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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
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2009年2月生活記録(岡田)[2009年03月25日(Wed)]
今月から3クラス目の Human Resourcesが始まった。日本で言えば人事にあたるのだろうか。「組織の中で人員のパフォーマンスを最大限に生かすためにどうするか」というのが最大のテーマである。例によって一日教室に缶ヅメ×5週間というタイトな日程である。教授は単純に10週間分を5週間で詰め込もうとしているようで、さまざまな課題が次々に与えられる。そのうちのいくつかに対しては、説明が足りない!何を求めているのかわからない!と生徒から大きな苦情も出ているのだが(笑)良い内容だし、administratorには絶対必要な分野だとは思うのだが、いかんせんそのやり方に失敗してしまっている感じである。

大きな内容としては、

1. 採用担当者(日本の人事担当のイメージとは大分違う)になったつもりで、さまざまなツール(ワークシートなど)を利用しながら、採用に必要な書類一式を用意したり、インタビューの質問やその評価の項目を作成したりする個人プロジェクト
2. マネージャーとしての技法(problem solving, concept mapping, conflict managementなど)をリサーチして、プレゼンテーションをするグループプロジェクト
3. 法律などの問題が絡む事例を取り上げて、マネージャーとしてのアプローチを考えるケーススタディ

である。そのほかにも各自の強み(Strengths)を見つける課題とそれに基づいた組織編成の理論、各部署内のゴール・ビジョンの設定の仕方、など実践的な内容になっている。

面白かったのは、部下(大学で言えば職員)が不満を持って辞めていったり、自分の仕事に情熱をなくしたり、逆に多少の不満は構わずに続けたりということを左右するのは、マネージャーや自分に一番近い上級ポジション者、チームメンバーによって、どのような扱いをされるか、自分のした仕事が自分の名前で上司や他部署に伝わっているか、というのが最も重要であって、一職員、社員としての自分を確立できているかが重要であり、決して給料や得られる特典がそれを左右するのではない、という考え方であった。

この点には自分を含めクラスメイトも納得し、白熱した議論が交わされた。日本人的な感覚でいくと、職場の不満は個人の問題に帰されてしまうことが多々あると思われるし、ややもすれば、和を乱すと受け取られかねない。しかし、administratorとして、あるいは組織論として見ると、組織編成が部署のパフォーマンスの善し悪しにダイレクトに直結するのであって、プログラム運営の際には、予算やサービスの向上だけでなく、大前提としてどのようにチームを編成し管理するかが不可欠である。それができない部署は良い仕事ができないだけではなく、究極的には良い人材を失うこと、つまりは利益の縮小とコストの拡大を意味するという見方は、至極当然ではあるが新鮮な見方でもあった。

日本でも大学院で学んでいたが、二学期目の後半に来て、大分毛色が違うことを、身をもって経験している。もちろん研究中心の学科もあるだろうが、ここでは、なによりも「現場」が強く意識されていると感じる。各クラスが上手に構成されているかは別問題であるが、少なくとも教授陣から「大学のadministratorを養成する」という強い意思が感じられ、こういう環境で学べること良い経験である。

一次的には、障害学生支援プログラムの運営について深く学ぶことを目的に留学しているが、この大学院では、「大学はどうあるべきか?」ということを深く考えさせられる。たとえば、上に述べた見方を当然とすれば、「大学職員にスペシャリストはありえるのか」「各部署のトップに人事編成上の権限はどれほどあたえられるべきなのか」などという問いが次々と浮かんでくる。たまたまであるが、日本人で大学で働いていたという共通のバックボーンを持つクラスメイトもいて、何気ない会話から自分の知らないことが得られるので、よい環境である。

2年間のプログラムでは明確な「理想の大学のイメージ」は作れないと思うが、見方や考え方の深さや幅がどんどん広がっていくのを感じている。自分の専門の障害学生支援と、ここでの大学全般の管理行政をしっかり結びつけていきたいと思う。


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