
2016年6月生活記録 第11期生 山本芙由美[2016年07月14日(Thu)]
こんにちは!第11期生の山本芙由美です。
6月はフリーモントを離れて、友達の暮らすサクラメントに出かけたり、Lake Tahoe(タホ湖)で泳いだりと、アメリカで初めて過ごす夏休みを楽しむことができました。
日本は梅雨の時季ですが、こちらでは雨が降らず、からっとした気候です。湿度もそんなに高くなく、夜は涼しく、過ごしやすい夏です。

(タホ湖にて。白鳥に寝そべっているのが私です。どこへ行くのでしょう・・・。カリフォルニアならではの澄み切った、きれいな青空です)
NancyのTutorではエッセイの書き方や文法を教わったりして、走馬灯のように過ぎ去った春学期の復習をすることができました。
そして、Ohlone Collegeとも、いよいよお別れとなり、教授が私たちのためにお別れの食事会を設定してくれました。
生活面、学業面で献身的にサポートしてくださったNancy先生、Tom先生、Kendra先生、そして、毎日デフカウンセリングサービスに通い詰めた私に対して、嫌な顔をせず、さまざまなジョークで笑わせてくれたナン先生にはとても感謝しています。
皆さん、とてもあたたかく、時には厳しく指導してくれ、Ohlone Collegeで勉強できてよかった!と思っています。

そして、6月11日は、私にとって待ちに待った講演会が開催されました。Drago Renteria氏とそのパートナーであるJennifer Mantle氏、お二人による講演会です。タイトルは "The T in LGBT: A Deaf Man's Journey from Female to Male"(LGBTの中のT、ろう男性による"女性から男性"への旅路)です。

Drago氏はろう×トランスジェンダー当事者で、ろうLGBTQAコミュニティリーダー、ろうLGBTQAアクティビスト、一方ではフォトジャーナリスト(Drago media)というように多才な方です。また、2015年にはベイエリアを中心としたLGBTIQ活動家を称えるHonor(名誉)も受賞しておられます。
彼は約10年前、サンフランシスコを中心にろうLGBTIQムーブメントを巻き起こし、Castro通りに " The Deaf Gay & Lesbian Center"をを設立しました。
(※トランスジェンダー;transgender 身体の性別とは異なる性別を生きる(生きたいと望む)人たちの総称、性別越境者)

(かって存在していた " The Deaf Gay & Lesbian Center"の前でDrago Renteria氏と)
しかし、その後、ITなどの普及により、情報発信、相談事業などがネット中心となり、現在、センターそのものは無くなってしまいました。しかし、Facebookなどを中心に情報発信が今でも継続されています。(Deaf Queer Resource Centerのホームページ http://www.deafqueer.org)
講演では、Native American (アメリカ先住民族)でトランスジェンダーは"Two sprit people"(ふたつの精神を持った人々)というように霊的な存在として捉えられ、リスペクトされていたというお話から始まりました。トランスジェンダーはひとつの定義として、まとめるのは不可能に近く、常時、異なる性別で生活する人、プライベートな時間や職業的な場面に限定して実践する人がいたりと、実に多種多様です。日本でもそうですが、トランスジェンダーは病理的視点として性同一性障害といった病名もありますが、そうではなく"性を超える人たち" つまり、性別越境者というように、文化的視点に立ったサポートの必要性が述べられていました。
また、LGBTのなかの"T"という立場、その立場というのはLGBTの中でもさらにマイノリティで、ストレートの人たちだけでなく、LGBからも差別を受けるリスクが高いということ、そして、彼ら/彼女らの生き様、LGBとTの異なる問題点、ろう×トランスジェンダーへの支援などを中心にDrago氏のお話は約4時間と続きました。
アメリカと日本、それぞれの国家的、政治的背景などは異なりますが、現在、アメリカでは同性婚が認められたりと世界において前進的です。しかし、先日、フロリダ州Orlandoのクラブで多くのLGBTIQの仲間が殺されました。私自身、今でも悲しみが癒えません。そのような出来事も含めて、アメリカで実際に起こっていることをしっかりと目に焼きついておいて、テロやヘイトから"自分を守る"ということについて考えたいと思っています。
そして、私自身、Drago氏と同じように、ろうLGBTIQについてお話をしたり、活動をしている立場ですが、彼のお話には共感できるものがたくさんありました。Dorago氏に、なぜここまで長く活動を続けられたのですか?と聞くと、彼からの答えはこうでした。「私たちは間違ったことに対して傍観するのか、それとも行動するのか、行動を起こさないと"選択"という権利を得ることができません。行動せずに変化を起こすのは、もはや不可能です」
活動を進めていくほど、悩みが増えて不安になります、ということも伝えると、笑顔でこう話してくれました。「私はあなたと同じ活動家です。しかし、私たちは前に出るのではなく、社会変革のための"仲介"としての役目を持つべきです」
私自身、"仲介"という言葉にハッとしました。その後、何故か気持ちが軽くなりました。そして、私自身、今後進むべき道というものに対してヒントをいただいたような感じがしました。
Drago氏の講演を聴くことで、セクシャリティーに関する専門的な多くの英語、アメリカ手話単語を学ぶことができました。このような経験は次の進学先でも大いに役立ってくれることでしょう。楽しみです。
それでは、また。
6月はフリーモントを離れて、友達の暮らすサクラメントに出かけたり、Lake Tahoe(タホ湖)で泳いだりと、アメリカで初めて過ごす夏休みを楽しむことができました。
日本は梅雨の時季ですが、こちらでは雨が降らず、からっとした気候です。湿度もそんなに高くなく、夜は涼しく、過ごしやすい夏です。

