CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
« 2012年05月 | Main | 2012年07月 »
2006/4/28ブログ開設時からのアクセス数
UL5キャッシング
最新記事
カテゴリアーカイブ
リンク集
最新コメント
月別アーカイブ
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/index2_0.xml
2012年5月生活記録 第7期生 川口聖[2012年06月18日(Mon)]
こちらオーロニ(Ohlone)では、午前6時頃明るくなり、午後9時頃やっと暗くなるというほど、昼間がすごく長くなってきて、本格的な夏に入った感じになっている。5月は大学の卒業式シーズン、6月は高校の卒業式シーズン、あちこちでお祭りみたいに行われている。

Ohlone_Recognition_1s.jpg
Ohlone_Recognition_2s.jpg
(Ohlone Deaf Studies Celebrationのリーフレット)

☆ふりかえってみて
たった10ヵ月間であったが、オーロニ大学で大学院に進学する前の心構えというか、すごく教わった感じがしている。おかげさまで希望通りの進路を決めることができて、これまでお世話になった皆様方に感謝したい気持ちいっぱいである。

・英語
日本にいる間、もっと励んでおけばよかったと、唯一の後悔になっている。でも、これからもその気持ちをバネにして頑張りたい。

・ASL
英語のほうを意識しすぎたため、ASLで自分の思っていることを全て言えるにはまだなっていない状態である。でも、焦らずにやっていき、ASLによる議論にもどんどん意見を言えるよう頑張りたい。

・ろう文化
アメリカと日本とのろう文化の違いは、基本的に変わらないが、アメリカ文化や日本文化の影響を受けている部分については、やはり違いがあると感じた。例えば、あいさつのしかたにアメリカではハグをするとか、ファーストネームで呼び合うなどである。

・歴史
アメリカに来て強く感じたことですが、アメリカは歴史を一所懸命につくっているという感じがする。アメリカ国民の皆がよく知っている歴史上の人物と言えば、ジョージ・ワシントン初代大統領であるが、まだ220年程前の話であり、日本では織田信長だと450年程前の話というほど、歴史については、日本のほうが圧倒的に長いのである。そこから日本人としての誇りを感じてしまうが、ろう教育については、アメリカのほうが長いのである。

アメリカの良さ、日本の良さ、さらに、中国、韓国、台湾、香港、インドネシア、タイ、モンゴル、フィリピンなどから来た聾の人達との交流することで気付いたアジアの良さなど、いろいろ発見することができて、非常に有意義な10ヶ月間であった。

☆夏休み計画
オーロニ大学のサマークラスで引き続き「英語のカベ」をなんとか薄くしていく、8月にドイツへ言語学に関するサマースクールに参加するという計画を立てた。

CSD_Graduation_s.JPG
(CSDの卒業式)
2012年5月生活記録 (4期生 川上恵)[2012年06月12日(Tue)]



今月の生活記録は、「卒業式」について報告したい。5月上旬にギャロデット大学で卒業式が行われた。同大学の卒業式は2日間で行われる。初日は大学院生だけで翌日は大学生と大学院生の卒業式が行われるため、両方を見に行った。今年は日本人二人が卒業した。

大学院生のみの卒業式(Hooding Ceremony)へ参列した時に、よいお話を聞く機会に恵まれた。そのゲストスピーカーはマリリン・ジェーン・スミス(Ms. Marilyn Jean Smith)氏で、自身の経験から、ろう女性を(家庭内)暴力から守るために団体を設立して25年間いろいろ活動され、昨年定年退職されたろう女性である。今でも印象に残っている彼女のお話は次の通りである。

1) 人生は3つの道に分かれている。最初の道は決められたレール。二つ目の道は多少ハードルがある人生。最後の道は誰も通った事がない道。つまり卒業生は新しい事をチャレンジしてほしい。

2)彼女が人生で学んだこと。20代はひととおり学業をこなしたあとで全て知りつくしたと思えば、現実は甘くなかった。30代、まだ。40代、さらにもっと。50代、あともう少しだろう。そして60代になって人生は長いと悟ったこと。

3) 現在技術が進歩し、それによるろう社会への影響が見られている。例えばパソコンや携帯電話などのおかげでやりとりがスムーズになっている。しかし、その一方で携帯に集中するあまりに顔と顔を向き合ってのコミュニケーションが減っている。たまには携帯電話を少し置いて、人と積極的に交流してほしい。

個人的にメールでやりとりするより実際に会ってお話をするのが好きな方なので、彼女のお話に納得できる事が多かった。ちょうど人生とは何だろうと思い始めていたときだったので、彼女の人生観は参考になった。数十年後自分が60歳ぐらいになった時に、どういう生き方をするのか、またどういう人になっているのか今から楽しみである。

2012年5月生活記録 第4期生 武田太一[2012年06月12日(Tue)]




●春学期終了、夏学期へ
 最終レポートを悪戦苦闘の末に済ませることができ、春学期が終了した。2週間ほどの休みを挟んで夏学期が始まった。休みの間はほとんどアルバイトをしていたため、ゆっくり休めなかったが宿題などがなかったのでストレスはほとんど感じていない。夏学期は前半と後半に分かれており、前半で研究入門、後半で異文化心理学を受講する予定である。

