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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2013年2月生活記録 (第5期生 川俣郁美)[2013年03月20日(Wed)]
◆◇「適格な」通訳者◇◆◇

去年から引き続きお世話になっている実習先、国選弁護人事務所社会復帰促進部では、ソーシャルワーク援助技術の向上だけではなく、社会や経済のしくみや法律に関する知識を高める機会に恵まれている。またスーパーバイザーやスタッフ、弁護士、先生などに手話やろう文化を教えたりして、ろう者へ対する理解を深めてもらっている。

特に実習先のスーパーバイザーは私を呼ぶ時に電気を点滅させたり、手を振りかざしたり、また、私の名前を言うときに私のサインネームを使ったり、手話を覚えてくれたりと、以前よりも会話がスムーズにできるようになった。些細なことかもしれないが、理解のある人と一緒に働けるという安心感は大きなものである。

今まで聾のクライアントの裁判と保護観察面接に参加したのだが、どれも有資格の法廷手話通訳とろう通訳がついていて驚いた。さすが障がいのあるアメリカ人法(Americans with Disabilities Act:以下ADA法)。

だがおかしなことに、彼が通っている地元の高校には、通訳者が一人しか派遣されていない。普通なら、1時間以上の通訳なら2人通訳がついているはずである。8時間の通訳に1人はおかしい。しかも通訳として通用しない程、低レベルである。なぜこんなことが起こっているのか?

アメリカの場合、手話通訳派遣事務所は日本のように公営ではなく民営で、市にいくつもの手話通訳派遣企業がある。ADA法により、ろう者に対する「適格な通訳者(qualified interpreter)」の派遣が義務付けられているが、ここでの「適格」の定義は「公認手話通訳士有資格者」とはされていないため、企業が「適格」だと判断すれば手話通訳士の無い者でも通訳ができる。学校に聞いてみると、予算の理由から一番安い通訳事業と契約を結んだそう。すぐに通訳事業を変えてもらうように頼んだ。

実習を通して、今まで見られなかった多くのアメリカの社会問題や現状を目のあたりにし、苛立ち、憤りを感じた。今ある社会資源を最大限活用して、問題解決・改善に貢献していきたい。



WM.jpg
アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンを讃えたワシントン記念塔
高さ555フィート(約170m)あり、DCで一番高い!
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