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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
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2012年5月生活記録(第4期生 福永梢)[2012年06月11日(Mon)]

o*Hooding Ceremony *o

  今年も大学院生卒業式を見てきた。今回は聴講生のとき同じクラスにいた人たちが卒業するので、絶対見に行くと前から決めていた。現在所属する修士課程の先輩に当たる人たちなのだが、気さくに接してくれて、入試時はアドバイス、入学後は励ましをくれた。その彼らが全員ハードな院生活2年間を無事やり遂げ、晴れて卒業することは私にとっても非常にうれしい。

P1020054.JPG

↑同卒業生から教授たちに贈られた手作りの作品

「When life starts out it’s like a blank canvas and as you live your life it is given many new colorful experience, creating a canvas of a beautifully colored masterpiece. Thank you for adding more colors to OURS.」と書いてある。
【日本語訳】「人生が始まったとき、それは真っ白なキャンバスのようなものだ。人生を送るにつれて、たくさんの新しい、彩り鮮やかな経験が与えられる。美しく彩られた最高傑作のキャンバスを創り出しながら。私たちのキャンバスにさらなる色を足してくれてありがとうございます」

o* Play Therapy *o

  今年の夏は、集中講義を3つ取る。どれも必修クラスだ。春学期が終わったというのに夏休みを楽しむ間もないまま、1つ目の夏期集中講義「プレイセラピー(Play Therapy/遊戯療法)」が始まった。「遊びは子どもの言語である」と言われるように、子どもの自由発想なあそびは心のうちの世界を映し出す。たとえば人形ごっこでは、家庭やテレビ・本などで普段見聞きしている言葉を話したりしぐさをしたりする。言い換えれば、虐待を受けた子どもは自分がされたことを人形ごっこで再現することがあるということだ。

  プレイセラピーにはいくつか種類があるのだが、ここでは1964年にヴァージニア・アクスライン(Virginia Axline)が考案した“非指示的遊戯療法(Non-directive Play Therapy、現:Child-centered Play Therapy)”を主に学んだ。プレイセラピーには以前から興味があったので、この授業を通して具体的なイメージを得ることができて本当によかった。特に、Filial Therapyを新しく学んだことが一番大きな収穫だった。Filial Therapyは、1960年代にガーネイ夫妻(Bernard and Louise Guerney)によって考案されたもので、親子関係の向上を目標とする。このセラピーでは、保護者がプレイセラピーの提供者となる。外部で基本的な技術を習得したあと、セラピストのサポートを受けながら家で週に1回60分間のプレイセラピーを行う。お互いへの接し方を学んだり、お互いに対する理解を深めたりする効果があるそうだ。私の専門の1つ、「ろう・難聴の子どもをもつ聴こえる親の心のケア、子どもとの愛着関係作りのサポート」を具現化するのに役立つと思う。

  とはいえ、ろう・難聴の有資格プレイセラピストは全米でも6〜7人のみだという。視覚的に応用した実習が足りないことや、スーパーバイザーがなかなか見つからないことが大きいようだ。また、Filial Therapyの愛着障害への応用に関する研究は、むしろイギリスのほうが進んでいる。こうした情報を受けて、自分が目指すもののためにすべきこと・できることがどんどん明確になってきていて、わくわくするしうれしく思う。

P1020080.JPG

↑NY訪問中、行ったオンタリオ湖(Ontario Lake)

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