
2015年11月生活記録 第9期生 瀧澤泉[2015年12月04日(Fri)]
10月から1ヶ月間が過ぎ、11月26日の感謝祭を終えるともう町中がクリスマスシーズンに変身していました。白い吐息に、雪が来るはずなのにまだ来ずに、ただ冷たい風が漂っています。
経済クラス (Economics)
このクラスは大学のクラスであり、国際開発学部に必要な科目です。今まで「経済」は難しいイメージだと思っていたのですが、予想以上に興味深く学んでいます。主に生産・社会活動に関わり、善良な生活を保つためには物とサービスが重要なポイントになります。最初は経済に関する数学が多く、久しぶりの数学学習も含めて時間をかけて理解できました。消費と品質のバランスをよく、無駄な労力やコストを減少するために優先度や規則、数から影響する背景を分析するなど学習しました。
経済といえば、バブルの崩壊の影響、老年人口の増加による物買いの減少、政府のコントロール限界など様々な面が経済成長に影響を引き起こします。
皆さんも知っているように、途上国の経済が悪く、貿易活動の場合は国と国の商品や食品の消費と品質のバランスがかみ合わずにやり取りの限度が先進国よりも限られてしまうことがあるのです。或いは、国際開発の入門から学んだ内容から農場の拡大、仕事と子育ての両立ができない、教育の基準が上がらず、資源の不足などから経済成長が改善できない状況になっているのです。ほかにも、失業率が高ければ高いほど、ビジネスや貿易が悪化しているということがわかります。
お金とは何か。ある一言が印象に残りました。「もし銀行廃止や政府システムが悪化し、明日からお金が使えなくなったとします。するとお金は『ただの紙』になってしまうのです。」
よくよく考えたら、昔は動物や果物、物と物の交換などでやり取りしていたのが現在はお金(紙)に変わってきているのです。しかも、借り出しもできるし、ポケットに保管することもできるものとなってきているのだと不思議に思います。しかし、その成果から人間心理の関係性や多様性の技術、ニーズがますます複雑になってきているのです。
経済を知れば知るほど、ライフスタイルやビジネス、人口変化など様々な影響で変わっていくのだと想像できました。ただ問題なのは、途上国の罠(Trap)の原因が経済の影響だけとは限らないのです。国の文化、環境、人権、戦争など様々な原因による影響もかかわっているのです。正直、経済クラスを取ってよかったと思っています。
径営論理学 (Ethics in Management)
クラスで職場や裁判でも関わる論理についてディスカッションをしてきました。とても奥深いものであり、周辺の人々や自分について分析する機会をくれました。
毎回クラスに参加する前に4冊を読んで、ディスカッションをしました。
「Justice‐正義‐」著者:Michael J. Sandel (マイケル・サンデル)
正義とは何か考えるとき、私は人間関係や社会において正しさという価値観を探り、互いに認め合うというイメージを持っています。しかし、皆それぞれの違った価値観があり、解決できるまで時間がかかるのです。宗教のほとんどは「人を殺してはならない」という言葉がでてくるが、この世には矛盾することがあるのです。その本からによると、戦場へ行って体の傷を負った兵士たちにパープルハート勲章を与えている。しかしながら、精神疾患や心的外傷に苦しみ、自殺してまで亡くなる兵士たちがたくさんいるというのにもかかわらずにパープルハート勲章を与えないという深刻な問題がでているのです。驚いたことは英雄な行動に対して与えるのではなく、傷を負った兵士たちに与えているのです。精神的に苦しむ人は見えない傷であり、判断しづらい状況でどのように解決するのかをディスカッションしましたが、意見が半分に分かれてしまい、兵士たちの証拠を残す、或いは経験話をしてもらうなど未解決な結論となりました。
高等学校時代を思い出す。ベトナム戦争から帰還兵の一人である、アフリカ系アメリカ人のアレン・ネルソン氏が来られて講演していました。悲しいことに、彼は高校に講演しに来られた後に亡くなられていました。あの時に講演した彼の顔は忘れることができないのです。
「正義」は誰が決めるのか、宗教か、それとも政府が決めるのか。重要なことは人々とディスカッションし、意見を言い合うことで解決の道へ導いていくものだと私は思うのです。
「Lying‐嘘‐」著者:Sissela Bok
人間皆は少しでも「嘘」をつく経験があるのでしょう。ただ、「嘘は自覚がない」という話がありました。嘘をつく必要もないのに、わざわざついてしまう。それは自分を守るためなのか?もしも、ある主婦が夫のパソコンを開いたとします。理由は夫が仕事や隠して違反行為をしていないか確認するためです。それは正しいのか?私からの視点で「主婦が夫を信頼していないのではないか?」と思ったのですが、ニュースによると夫が銃殺する企画を立てていることを主婦は知らずに殺されたというケースが出ています。そう思うと何とも言えなくなりましたが、重要なことはコミュニケーションでしょうか。戦争も関係があり、嘘をつけばつくほど複雑な結論になるのです。
