
2025年5月「書いてばっかりのここ最近です…」金本小夜(19期生)[2025年06月06日(Fri)]
みなさんこんにちは。
この間日本に一時帰国していた知人が、夏場の日本の湿気だけは嫌だとこぼしていましたが、そういえばそろそろ梅雨の時期ですね。
イギリスは多少暖かい日が増えて気温も20−25℃前後、最近はニワトコやカウスリップという花が咲いていて、相変わらず自然の中を歩くのが楽しいです。
最近も書いてばかりの毎日ですが、書くことに集中しているととりわけ文学とはなんぞや、批評とはなんぞや、と考えることが多くなっています。
日本で文学を学んでいた際には、「すでに亡くなった作家しか原則扱わない」というのが暗黙の了解としてありましたが(まだ作家が新しい作品を書き続ける場合、突然それまでの作風をガラリと変えて作家本人の評価が大きく変わってしまう可能性があるからです)、例えばリーズ大学の他の博士課程の学生の研究を見ていると、ほぼ全員が現代の、生きている作家を含めた研究を行っており、その扱う作品も紙に書かれた文章から映像作品、舞台作品とさまざま。作品がその時代を反映する文化的産物として扱うCultural Criticismという立場や、歴史的文脈の中で作品がどう機能しているかを扱うNew Historicismという立場に立ったものが多く、批評として引用するものも200年前の哲学者から、先月の一読者のXへの投稿だったりと、形態が多岐に渡っています。私も人の文章の見よう見まねで混乱しながら書いておりますが、この引用の仕方はマル、この参照の仕方は要検討、みたいなことがずっと続いており、日々勉強の毎日です。
今は日常の論文を進める作業の傍らで、今月の学会の原稿もあるので結構メンタルにダメージを受けつつ、頑張っています。大学のメールでも頻繁に「鬱にどう対処する?」みたいな内容のものが回ってくるので、メンタルで苦しむのは私だけではないようです…
一方でインプット作業はいい息抜きで、先月はヴィクトリア&アルバート博物館でd-live!というデフパフォーマンスを行う劇団(企画や脚本制作、監督などは自分たちで行い、役者は外部から招いて行うスタイルみたいなので、劇団、というと語弊があるのかもしれないですが…)の『星の王子さま』の手話劇が行われていたので行ってきました。私は『星の王子さま』は大好きで、本は何度も読みましたが、劇で見るとまたとても新鮮でした。手話を、とても上手にパフォーマンスとして取り入れていて、手話を知らない子供でも、少しずつ手話が学べるようによく工夫されていて、なんだか舞台版絵本を見ている気分になりました。
あとApple TV +で新しくDeaf President Now!(2025) と言うドキュメンタリー映画が出てきたので視聴しました。監督はNyle DiMarco、1988年のギャローデット大学の学長選出問題に関するドキュメンタリーで、当時の映像や、当時活躍した学生代表などのインタビューを交えた、興味深い作品でした。ASLができる人が見たらもっと面白いと思います。このDiMarco監督、他にもNetflixで公開中の、ギャローデット大学の学生の日常を描いたDeaf U(2020)や、メリーランド州のろう学校のフットボールチームについて描かれたAudible(2021)などの制作総指揮を務めており、ろうの視点からろうを描ける数少ない監督として、今後どのような作品を生み出すのか楽しみだなと思っています。
来月は学会の様子など交えて何か書けたらいいなと思っています!


この間日本に一時帰国していた知人が、夏場の日本の湿気だけは嫌だとこぼしていましたが、そういえばそろそろ梅雨の時期ですね。
イギリスは多少暖かい日が増えて気温も20−25℃前後、最近はニワトコやカウスリップという花が咲いていて、相変わらず自然の中を歩くのが楽しいです。
最近も書いてばかりの毎日ですが、書くことに集中しているととりわけ文学とはなんぞや、批評とはなんぞや、と考えることが多くなっています。
日本で文学を学んでいた際には、「すでに亡くなった作家しか原則扱わない」というのが暗黙の了解としてありましたが(まだ作家が新しい作品を書き続ける場合、突然それまでの作風をガラリと変えて作家本人の評価が大きく変わってしまう可能性があるからです)、例えばリーズ大学の他の博士課程の学生の研究を見ていると、ほぼ全員が現代の、生きている作家を含めた研究を行っており、その扱う作品も紙に書かれた文章から映像作品、舞台作品とさまざま。作品がその時代を反映する文化的産物として扱うCultural Criticismという立場や、歴史的文脈の中で作品がどう機能しているかを扱うNew Historicismという立場に立ったものが多く、批評として引用するものも200年前の哲学者から、先月の一読者のXへの投稿だったりと、形態が多岐に渡っています。私も人の文章の見よう見まねで混乱しながら書いておりますが、この引用の仕方はマル、この参照の仕方は要検討、みたいなことがずっと続いており、日々勉強の毎日です。
今は日常の論文を進める作業の傍らで、今月の学会の原稿もあるので結構メンタルにダメージを受けつつ、頑張っています。大学のメールでも頻繁に「鬱にどう対処する?」みたいな内容のものが回ってくるので、メンタルで苦しむのは私だけではないようです…
一方でインプット作業はいい息抜きで、先月はヴィクトリア&アルバート博物館でd-live!というデフパフォーマンスを行う劇団(企画や脚本制作、監督などは自分たちで行い、役者は外部から招いて行うスタイルみたいなので、劇団、というと語弊があるのかもしれないですが…)の『星の王子さま』の手話劇が行われていたので行ってきました。私は『星の王子さま』は大好きで、本は何度も読みましたが、劇で見るとまたとても新鮮でした。手話を、とても上手にパフォーマンスとして取り入れていて、手話を知らない子供でも、少しずつ手話が学べるようによく工夫されていて、なんだか舞台版絵本を見ている気分になりました。
あとApple TV +で新しくDeaf President Now!(2025) と言うドキュメンタリー映画が出てきたので視聴しました。監督はNyle DiMarco、1988年のギャローデット大学の学長選出問題に関するドキュメンタリーで、当時の映像や、当時活躍した学生代表などのインタビューを交えた、興味深い作品でした。ASLができる人が見たらもっと面白いと思います。このDiMarco監督、他にもNetflixで公開中の、ギャローデット大学の学生の日常を描いたDeaf U(2020)や、メリーランド州のろう学校のフットボールチームについて描かれたAudible(2021)などの制作総指揮を務めており、ろうの視点からろうを描ける数少ない監督として、今後どのような作品を生み出すのか楽しみだなと思っています。
来月は学会の様子など交えて何か書けたらいいなと思っています!


写真はV&Aの『星の王子さま』舞台です。