2009年4月 生活記録(第2期生 高山 亨太)[2009年05月02日(Sat)]
インターンシップの終了
インターンシップ開始当初は、長く感じたインターンシップ日程であったが、気がつけばもう5月になり、インターンシップも指定時間の500時間以上を超えているため、当初の予定通りに5月1日をもってインターンシップ終了となった。インターンシップでは、二人の指導者や同僚に恵まれ、さらに学生たちから刺激を受け、充実した日々であったと感じている。まだ、インターンシップが終了したばかりで、まだ実感がわいてこないが、ここSWCIDでの経験や出会いは、きっと今後の日本やアジアでの活動において、貴重になっていくだろう。最後の三日間は、職員、クラス、学生会によるフェアウェルパーティーが立て続けにあったので、正直疲れたが、改めて人とのつながりの意味を再考することができた。テキサス州にあるSWCIDにインターンシップに来てみて、良いくも悪くも多くの出来事があったが、終わってみれば、ここにインターンシップに来て良かったと思っている。
American Deafness And Rehabilitation Association (ADARA)
4月15日から19日まで、テキサス州の古都であるサンアントニオ市にて開催されたAmerican Deafness And Rehabilitation Association (ADARA)のカンファレンスに参加してきた。ADARAは、ろう・難聴者の職業リハビリテーションについての研究や提言を行う学術団体として、主に職業リハビリテーションカウンセラーを中心に1961年に第一回のカンファレンスが開催されたことから始まっている。旧年までは、職業リハビリテーションが中心の議論であったが、時代の流れもあり、現在はメンタルヘルスや薬物問題などの議論が中心となっている。それに従って、会員構成もソーシャルワーカーを中心に、サイコロジストやカウンセラー、手話通訳者などとろう・難聴者支援に関わる様々な専門職が集うようになっている。ADARAは、カンファレンス開催だけではなく、学術団体として学会誌も発行している。
例年、500人ほどの参加者があるが、経済不況のあおりをうけて今年度のカンファレンス参加者は250人ほどであった。ワークショップは、5日間の日程で、合計44もののワークショップやプレゼンテーションがあり、主にメンタルヘルス領域に関するプレゼンテーションを中心に参加した。日本にはないタイプのカンファレンスであり、運営形態や運営目的など大いに学ぶことがたくさんあった。1日目の夜は、ポスターセッションとして時間が割り当てられており、日本での専門学会のようにポスターセッションが行われた。クラスメイトと私の二人で、共同でポスター発表を経験した。ポスター発表のタイトルは、「Pilot Project in Alcohol Education: Cultural and Linguistic Intervention」である。内容は、アルコール問題に関するアメリカ人ろう・難聴当事者へのオンライン啓発教材の開発(クラスメイト担当)と日本のろう・難聴者に関わる社会福祉専門職を対象にしたオンライン教材の開発(高山担当)についての実践報告である。日本の学会や研究会にて、口頭発表やポスターセッションの経験はあるが、アメリカの学会で研究・実践発表をするのは初めての経験だったので、緊張や不安があったが、当日は多くの実践家や研究者とポスターセッションを通じて交流することができ、今後につながる多くの出会いがあったことがADARAでの1つの大きな収穫であろう。
University of California San Francisco(UCSF), Center on Deafness
ADARAカンファレンスの後、直接サンフランシスコを訪問した。サンフランシスコでの滞在目的は、もちろん大好きなサンフランシスコでヴァケーション!というのは冗談として、アメリカでも古くからろう・難聴者のためのメンタルヘルスセンターとして有名なUniversity of California San Francisco付属のUniversity of California Center on Deafness(UCCD)を訪問し、UCCDのシステムやサービス概要などを学ぶことが主な目的であった。UCCDのディレクターへのインタビューを通じて、今後の活動において多くの有意義な示唆を得ることができた。ディレクター自身がろう者であり、7名の専門スタッフ全員が手話を使うことが可能であり、そのうち3名がろう者である。上級ソーシャルワーカー資格を有しているのは、ディレクターを含め、2名のろう者のみ保有している。聴者を含め、ソーシャルワーカーの資格を有していない場合には、週に一度、上級ソーシャルワーカー資格を持つ上司によるスーパービジョンを受ける必要がある。年間で、150ほどの事例があり、現在は主に薬物・アルコール依存の問題に力を入れているようだ。ディレクターのインタビューで印象だったのは、「世界のどこに行っても、ろう学校との協働共存が鍵」という言葉だった。よく考えてみると、その通りであろう。ろう文化や手話が継承されてきたのは、主にろう学校やろう学校寄宿舎である。さらに、日本でもろう学校を中心にろう教育などが展開されており、ろう学校との協働なくしては、地域のろう・難聴者やその家族を対象にしたメンタルヘルスサービスなどの展開は難しいだろう。日本で、ろう学校におけるスクールソーシャルワーク事業の設置に向けて努力する中で、ろう学校との協働はどうしても必要になることは明らかである。政府や都道府県は、この熾烈な競争社会の中において、各専門社会福祉施設や各種社会福祉サービスが協働、共立しながら、地域のろう・難聴者に支援を提供するための仕組みを再検討する必要があろう。そのためには、調査の積み重ね、実践例の国へのフィードバックが重要になる。