「Dobel Public Integrity」著者:J. Patrick Dobel
ミシガン州ディアボーン大学の教授であったDobel氏は道徳、妥協と政治処置に関わる倫理問題について研究しています。主導者、団体、個別などそれぞれにある「責任」についてクラスメイトとグループに別れてプレゼンしました。問題が起きたときに、前もって制約した規則に従うだけではなく、責任はどこにあるのかなども考える必要がありました。たとえば、戦争のとき政府が大きな爆弾を作るようにある科学者に依頼しました。責任はどっちにあるのか?と考えると政府だといえますが、実際には科学者が断ればよかったのではないかと意見がありました。お金が強かったのではないかと語り合いました。お金に引かれて、結果的に悪いことを選んでしまうこともあります。実話の映画「Shattered Glass」をクラスで映画鑑賞しました。簡単にまとめるとワシントンDCにある政治雑誌「The New Republic」に若者の男性が法律学校に通学しながら、評判の高い記者として勤めていました。しかし、記事の内容は明らかにでたらめだったと他者の取材が発見した事件から「責任」は誰にあるのか?と分析しました。ここで、話したいのですがさすがにネタバレになると思うので、興味のある方は是非、「ニュースの天才」映画をご覧くださいませ。
「The Sunflower」著者:Simon Wiesenthal (サイモン・ヴィーゼンタール)
その本はホロコースト(ユダヤ人虐殺)の中で収容所から生き延びたユダヤ囚人であった経験話である。ユダヤ人の墓にひまわりがなく、ドイツにある兵士たちの墓にひまわりが植えてあるそうです。胸に響いた言葉、「ひまわりは神の目であり、その目はユダヤ人を虐殺した兵士を見ている」。その本は濃い内容であり、本人の立場に苦しんだそうだ。彼の自由はどこにあるのか、忘れられない記憶をパソコンのように簡単に削除することができない。そんな彼が書いた本です。時間がたつにつれて、ユダヤ人を忘れてしまうのでしょう。歴史に残っても、誰かが本人の辛さを知らずに時間を過ぎてしまうのが現状にあります。ユダヤ人たちに(もし私たちが兵士だったら)私たちを許してほしいと言って済ませるのか?
クラスメイトの人が「人の感情は解決できないかもしれない」と話していました。責任をだれ一人全部背負うことができないという上に、罪悪感から抜けないままに亡くなる方もいるかもしれません。そのために本があるのかもしれません。
経営論理の話に入ったらちょっと重い内容になってしまいましたが、この秋学期は本当に濃いクラスばかりでした。少しずつ視野を広げて、知識を増やして人と問題に面した時にどう行動するべきかと考えることが私の課題だと思います。
Amnestry International −アムネスティ・インターナショナル−
その団体は非政府組織(NGO)であり、国際連合との協議資格をもっています。主に人権擁護や難民を救うなど支援活動をしており、それだけではなく一般者たちも参加して支援活動しています。例えば政府宛に手紙や署名を送ったり、寄付金を出したり、講演を実行することも可能です。11月14日(土)にBaltimore (ボルチモア)、ワシントンDCから車で30分か40分辺りで行ける所にあり、そこでワークショップがありました。友人と団体のスタッフと一緒に参加しに行きました。
朝9時に始め、夜8時までに10のワークショップや展覧会など色々ありました。会場に1000名ほどに集まり、講演に参加したり問題に関する質問などしたりする様子でした。ワークショップの中で「性」や「キャンペーン・広告の活かし方」など関心を持って参加しました。ほとんど10代〜20代ほどの若者たちが意外とたくさんいました。
キャンペーン・広告を活かすためには「言葉」の力が大きいそうです。時間をかけて、一般者に現状を伝えるために工夫が必要なので少しでも情報を集めることができました。
長いワークショップで疲れましたが、そのようなワークショップを提供し、世界中誰でも参加出来る所が良い面だと思います(日本もありますよ)。学んだことは、政府の力ではなく、民衆の力で支援活動ができるのっていいですね。
11月21日(土)「Spring Awareness」(春の目覚め)
実はニューヨークシティへ(NYC)行く予定でなかったその日の前夜にある友人から突然メールがきました。「明日の朝にNYCへ行くのに、緊急に行けなくなった人がいるんだけど良かったら代わりに一緒にいかない?」と誘われて、迷った10分間の結末に決めていくことにしました。初のニューヨークでした。2日間しか滞在できなかったが、ろう者劇場以外に少しだけ観光して、なんとなく感動して帰りました。長期休暇のときにまた行きたいです。
Spring Awakening (春の目覚め)サイト
ウェブサイトに「Media」に短動画があるので見てみてください。
胸に響くほどとても迫力のある演劇でした...日本の皆さんも是非みてほしいです...!
手話通訳者も一緒に演劇するのでろう者も聴者も楽しめる演劇です。凄いです!
Deaf West Theatre(サイト) カリフォルニア州にあるろう者劇団のサイト