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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2009年5月 最後の生活記録(第2期生 高山 亨太)[2009年05月20日(Wed)]
ワシントンDCへ
 5月1日にインターンシップが終了し、数日ほど最後のテキサス滞在を楽しんだ後の、5月5日に大学院の修了式に参加するためにワシントンDCへ向かった。テキサスでの文化や地理などに慣れつつあった自分にとって、久々のワシントンDCという都会は新鮮だったのと同時に、都会の雰囲気にすぐに溶け込む、自分はやっぱり都会育ちの都会人なのだと改めて感じた。また同時にもうすぐ修了式を迎える嬉しさを感じるとともにテキサスやGallaudet Universityを去ることの寂しさを感じていた。留学生活最後のワシントンDC滞在は、クラスメイトや友人との再会や交流に時間を費やした。毎晩飲んでは、語りながら、友人に感謝の気持ちを伝えた。毎晩飲んでは食っていたので、テキサス滞在で増えた体重が1週間ほどでさらに3キロぐらい増えた気がする。

HoodingとCommencement
 5月14日には、待ちに待った大学院生のためのHoodingが行われ、アメリカでの卒業式では一般的な習慣となっているガウンを着て参加してきた。ガウンを着て、入場したときには、いよいよ卒業するのだと胸が震えた。Hoodingでは、ソーシャルワーク学部のDr. Teresa Mason学部長に「Kota Takayama」と呼ばれ、舞台に上がって、伝統的なHoodを後ろから首にかけてもらったときには、何とも言えない感動に包まれた。さらに、親友でもあるクラスメイトのJames Harrisonが3つの賞を受賞し、さらにソーシャルワーク学部のDr. Barbara White教授がこれまでのカトリーナがニューオーリンズを直撃したときに、現地での災害救済活動やカウンセリング実践、さらに研究業績などが評価されGallaudet Universityの教授としては、名誉ある賞を受賞するなど、ソーシャルワーク学部のメンバーである自分にとっても喜びも嬉しさも倍増したHoodingとなった。2日目の15日は、学部生も含めて、全体の卒業・修了式が執り行われ、ガウン姿にHoodとキャップをかぶって、晴れがましい気持ちで修了式に参加した。修了式では、ソーシャルワーク学部と大学院の修了生であるWilma氏が記念講演をし、さらに名誉博士号を授与された。Wilma氏は、南アフリカ出身であり、さらに南アフリカでろう者として初めて国会議員に当選し、さらに3選目国会議員として現在も精力的に活動中である。彼女自身、ソーシャルワーカーとして長年にわたって南アフリカやその他の近隣アフリカ諸国のろう・難聴者のために活動されている。さらに、2年後に南アフリカで開催される世界ろう者大会の大会長でもある。学長のスピーチ、Wilma氏による記念講演、各々の名誉博士号授与が終了した後に、卒業・修了生への卒業証書授与がなされ、自分は大学院生の中でも名字のアルファベット順で並んで最後から2番目(ソーシャルワークのクラスメイトとしては最後)に学長から卒業証書を授与された。舞台に上がり、学長と拍手をしたときには感動し、また愛する家族や支援してくださった野崎さんを始め日本ASL協会や日本財団の職員、日米両国の友人、クラスメイト、ソーシャルワーク学部の教授、母校の教授など多くの人への感謝でいっぱいである。実は、前日の予行演習で、新型インフルエンザの関係で舞台上で卒業証書を受け取るときに学長とは拍手できないというアナウンスがあったので、握手することとは期待していなかったのだが、実際に学長から握手を求められたときには驚き戸惑ったが、しっかりと握手を返し、ときたま自分のことを案じてくれた学長への感謝の気持ちを伝えることができたと思っている。私は今年で最後となるDr.Robert Davila学長によって修了式を迎えることができたことを誇りに思っている。さらに、自分の卒業証書には学長だけではなく、現アメリカ合衆国大統領であるObama大統領のサインが添えられるので、卒業証書は一生の宝物になるだろう。修了式が終わり、正直言って、これまで卒業が近づくにつれて、留学事業で初めての学位取得者としてのプレッシャーがなかったといえば嘘になるが、改めてプレッシャーから解放されるとともに、今後の活動に向けてしっかりと前を向いていかなければならないと感じている。

ニューヨークへ
母親と叔父とともにニューヨークに移動し、ニューヨーク観光とニューヨークヤンキースの野球試合を楽しんできた。修了式に、父親が来られなかったのは、残念なことであるが、修了式やニューヨークでの観光などを通じて、母親と叔父への僕なりの精一杯の恩返しができた気がする。

日本へ帰国
19日付けで、無事に日本に帰国することができた。帰国して改めて感じたことは、いかに日本が新型インフルエンザに過剰に反応しすぎているか、改めて自分の帰国を通じて感じた。アメリカではインフルエンザに対する危機感がないのか、緊張感が感じられないのである。たとえば、街中でマスクをしている人を見かけないのである。日本への帰国便を待つ空港の中で、初めてマスクをしている人をやっと見かけたほどであった。

今後
今後は、母校に復学し、博士論文完成を目指すとともに、東京都のろうあ児施設である金町学園でソーシャルワーカーとして、さらに大学や専門学校での非常勤講師などの仕事をしながら、日本のろう・難聴者のためのカウンセリング実践を含めたソーシャルワーク実践の質の向上に向けて留学の成果を還元しながら様々な事に取り組んでいきたいと考えています。今まで、応援してくださり、ありがとうございました。これで、最後の生活日記更新になりますが、またいずれ新しい報告ができたらと思っています。まだまだ若達者なこの私ではありますが、今後ともいろいろと御教鞭、ご指導のほどよろしくお願いいたします。各地で皆様とお目にかかれることを楽しみにしています。
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