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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2012年4月生活記録(第4期生 福永 梢)[2012年05月09日(Wed)]
o*ご還暦サプライズ*o

  5月に入るとすぐ学部内でお祝いがあった。我ら学部長の還暦祝いである。みんなのスケジュール上短いお祝いとなったが、喜んで下さったのでよかった。この学部長はとてもご還暦とは思えないほど若々しくて親しみやすく、とてもお世話になっている。目標とする人物の1人でもある。これからも末長くご健康でいらっしゃることを願う。

IMAG0162.jpg

↑ロジャー・ビーチ学部長(ご本人より許可を得て掲載)


o*カウンセラーのためのセルフケア*o

Each time you heal someone you give away a piece of yourself until,
at some point, you will require healing.

「誰かを癒す度にあなたは自身のひとかけらを与えている。
いつかあなた自身が癒しを必要とすることになるまで」
ネイティブ・アメリカンの教訓より(Stebnicki, 2007, p.317)


  健康カウンセリング(Counseling for Wellness)では、絵本、砂、ラビリンスなどを使ったセラピーを体験した。これらの技術はカウンセリングを受ける人だけでなく、カウンセリングを施す人にとっても必要だそうだ。カウンセリングという仕事は、それを受ける人の負の感情や経験を受け止め、サポートを与えるやりとりが繰り返し続く。カウンセラーによっては精神をひどく消耗する恐れがある。いわゆるカウンセラーの職業病なのだが、いくつかの症状を紹介したい。

■Empathy Fatigue(感情移入疲れ)
  カウンセリングを受ける人の中には、身近な人の死、失恋、差別などカウンセラー本人も体験した(している)ものを抱えてやってくる人もいる。カウンセラー自身の傷が絶えずよび起されることによって起こる感情的、精神的、身体的、職業的な疲労。

■Burnout(燃え尽き症候群)
  前向きなサポートを常に与え続けた結果、感情が消耗されること。また、もともと人の感情に敏感だったり、カウンセリングを受ける人中心に進めたりするなどカウンセラーの人格や特徴にもよる。

■Compassion Fatigue(同情疲れ)
  いわゆる「悲しい話はもうたくさんだ」である。カウンセリングで負の経験を聞くたびに「それはひどい、大変だ、つらいだろう」などの気持ちの反応がカウンセラーの中で基本的に生じる。心の切り替えがうまくできないと陥りやすい症状。カウンセラーの中には、これを防ぐために体験話を聞くときイメージに起こさないようにしている人もいる。

■Vicarious Traumatization(代理トラウマ)
  体験をくりかえし聞くことで、カウンセラー本人もその体験をしたかのような症状が表れる。

  負の感情や出来事は悪いことではない。たとえば、最近注目されている「回復力(Resilience)」。これは、精神的にまいってもおかしくないような逆境の中、@心にまったく傷を負わず適応できる人、A心に傷を負いながらも自己実現のためにもがき抗う人 のように肯定的な視点で負をとらえた研究から生まれた考え方である。要は、バランスの問題なのである。バランスをとるために、肯定的な感情を作り出すこと・持続させることが感情の調節(Emotional Regulation)のコツだという。アメリカの心理学界ではこれまで、カウンセラーのこうした職業病を機能不全(dysfunction)、不適任(incompetence)と批判してきた。カウンセラーのセルフケアはまだ新しい考え方だそうだ。奉公精神が重んじられる日本ではどうだろうかと考えさせられたクラスでもあった。

IMAG0167.jpg

↑千羽鶴@久しぶりに行ったカフェ


*Stebnicki, M. A. (2007). Empathy fatigue: Healing the mind, body, and spirit of professional counselors. American Journal of Psychiatric Rehabilitation, 10, 317-338.
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