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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2010年9月生活記録 第4期生 武田太一[2010年10月03日(Sun)]




●秋学期のはじまり
 この秋学期は以下の通り4つのクラスを受講している。

発音プロセス
  Expressive/Receptive Vocal Process
小学校算数
  Elementary Math 1
読書発達
  Reading Development, Assessment, and Instruction in the Elementary School
言語学入門
  Introduction to Language and Linguistics

 4つのうち3つはろう教育を専攻するにあたって事前受講が必要な講義であり、他専攻の講義となっている。それぞれの講義について以下に述べる。

●発音プロセス
 この講義はろう教育専攻において2年に1回、2週間に1回開講しており、修士課程2年生と1年生が一同に集まる講義である。また講義ごとにゲスト講師を招いて、毎回違ったお話を聞けるのも醍醐味である。
 発音プロセスというと、発音練習の方法などを学ぶと想像していたが、最初の講義はろう/難聴の子どもが生まれた家庭にどのような支援が必要かというお話でああり、講師はギャロデット大学で心理学博士号を取得し、日本でも教鞭を取っていた経験がある聴者の女性であった。ろう/難聴児が生まれたら、両親や兄妹だけではなく、親戚や祖父母なども対象に支援していくべき課題であり、学校の先生や言語聴覚士、心理学者のチームワーク作業が大事であるというお話であった。また、その家庭を支援していくにあたって、「聞くこと」「知ること」「意見交換すること」「支援すること」「モデルを示すこと」の5つが必要不可欠ということを学んだ。その他言語聴覚士や病理学者から、聞こえの仕組みや新生児スクリーニングについても学んだ。

●小学校算数
講義名を見ると算数の勉強と勘違いされそうだが、実際は小学校算数の教え方について学ぶ講義である。小学校時代、算数は教科書に書かれている通りのやり方で教わってきたのだが、このアメリカにおいては、数年前に様々な見方・考え方で算数の問題の解き方を考えていく方法に変わった。例えば52−27の式はくりさがりを使って計算をするということ学んできたのだが、他にも求め方がいくつかある。

・Equal-addictions
 それぞれの値に同じ数を足して、計算しやすいようにする。
 この場合は27に3を足せば30になるので、それぞれの数に3を足してから計算すると、10の位だけ引けばいいので簡単である。

・Distance interpretation
 27と52の距離を考えてみる。27から3つ飛ぶと30になり、30から20飛ぶと50になり、50から2飛んだら52になる。合計で25飛んだことになり、これが求める答えになる。

・Take away interpretation
 52から逆方向に27戻ったらどの値になるか考えてみる。まず2つ戻ったら50になり、50から20戻ったら30になり、5つ戻ったら25になる。合計で27戻ったことになり、そこでたどり着いた答えが25である。

 現在の小学校で行われている算数の教え方については知らないのですが、この教え方は非常に参考になり、ぜひ日本に帰ったら実践してみたい。
 この講義では毎週のペースで宿題が出され、あなたならどんな風に教えるかというのを書かなければならないのだが、もともと算数の式の話し方(例:52−27=25を通常のやり方でのとき方であれば、52の10の位から1を借りて4にして、借りた1を2につければ12になり…)を知らないので、かなり苦労している。計算方法は目で見て理解しているので、話し方は気にしていなかったのだが、宿題となるとそうもいかないため、先生や手話通訳者、クラスメイトに確認しながら英語での話し方をチェックするようにしている。


引き算の方法メモ


●読書発達
 日本で言えば国語の教え方にあたるだろう。アメリカはいろんな人種や文化が入り混じった国であるため、学校に集まってくる子どもも多種多様であり、英語が母語ではなく第二言語であることも珍しくはない。そうした環境の中で、読書を通して英語の力を上げるためにはどうすれば良いのかを学ぶ講義である。
 聞こえる子どもであれば、学校生活や家庭生活において普段から英語を聞いているので、英語を話すことは出来ても読むことや書くことはまだまだである。例えば歩く=ウォークという発音を知っていたら、どのように書くのかというと、ウォがWa,それを伸ばすためにlを入れて、最後のクはkという感じである。(あくまでも自分が考えた例なので、実際には違うと思いますが。)
 あくまでも聞こえる子どもを対象とした講義であり、発音との結びつきを考えようと思っても無理があるため、同じろう教育専攻のクラスメイトたちと頭を悩ませながら受けている。

●言語学入門
 その名の通り、言語学の基本について学ぶ講義である。これまでに文法、形態論、音声学、音韻論について学んできた。最初の文法、形態論については他の国の言語も例として取り上げられ、日本語もたまに出てくるときがある。例えば前置詞の使い方について、英語は「from Tokyo」と名詞の前につくのに対し、日本語は「東京から」と名詞の後につくなどが出た。また、手話も世界共通ではなく、それぞれの国や地域で異なっているという話もあった。
 音声学や音韻論については、どのように発音するか、1つの文字に対する音がいくつあるかなど音に関わる話であったため、理解し難い分野ではあったが、手話通訳者が懸命に舌の使い方や息の出し方などを分かりやすく表現してくれため、なんとなく理解は出来た。音声学/音韻論についての宿題もあるのだが、自分の場合はアメリカ手話に置きかえてくれるので、無理して取り組む必要はないと安心している。


秋学期の教科書本


●ボストン生活
 9月は寒くなってきたかと思えば、また暑くなったりと、周囲の人々も9月にしては変な気候とつぶやいているほどであった。半袖か長袖のどちらで行けばいいのか予想が出来ないため、先日長袖で出かけたらかなり暑かった。今後は落ちついた気候になることを願っている。秋学期もあっという間に1ヶ月経ったが、ようやく落ち着くことが出来、これからはいろんなイベントや集まりに顔を出すなど交流を増やしていきたいと思っている。


ボストン大学敷地内にあるモニュメントカメラ


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