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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2011年9月生活記録 (第4期生 福永梢)[2011年10月15日(Sat)]
 車検更新のお知らせが届いた。カリフォルニアでは1回受ければあとは個人の責任で点検するのだが、ワシントンDCでは2年ごとに受けなければならない。お知らせを読んでみると、オンラインで予約できるとか。予約が取れたのは2週間後で、当日は予約専用の列に並んで10分もたたずに終わった。おととしの初車検は、道に迷うわ長蛇の列(車)だわ、DMV(交通管理センターみたいなもの)へ行けばまた長蛇の列(人)だわ、これまたこの日は湿気がひどくて精根尽き果てたものだった。そんなこともありました(笑


*+*+* 学校見学:パトリック・ヘンリー小学校 +*+*+

 スクールカウンセリング学入門クラスでは、現場で基盤となる専門知識を学んでいる。専門機関、倫理・関連法律、プログラム・ワークショップ、個別教育計画(IEP)、多文化教育など、頭がパンクしそうな情報量である。現場と関連させながら学べるよう、ろう・難聴児教育に取り組む学校の見学にも行っている。

 初めての見学先はパトリック・ヘンリー小学校(Patrick Henry Elementary School)であった。白人以外の人種出身の生徒が大半を占めるほど、もともと国際性の強い小学校である。7年前にろう・難聴児教育チームを立ち上げて以来、我が学部と連携関係にあり、最近2〜3歳児向けのクラスを開いたばかりである。英語からスペイン語に通訳されるのをじっと聞くラテン系のお母さんたち。英語ではない共通外国語でおしゃべりする東南アジア系、アフリカ系のお父さんたち。ろう・難聴と知的障害の重複障害がある子ども2人を連れた中国系のお母さん。日本ではめったに見られない光景だ。

 異なる言語と文化が交差する中で子どもがどう成長していくのか興味がある一方で、親たちのことがとても気になった。これまでの研究結果としては、ろう・難聴の子どもをもつ他の親たちとの交流がポジティブな育児につながることが報告されている。しかし、ここにいる親たちは共通した言語をもっておらず、英語のレベルも確かではない。「わかり合える」経験はできているのだろうかと、親たちの心の健康状態がとても気にかかった。これに対して教育チームは、幅広い人種からスタッフ・教師を採用したり、ゲームを交えて親と子、親と親、子と子が交流できるようにしたりするなど、工夫しているという。

 アメリカに比べればまだまだ単一民族である日本でも、特別支援学校または学級に属する外国人が増えてきている。単一文化の色がまだ強い日本でどうやってサポートしていくのか、アメリカにいるからこそ学べることは多いと思う。しっかり学びたい。


+*+*+反応に隠された無意識のからくり*+*+*

 多文化カウンセリング(Social and Cultural Diversity Foundations & Multicultural Counseling)クラスでは、まず自己認識(self-awareness)が求められる。自分をよく知ることで自分を安定させることができ、安定したサービスにつながるという考えである。ゲームやグループ活動などで、潜在意識を自覚したり客観的な自分を知ったりする。

 今月は個人主義(Individualism)と集団主義(Collectivism)がテーマであった。現代のスクールカウンセラーは生徒個人だけでなく、家族、同級生、教師などまわりのシステムにも働きかけるため、集団主義の考え方も求められる。しかし、個人主義のアメリカで集団主義を育てるのはとても難しいようだ。例えば、2人向かい合って手をつないで立ち、「その人をあなた側に寄せよ(Get the person into your side)」という指示に従うゲーム。生徒たちはお互いに引っ張り合って競った。ゲームが終わったとき、教授が問いかけた。「この指示に対して、話し合いはありましたか?困惑したとき、先生に指示の意味を尋ねましたか?」―――この競おうとする性質はアメリカに独特のものであり、勝ち負けや善悪などに見られるように二者択一の観念につながっている。

 物事への好みや偏見は学習と経験から来ており、自分では意識できないほど深いところに染み込んでいることに気付かせられる。「それがいいか悪いか判断するのは個人の問題であり、大切なのは自分で認識しているかどうかだ。自分がそのつもりがなくても、相手にとってその行動がよいものでなければ、あなたも差別主義者になる」。これから自分と他人のいろいろな側面を見つけていくのだが、先の成長につながると思うと楽しみでもある。


+*+*+ バイト先を移る +*+*+

 カウンセリング学部でバイトをさせていただけることになり、図書館から転職した。コピーをとったり書類の受け渡しをしたりするなど主に事務的な仕事をする。しかし、手が空いているときは宿題をすることができるし、教授と他の生徒たちと交流するので自己アピールにもなるしコミュニケーションの練習にもなって助かっている。図書館の職場は去ったが、ときどき立ち寄って元上司たちとおしゃべりしたりしている。大変お世話になったので、この縁は大切にしたい。
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