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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2009年11月生活記録(第4期生 福永 梢)[2009年12月07日(Mon)]
  しとしとした雨が続き、晴れの日が少なくなった。朝いつもの時間に起きてもまだ薄暗くて、勘違いして二度寝してしまいそうになる。最近はカフェオレより人参高麗茶が好きで、1日3杯以上飲む。あっさりした後味なのにほっこり温まって、寒がりのわたしにはとてもいい。

■DC観光とバージニア・ビーチ■

  11月初旬、日本から恩師が訪ねてきた。ワシントン記念塔、大聖堂、ホワイトハウスなどDC市内を観光してまわった。その中でも映画「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」でも有名な硫黄島の星条旗の像には心を打たれた。戦争にはいろいろな人のいろいろな気持ちが詰まっていると思う。続いて、恩師からのお誘いでバージニア州への小旅行にもお供させていただいた。DCから車で3時間南下したところにバージニアビーチがある。目の前に海が広がるホテルの一室に泊まり、久しぶりにストレスの少ない時間を過ごした。海辺では恩師と専門的な話をはじめいろいろと深い話をして、短くとも濃い時間であった。また、8月にDCへ越してから一度も観光やお出かけというものができていなかったので、今回恩師がこのタイミングでその機会を下さって、本当に助かったしとてもよかった。そういう意味で、恩師はいつまで経っても「恩師」だなあと感じた。


↑バージニア・ビーチの夜明け


■コミュニケーションにおける「楽」の基準■

  恩師との小旅行でこんなことがあった。恩師は聴こえるが英語は片言レベルで、私と筆談で話すよう、相手にお願いすることが度々あった。しかし、ほとんどの聴こえる人が何がなんでも恩師と話そうとした。聴こえる人にとって「楽」なコミュニケーションは、言語力ではなく音声会話にあるのだなあと感じた。これは聴こえる人に限ったことではない。手話を言語とするろう者が、手話ができる聴こえる人より、あまり手話ができない同じろう者を好むことがあるからだ。なんとも皮肉な、おもしろい気付きであった。

■言語と心理検査の公平性■

  発達心理学の授業で興味深い議論があった。この授業では、クラスの前半は教科書に沿って、後半は主に赤ちゃんから小学生を対象とした心理検査について勉強していく。実のところ心理検査のほとんどは、対象者の第一言語が音声・書記言語であることを前提に作られている。そのため、ろう/難聴児の心理検査の結果が聴こえる子どもと違うのは、検査の手順や質問を十分理解できないまま検査を受けているからではないかという指摘が以前よりなされている。この問題提起を受け、小さな動きであるものの、手話バージョンの質問項目の開発・発案が最近行われ始めている。授業でその試作が紹介されたのだが、手話がヒントになってしまう質問があり、そうそう簡単なことではない。例えば、「FOUR(し/よん)」という言葉の概念が確立されているかどうか診る質問がある。検査者が1枚の紙を見せる。紙には4つの枠がある。ある枠にはくまが1匹、別の枠にはくまが3匹、7匹、4匹いる。検査者は「4つの絵があります。くまが4匹いるのはどれですか」と聞く。これを手話で表すと、指の本数がヒントになる可能性が出てきてしまう。心理検査の公平性と手話をいかにして両立させるか、クラス内で議論になった。この課題は日本でも挙げられているため、大変興味深いものであった。

■感謝祭(Thanksgiving)■

  小旅行が終わるとすぐに、発表に大きな試験が続き、11月末のThanksgiving連休まであっという間だった。連休中は、まずワシントンDCの自動車免許を取るなどやらなきゃいけないのに時間がなくてできなかったことを済ませた。あとは映画を見たり料理をしたりと久しぶりに自分らしく過ごすことができた。お互いに忙しくてなかなかゆっくり話せなかったルームメイトとも、近況についてゆっくり話すことができた。今学期もあと2週間、日本に帰る日を心待ちに残りの学校生活をなんとかこなしていきたい。


↑硫黄島の星条旗

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