定番S'more!
ビスケットに焼きマシュマロとチョコレートを挟んだもの

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お気に入りのエチオピアレストランにて

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友人らと一緒に寿司パーティ
2012年6月生活記録 第4期生 武田太一[2012年07月01日(Sun)]




 ボストンでは時々35度を超える猛暑日が数日続き、夜は熱帯夜で寝にくかった。しかしそれが過ぎると今度は一気に肌寒くなり、長袖が欠かせないときもある。ボストンで生まれ育った人ですら今年はおかしな気候と言っているほど、本当におかしい。

●研究入門
 5月下旬から続いていた研究入門の講義がようやく終わった。一番大変だったのは論文を10本読んでそれぞれの要約を書くという課題であった。これは最終課題である研究計画書を作成するための参考文献になるのだが、教科書と違って論文の方が難解な説明が多いため、読むのにだいぶ時間がかかってしまった。ほとんどの課題の〆切を特別に伸ばしてもらったおかげで、ちゃんと取り組むことができ安堵している。この研究入門は論文の読み方なども導入されているため、今までの講義でいろんな論文を読んできた学生たちにとっては、なぜコースの最初で必須講義として受講出来ないのかという声があがった。しかし、この講義で学んだことは次の秋学期の修士論文で役に立つのは確実だろう。

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木の下で休息眼鏡


●誰がろう重複児の教育に適しているか
 これは先の研究入門で私が作成した研究計画書のタイトルである。この研究計画書を作成するにあたって、ろう重複児に関するデータを集めてきた。私の考えではろう重複児を指導するにあたって、ろう教育コースだけではなく、特別支援教育コースも受講したことがある教員の方が適しているのではないかと思っている。というのも、重複障害の場合は他の障害も合わせ持っているため、その他の障害の特性について知っておかねばならないからである。

 アメリカの場合、ろう児のうち40%が何らかの障害を併せ持っている。そのうち5.5%が視覚障害、5.4%が発達遅延、8%が学習障害、5.4%が注意欠陥/注意欠陥多動性障害、8.3%が知的障害、1.7%が自閉症となっている。その上、1つの障害だけでなく複数の障害を併せ持っている児童もいる。そのため、彼らに対してはさらに独特の支援が必要になってくる。

 重複障害を有しているかどうかの診断は難しいとされている。例えば聾自閉症の場合は聴覚障害の診断が新生児スクリーニングの関係もあり早い。しかし自閉症と診断されるのは後になってからである。これは自閉症の診断が新生児〜乳幼児の間では困難だからである。また知的障害との重複についても知能指数の程度とコミュニケーション能力で的確な判断が難しい。しかしここ近年、診断の技術も向上しているので早期介入/支援の必要性がさらに求められている。

 聾学校の教育体制もろう重複児への学習到達度と関連性があるのではないかと思う。ボストンにいて2つの聾学校で実習やボランティアをしてきたが、ある聾学校では幼稚部の段階では口話教育が個別指導計画で決められている。しかし、重複児の状況を見ると全く言葉の発信が見られない。(普通のろう児でも口数は少ないのだが…)逆にバイリンガル教育を提唱している聾学校では重複児の語彙数は多い。自分から積極的にコミュニケーションをとろうとする姿勢が見られ、また相手の言うことも理解出来ている方である。これは学校のどこにおいても手話によるコミュニケーションが徹底しているからであり、児童たちは学校生活で目からの情報が常に得られるようになっており、また児童同士、先生との会話を通して自然に言語を習得しているからであろう。このため小さい頃に手話によるコミュニケーションの基礎を培うことはとても重要なことである。皮肉なことに、個別障害者教育法の基で作られる個別指導計画は口話教育が大事と考える専門家によって決められることも多く、また家庭で手話が使えないことも考慮した上で様々な改善や支援が求められている。

●夏学期2
 ゆっくり休む暇もなく、7月から夏学期パート2が始まる。必修講義がないため講義を取らないまま休みを堪能するのもありだがそれだともったいないので、1つぐらいは取っておきたいと思い、選択したのが異文化心理学である。日本にいた頃はろう文化と聴文化の違いでしかイメージがなかったのだが、アメリカにいると自分が外国人=日本の文化を持っている、さらに多くの移民が集まるのでそれぞれの国の文化が聾学校の中にも現れる。そのために起こる文化の違いや摩擦について知っておくことで、今後に活かせるだろうと思った次第である。講義が始まるのをとても楽しみにしている。

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日本食バイキングレストラン