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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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9月生活記録(3期生 岡田孝和)[2007年10月06日(Sat)]
 学期開始から早くも一ヶ月がたった。最近では8月の日差しが嘘のように涼しくなってきており、朝夜は寒いといっていいほど冷えむが、青い空の下で生活できるのはやはり気持ちの良いものである。学期が始まってすぐはまだ状況が安定していないこともあって課題に追われたり、逆に突然暇になってしまうなど落ち着かない状態だったが、カウンセラーや先生と相談しながらクラスを調整し、現在ではだいぶ生活のリズムは落ち着いてきた。


●Deaf Culture

 火曜・木曜の週2日行われる。内容としては言葉で表すのは難しいが、毎回あるトピックを取り上げながら、クラスメイトそれぞれの経験を出し合ったりして、Deafとしての自分自身の意識を整理していく感じである。Deafはこうあるべきで、こういう歴史がある!と一方的に進めるのではなく、メインストリーム育ちや、中途失聴など様々なバックグラウンドを引き出しながら、またDeaf Cultureのプラス面マイナス面まできちんと整理しながら進めるので、いろいろと自分で考えさせられる部分もあり、毎回楽しみな授業である。この授業は、健聴者をターゲットにしたクラスが火曜日の夜に設定されているので、こちらにも参加させていただいている。意識や考え方の違いなどもわかり、大変面白い授業である。

 私は大学のときは通訳やノートテイクをつけたことがなく、それらを利用したのはディスカッションが中心の大学院になってからである。大学では友達にノートを借りて授業内容を想像し、試験は図書館で関連する本を読んで何とかクリアしてきた。そのため大学での4年間で教わったものはまったく記憶に残っていない。今アメリカでこのようにクラスに参加して、「ふつうの」講義を受けるのは初めての経験といっても良いかもしれない。単純に感慨深いものがある。そして特に教育や歴史について話題になる機会があるのだが、そんなときに「あー大学の4年間がもったいない〜」と悔やんでいる。(教育学部歴史学出身です)


●Special Project

 留学目的であるSpecial Projectも少しずつ進んできた。当初は軌道に乗るまでは大変かと予想していたが、指導教授であるDr.Holcomb先生、Deaf CenterのDeanのMr.Joeをはじめ多くの方々のバックアップのおかげで、予想以上にスムーズに進んでいる。

 週に一度教授とミーティングをし、一週間で体験したことや見聞したことを元に日米のサービスの違いなどを話し合ったりしながら少しずつ進めている。今月はStudent Service Management Team Meetingなどに参加したり、キーパーソンに会ってインタビューをした。10月からより多くのキーパーソンに会い、他大学(San Francisco State University, University of California Berkeleyなど)や他機関にも行く予定である。現時点で、週に2回は何かしらのインタビューやミーティングが入っているのでかなり忙しくなると思われる。

 今学期は広く浅くいろいろなものを見ながら、また日本にいたときに知りたかったことなどにあたりながら、アメリカのサービスを知ることを目標にしている。留学目的は「大学における障害学生サービスをもっと深く知ること」であるが、どのような切り口で切り込んでいくか、どんな手段で学ぶか(reserchや、shorttimeまたはfull semester のinternshipなど)など、様々なやり方があるので、それを決めるためにも、まずはいろいろと知りたいと思う。


●言語の壁

 周りの方々のバックアップもあり、生活にはそれほど困らなくなってきたが、言語の壁を痛感じている。現在の生活は、まずはASLと英語の習得に集中して少しずつ勉強していくというよりもむしろ、インタビューがあったり、会議に参加したり、メインストリームのクラスに参加して普通に英語で話されているレベルに身をおいたりと、むしろ「言葉」を知っていて当たり前であることが求められている。

 そこで自分の考えや言いたいことを、正確にピンポイントに伝えられないことや、内容を理解しきれないことが精神的にきつい。より深くかかわりたい、話されている情報は全部知りたい!と思えば思うほど言語の壁を痛感する。自分がやらせていただけることや求めるレベルに対してASLや英語の上達スピードが追いついていなく、バランスが非常に悪いと感じている。

 実はASLは自分に適当なレベルのクラスがDeaf Cultureと重なってしまい、1つ下のレベルのクラスを履修しているという事情もある。こういう事情も汲んでいただき、10月からはASLにtutorをつけてもらえることになったので、少しでも早くバランスを取れるように努めていきたい。


●日本について

 こちらに来てから、日本のことについてよく意識するようになった。クラスや友人との話題でも、日本のことについて話したり聞かれたりする機会が増えている。たとえば、「何で天皇は男性だけなの?」といったことを聞かれたり、クラスで日本の教育制度について聞かれることもある。
 
 もっと深くたくさんのことを知らなきゃいけないと思うようになったし、知的好奇心が駆り立てられる経験がたくさんできている。おかげで日本のことについてもっと知らなきゃいけないことがはっきりしてきた。異文化というか、他者というか、自分と違うものに直面したときに、自分のことを知る大きなきっかけになるのだなと感じている。アメリカのことに加えて日本のことももっと勉強していきたいと思う。
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コメント
岡田さん、石井です。

留学すると日本のことを知りたくなるとのこと、自分が留学した時、私も同じように思いました。 とても価値ある留学の「副産物」だと思います。

ちょっとした資料など必要なものがあれば、次に出張する人に託しますよ。
Posted by:石井  at 2007年11月08日(Thu) 10:40