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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2015年11月生活記録 第11期生 山本芙由美[2015年12月01日(Tue)]

いもので気がつけば、今日から師走です。
ここフリーモントは朝晩はとても寒く、日本のこたつに入りつつ蜜柑をほおばる、
そんな情景が恋しくなってきています。

さて、秋学期もあと3週間で終了しますが、この学期はわたしにとって
ひとつ大きな出会いがありました。
シルバーヘアーの天然パーマ、いつも笑顔で、パワフルな60歳代の女性、
力強く柔らかいASLで話を展開、ひとりひとりの学生の意見に対して
真剣な眼差しで聞く。

そんな彼女はDeaf Culture のクラスで一緒になった、
Ella Mae Lentz(エラ・メイ・レンツ)さんです。

IMG_0460.JPG

(画像1)Ellaさんも私たちの作った「ろうLGBTサポートブック」を手に取ってくれて
「Good Job!」と褒めてくださいました。


Ellaさんはアメリカで初めてのASLテキストブック "Signing Naturally"を作った人であり、
ASL Teaching(ASL教育)、ASL Poem(ASL詩)、ASL Story(ASL物語)など
手がけるなど、ここアメリカのDeaf Communityの先駆者のひとりです。

また、彼女はDeaf hoodという概念をベースにDeaf hood Foundationというグループで、
それらの学問的分析/研究、そして、様々なバックグランドをもつ、ろう者の支援なども行っています。
(Deaf Hood Foundation http://www.deafhoodfoundation.org/Deafhood/Home.html

そんな出会いの中で、幸運にもOhlone Collegeで”Deaf hood”についてEllaさんの講演会が開催されました。

IMG_0895.JPG

Deaf hoodはイギリスのPaddy Ladd博士(パディ・ラッド)によって
発起された概念ですが、
簡潔にいえば、ろう者とは「聞こえない(deafness)ではなく、ろうであること(Deaf hood)」という考え方です。
他にも「ろうであること」「ろうへの道しるべ」というように様々な解釈もあります。最近ではMother hood、Child hoodという概念も話題になってきています。

そして、講演では「ろう」としての経験には多くの様々な出来事(教育的背景、親との関係、手話の使用など)が交差します。その交差は死ぬまで一生続きますが、それぞれのステージにおいて「ろう」をどう位置づけ、どうポジティブに考えていくかが重要だと話されていました。

そのような中で、「ろう」としての経験、「LGBT」としての経験、この2つの経験をあわせ持つ、ろうLGBTとしての"hood"とは何だろうと考えています。
Ellaさんにそのことを話した時に、今後、議論を深める必要のあるトピックだと言ってくれました。

英語の勉強はもちろん、来年の進学にむけて、自分の専門分野であるSexuality、diversityについて、アカデミックなワード、知識を習得できるよう、それらに関する難しい本を少しずつ読めるよう頑張りたいです。

それでは、また。
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