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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2009年4月生活記録 (第4期生 福永梢)[2009年05月04日(Mon)]
  
  親友から京都の土産で、『桜緑茶』をもらった。アメリカの緑茶と抹茶は薄いし、ラズベリーなどの味をつけたしているもののほうが多い。アップル果汁入り緑茶なんかは、むしろ「アップルティー」とだけ書いてくれたほうが素直に楽しめるくらいだ。日本人向けの緑茶で癒される度に、自分の中の「日本人」をしみじみと感じる。


----- ろう学校高等部の演劇部による劇 --------------  

  地元のフリーモントろう学校で高等部の演劇部による劇の公演があった。設定は、水の世界に閉じ込められたろう学生がそれぞれ自分で考えた話を女王に語って、脱出するというものであった。合計で10個ある話は、学生本人の実体験に基づいているものもあれば、寓話を引用したものもあった。この演劇では、タイトルもなかなか凝っていた。 「… and the Show must go on…」(訳:「・・・そしてショーは続いていく・・・」)の「Show(ショー)」の上に線を引いて、「STORY(物語)」と書き換えられている。単に楽しませるだけのショーではなく話1つ1つに思いが込められていること、特に経験談をもとにしたものはその人の人生がこれからも続くこと、手話は見世物ではなく物語を語るための道具つまり言語であることを表しているそうだ。

----- インターナショナル・ランチ(International Lunch) ------

  オーロニ大学のデフ・センターとASLサークルによる主催で、国際交流企画があった。自分の国の伝統食事をもってくる、または伝統衣装を着てくると参加費がただである。私は枝豆とトマトのサラダとちらし寿司を作り、浴衣を着て行った。会場に着くと、伝統衣装を着ている人は少なかったものの、伝統料理がずらっと並べられていた。食事を楽しんでいる間、インドネシア、タイ、韓国、メキシコ、インドそれぞれから来たオーロニ学生による発表があった。各国におけるろう教育、手話、踊りなどが紹介され、大変興味深かった。もちろん私たち日本人学生もステージに立って、日本文化に関するクイズ、日本手話を使った文作りゲームを行った。クイズでは、「今でも忍者は存在する」、「緑色の信号は“青”と呼ぶ」の2つが最も難しかったようだ。日本でも留学生のサポートを行ったり国際交流に参加したりしていた私にとって、毎日が国際交流なアメリカの多民族的なところは大変お気に入りである。



----- クラス ---------------------------------------------

  4月は4クラスからそれぞれ今学期の中で一番大きな宿題が一遍に出た。「ムンクの叫び」状態になりつつも、どこかでその状況を楽しんでいる自分のおかげで壁をよじ登ることができた。特に英語で、添削直後の紙面に見られる変化が励みになった。添削のカラーペンの割合が減ってきたし、文法と語彙から「よりわかりやすく伝える文」と「より意味を的確に示す語彙」に添削の焦点が移ってきた。友達からは「あなたの英語って、イギリス英語ね。」と言われ、ハリーポッターの影響をとばっちり受けている自分に笑った(ハリーポッターの原作者はイギリス人である)。ところで、ASLクラスでのゲームを通して思ったことがあった。なんだかんだいって、ろう者はろう者同士で集まりやすく、聴こえる人が少なければ手話が速くなる。聴こえる人も聴こえる人で集まりやすく、ろう者が少ないと声だけで話すことが増える。こうした行為は人間の心理として当たり前のことで、誰が悪いとか誰かを責めるとかそういう問題ではないと、私は考えている。聴覚障害者の問題を考えるとき、人間として避けられない心の仕組みを踏まえた上で、本人が求めていることができるように性(さが)をコントロールしていくことがポイントだと思う。大学院でこの課題についてじっくり考えるのがとても楽しみになってきた。
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