2020年3月生活記録【第13期生 山田茉侑】[2020年04月08日(Wed)]


写真は、Austinにあるアジアタウンの一角にあった くら寿司です。
くら寿司は、アメリカでも展開しています。現地の人に好まれるからなのか、メニューには握り寿司よりも巻物が多かったです。中には、タコスに使われるトルティーヤを使った巻物もありました。価格は一皿280円ほどでかなり高いのですが多くの人で賑わっていました。教育実習で疲れている時に来てはエネルギーをもらっていました。
近況ですが、こちらではコロナウィルスで全面的に自粛ムードになっています。スーパーでは、ティッシュペーパーや石鹸の買い占めが続いており、入手困難で困っています。12週間あった教育実習も、10週目で中止になりました。最後の2週間はテキサスろう学校の乳幼児教育相談に配属される予定でしたが、残念ながらその機会はなくなってしまいました。幸い指定された時間以上に幼稚部クラスで指導したため、教育実習の単位は取れ無事卒業できそうです。しかしボストン大学の同期のうちの何人かは、教育実習が遅くに始まり数週間で休校になったため、単位が取れなく今年卒業できないのではないかと危惧しております。
今月は、テキサスろう学校での見学やインタビューで得た情報を共有したいと思います。
◆ACCESS (Adult Curriculum for Community, Employment, and Social Skills)
高等部卒業後の生徒(18から22歳まで)を対象にしたプログラム。他の学校を卒業したろう生徒もACCESSに入れます。
ACCESSのゴール:職業、生活において自立を目指す
日本のろう学校には、理容、木工、コンピュータなど特定の仕事に特化した専攻科がありますが、ACCESSの場合は職業や生活一般の自立を学ぶという点で異なります。具体的には、調理、パソコンの扱い方、銀行口座、契約、性教育など幅広く自立を促す教育をしているそうです。
ACCESSに入るための入試はありません。
1)高等部を卒業した生徒
2)ろう発達障害の生徒
3)ろう重複障害の生徒
以上の生徒がACCESSに入っております。2)3)の生徒に関しては自身のニーズを認知し説明できるようにするためのサポートをしているそうです。
また、生徒のうち希望者は午前中に仕事に行き、午後に学校で授業を受けられます。その仕事先には、テキサスろう学校のスタッフがジョブコーチとして派遣されております。
数年前までは、ACCESSの修了後の支援が十分ではなかったため、家で一日中テレビを見る生徒もいたそうです。そのため、2018年度から卒業生の住む町と連携を始めるようになり、修了後も働けるよう支援を行うようになったそうです。
◆PIP (Parents Infants Program: 乳幼児教育相談(0-3歳児)
乳幼児教育相談のクラスは毎日あります。4人の先生(ろう2人聴者2人)と、2人のアシスタント(共にろう者)がおります。お子さんは全部で35人ほどおり、半数以上がデフファミリーです。聴者家族でも、ほとんどが3歳になったあとも続けて幼稚部に入学します。その理由として、ろう学校にろうの校長先生や学部長がおり、その上たくさんのろうの先生や生徒といったロールモデルがいるからではないか、とお話ししました。
テキサスろう学校の乳幼児教育相談では、カリフォルニアろう学校と同じように、基本的に保護者がクラスに滞在することはありません。そのためクラス中に通訳者が来ることもないようです。
(TLC, HMS などといった他のろう学校では、保護者同伴でした。)
ろう学校が親支援の一環として家庭訪問できるのは、(つまりテキサスろう学校が支援できる範囲は)学校から45マイル以内です。それ以上は、他の市のEI(Early Intervention:早期教育)が親支援をすることになります。どうしてもテキサスろう学校に通いたい場合は、保護者が自力で通うことになります。
テキサスろう学校では、遠方の早期教育のスタッフへトレーニングやワークショップを提供したり、テレビ電話で向こうの早期教育のクラスに絵本の読み聞かせをしたりして、テキサス州の早期ろう教育を支えているそうです。
◆手話通訳オフィス
テキサスろう学校には、正規雇用の12人の手話通訳士がいます。
子どもたちの中には、午前中は地域の学校に通い、午後にろう学校で授業を受ける子もいます。そのため、午前中ほとんどの手話通訳士は地域の学校へ行き、ろうの子どものいる一般学級で通訳をしているそうです。手話通訳士は正規雇用なので、興味深いのですが、地域の学校への通訳派遣費用は全てろう学校が負担することになります。子どもの「話す・聞く練習をサポートする」と個別の教育支援計画に記載されているためです。
◆保健室
保健室にはろうの看護師がいました。以前、幼稚部の子どもを連れて視力検査をしましたが、看護師のあざやかな子どもの扱い方に感動しました。
アメリカの視力検査では、以下のように文字を使った表を使います。

何人かの子どもは、文字の形が似ているので「D」と見えているのに「b」と答えたりしていたのです。まだ子どもの中で文字と指文字が対応してないためです。子どもたちの後ろで終始ハラハラしていたのですが、ろうの看護師さんはニッコリと微笑みながら対応していました。後で聞くところによると、わたしが心配していたことは全て杞憂だったようです。バイリンガル教育で育つ子どもの傾向、IQそして年齢を考慮して対応しているそうです。
長くなりましたが、今は大変な時かと思いますので、手洗いうがい、コロナ対策をしっかりして、体調にお気をつけてください。では、来月にまたお会いしましょう。




