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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
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2013年10月生活記録 第7期生 川口聖[2013年12月18日(Wed)]
秋学期が始まってからずっと、季節の移り変わりを全く気付かないほど、それぞれクラスのために読んでおかなければならない論文などが半端なく、前学期より2倍以上増えた感じなので、それらを読んで内容を覚えて、宿題やクラスが終わったらすぐ忘れて、次の宿題やクラスのために読んで覚えて…の繰り返しが続いた。ようやく一山を越えたなと思ったら、もう11月下旬、Thanksgiving Week(感謝祭休暇)に入っていると気付いたほどである。

OCT1.JPG
(ハロウィーン、誰が飾っているだろう?)

☆LIN771 Field Methods
「フィールド・メゾッズ」、言語学部の必須科目の1つである。それは「フィールドワーク(Field Work)」と同じであり、日本語に変えると、現地調査、あるいは実地調査である。つまり、ある調査対象を学術的に研究するために、その研究に適したところへ実際に行って、その調査対象に直接的な観察やインタビューなどをしながら、学術的な資料を作るための調査技法である。例えば、言語学的な実地調査として、アイヌ語に関する資料が全くない時に、アイヌ人がいっぱいいるところへ行って、アイヌ人と直接に会い、いろいろな調査をして、アイヌ語とはどんな言葉か、どんな仕組みになっているかなど、資料化することで、初めてアイヌ語とは何かを世に知らしめることになる。小生の2012年8月生活記録で報告した通り、コーパスを作るための事前準備としても、必要な調査である。

ここでは、その技法を初めて学ぶという意味で、現地へ行かないかわりに、ASL以外の手語を母語とするろうの人をクラスに招いて、模擬調査、あるいは現地調査のシミュレーションをおこなった。毎年、様々な国々からギャロデット大学に来ているろうの人を招いてきたらしく、今回はトルコから来たろう男性二人を招いた。クラスでミニスタジオを設置し、カメラ係、聞き取り係、翻訳係などの役割分担をクラスメート相互で週ごとに交代しながら、週に一回一時間程、10週間で模擬調査を進めていった。

聞き取り調査をしてアンケート集計みたいにまとめるだけではないかなと思われるかもしれないが、いろいろ気付いたほど、思ったより大変な作業であった。幸いに、イランから来た調査相手は、ASLと英語をよく知っていることもあって、イランの手語、つまりペルシア手語についていろいろ聞き取りができた。それが逆に、もしASLと英語、更にアメリカ文化を知らない調査相手だったら、どのように調査するか想像しにくくなるし、ASLと英語に頼りすぎると、調査対象の手語がみえなくなる恐れがあるなど、不具合が出てしまうのだ。例えば、「しかたがない」、日本でよく使われているのに、英語に訳しにくい日本語になっているが、もし「しかたがない」という言葉を全く知らないアメリカ人の調査者が、英語を全くわからない日本人にどんなに聞き出そうと思っても、その言葉をなかなか聞き出せないとか、たとえ聞き出せてもちんぷんかんぷんのままで終わるのであろう。調査する人の中にある「物差し」が、確実に調査内容にかなりの影響を与えてしまう恐れがあると、まざまざと気付かされた。また、客観的な学術的成果を挙げるという難しさを思い知らされたものである。

OCT2.JPG
(ギャロ大近くの子供公園で見つけたASL指文字表)

☆LIN827 Cognitive Linguistics III
「認知言語学V」、これまで履修してきた「認知言語学T」「認知言語学U」に続く自由科目である。自由科目であるため、同期生から5人、博士課程の2人、合わせて7人のクラスである。これまでのTとUのクラスは担当教授が決められた内容に沿ってすすめられてきたが、Vのクラスはなんとクラスメート自身でつくる形ですすめられるのだ。成績を求めるための採点基準やクラスで使うテキストやクラスをどのようにすすめるかなどは全部クラスメートが決める。担当教授はサポート役にまわるだけである。これまで得てきた知識を更に深めるために、クラスメートの皆で選んだいくつかの論文や本などを使って、クラスメートが交代で議論の進行係を担って、それらのテーマに合わせた議論をすすめる。更に、様々なASLの特徴を認知言語学的な分析をしながら、分析作業の経過報告と議論を2回やって、そして最終レポートとして提出するという課題も与えられていた。まさに、クラスメート自身の好きなようにやって進められるクラスであった。ただ、クラスメートが「先生役」をやる意味でプレッシャーが大きいところもあった。ある意味ではこれまで履修してきたクラスよりすごく楽しめたのは確かだが、クラスの進行係を担うプレッシャーよりも英語とASLの力不足をすごく感じさせられたものである。

OCT3.JPG
(ギャロ大構内のパトカー)
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