2013年12月生活記録 第9期生 福田桂[2014年01月15日(Wed)]
お健やかに新春をお迎えのことと
心からお喜び申し上げます
心からお喜び申し上げます
おかげさまで皆様方の暖かいご支援を力として、2014年のスタートを切ることができました。冬期休暇中はカリフォルニアを離れて1ヶ月間国内旅行してきました。この旅行記については1月の生活記録に書きます。
感謝祭週間の後、すぐに期末試験があるなど多忙な日々でした。ASLクラスは感謝祭前後試験が続き、そのプレッシャーから体調を崩して、試験の日を欠席してしまいました。試験を欠席した者はクラス開始前の時間を利用して再試験、手話単語の読み取りも実施しました。最後のクラスではASLを取り入れた宿題を出されて、教授宅にて発表会が行われました。私は日本人の学生と相談しアメリカと日本との手話と文化の違いを説明しました。2分半でどうまとめたらよいか必死で考えました。他のクラスメイトは歌、料理、劇などを披露されましたが、大体が時間をオーバーしていました。教授宅は学生が持ち寄ってきた料理が並んであり、アメリカではホームパーティーを招待されると、各自が料理を持って寄って皆で一緒に食べるというのが一般的なようです。
発表会の様子
北部カリフォルニアろう盲者協会設立50周年
12月14日〈土〉 北部カリフォルニアろう盲者協会の交流会に参加し、ボランティアでろう盲者の通訳をしてきました。
当協会は1963年に創立、今年で満50周年を迎えました。サンフランシスコのライトハウスにてろう盲者のための訓練プログラムの実施と同時に設立、サンフランシスコ湾岸地域を中心に、ろう盲者の自己啓発に向けた活動を現在も続けています。2003年に全米ろう盲者協会(AADB = American Association of the Deaf-Blind)主催の全米ろう盲者大会がカリフォルニア州サンディエゴで開催されました。設立50周年記念式典等は惜しくも今年の春に終えており、私は参加することができませんでした。
12月なので交流会は恒例のクリスマスパーティー。日本の場合は豪華な弁当、ケーキも食べてプレゼント交換しますが、こちらではいつも通り、ランチはスタッフの手作り料理によるバイキング形式というもので各自で皿に取りわけます。ランチタイムの後には余興で参加者全員参加の景品オークション、シャンパンで締めの乾杯をしてさっと解散するのが普通で、全体的にみれば懇親交流会というようなもの。クリスマスパーティーと言っても日本とは随分違うのでした。
− アメリカに来て初めてろう盲者の通訳を経験しました。
参加者の中で友人でもある弱視ろう盲者のSSPが体調不良でドタキャンになってしまったということで、私がボランティアで接近手話(弱視手話ともいう)の通訳をやらせていただきました。そのろう盲者は過去日本でASLを指導した経験があり、日本が大好きな女性です。以前にはSSPの活動もしていたので、彼女の活動経験談から学ぶこともあります。今回の通訳は当然ながらASLで行うものでASL学習中の私にはアメリカ人の指文字速度は速く、まだ追い付けません。情報を正確に伝える難しさに感じられましたが、近くにいる鏡通訳者(読み取り通訳を聞いて、前でその内容を手話通訳する者)が手話をゆっくりしてくださり、また同じアッシャー症候群を持つ大学の友人にも交代していただきましたので助かりました。
私は以前、日本で通訳・介助者養成講習会を修了し登録通訳・介助者としてあらゆるコミュニケーション手段についての知識と技術を学んできました。現在もボランティアで通訳・介助をしています。帰国後には、ろう盲者向けの手話を主流としたコミュニケーション支援の指導と指導者の育成を目指したいと思います。
− ライトハウス訪問
交流会の翌週、ライトハウスへ行ってきました。ライトハウスとは視覚障害向けのリハビリテーションセンターですが、アメリカではろう盲者のための訓練プログラムも入っています。訪問の目的はSSPサービスの調査です。しかしながら、カリフォルニア州の財政事情により国際留学生は通訳とSSPを利用できないのが残念なところです。触手話の訓練希望の相談もしましたが、これにも良い回答ではありませんでした。ただし、担当者は私への配慮を検討してくださって、触手話指導のできるろう盲者を紹介してくれるそうです。私は普段は少し距離を置いて手話を読み取りますが、長時間の集中によって眼が疲れるときがあるので触手話を覚えて触手話を通して聞き取る方法も悪くないかもしれません。様々なコミュニケーション手段を活用して試行錯誤を重ねていきたい。
交流会の様子
(壁近くに立っている人達は鏡通訳者です〉
(壁近くに立っている人達は鏡通訳者です〉
生活を振り返って・・・
異国での生活に戸惑うことが多く、ここ半年間は環境に馴染めず内向しがちで自分は何か間違っていたかなと思い、それが心の弱さにもなってしまいました。そのたびに周囲の人達に助けを求め、皆様が私を成長させてくださいました。また、ろう盲者との出会いによって、最近は白杖を持ち始めたことで、人生観が大きく変わってきました。かつては白杖を持つことが恥ずかしくて持ち歩きませんでした。白杖は身の安全のための道具であり、周囲の方々の理解がより得られますし、人や物にぶつかることなく精神的な負担軽減ができるのです。
ろう盲者は晴眼者と比べ不便が多く相当な努力が必要ですが、自分が出来る限りの努力をすれば必ず幸福はやってくると信じたいです。今後についても自分自身の課題は多く、まだ人生修行中の身ですが、良い経験も、悪い経験でも「人生皆師」と思い、自分の肥やしとなればと思います。
日本財団や多くの皆様の心の温かさに感謝の念を持ち、新年とともに初心忘れず学業に励みます。これからこそ本当の物語が始まると思い、より一層精進していきます。今後ともご応援をよろしくお願いいたします。