●RS600 Introduction to Research 研究入門
 その名前の通り、研究/調査について基本を学ぶクラスである。研究を行う際に質的調査、量的調査のどちらにするか(あるいは織り交ぜたもの)、どのような構成、研究質問、研究方法が重要になってくるかを知り、これらをもとに文献レビューや論文批評、研究企画書を作成する。研究企画書についてはろう重複児の教育環境について触れることにした。しかしろう重複について書かれている論文はそれほど多くはないため、先攻研究探しに難航したが、ある程度の数を集めることが出来た。この論文を全て読んだ上で、どのような研究を進めていくのか考えていく必要があるが、講義を楽しみながら取り組んでいきたい。

2012-05-12 15.13.30.jpg

海とカモメ(?)リゾート


●メインストリーム見学
5 月下旬にニュートン市にある高校におけるメインストリーム(インテグレーション)プログラムを見学してきた。この高校ではろう学生が30〜40人ほど在籍している。メインストリームというと、1つの学校にろう学生が数人あるいは1人しかないというイメージがあり、孤独感を味わうことが多い。しかし、このメインストリームはある程度の数のろう学生が在籍しているのでデフコミュニティが保たれている。教室内におけるコミュニケーションは主にアメリカ手話で行われているが、難聴の生徒もいるためトータルコミュニケーションという形になっている。また聾学校にはない設備やプログラムも充実しているため、聾学校から転入してくる生徒も毎年のように何人かはいる。自分がメインストリームで育って来たので孤独感を味わうメインストリームは賛成出来なかったのだが、このような整えられた環境であればサポートしたいと思う。その前に聾学校などで同級生たちと手話によるコミュニケーション環境のもとでコミュニケーションの基盤や社会スキル、学習スキルを培った上での転入が望ましいと考えている。

2012-05-11 20.30.41.jpg

「奇跡の人」舞台眼鏡


●今年も卒業式
同時期に入った同級生たちのほとんどが卒業していった。自分はまだ1年残っているため、卒業は来年になるが他にも実習などが残っている同級生がいるので来年の卒業式は誇らしく出られるように残り1年、励んでいきたいと思う。6月は引き続き研究入門の講義に集中するのみである。

photo.JPG

教育学部の卒業式ぴかぴか(新しい)

2012年5月生活記録(第4期生 福永梢)[2012年06月11日(Mon)]

o*Hooding Ceremony *o

  今年も大学院生卒業式を見てきた。今回は聴講生のとき同じクラスにいた人たちが卒業するので、絶対見に行くと前から決めていた。現在所属する修士課程の先輩に当たる人たちなのだが、気さくに接してくれて、入試時はアドバイス、入学後は励ましをくれた。その彼らが全員ハードな院生活2年間を無事やり遂げ、晴れて卒業することは私にとっても非常にうれしい。

P1020054.JPG

↑同卒業生から教授たちに贈られた手作りの作品

「When life starts out it’s like a blank canvas and as you live your life it is given many new colorful experience, creating a canvas of a beautifully colored masterpiece. Thank you for adding more colors to OURS.」と書いてある。
【日本語訳】「人生が始まったとき、それは真っ白なキャンバスのようなものだ。人生を送るにつれて、たくさんの新しい、彩り鮮やかな経験が与えられる。美しく彩られた最高傑作のキャンバスを創り出しながら。私たちのキャンバスにさらなる色を足してくれてありがとうございます」

o* Play Therapy *o

  今年の夏は、集中講義を3つ取る。どれも必修クラスだ。春学期が終わったというのに夏休みを楽しむ間もないまま、1つ目の夏期集中講義「プレイセラピー(Play Therapy/遊戯療法)」が始まった。「遊びは子どもの言語である」と言われるように、子どもの自由発想なあそびは心のうちの世界を映し出す。たとえば人形ごっこでは、家庭やテレビ・本などで普段見聞きしている言葉を話したりしぐさをしたりする。言い換えれば、虐待を受けた子どもは自分がされたことを人形ごっこで再現することがあるということだ。

  プレイセラピーにはいくつか種類があるのだが、ここでは1964年にヴァージニア・アクスライン(Virginia Axline)が考案した“非指示的遊戯療法(Non-directive Play Therapy、現:Child-centered Play Therapy)”を主に学んだ。プレイセラピーには以前から興味があったので、この授業を通して具体的なイメージを得ることができて本当によかった。特に、Filial Therapyを新しく学んだことが一番大きな収穫だった。Filial Therapyは、1960年代にガーネイ夫妻(Bernard and Louise Guerney)によって考案されたもので、親子関係の向上を目標とする。このセラピーでは、保護者がプレイセラピーの提供者となる。外部で基本的な技術を習得したあと、セラピストのサポートを受けながら家で週に1回60分間のプレイセラピーを行う。お互いへの接し方を学んだり、お互いに対する理解を深めたりする効果があるそうだ。私の専門の1つ、「ろう・難聴の子どもをもつ聴こえる親の心のケア、子どもとの愛着関係作りのサポート」を具現化するのに役立つと思う。

  とはいえ、ろう・難聴の有資格プレイセラピストは全米でも6〜7人のみだという。視覚的に応用した実習が足りないことや、スーパーバイザーがなかなか見つからないことが大きいようだ。また、Filial Therapyの愛着障害への応用に関する研究は、むしろイギリスのほうが進んでいる。こうした情報を受けて、自分が目指すもののためにすべきこと・できることがどんどん明確になってきていて、わくわくするしうれしく思う。

P1020080.JPG

↑NY訪問中、行ったオンタリオ湖(Ontario Lake)