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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2010年 11月生活報告 富田 望[2010年12月22日(Wed)]
はじめに
 Washington DCでは11月末から気温が下がり、ぐっと冷えるようになってきた。12月中句にはfinal test week期間を迎え、猫の手も借りたい程の忙しさであった。今学期はTutorial Instructional Programの職員として働いていたからだろうか、Field Methodのlab hoursなどの時間の調整に関する事情もあったからだろうか、今まで以上に時間の調整に気を配らなければならなかった。自分の為の時間もままならないほどに、時間の無い生活を送っていたからだろうか、もう生活報告を書くのかと、おどろいている自分がいる。

LIN 585 Non-manual signal classes から学んだこと
 Non-manual signとは簡単に言えば顔の表情にとどまらず、口の動き、身体の傾きなど、手の動き以外に身体から表現される弁別的素性をもった音韻単位のことである。米国では略して、NMSとされるが、単語、句単位、また文単位で修飾する性質をもったAdjective &adverbial NMSから、手の動きに合わせて音韻化される性質をもったEcho Phonologyというものまである。またこの他にもBody LeansなどSentence レベルでMarker的役割を果たす性質を持ったものについても学んだ。手話言語学の勉強をしている時につくづくおもうのは、NMSは手話言語学においても、話し言語にない独特の分野であるということである。というのは、単なる発話(音)に基づいた、音そのものに焦点を当てた音声学の考え方からにしてみれば、NMSを一つの弁別的素性をもった音韻単位として見る考え方は理解しがたいかもしれない。とはいっても、米国ではヨーロッパ側のNMSに関する研究と比べると、数少ないが、それでも手話言語学に関する研究という面では幅が広いとおもう。その他にもこのクラスを教えているMather 教授は教室内における教師のEye gazeの使い方に関する研究で有名な人であり、彼女が発達させたEye gazeの評価表はギャロデット大学内でも教授の評価方法の一つとして使われている。

Tutorial Instructional Program の経験を通して
 Final test week期間が始まったのと同時に、TIPの仕事も終わりを締めくくった。今学期は三人の生徒を受け持った他、Walk inのTutorの仕事も受け持ったので前学期とはまた違った経験が出来た。 例えば、生徒ひとりひとりにしても、必要なニーズというのは異なっているし、またその必要な事も異なってくるので、本当に生徒一人一人のニーズ、また状況というものを常に把握しておく必要がある。この経験が功してか、次の学期にEnglish Linguistic Instituteで実習したいという要望が認められた。今のところほぼ自分の自習はELIということで決まっている。TIPセンターで積み重ねてきた経験を活かして,実習ではより最大限に学べることはすべて吸収していくという姿勢を大切にしていきたいとおもう。

年末年始
 今年の冬はどこにも出かけることなくDCに留まることにした。日本で年末年始を迎えられないのは残念ではあるが、米国にいるからこそできる経験だとおもっている。この機会を活かして、自分の部屋を徹底的に自分好みに改造したり、読みたいとおもいながらも伸ばし伸ばしになっていた本などを読んだり、自分の時間を楽しみたいとおもっている。

皆様が良いお年を迎えられることをお祈りしております。
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