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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2023年8月生活記録【第18期生 田村誠志】[2023年09月04日(Mon)]
皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんは。

8月に入り、VA, DCのエリアは猛暑になってきましたが私の場合、暑さも寒さも京都育ちのせいなのか慣れているので問題なく過ごせております。しかし熱中症には気をつけなければいけませんので、水分補給はこまめにとっております。日本も熱中症の注意喚起は頻繁に行われていると思われますが、みなさまもお気をつけてください。

漸くGallaudet大学も秋学期に入りました。秋学期になりたくさんの友人たちが寮やapartmentに戻ってきて夏休みの近況などをたくさん語り合ったりして日を過ごすことがざらですね。新入生も入ってきており、いくつか見かけない顔の学生が多くいます。
Gallaudet大学の8月の最初の週は、新入生を迎えるためのオリエンテーションやら、ウェルカムバックと名の食事会やらで学部生も院生もスタッフも先生もみんな移動だらけで大変そうでした。私はというと、一年前の大学院生のオリエンテーションを思い出しながら、コーヒーを飲んでクラス履修の準備をしていました。本記事は今学期のクラス履修について説明します。

まずは必修科目ですが、LIN 571 Field Methodsという講義です。こちらは言語学生がこれまでの言語学の知識を身につけた上で倫理観、フィールドワークの手引き、言語の枠割りに焦点を当てる研究プロジェクトの重要な基礎知識、またこれまで学んだ音韻論や生成文法、認知言語学だけでなく形態学や構文、人類学や社会言語学などの焦点に当てる事もできる重要な講義です。アメリカでは昔、白人の英語の言葉を話せという風潮が多く、社会的差異によって引き起こされた他民族言語の存続危機にさらされていました。もちろん当時は、我々の言語を尊重しないということの批判的な憤りがあったと思います(国家、民族、人種、ジェンダー、セクシュアリティ、その他)。私たちは何を目的として、彼らの倫理を尊重し、彼らの文化を理解しながら、彼らの生活の一部や言語を、学んだり研究したりするのかという心構えをこの講義を通して実技を行うのです。毎年、ASLや他の国の手話言語を対象としていましたが、昨年や昨昨年ではCOVIDが起きてからはZoomなどで講義を行なっておりました。今年は対面式で研究を行えるそうです。

次からは選択科目になります。まずはまとめて二つの講義について説明します。LIN 595 G01・G02 Special Topics:Corpus LinguisticsとData Management になります。この二つの講義はどちらとも上記で説明したField Methodsの内容と密接しております。
Corpus Linguisticsではコーパスについては何かを学ぶこと、そしてそのコーパスを行う際に使用するツールを使って学ぶことになります。主に使用するのはELANとなり、前学期ではPhonology Uで手話言語学の音韻分析を学ぶときに使用したツールです。そもそもコーパスとは何かというと機械やパソコンが検索、読み取り可能であるコレクションデータのことですね。この講義はGallaudet大学が所有している手話動画のデータを使用して手話動画のコーパス作成に取り組むことになります。
Data Managementについての講義はフィールドワークに不可欠なスキル習得、実践すること、機材のセットアップ、エリシテーションの実践、倫理への配慮、デジタルの整理、書き起こし、分析、共有などを学びます。特に共有は何のために共有するのか、対象者の人権やデータの流出を防ぐなどとても重要な問題あるため、信頼・安全を約束できるように配慮しなければいけません。また言語使用者についてのリテラシー、育った背景もそれぞれが異なる事もあり、メタデータの内容もしっかりと事細かく整理しなければいけないこともしばしばあります。その注意を心に留め実技も学びます。

最後に私は最近手話通訳士としての勉強に興味を持ち、手話通訳教育プログラム: INT501: UG01-INT501.G01 ASL and English Translation: Skills Developmentを受講することに決めました。こちらの講義は、手話通訳士が話し手の内容をどのように聾者に通訳できるのか実技を兼ねて学んでいく内容となります。話し手の言葉の意図は、複雑な意味で構成されており手話通訳士はその意図を読み取る技術と表現する技術が必要となりますが、これが大変面白いのが言語学の知識と密接している部分がありました。それは認知言語学による経験からの概念化によって手話を表現されるdepictive、また話し手の文脈から正しい意図を理解する語用論の考え方に通じているということです。これを機会に自分の手話言語についてのスキルをもっと学ぶことができる機会だと思って履修しました。

現在、コースを4つも取得しており、加えて4,5も仕事がある状況の秋学期です。正直言うとこの秋学期に履修できる選択講義の認知言語学Vも取得したかったのですが、ちょっとスケジュールが厳しいと思い、今回は見送りました...本当に受講したかったですね...。

さて長々とGallaudetの秋学期に向けての状況を報告してしまいましたが、プライベートでも楽しく友人と食事に出かけたり、私の家に招いたりと充実なひと時を過ごしせています。次回は機会があれば友人と楽しく話している内容でも書いてみたいですね。

みなさまもまだまだ残暑が続く暑さに負けずに、楽しく過ごしましょう。
下の写真はARTECHOUSE DCと呼ばれる植物のホログラムミュージアムの一部です。とても幻想的な世界でした。
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Posted by 田村 at 04:25 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
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