
2015年11月生活記録 第11期生 山本芙由美[2015年12月01日(Tue)]
早いもので気がつけば、今日から師走です。
ここフリーモントは朝晩はとても寒く、日本のこたつに入りつつ蜜柑をほおばる、
そんな情景が恋しくなってきています。
さて、秋学期もあと3週間で終了しますが、この学期はわたしにとって
ひとつ大きな出会いがありました。
シルバーヘアーの天然パーマ、いつも笑顔で、パワフルな60歳代の女性、
力強く柔らかいASLで話を展開、ひとりひとりの学生の意見に対して
真剣な眼差しで聞く。
そんな彼女はDeaf Culture のクラスで一緒になった、
Ella Mae Lentz(エラ・メイ・レンツ)さんです。
(画像1)Ellaさんも私たちの作った「ろうLGBTサポートブック」を手に取ってくれて
「Good Job!」と褒めてくださいました。
Ellaさんはアメリカで初めてのASLテキストブック "Signing Naturally"を作った人であり、
ASL Teaching(ASL教育)、ASL Poem(ASL詩)、ASL Story(ASL物語)など
手がけるなど、ここアメリカのDeaf Communityの先駆者のひとりです。
また、彼女はDeaf hoodという概念をベースにDeaf hood Foundationというグループで、
それらの学問的分析/研究、そして、様々なバックグランドをもつ、ろう者の支援なども行っています。
(Deaf Hood Foundation http://www.deafhoodfoundation.org/Deafhood/Home.html)
そんな出会いの中で、幸運にもOhlone Collegeで”Deaf hood”についてEllaさんの講演会が開催されました。
Deaf hoodはイギリスのPaddy Ladd博士(パディ・ラッド)によって
発起された概念ですが、
簡潔にいえば、ろう者とは「聞こえない(deafness)ではなく、ろうであること(Deaf hood)」という考え方です。
他にも「ろうであること」「ろうへの道しるべ」というように様々な解釈もあります。最近ではMother hood、Child hoodという概念も話題になってきています。
そして、講演では「ろう」としての経験には多くの様々な出来事(教育的背景、親との関係、手話の使用など)が交差します。その交差は死ぬまで一生続きますが、それぞれのステージにおいて「ろう」をどう位置づけ、どうポジティブに考えていくかが重要だと話されていました。
そのような中で、「ろう」としての経験、「LGBT」としての経験、この2つの経験をあわせ持つ、ろうLGBTとしての"hood"とは何だろうと考えています。
Ellaさんにそのことを話した時に、今後、議論を深める必要のあるトピックだと言ってくれました。
英語の勉強はもちろん、来年の進学にむけて、自分の専門分野であるSexuality、diversityについて、アカデミックなワード、知識を習得できるよう、それらに関する難しい本を少しずつ読めるよう頑張りたいです。
それでは、また。