2010年10月生活記録 (第4期生 福永 梢)[2010年11月14日(Sun)]
新学期が始まって約1ヶ月が過ぎ、1週間のサイクルに慣れてきた。家では、大家さんが裏庭の整備に勤しんでいる。コンクリートがすぐ乾く夏にやればよかったと言いつつも、でも汗かくのはやだし草の成長も早いし蚊はいっぱいいるし、と結局 今でよかったようだ。そういえば蚊がまだいた。寒いと毛布とコートを引っ張り出したわたし一人だけ、すっかり秋気分である。
ユダヤ人の心理学者、ヴィゴツキー
大家さんが美化作業している傍ら、私は児童心理学クラスの課題で旧ソビエト心理学者ヴィゴツキー(Lev Semenovich Vygotsky:1896-1934没)の生涯発掘作業をしていた。「子どもは言語を介して社会的に発達する」というのがヴィゴツキー理論の基盤である。双方的なコミュニケーションさえ確立されれば障害のある子どもも発達できると考え、障害児教育にも熱心に取り組んだ。ろう・難聴教育に関わる人からも人気があり、実際ギャロデット大学附属図書館にはろう・難聴児の発達教育と彼の考え方を結びつけた書籍が数十冊置かれている。本課題では、そんな彼がどうやってその考え方にいたったのか調べることになった。
ところが、彼の個人的な情報があまり見つからない。理由は彼の出身にあった。ヴィゴツキーはユダヤ人である。産まれた当時、ユダヤ人は教育、職業、住処を制限されていた。大学在学中のレーニン革命によりそんな抑圧に終止符が打たれるも、ヴィゴツキーは自身の個人的な情報を隠していたという。ドイツだけでなくロシアにもユダヤ人への差別・抑圧があったことを、今回初めて知った。司書から「ユダヤ人弾圧の歴史はとても長い。ユダヤ人は世界中で最も不当に弾圧されてきた民族とも言われている」と聞き、とてもショックを受けた。詳しく聞くと、ユダヤ人は宗教柄結束力が強く、その力を恐れた上の者により弾圧されやすかったという。司書の力を借りてなんとかヴィゴツキーの情報を集め書きまとめることができたが、どこでもいつでも迫害されてきたユダヤ人を思うとやるせない気持ちであった。
ろう・難聴者における多民族・多文化性
ソーシャルワークの授業で、6人のろう・難聴ゲストを招いたパネル・ディスカッションが行われた。ゲストはろう・難聴においてだけでなく、民族・文化においても異なった背景をもっている方々であった。教授からお願いされ、アジア人として私も拙ながら「集団を尊重する文化」などについてお話させていただいた。私のほかには、
@6世代にわたってのろう家族に、突然変異でブロンドの髪、青い目、
白い肌をもって生まれたろうのネイティブ・インディアン
A幼時に養子として白人のろう夫婦にもらわれたろうの中国人
B極貧の母子家庭に生まれ、母親の強い支援により、
ろう/聴こえる兄妹ともに修士または博士号をとった難聴の黒人
Cお金を動かす知識さえあれば誰でも成功するという父親の考えにより、
世界各国を1人旅して、社長経験もあるイラン人
D聴こえないことに否定的な文化に生まれ、アメリカに来て初めて
十分な教育と手話によるコミュニケーションの楽しさを得たメキシコ人
と、とても多様性に富んだ顔ぶれだった。アメリカならではの大変貴重な、興味深いパネル・ディスカッションを経験することができてよかった。
ハロウィンとホーム・カミング
月末は学祭シーズンであった。留学生団体の屋台では、タイのいんげん豆の肉炒め、韓国の焼き肉、日本のカレーが並んでいた。5期生の川俣さんと他の日本人留学生が作ったというカレーはとても人気が高かったらしい。少し日本人として誇りに思いながら、私はここでしか食べられないタイ・韓国料理をほおばった。今年のハロウィンはネットを通して日本の友達と迎え、いつもと少し変わったものとなった。今学期の残り1ヶ月半もいろいろな学びがあると思うので、しっかり学んでいきたい。
ユダヤ人の心理学者、ヴィゴツキー
大家さんが美化作業している傍ら、私は児童心理学クラスの課題で旧ソビエト心理学者ヴィゴツキー(Lev Semenovich Vygotsky:1896-1934没)の生涯発掘作業をしていた。「子どもは言語を介して社会的に発達する」というのがヴィゴツキー理論の基盤である。双方的なコミュニケーションさえ確立されれば障害のある子どもも発達できると考え、障害児教育にも熱心に取り組んだ。ろう・難聴教育に関わる人からも人気があり、実際ギャロデット大学附属図書館にはろう・難聴児の発達教育と彼の考え方を結びつけた書籍が数十冊置かれている。本課題では、そんな彼がどうやってその考え方にいたったのか調べることになった。
ところが、彼の個人的な情報があまり見つからない。理由は彼の出身にあった。ヴィゴツキーはユダヤ人である。産まれた当時、ユダヤ人は教育、職業、住処を制限されていた。大学在学中のレーニン革命によりそんな抑圧に終止符が打たれるも、ヴィゴツキーは自身の個人的な情報を隠していたという。ドイツだけでなくロシアにもユダヤ人への差別・抑圧があったことを、今回初めて知った。司書から「ユダヤ人弾圧の歴史はとても長い。ユダヤ人は世界中で最も不当に弾圧されてきた民族とも言われている」と聞き、とてもショックを受けた。詳しく聞くと、ユダヤ人は宗教柄結束力が強く、その力を恐れた上の者により弾圧されやすかったという。司書の力を借りてなんとかヴィゴツキーの情報を集め書きまとめることができたが、どこでもいつでも迫害されてきたユダヤ人を思うとやるせない気持ちであった。
ろう・難聴者における多民族・多文化性
ソーシャルワークの授業で、6人のろう・難聴ゲストを招いたパネル・ディスカッションが行われた。ゲストはろう・難聴においてだけでなく、民族・文化においても異なった背景をもっている方々であった。教授からお願いされ、アジア人として私も拙ながら「集団を尊重する文化」などについてお話させていただいた。私のほかには、
@6世代にわたってのろう家族に、突然変異でブロンドの髪、青い目、
白い肌をもって生まれたろうのネイティブ・インディアン
A幼時に養子として白人のろう夫婦にもらわれたろうの中国人
B極貧の母子家庭に生まれ、母親の強い支援により、
ろう/聴こえる兄妹ともに修士または博士号をとった難聴の黒人
Cお金を動かす知識さえあれば誰でも成功するという父親の考えにより、
世界各国を1人旅して、社長経験もあるイラン人
D聴こえないことに否定的な文化に生まれ、アメリカに来て初めて
十分な教育と手話によるコミュニケーションの楽しさを得たメキシコ人
と、とても多様性に富んだ顔ぶれだった。アメリカならではの大変貴重な、興味深いパネル・ディスカッションを経験することができてよかった。
ハロウィンとホーム・カミング
月末は学祭シーズンであった。留学生団体の屋台では、タイのいんげん豆の肉炒め、韓国の焼き肉、日本のカレーが並んでいた。5期生の川俣さんと他の日本人留学生が作ったというカレーはとても人気が高かったらしい。少し日本人として誇りに思いながら、私はここでしか食べられないタイ・韓国料理をほおばった。今年のハロウィンはネットを通して日本の友達と迎え、いつもと少し変わったものとなった。今学期の残り1ヶ月半もいろいろな学びがあると思うので、しっかり学んでいきたい。