(タホ湖にて。白鳥に寝そべっているのが私です。どこへ行くのでしょう・・・。カリフォルニアならではの澄み切った、きれいな青空です)
NancyのTutorではエッセイの書き方や文法を教わったりして、走馬灯のように過ぎ去った春学期の復習をすることができました。
そして、Ohlone Collegeとも、いよいよお別れとなり、教授が私たちのためにお別れの食事会を設定してくれました。
生活面、学業面で献身的にサポートしてくださったNancy先生、Tom先生、Kendra先生、そして、毎日デフカウンセリングサービスに通い詰めた私に対して、嫌な顔をせず、さまざまなジョークで笑わせてくれたナン先生にはとても感謝しています。
皆さん、とてもあたたかく、時には厳しく指導してくれ、Ohlone Collegeで勉強できてよかった!と思っています。

そして、6月11日は、私にとって待ちに待った講演会が開催されました。Drago Renteria氏とそのパートナーであるJennifer Mantle氏、お二人による講演会です。タイトルは "The T in LGBT: A Deaf Man's Journey from Female to Male"(LGBTの中のT、ろう男性による"女性から男性"への旅路)です。

Drago氏はろう×トランスジェンダー当事者で、ろうLGBTQAコミュニティリーダー、ろうLGBTQAアクティビスト、一方ではフォトジャーナリスト(Drago media)というように多才な方です。また、2015年にはベイエリアを中心としたLGBTIQ活動家を称えるHonor(名誉)も受賞しておられます。
彼は約10年前、サンフランシスコを中心にろうLGBTIQムーブメントを巻き起こし、Castro通りに " The Deaf Gay & Lesbian Center"をを設立しました。
(※トランスジェンダー;transgender 身体の性別とは異なる性別を生きる(生きたいと望む)人たちの総称、性別越境者)

(かって存在していた " The Deaf Gay & Lesbian Center"の前でDrago Renteria氏と)
しかし、その後、ITなどの普及により、情報発信、相談事業などがネット中心となり、現在、センターそのものは無くなってしまいました。しかし、Facebookなどを中心に情報発信が今でも継続されています。(Deaf Queer Resource Centerのホームページ http://www.deafqueer.org)
講演では、Native American (アメリカ先住民族)でトランスジェンダーは"Two sprit people"(ふたつの精神を持った人々)というように霊的な存在として捉えられ、リスペクトされていたというお話から始まりました。トランスジェンダーはひとつの定義として、まとめるのは不可能に近く、常時、異なる性別で生活する人、プライベートな時間や職業的な場面に限定して実践する人がいたりと、実に多種多様です。日本でもそうですが、トランスジェンダーは病理的視点として性同一性障害といった病名もありますが、そうではなく"性を超える人たち" つまり、性別越境者というように、文化的視点に立ったサポートの必要性が述べられていました。
また、LGBTのなかの"T"という立場、その立場というのはLGBTの中でもさらにマイノリティで、ストレートの人たちだけでなく、LGBからも差別を受けるリスクが高いということ、そして、彼ら/彼女らの生き様、LGBとTの異なる問題点、ろう×トランスジェンダーへの支援などを中心にDrago氏のお話は約4時間と続きました。
アメリカと日本、それぞれの国家的、政治的背景などは異なりますが、現在、アメリカでは同性婚が認められたりと世界において前進的です。しかし、先日、フロリダ州Orlandoのクラブで多くのLGBTIQの仲間が殺されました。私自身、今でも悲しみが癒えません。そのような出来事も含めて、アメリカで実際に起こっていることをしっかりと目に焼きついておいて、テロやヘイトから"自分を守る"ということについて考えたいと思っています。
そして、私自身、Drago氏と同じように、ろうLGBTIQについてお話をしたり、活動をしている立場ですが、彼のお話には共感できるものがたくさんありました。Dorago氏に、なぜここまで長く活動を続けられたのですか?と聞くと、彼からの答えはこうでした。「私たちは間違ったことに対して傍観するのか、それとも行動するのか、行動を起こさないと"選択"という権利を得ることができません。行動せずに変化を起こすのは、もはや不可能です」
活動を進めていくほど、悩みが増えて不安になります、ということも伝えると、笑顔でこう話してくれました。「私はあなたと同じ活動家です。しかし、私たちは前に出るのではなく、社会変革のための"仲介"としての役目を持つべきです」
私自身、"仲介"という言葉にハッとしました。その後、何故か気持ちが軽くなりました。そして、私自身、今後進むべき道というものに対してヒントをいただいたような感じがしました。
Drago氏の講演を聴くことで、セクシャリティーに関する専門的な多くの英語、アメリカ手話単語を学ぶことができました。このような経験は次の進学先でも大いに役立ってくれることでしょう。楽しみです。
それでは、また。