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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
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2008年6月生活記録 【第2期生 谷口】[2008年07月15日(Tue)]
急に呼吸しにくくなるほど道路から湯気が立ち上がり、毎夕に夕立が降ってくるようになり憂鬱な季節がやってきた。6月下旬に南アフリカに発つために色々な準備に追われ、無事に南アフリカに到着し3週間半が経つ。南アフリカでの生活をここに記載しておきたい。

【南アフリカにて】
 先月の生活記録にて「来月にガボンというアフリカ中部の国で約1ヶ月程教育実習をする予定」と記載したが、詳細には分からないが現地で何やら問題が発生したためにガボン行きを断念せざるを得なくなった。予防注射やビザの習得など全て済ませ、準備万全だったが、中止というお知らせを聞いた瞬間に夢が崩れたような感じに覆われ、ただ呆然とするしかなかった。しかし、ガボン行き飛行機に乗り換えるための南アフリカ共和国への航空券はキャンセル出来なかったために南アフリカに8月上旬まで滞在することに決定した。
 アフリカ大陸に足を踏み入れるのは人生初であり、南アフリカと言えば「大自然の大国」をイメージする人も多いと思うが、まさにそうだと感じる位自然のあふれる国だと実感できる程サファリも多く、市民たちの動物愛護を心がけている雰囲気があった。

 南アフリカに到着して1週間後に教育実習先を探し始め、結果として2つのろう学校が候補として挙げられた。他にケープタウンで2011年のWFDのデザインのお手伝いとその近くにあるろう学校からの訪問歓迎の依頼が来た。考えた末、7月14日から首都プレトリアの聾学校で教育実習をすることが決まった。ガボンでの実習がキャンセルになり残念だが、南アフリカで実習先が見つかりその期待に大変胸を躍らせている。

 南アフリカに世界で最も犯罪発生率が高く危険な地域と呼ばれている旧黒人居住地区「ソウェト」があるが、友人たちと一緒に行くことはあまりお勧め出来ず、現地旅行会社の主催するツアーに参加するのが望ましいということで、友人とそれに参加することにした。
 ソウェトに行く間に、ニューヨーク並みの高いビルがそびえており、ショッピングモールやホテルなども一流であるヨハネスブルグ市の風景をを車から眺め、まるでニューヨークにいるような感じだったが、通り過ぎ南東部の方に行くと先ほどの雰囲気とは全く逆で殺風景な空気が車の中に漂って来ており、説明できないほど貧しい家がぎっしりと並んでいた。それらの家々の中にはトイレと風呂がなく、トイレは外で、井戸の近くで井戸水を使用した共同風呂があり、住民たちと共用しているという。
 その地区に入る途端に道路で黒人の子どもたちが「お金!お金!」「食べ物!食べ物!」と叫びながら一気に寄ってきており、その光景は人生で初めて見たものだった。近くにホットドッグが売っていて、そこでランチタイムを楽しんだが、予想通り子どもたちが潤んだ目を輝かせながら私の方に近寄ってきた。その目に押され、ドッグをあげようとした瞬間その子どもはそれを奪い、遠くの方に走っていった。しばらく観察してみると、その奪った子どもは他の子どもたちを呼び、そのドッグを分けて楽しく食べていた。私はその光景に「世界中には貧しくてホットドッグさえ買えない子どもも数え切れないほど多く存在するのだ」と教えられたような感じに覆われた。そして、ようやく手にいれたドッグを自分で全部食べるのではなく、他の子どもたちにも分けてあげようという優しさに胸を打たれた。その地区で知った凄まじい貧困問題は一生決して忘れさえしない。
 また、世界中を震わせた事件でもある「ソウェト蜂起」でアパルトヘイト政策で白人の支配と見なす黒人の少年たちがデモを起こし、警察に撃たれ13歳の若さで亡くなったヘクターという少年の記念館を訪問し、ガイドさんによるソウェト蜂起の出来事の流れを聞いた。ソウェトはアパルトヘイトの廃止を実施したかの有名なマンデラ前大統領の故郷でもあり、そこに博物館があったがあいにく休館で残念だった。

 ここ南アフリカで学ぶ歴史は大変貴重なものであり、残り1ヶ月間の時間を上手く利用して実習だけでなく歴史探訪もすることで南アフリカに関する知識をより増やしていきたいと思っている。
Posted by 谷口恵美(第2期) at 05:26 | 奨学生生活記録 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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