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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2008年11月 生活記録(第2期生 高山 亨太)[2008年11月30日(Sun)]
アメリカ大統領の選挙
 これまで、おおよそ2年ほど続いたアメリカ合衆国の次期大統領の選挙活動も最後の追い上げの時期になり、テレビなどのメディアでは「マケインVSオバマ」のような見出しが連夜続いていた。11月4日にアメリカ大統領の選挙が実施され、最終的にバラック・オバマが当選した。当日は、朝6時から並び、投票をしたクラスメイトや2時間並び投票することが出来た友人もいた。ちなみに選挙中に、全米ソーシャルワーカー協会(NASW)などの対人援助専門職団体の多くがオバマの支援を表明するなどの多くのニュースがあり、興味深い選挙であった。日本であれば、医師会などが強い発言力を持っているが、アメリカでは医師会だけではなく、他の様々な専門職団体の支援を取り付けることが重要になるようだ。オバマが当選した夜の大学構内では、当選に歓喜する学生もいれば、わずかではあるがマケイン落選に落ち込む学生も見られるなど、選挙開票当日をアメリカで経験することが出来たことは大きな経験になり、また思い出になった。

指導教官の訪問
 いつもお世話になっている筑波大学の指導教官がGallaudet Universityを訪問した。幾度かアメリカを訪れているが、Gallaudet Universityへの訪問は初めてである。ワシントンD.Cの街や大学のキャンパス、歴史のある建物を案内した。博士課程の途中での留学を承諾していただいた教授には本当に感謝しており、自分が聴覚障害者を対象としたソーシャルワーク専門教育を受けているGallaudet Universityを案内することができ、万感の思いである。私の教授は、来年の3月に定年退官の予定であるが、その前にGallaudet Universityの様子を直に知ってもらえたことは大きな意義があったと思っている。教授との出会いがなければ、この留学生活もなかっただろし、日本聴覚障害ソーシャルワーカー協会の設立、「聴覚障害児・者支援の基本と実践」の出版もなかっただろう。今後の帰国後の活動にあたっても引き続きご支援をお願いしたい。教授の滞在中は、多くの友人が教授のことを自分の母親だと勘違いしたようで、「高山の母親が来ている」という噂が流れ、日本人の友人を困惑させたようだ。ともかく、留学生活の報告とともに帰国後の活動方針や博士論文の進め方についても議論が出来、有意義な時間を過ごすことができた。

FESTAC
 11月3日に行われた、クラスメイトが主催したチャリティーイベントの手伝いをした。このイベントは、クラスメイトのカメルーンでの有意義な実習やカメルーンのろう学校支援のためのチャリティーが主な目的となっている。 クラスメイト自身が黒人であり、実習先もアフリカであるためイベント自体は、アフリカや黒人の文化に触れることの出来るパフォーマンスが多く開催されていた。

実習先の確保
 この度、春学期からの実習先が正式に決定した。実習先は、テキサス州にあるコミュニティカレッジであるHoward Collegeの中にあるSouthwest Collegiate Institute for the Deaf (SWCID)である。SWCIDは、ろう・難聴学生のためのプログラムであり、簡単に例えるとNTIDのコミュニティカレッジ版であると思えばいいだろう。1月からの実習が楽しみである。詳しくは、また次回に。

日米交流
 11月7日には、日本ASL協会が主催しているビデオライブチャットを活用した日米交流事業があり、奨学生としてGallaudet Universityの会場から参加した。この事業はDeaf Studies学部のDr. Mike Kempのコーディネートの元にGallaudet Universityの教授の講義をリアルタイムで、オンラインビデオチャットを通じて、日本の受講生が講義を体験することが目的となっている。第1回目はDr. Arlene Kelly准教授による「History of Deaf Women」の講義であった。12月5日に実施される第2回目は、Dr. Benjamin Bahan教授による「Understanding Deaf People’s Culture and Senses」が予定されている。日本側の会場にとっては、休日の朝9時からという大変眠い時間帯に講義を受けることになっているので、多くの人が集まるのか心配していたが、知っているや懐かしい友人などの面々が参加しており、ちょっとした挨拶ができた。悲しいお知らせであるが、事業に協力していただいていたDr. Mike Kempは、 11月24日に逝去された。今後のアジアでの取り組みなど、多くの仕事が控えており、多くのろう社会が彼の力や経験を必要としている矢先の訃報にはただ驚くばかりである。大学内でも多くの友人や教授が悲しみ、メンタルヘルスセンターが無料でカウンセリングを実施するというアナウンスが流れるほどの衝撃的なニュースだった。亡くなられた今は、ただただご冥福をお祈りするのみである。合掌。

Thanksgiving Day
 11月27日の夜は、いつもお世話になっている社会福祉学部の教授に招待され、第1期生の池上さんと障害学生支援室の職員であるArthurさんと一緒にディナーに出かけてきた。4時頃に到着した後は、ディナーの時間までのんびりと過ごし、おなじみのアメリカの伝統的なThanksgiving Dayのディナーをたらふくごちそうになった。七面鳥、スイートポテト、サラダなど様々な料理があり、本当においしい食事をいただいた。食事の後は、教授や教授の家族とお話ししたり、ゲームをしたりして過ごしていたらあっという間に11時になってしまった。結果的に長居してしまったが、学校で見る教授の違う面を知ることが出来たり、将来に関する悩みを聞いてもらったりすることができ、とても楽しいディナーだった。Arthurさん自身は、盲ろう者であり、アメリカ盲ろう協会の会長でもある。慣れない触手話を使いながら、いろいろと参考になるお話を聞かせていただくことが出来、充実した時間だった。
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