• もっと見る
聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
« 2023年5月「ヨークシャー地方と文学」金本小夜(19期生) | Main | 2023年5月生活記録【第18期生 田村誠志】 »
2006/4/28ブログ開設時からのアクセス数
UL5キャッシング
最新記事
カテゴリアーカイブ
リンク集
最新コメント
月別アーカイブ
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/index2_0.xml
2023年5月「MASLED」鈴木美彩(18期生) 生活記録[2023年06月08日(Thu)]
2023年5月 第18期生 鈴木美彩 生活記録
帰国後を見据えた夏期


↓動画はコチラから↓


 前回、夏は講義を取る予定なのでまだ大学に通いますとお話しましたが、夏期のクラスも既に4週目を迎えました。授業は全部で5つとっていますが、言語学の選択科目ではありません。すべて、MASLED(M.A. in Sign Language Education)という手話教育学部の科目です。
 帰国後の活動計画において、手話言語学研究に取り組むことはもちろん最大の命題で、これまでもこれからも変わりません。中でも、手話に関する新しい資源作りに取り組むことを考えています。そこで、手話教育に関する知識を持っていれば通訳育成やろう教育など手話教育においても何か役立つ新しいリソース開発に役立てることができるのではと考えました。そして、日本ASL協会の担当の方と相談させていただき、受講するに至りました。大変ありがたい限りでございます。
 MASLEDの一部の講義は言語学の選択科目として単位互換ができる点もプラスになりました。手話教育と言語学は全く別物の分野とはいえ、言語を扱うという面では共通しています。一部に言語学の知識が活かせるところもあり、逆に手話教育の面から見た言語学についても学べます。学部生のときは社会福祉を学び、院では言語学、そして手話教育と、さらに新たな学びに目を見開く毎日です。

MASLED
↓動画はコチラから↓
https://youtu.be/hyhYfZF_zu4


現在受講している5つの講義を簡単にご紹介したいと思います。

1. ASL 709 Sign language Media Production
 手話メディア制作
 David Davenport 先生
 手話動画を使ったメディア制作に役立つ技術のノウハウを学びます。より質の高い動画を制作するためのスタジオセッティングやカメラの細かいマニュアル設定などを勉強します。撮影したデータの編集も行います。Final Cut Pro X というソフトを用いて動きやエフェクトを加えます。

2. ASL 724 Sign Language Lnguistics for Sign Language Professionals
 手話専門家のための手話言語学
 MJ Bienvenu 先生
 言語学を学んできたのでその知識がkの授業では役に立っていますが、手話教師としてある程度言語学について知っていなければならないので、言語の構造に関する研究の種類や、社会の中の言語について、言語イデオロギーや言語態度、標準語と方言の関係性についてなど、言語学を幅広く学びます。言語学部では取り上げていない学問横断的な内容も多く紹介されています。

3. ASL 741 Methods of Sign Language Teaching
 手話指導の方法
 Pauline Burcham 先生
 タイトルの通り、手話を教える様々な手法について学びます。以前、日本でNPO法人手話教師センターが開講しているナチュラル・アプローチ手話教授法を受講しましたが、これも様々なメソッドの中の1つであります。この講座では理論から日本手話への応用方法、ディスカッション、実践と、一通りやりました。現在、授業では様々なメソッドの名前と理論を学んでいます。来週の対面クラスからは実際にアメリカ手話への応用を学ぶので楽しみです。

4. ASL 743 Curriculum Development for Sign Language Education
 手話教育のためのカリキュラム開発
 Curtis Radford 先生
 カリキュラムとは授業におけるあらゆるコンテンツ、例えば学習到達目標、つまり学生に言語を教えた後、どの程度のレベルに到達していることを目標とするかやその経緯、内容など事前に準備されたものです。その開発方法について学びます。

5. ASL 750 Assessing Sign Language Skills
 手話技術の評価
 Raychelle Harris 先生
 手話教育においては評価が欠かせません。わかりやすいもので言えば、テストです。学生はテストを受けて点数をもらいますが、その点数は評価です。他にも、教室内で学生が正しい手話を忘れたとき教師がそれを発見し、正しい手話へ誘導するのもアセスメント、評価に含まれるそうです。様々な評価方法、ツールがあり、それを学びます。

現在はオンデマンド形式で動画視聴や本読みの後、クイズや課題を解いて、自分の意見を英語やアメリカ手話にまとめたりと、ひとりで寂しく進めています。MASLEDは手話教師として働きながら修士を取りたいというニーズも高く、夏にまとめて集中講義を行う形にデザインされています。はじめの一ヶ月はオンデマンド形式、後の一ヶ月はアメリカ各地からギャロデット大学へと一箇所に集まり、殆どの学生は寮に泊まって、対面講義を朝から晩まで毎日集中的に行う形になっています。私はメリーランド州に住んでいるので通う形で受講します。言語学部と違って学生数が30名と多人数です。ろう者がほとんどであることも、言語学部とはまた違った雰囲気です。だから対面講義がどのような感じになっているのかますます楽しみです。
Posted by 鈴木 at 11:20 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
この記事のURL
https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/archive/1410