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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2016年9月 生活記録 【第12期生 西 雄也】[2016年10月01日(Sat)]
◆オリエンテーション・秋学期スタート!
8月24日にオリエンテーションが行われ、今年度入学したろう学生は約40名でした。国際ろう留学生は日本、モンゴル、インド、イラク、フィリピン、メキシコから入学していました。既に在学しているろう学生の中にもタイ、韓国、アフリカなどの学生が在籍しているので、これから色々な国の人達と異文化交流ができることが楽しみな気持ちで一杯です。オリエンテーションでは、それぞれの新入生から自己紹介や講師からオーロニ大学の紹介・概要、先輩からのアドバイス、オーロニ大学内に在籍している警察から不審者(銃を持った人)対策のムービーを上映した上での説明が行われました。
8月29日に秋学期がスタートした時からは、これまで人気が少なかった大学内は、一斉に活気づいてきました。

IMG_8643.jpg
↑ オリエンテーション

IMG_0548.JPG
↑ 今年度の新ろう留学生と(許可頂いてます)


◆履修クラス
私が秋学期に履修したクラスは下記の通りです。大学進学を目指すクラスがほとんどであり、全てろう学生のみ履修しているクラスです。

DEAF-175A Grammar
文法の基礎や構図を学ぶという内容であり、文法の意味や英語の使用に焦点を当て、適切に文法構造を学んで行くことを目指しています。クラスが開始してからは、Diagramming Sentencesという英語の文章をあるシステムの図表を用いて分析していきました。この方法は日本では見たことがない方法でしたが、わかりやすい内容でした。その後はbe動詞や一般動詞の基本などを学んでいるので、中・高で勉強したことを思い出しながら取り組んでいます。

IMG_0249.jpg
↑ Diagramming Sentences

DEAF-189A Reading
このクラスは履修する生徒数が多く、約25名以上もいる為、部屋が ぎゅうぎゅう詰めの状態です。それでもなんとかクラスを進めることができています。講義の内容はレベルの高い語彙を文例を通じて理解したり、英文のパラグラフの構成を理解するために主にTopic(何を論じるか)やMain idea(文の中心となる考え方)などを用い、どの様な場面や文章に適しているかを考え、効果的に解読するにはどうしたら良いかを学んでいくクラスです。またそれぞれ割り当てられたグループを作り、そのグループで一つの単語を分析し、みんなの前で発表することや、クイズゲーム形式で問題を解いていくということも行われました。

DEAF-188A Writing
主にエッセイの書き方を学ぶ内容であり、読んでいる本の内容を理解し、クラスメイト同士でグループワークを行う取り組みをしています。このクラスでは、『Letters My Mother Never Read』(Jerri Diane Sueck)という本を活用し、エッセイを書いています。この本は8才で母を火事で亡くし、母に対する想いを込めた手紙の内容や、家庭の問題や自分自身の生い立ちや生き様を綴った、筆者自身のストーリーであり、悲しい内容です。宿題はというと、次回の講義までに何ページから何ページまで読むという課題が出され、それに対してエッセイを書き出していきます。全部で15ページだとしても私自身の語彙力、英語力がまだまだであるという課題があり、解読するのにかなりの時間を費やしています。

DEAF-161-01 Deaf Community
基本的な流れはASLの小テストやテーマに沿った英語の小テストや『Deaf Culture-Our Way』という本を用いての英文の解読、ろう文化(ろう者が制作した作品や活動しているスポーツなどの紹介)について幅広く学んでいます。そして、「デフコミュニティ・ろう文化」に関してなのか、時々それぞれの学生たちが前に出てテーマ(例:年齢順、身長順、アメリカから遠く離れている国の順など)に基づいてコミュニケーションを交わしながら、順番に並んでいくという、ゲーム形式の様に楽しむことができています。たまたまですが、このクラスは手話通訳養成クラスの時間が重なっている為、時々そのクラスの人達と交流する機会もあり、楽しむ事ができています。更に今後講義の内容に含まれているろう者に関する施設、公共機関などを見学する企画があるので、楽しみにしています。



↑↑講義の中で紹介いただいた、デフキャンプの為にニューヨークへ集まった学生たちが制作した作品です。プロモーションビデオを意識して作られた手話で表現した音楽の動画はなかなか斬新的でした。

DEAF311 Deaf Culture (聴講生として参加)
このクラスはろう学生のみ履修できるというクラスです。なぜなら、ろう文化と聴者の文化は違う。ろう文化とは何かを研鑽していくことが目的であり、Tom先生自身が出版した『DEAF CULTURE』の本も取り入れながら、ディスカッション形式で、ろう文化について議論を深めていきます。「文化」とは何か?「ろう文化」はどうやって身に付くものなのか?「文化」の原点は抑圧や強制されて創るものではなく、その人が持って生まれたものや環境、生活などによって自然に身に付くことであるなど「ADA法」のことも取り入れながらの議論が交わされ、それぞれの意見が奥深いものであると感じました。


◆秋学期が開始して…
秋学期が開始してから一ヶ月が過ぎようとしています。日本の大学とは違って、毎回多くの課題が出され、それに追われながらも週末は友人と食事をしたり、近くの場所へ観光をするなどの息抜きをし、心身ともにバランスをとったりしています。課題については、済ませるのに多くの時間を要しますが楽しむ気持ちも持ちながら取り組んでいます。またアメリカならでのディスカッションやディベートが体験できていることは、日本とは違った内容・雰囲気を味わうことができているので、貴重な体験ができています。
現在、わからない英単語を日本語で調べることに頼ることが多く、一刻も早く英語力を身に付けるには英語で英語を理解していく必要があるので、英英辞典で調べる習慣をつけていきたいと思っています。
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https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/archive/991
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