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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2008年4月 生活記録(第2期生 高山 亨太)[2008年05月16日(Fri)]
アメリカスクールソーシャルワーク協会
4月は最終レポートをこなしたり、学会に参加したりするなど今学期で一番忙しい月間でもあった。特に4月3日から6日までコロラド州のデンバーにて開催されたアメリカスクールソーシャルワーク協会の学会に参加したことは、自分にとって貴重な経験でもあり、初めてのアメリカの学会デビューとなった。アメリカには、ソーシャルワーカーが加入している世界でもトップレベルの専門職能団体として知られている全米ソーシャルワーカー協会(National Association of Social Workers: NASW)があるが、アメリカスクールソーシャルワーク協会(School Social Work Association of America: SSWAA)は、主に学校教育現場で子どもや家族に対するカウンセリングも含めたソーシャルワークサービスを提供しているスクールソーシャルワーカーが加入、運営している。また全米ソーシャルワーカー協会と方針が異なるのは、ソーシャルワーカーではなくソーシャルワークを協会名に取り入れている部分である。全米ソーシャルワーカー協会への加入条件が基本的にソーシャルワーク修士号(Master of Social Work)を取得していることを重視していることに対して、アメリカスクールソーシャルワーク協会は、ソーシャルワーカーのためだけの協会ではなく、子どもを中心に考えるためのスクールソーシャルワークの研究や実践すなわち専門職ではなく専門的援助技術が重要と考えているのである。アメリカスクールソーシャルワーク協会の学会では4日間にわたって、学校現場における各種問題への対応や支援策に関するワークショップや発表、さらに政策レベルでの協会の取り組みについて知ることができた。ワークショップは、学校現場におけるメンタルヘルス支援、実証型ソーシャルワーク(Evidence-based social work)、ゲイやレスビアンなどのジェンダー問題などを学ぶことができた。
夜は、もちろんクラスメイトとバーに行って、飲み明かしたりするなど次の日の予定を考えずに楽しんだ。次の日の学会ではどうしても眠たくて仕方なかった。

学期末の状況
4月はクラスの最終レポートなどがあり、忙しくしていたが政策、地域、組織レベルでの分析方法を有意義に学ぶことができた。また5月には3日間に渡る進級テストが控えているため、その準備にも追われた。もちろん、インターンシップの最終日が控えているため、実習先に提出する宿題や担当ケースのフォローアップのための裁判所へのレポートの作成などもこなさねばならず、大変な日々であった。しかし、4月24日にインターンシップ先にて、ソーシャルワーカーを対象としたろう、難聴者への支援方法関するワークショップを開催した。現在、ろう・難聴のクライエントと働いている、もしくは、ろう・難聴について知らないソーシャルワーカーを対象に3時間のワークショップを開催することができた。企画、アウトライン、シラバスなどを作成し、当日の講師はGallaudet Universityの教員とともに担当した。当日は、定員近くの10名の参加が得られ、小人数での内容の濃い講義ができ、貴重な経験をした。このワークショップをきっかけに児童福祉領域でのろう、難聴者への政策面を含むサポートに興味を持っていただいたソーシャルワーカーもおり、1年間に渡るインターンシップの成果が反映されたと感じることのできた充実した1日であった。このような講義やワークショップを帰国後に開催できたらと感じた経験であった。

桜祭り
ワシントンD.C.では、毎年4月になると日米交流のシンボルであるさくら祭りが開催される。2年目の留学にて初めてさくら祭りに参加することができた。当日はパレードやたくさんの日本食を中心にアジア系の屋台が多く並び、久々に日本食を楽しむことができた。

進級テスト
5月は進級のための総テストが3日間に渡って実施されるので、それに向けて可能な限り準備をしていきたいと思っている。進級テストの目的は、1年間習ったソーシャルワークの基礎知識を測り、2年次に進級できるかを審査することが目的となっている。おそらく研究者養成が目的ではないので、修士論文がなく、日本でも話題になっているらしい専門職課程大学院として専門職の知識やスキルを重視しているのだろう。テストの内容は、1つのケース(聴覚障害も関わっている)に今まで習ってきた5つの基礎クラスである人間行動と社会環境(Human Behavior and Social Environment)、ソーシャルワーク理論(Social Work Practice)、インターンシップ(Foundation Field)、社会福祉政策(Social Work Policy)、リサーチ(Research)の知識や観点からどのように援助したらいいのかを回答する。5つのクラスから設問があり、3日間の期限内に15ページのレポートを書く形式となっている。テストはAPAという厳格な論文形式で書かなければならなく、違反した場合には即刻不合格となるようである。基本的にフォントはTime new roman、文字の大きさは、12ポイント、行間は2ポイントとなっている。そのほかにもいろいろな細かい決まりがあり、多くの留学生が第一にぶつかる壁といっても過言ではないだろう。これまでのクラスでのレポートもAPAで提出している。アメリカの学会誌や専門書は基本的にAPA形式となっており、この1年間を通じて、APAの書き方をさらに深く知ることができたことは、今後に大いに役立つだろう。進級テストに、一発で合格できるよう気を引き締めていきたい。
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