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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
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2010年1月生活記録(3期生:岡田)[2010年02月20日(Sat)]
新年早々、お正月気分もないままに新学期が始まった。今学期で大学院は終盤に入り、あっという間に終わりに近づいている。クラスメイトや教授との関係、生活の基盤なども安定してきたときに終わるのは勿体無い気持ちにあふれているが、学べるだけ学んで帰りたいと考えている。

■ Internship

秋学期から始まる予定であったインターンシップであるが、先月末に受け入れ先と自分の大学院の間でやっと話がまとまり、何とかスタートすることができた。場所はスタンフォード大学で、Diversity & Access Officeという部署のインターン生として働いている。

スタンフォードには障害学生支援関係のオフィスが2つあり、クラスと寮生活にかかわるサービスなのか、それ以外の部分のサポートなのかによって担当部署が異なる。私のいる部署は後者のほうで、主に障害を持つ教職員の支援や、卒業式・オリエンテーション・Parents Weekend などのイベントでのサービスの調整を担当している。また、元々は学生支援というよりも、大学としてADAの遵守を確実にするために、ADA Coordinatorがおかれている場所であるので、啓発などにも力を入れている。

直接学生とかかわることはほとんどないところで働くという渡米時にあまり想定していなかった展開になったが、学生への直接的な支援は日本でも行っていたので、アメリカでまた同じような仕事をするよりも結果的にはよかったと思っている。個人的には、障害学生支援の日々のサービスの運営者は、目の前の学生のニーズにこたえるだけではなく、大学という枠組みを意識してバランスよく運営できる能力を持っていなければいけないと考えているのだが、このオフィスで、啓発やポリシーの作成などを通して、そのような枠組みを意識した、より大きな視点から障害学生支援の運営を考えることができているからである。

現時点で主に行っている仕事は、非常時の障害学生あるいは障害のある教職員の避難に関するプラン・プログラムを作成していくことである。アメリカでは先日もアラバマ大学で銃撃事件があったように、日本以上に深刻な非常事態に遭遇する可能性が高い。また、それに対する備えに対してもかなり過敏になっている。障害学生は、非常時に身の安全を確保するために、ほかの学生と比べて困難が伴うことが多い。しかし、そのための情報やプランが万全とはいえない状況がある。これを改善するために、さまざまな大学をリサーチし、基本的なプランを作成し、さまざまな人からフィードバックをもらいながらその質を高め、最終的には関係する部門と連携しながら、実行に移すということが自分の役割である。

インターン生という立場であるが、このようにチャレンジのある仕事を任され、数ヶ月前と比較しても充実した生活を送っている。今までも貴重な勉強ができていたが、やりがいのある仕事がないとかなりのストレスを感じてしまう性格なので、渡米後2年半経ってやっと本来の自分の生活のベースができたとほっとしている。常に時間に追われ非常に忙しいが、日本での経験・アメリカの大学院での勉強を、実際の現場でどう生かすか、日々考えながら生活している。あるとき突然、以前行った仕事が大学院で学んだこととつながったり、逆に新たな疑問が生まれたりと、気づきがない日はないほどである。こうした小さな気づきが、帰国後に障害学生支援の運営を行っていくうえで貴重なヒントとなるはずなので、今まで以上に集中して取り組んでいきたいと思う。
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