• もっと見る
聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
« 2009年生活記録(岡田) | Main | 笹川会長に表敬訪問 - 帰国生と6期生 »
2006/4/28ブログ開設時からのアクセス数
UL5キャッシング
最新記事
カテゴリアーカイブ
リンク集
最新コメント
月別アーカイブ
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/index2_0.xml
2009年11月生活記録(第3期生 管野 奈津美)[2009年12月28日(Mon)]
*はじめに*
今月はクラスも少なく、学期末レポートの準備や修士論文の調査準備に追われた。月末のThanksgiving休暇を利用してロチェスターとカナダのトロントに行って調査をしたのでそれについて詳しく報告したい。

*ロチェスター*
ニューヨーク州にあるRIT:Rochester Institute of Technology(ロチェスター工科大学)とNTID:National Technical Institute for the Deaf(国立ろう工科大学)を訪れた。NTIDにデフアートを研究している方がおり、その方に会って来るのが第一の目的であった。クラスでもデフアートを教えているらしく、それのカリキュラム資料やサマースクールで行われたデフアートのワークショップを録画したDVDなど貴重な資料を頂き、修士論文についても色々アドバイスを頂いた。とても有意義な面会であった。NTIDにデフアートのギャラリーもあり、私が訪れたときはろう者によるテキスタイルの作品が展示されていてテキスタイルと手話を組み合わせた作品もあり、興味深かった。次に資料収集のためにRITの図書館にも行き、司書のオフィスがいくつか並んでいる中、ろう者の司書がいると聞いたので訪れてみた。突然の訪問にもかかわらず、丁寧に対応してくださり、様々な資料を用意してくれた。しかも彼女自身ろう者でもともと聾学校の先生だったがろう教育の研究をしていく中で司書に興味を持ちはじめ、司書の資格をとって今に至るそうだ。ろう教育関係の仕事をしていたということもあってデフアートと教育に関する論文をいくつか紹介してくれた。GallaudetもそうだがRITの図書館のホームページでもろう関係の資料もほとんどデータベース化されているので検索の仕方やコツを学べばとても検索しやすい。それだけアメリカではろう関係の研究が進んでいるということだろう。日本にろう者もしくはろう関係専門の司書やろう関係の資料を集めた図書館があるだろうかとふと考えてしまった。

*トロント*
カナダのトロントにDeaf culture Centreというセンターがあり、その見学も兼ねてそこのディレクターにインタビューしてきた。トロントはロチェスターから国境をはさんで車で数時間ほどのところにある。まずロチェスターから車でトロントに向かい、国境沿いの観光名物のナイアガラの滝を見てきた。天気も悪く、とても寒かったが滝が力強く流れていく圧巻な景色を生で見れて満足した。次に人生初めての車での国境超えである。映画でいつも見るシーンなのでドキドキしたが普通にパスポートをチェックするだけで簡単に通れたのでちょっとさみしく思ってしまった。Deaf culture Centreでは定期的にデフアートの展示をやっており、私が訪れたときは北米・オーストラリア・ヨーロッパから集めたろう者によって製作された映画・短編映画・アニメーション・ドキュメンタリーなどを上映していた。それと平行していくつかのデフアートの作品が常設展示してあり、デフアート関係の本やグッズなども売られていた。まずディレクターに建物内を案内して頂き、カナダのデフアートをいくつか紹介してくれた。それからDeaf culture Centreを設立した理由について「(ワークショップやフェスティバルを通してデフアートをアピールしていくのも一つの方法だが)ろう・健聴関係なく、いつでも気軽に立ち寄ってデフアートについて学べる場所・環境を作るのも大切なアピール方法の一つだ」と話してくれた。それとアートの作品を収集していく役割も果たしている。建物があれば各地に散らばっているデフアートの収集・保存がしやすくなるからである。収集したものをデータベース化し、ホームページにアップロードしている。とても素晴らしい試みだと思う。こういう場所はとても貴重だと感じた。今回の調査で得たことを今後の修士論文に生かしていけたらと思っている。



早いもので今年も残りわずかですね。では皆さん良いお年をお迎えください!
A Happy New Year!!
この記事のURL
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/archive/357
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
 
コメントする
コメント