CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
« 2012年6月生活記録 第7期生 川口聖 | Main | 2012年9月生活記録 第4期生 武田太一 »
2006/4/28ブログ開設時からのアクセス数
UL5キャッシング
最新記事
カテゴリアーカイブ
リンク集
最新コメント
月別アーカイブ
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/index2_0.xml
2012年8月生活記録 第7期生 川口聖[2012年09月28日(Fri)]
こちらワシントンDCでは、9月中旬から、秋らしくなってきたこの頃です。8月6日から17日まで平日10日間、ドイツのハンブルク大学でコーパスについてのサマースクールを受講した。今回はそれについて報告したい。

HMB Univ.JPG
(ハンブルク大学)

☆Corpus
コーパスとは、簡単に言えば、一般社会で実際に使われている言葉を集めることです。一般社会では、学校などで教わった文法通りに全く同じで会話しているわけではない。また、「現代用語の基礎知識」などで紹介されている通り、新語がどんどん生まれている。それらをあるがままに集めて積み重ねたものがコーパスです。音声言語においては、世界各国に国家レベルで作られている。手語においては、最近始まったばかりで、ヨーロッパでは、イギリス、オランダ等いくつかの国で取り組みがなされているが、特に、ドイツが大規模で国家レベル並みに15年計画で進められている。その現場であるハンブルク大学でコーパスについて学ばせていただいた。

Class.JPG
(サマースクールのクラスルーム)

☆サマースクールの内容
1) Elicitation
「データとして引き出す」、コーパスとは何かから始まり、集めて積み重ねるデータはどのようにつくるかという内容。年齢、地域、男女などバランスよく集める、自然会話しやすい環境下でデータを集めるというポイントがあった。

2) Field Research
「実地調査」、コーパスに入れるデータとして合理的に集めるため、どのように調査するかという内容。特に、調査するときの倫理的な心構えについて強調されていた。例えば、ろう者が同意書の文面を理解できない場合どのように対処するか、著作権の問題など。

3) Data Collection
「データ収集」、手語データをどのように収録するかという内容。カメラの位置によって、手語が見えなくなることがあるので、カメラの方向はどこにするか、何台のカメラが必要かなど、収録しやすいスタジオ作りには工夫が必要。

4) HamNoSys
「ハムノーシス」(Hamburg Notation System for Sign Languages)、ハンブルク大学で考案された、世界的に最も知られた手話表記法。HamNoSysの書き方を学ぶ内容。非常に複雑ですが、コンピュータにHamNoSysを入力しただけで、手語を再現できるところまでいっている。

5) Annotation
「収集したデータに注釈をつける」、ハンブルク大学が独自開発したiLexや、オランダの大学で開発されたELANなどのソフトを使って、データを分類整理する。iLexはサーバーを通してデータを共有できるが、ELANはできないという違いがある。

6) Data Analysis
「データ分析」、分類整理されたデータを分析して、統計化する。ELANを使って、例えば、性別、年齢別、地域別などによって手語表現がどのように違いがあるか、その傾向を分析することである。

7) Project Design
「プロジェクト計画」、プロジェクト推進するためには、どのようなことが必要か。例えば、人材をどのように集めるか、スキルをどのように高めるかなど、計画的に考えていくことである。

Studio.JPG
(手語データ収集のためのスタジオ)

☆ふりかえってみて
平日の朝9時から午後5時すぎまで、時には夜9時すぎまでびっしりと、まさに長期集中合宿みたいで、内容濃いサマースクールでした。参加者は50人位で、ほとんどはヨーロッパ内から、アジアからは日本人4人とインド人1人だけ、ろうの人は7人。サマースクールでの使用言語は、英語、ドイツ手語、International Signs。ヨーロッパのほとんどの大学では、母国語と英語のバイリンガル教育でやるのが普通らしく、母国語だけの大学が多いアメリカや日本との違いも実感した。手語コーパス作りは、ヨーロッパのいくつかの国だけで進められているようですが、音声言語と同様に、世界各国に必要です。日本では、個人レベルで進められているそうですが、日本語コーパスが国立国語研究所で構築されている通り、日本手語にも国レベルで作るべきだと感じた。

ハンブルクは、真夏シーズンなのに全くエアコンなしでいられるほど、涼しかった。ハンブルクに来て初めて知ったことですが、「ドイツのヒロシマ」として知られているようです。第2次世界大戦中、空爆で少なくとも5万人の民間人が犠牲になり、100万人以上の市民が家を失ったそうです。なんか、ドイツの民族性も含めて、親しみを感じた。

HMB City.JPG
(ハンブルク市)
この記事のURL
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/archive/602
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
 
コメントする
コメント