インターンシップ開始当初は、長く感じたインターンシップ日程であったが、気がつけばもう5月になり、インターンシップも指定時間の500時間以上を超えているため、当初の予定通りに5月1日をもってインターンシップ終了となった。インターンシップでは、二人の指導者や同僚に恵まれ、さらに学生たちから刺激を受け、充実した日々であったと感じている。まだ、インターンシップが終了したばかりで、まだ実感がわいてこないが、ここSWCIDでの経験や出会いは、きっと今後の日本やアジアでの活動において、貴重になっていくだろう。最後の三日間は、職員、クラス、学生会によるフェアウェルパーティーが立て続けにあったので、正直疲れたが、改めて人とのつながりの意味を再考することができた。テキサス州にあるSWCIDにインターンシップに来てみて、良いくも悪くも多くの出来事があったが、終わってみれば、ここにインターンシップに来て良かったと思っている。
American Deafness And Rehabilitation Association (ADARA)
4月15日から19日まで、テキサス州の古都であるサンアントニオ市にて開催されたAmerican Deafness And Rehabilitation Association (ADARA)のカンファレンスに参加してきた。ADARAは、ろう・難聴者の職業リハビリテーションについての研究や提言を行う学術団体として、主に職業リハビリテーションカウンセラーを中心に1961年に第一回のカンファレンスが開催されたことから始まっている。旧年までは、職業リハビリテーションが中心の議論であったが、時代の流れもあり、現在はメンタルヘルスや薬物問題などの議論が中心となっている。それに従って、会員構成もソーシャルワーカーを中心に、サイコロジストやカウンセラー、手話通訳者などとろう・難聴者支援に関わる様々な専門職が集うようになっている。ADARAは、カンファレンス開催だけではなく、学術団体として学会誌も発行している。
例年、500人ほどの参加者があるが、経済不況のあおりをうけて今年度のカンファレンス参加者は250人ほどであった。ワークショップは、5日間の日程で、合計44もののワークショップやプレゼンテーションがあり、主にメンタルヘルス領域に関するプレゼンテーションを中心に参加した。日本にはないタイプのカンファレンスであり、運営形態や運営目的など大いに学ぶことがたくさんあった。1日目の夜は、ポスターセッションとして時間が割り当てられており、日本での専門学会のようにポスターセッションが行われた。クラスメイトと私の二人で、共同でポスター発表を経験した。ポスター発表のタイトルは、「Pilot Project in Alcohol Education: Cultural and Linguistic Intervention」である。内容は、アルコール問題に関するアメリカ人ろう・難聴当事者へのオンライン啓発教材の開発(クラスメイト担当)と日本のろう・難聴者に関わる社会福祉専門職を対象にしたオンライン教材の開発(高山担当)についての実践報告である。日本の学会や研究会にて、口頭発表やポスターセッションの経験はあるが、アメリカの学会で研究・実践発表をするのは初めての経験だったので、緊張や不安があったが、当日は多くの実践家や研究者とポスターセッションを通じて交流することができ、今後につながる多くの出会いがあったことがADARAでの1つの大きな収穫であろう。
University of California San Francisco(UCSF), Center on Deafness
ADARAカンファレンスの後、直接サンフランシスコを訪問した。サンフランシスコでの滞在目的は、もちろん大好きなサンフランシスコでヴァケーション!というのは冗談として、アメリカでも古くからろう・難聴者のためのメンタルヘルスセンターとして有名なUniversity of California San Francisco付属のUniversity of California Center on Deafness(UCCD)を訪問し、UCCDのシステムやサービス概要などを学ぶことが主な目的であった。UCCDのディレクターへのインタビューを通じて、今後の活動において多くの有意義な示唆を得ることができた。ディレクター自身がろう者であり、7名の専門スタッフ全員が手話を使うことが可能であり、そのうち3名がろう者である。上級ソーシャルワーカー資格を有しているのは、ディレクターを含め、2名のろう者のみ保有している。聴者を含め、ソーシャルワーカーの資格を有していない場合には、週に一度、上級ソーシャルワーカー資格を持つ上司によるスーパービジョンを受ける必要がある。年間で、150ほどの事例があり、現在は主に薬物・アルコール依存の問題に力を入れているようだ。ディレクターのインタビューで印象だったのは、「世界のどこに行っても、ろう学校との協働共存が鍵」という言葉だった。よく考えてみると、その通りであろう。ろう文化や手話が継承されてきたのは、主にろう学校やろう学校寄宿舎である。さらに、日本でもろう学校を中心にろう教育などが展開されており、ろう学校との協働なくしては、地域のろう・難聴者やその家族を対象にしたメンタルヘルスサービスなどの展開は難しいだろう。日本で、ろう学校におけるスクールソーシャルワーク事業の設置に向けて努力する中で、ろう学校との協働はどうしても必要になることは明らかである。政府や都道府県は、この熾烈な競争社会の中において、各専門社会福祉施設や各種社会福祉サービスが協働、共立しながら、地域のろう・難聴者に支援を提供するための仕組みを再検討する必要があろう。そのためには、調査の積み重ね、実践例の国へのフィードバックが重要になる。