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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2014年5月生活記録 第7期生 中川美幸[2014年06月14日(Sat)]
〜ゆっくりと考えられる時間をありがとう〜

あっと言う間にギャロデット大学大学院での一年目が終わってしまいました。大学院での一年間は、私にとって「再挑戦」の一年でした。新しい出会いをどう活かすのか、どうやって自分の英語力の不足を乗り越え、良い成績を維持していくか、どうしたらクラスについていけるか、色々と悩んだ時期でした。しかし、多くの日本財団の先輩方、スタッフの皆さん、家族、そして、私の大切な友人達に支えられたからこそ、乗り越えることが出来たと思っています。今までの一年間を有難うございました。これからも宜しくお願い致します。

事情により5月に一時帰国しました。家族とも会い、あちこちの聾学校を見学し、より多くの先生方と情報交換をしたかったので、帰国を決断して良かったと思っています。体調もおかしいと気づいていたので、実家の近くの病院で検査を受けたところ、たくましい体格をしているのに、なんと「栄養不足」で「貧血」だと診断されました。アメリカではしっかりと量は食べていたのですが、やはりお料理の中身が違うと栄養が偏り身体に良くなかったようです。医者に危険だと警告されたので、日本にいる間はたっぷり充電しようと決めています。

☆ 授業と実習!☆

★言語習得と認識発達:Language Acquisition and Cognitive Development
5月、このクラスのまとめはグループプロジェクトでした。私たちは、聞こえる両親が聞こえない赤ちゃんに出会い、どう悩むかを考えながら、英語と手話を両方見られるE−ブックを作りました。残念ながら、私たちが作成した新しいアプリは、アップルにダウンロードしたソフトでないと見られないものでした。今後は全国の子供たち誰にでも見られるよう、何かにアレンジ出来たら良いなと考えています。


★ 障害児教育:Teaching Students with Disabilities
5月は、先月レポートしたように、アッシャー症候群について調べた内容を発表しました。私の発表は好評で、成績もアップし、とても嬉しかったです。あれこれ調べていく中で、参考になったブログが有りますので、ご覧下さい。
これは日本語のユーチューブなので見やすいかと思います。しかも、アッシャー症候群の見方も載っています。
https://www.youtube.com/watch?v=ejcPC_XsfbM


★ 多様な学習者のための家庭、学校、そしてコミュニティのコラボ―ション:Home, School, and Community Collaboration for Diverse Learners

先月、移民関係の漫画について述べましたが、アメリカではグラフィックが人気のようで、アニメみたいなものです。さらに、ろう学生には漫画がお薦めであるという参考文献も見つかり、先生からも薦められました。私が移民について講演したのですが、先生が決めたルールで、新しい技術を使った発表をしなければならないのです。つまり、いつものパワーポイントでは駄目だということで、私たちのグループは、新しいウエブページを立ち上げて発表しました。これはとても勉強になりました。こちらアメリカに来て、パワーポイント以外を沢山学ぶことになるとは思いもよらなかったので、とても楽しいです。

私たちが使ったウエブページ(Weebly)
新しいウエブ.png


★教育実習:Practicum & Seminar
5月は、自分たちが実習してきたことをまとめ、発表する月間です。私たちは、この教育実習から得たものをリサーチし、レポートにするプロジェクトを始めました。私は新しいものを日本に持ち帰りたいと思い、新しいアプリを使ったプロジェクトを考え、それを教授とアドバイザーに相談しながら進めました。今の所は、まだ英語版ですが、これからは日本語版を作っていけたらいいなと思っています。アメリカの素晴らしいところは、多くの手話動画に字幕がついていることでもあり、手話だけの動画もあります。手話だけか、手話と字幕かを選べるのです。日本についても調べてみたのですが、手話動画が少ないという事に気づきました。しかし、日本は東日本大地震をきっかけに、DNNを始め、色々な手話動画が増えてきています。様々な動画を比べながら、聾学校で活用出来るものを作成していきたいです。折角ですので、聾学校実習で発見したものをアップします。

毎朝こどもたちが楽しみにしている工作
photo2.jpg

私が実習した2歳児クラスのこどもたちが読んだ絵本
photo5.jpg

☆ 日本での色々な勉強 ☆
日本で色々なことを吸収し、アメリカと比べてみたい、大学院での勉強のパワーにしていきたいと思い、決めたことが二つあります。一つは、日本のろう社会の素晴らしさを見てくること、二つ目は日本の聾学校の様子を見てくることです。
先ず、日本のいくつかのろう劇を観に行きました。アメリカとは違った演じ方で、とても素晴らしいと思いました。また、社会人野球も初めて観に行き、組織が大きいことに驚きました。いまだに沢山のチームがあり、東北、北陸からも集まってきていました。そこには日本なりのやり方が有るということに気付かされました。これからも、手話サークル、ろうスポーツなど、日本の良いところを見学していきたいと思っています。
そして、私の一番の目的でもある聾学校見学ですが、先ず私がかつて働いていた聾学校(A聾学校とB聾学校)はどうだろうかと見に行きました。留学で学ぶには、日本の聾学校の現状を知っておかなくては意味がないのです。だから、今年も見ておこうと決めていたのです。そして、A聾学校もB聾学校も課題があるということを強く感じました。アメリカでは、私の母校でもある筑波大学附属聾学校と同様に、教師が異動する義務は有りません。しかし、各都道府県の聾学校は、数年で異動しなければならないのです。聞こえない、聞こえにくい子供たちにとっては、手話などのコミュニケーションツールも使え、子供たちの聞こえや環境をよく理解する先生方が必要なのです。しかし、その先生方も定期的に他の特別支援学校へ異動してしまうのです。先週、ある保護者から言われました。「聾学校を変えていくためには、都道府県も変えていくしかないのかな」と。ろう教育を根本的に変えていくためにも、教師、生徒、保護者、そして、ろう者たちで話し合っていく必要があるのでは、と感じた5月でした。
今回見学の際、中学部、高等部の生徒たちに留学のことを語る時間を設けて頂き、アメリカのことをお話ししてきました。一番の目的は、アメリカが素晴らしいことを伝えるのではなく、日本が素晴らしいという誇りを持ってもらいたいという事です。そのための資料を探すのがとても大変でしたが、日本の素晴らしさを中学生、高校生たちに伝える機会を下さった聾学校に感謝しています。6月も、私が働いていたことがあるC聾学校、そして、私の元上長でもあり、一番尊敬している先生が勤務されているD聾学校を見学する予定なので、とても楽しみにしています。
この記事のURL
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/archive/769
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