2013年10月生活記録 第9期生 福田桂[2013年12月01日(Sun)]
オーロニ大学には寮がないため、留学生のほとんどはホームステイをすることになります。大学側が募集した家庭の中から紹介してくれますが、必ずしもすべての条件が満たされるわけではありません。私は動物が苦手でペットがいない家庭を強く望みましたが、滞在先探しは難航しました。アメリカではペットがいない家庭はあり得ないと言っていいほど、ペットを飼っている家庭がほとんどのようです。結局、希望する条件に当てはまる家庭は出発前ギリギリになってようやく見つかりました。
生活は基本的に自分のことは自分でするようになっていますので、日本での一人暮らしと同様に問題なく生活することができました。時間が合えば、ホストファミリーと一緒に買い物したり私の生活のサポート等助けてもらうことが何度かありました。しかし、彼らの家はたった2ヶ月で去ることになりました。
フリモント市へ引っ越し
当初は1年間滞在する予定でしたが、通学時間がかかり過ぎるため、ユニオンシティからフリモントの家庭に引っ越ししました。通学の所要時間は1時間前後ということでしたが、乗り換えを含めると2時間近くかかり、さらに私はアッシャー症候群(下記説明記載)による夜盲症を持っており、夜は電灯があれば単独での歩行は可能ですが、昼間よりも歩く速度を緩めてゆっくり歩くので、不便も感じたりします。
引っ越しの際、後から入ってきたルームメイトとせっかく仲良くなれたのに申し訳ないのと寂しい気持ちが一瞬湧きましたが、離れていても連絡を取り合ったりしています。生活の環境を変えて気持ちも新たに、勉強時間をより多く確保できたらと思います。
新しいホームステイ先は、なんと、犬がいる家庭です!!犬も苦手ですが、希望する条件を全て満たす家庭はないということで、大きな覚悟をしてこの家に来ました!未だに抱っこできるまでにはなっていないので、この機に、小さな目標ですが動物に対する恐怖心を少しずつ解消していけたらと思っています。
家の周りに立っているヤシの木
クラスでの通訳
情報保障により、クラスに接近手話の通訳者が付きました。通訳は英語クラスのみ通訳者が付いていますが、ASLクラスではろう学生が交代でサポートしてくださっています。私の場合は逆に3mくらい離れて手話を読み取る方法になっており、学生の発言や状況説明を含めた通訳をお願いしました。先生は通訳を介さず直接自分の目で見ています。ろう盲者の見え方によってニーズが異なりますので、出来る限り個々のニーズに応じた通訳をする必要があります。
通訳者は、大学に勤務されている方でボランティアとしてろう盲学生のサポートをしていただくことになりました。始めは私が求めるニーズに対応してもらえず最悪なことばかりでした。残念ながら、大学側の予算面で手話通訳者を派遣できないとのことで、改善を要求していくしか方法がなく、何度も確認し合いました。今月より新しい通訳者が加えられ、2名態勢で一人は通訳、もう一人はノートテイクという担当を分けて私をサポートしていただき、とてもやりやすくなりました。2人とも偶然にもフィリピン人でありろう者ということで、今までにない安心感と新鮮な感じがしました。
ASLクラスでろう者を主人公としたドラマ「THE HUMMUR」を見ました。主人公のマット・ハミルというろう青年のレスリングにおける闘いや成功を実話に基づいて描いています。全米大学選手権で優勝するなど多くの賞を獲得したろう者の選手としても世間から認められた最初のろう者レスラーでありました。そして、このドラマはろう者の俳優が出ており、どこかにいそうなろう者の日常生活を描いていました。そんな生活の中、ろう者と聴者の間に生じる誤解やコミュニケーションギャップを笑いに包みながら、ろう者の心情、聴者のろう者に対する誤解、和解を描いています。耳が聞こえる、聞こえないに関係なく、ろう者の独自性を打ち出せるような感動的な物語と素晴らしい学びを得ました。
【参考】アッシャー症候群について.pdf こちらをクリックするとPDFが開きます