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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2019年8月生活記録【第13期生 山田茉侑】[2019年09月08日(Sun)]

s_IMG_4358.jpg

皆様こんにちは。写真は新居に咲いていたヒマワリです。引っ越しの際は二階まで家具を運ぶのが大変でしたが、ヒマワリがずっとエールを送ってくれました。


今学期は、ろう教育クラスと合わせて、日本語初級者クラスを聴講生として受講することにしました。

なぜ、日本語初級者クラスを受講することにしたのか。それは、
今まで大学で学んできた、英語の「書き言葉」をろうの子どもたちにどうやって教えるかを、日本語でも応用したかったからです。その場合、日本語そのものを分析しないととても話にならないので、まずは「日本語」を知るためにこのクラスを受講してみました。
本ブログでは、このクラスで発見したことや、ろう教育クラスで習ったことで何か関係性があったら報告していきたいと思います。


–初回時のクラス内容–
「こんにちは」「さようなら」「いただきます」「どうも、よろしく」などの挨拶、そして「学生」「先生」「専攻」「〜時」といった身近な単語を、繰り返し繰り返し発音し音を通して学んでいました。同時に平仮名50音を順番に習っていました。
文字に入る前に、まずは音から入るようです。さて、この流れで思い出したのは、「指文字」です。


前にボストンのろう学校 小学部の先生に「就学前に身につけてほしいことは何ですか?」と聞いたことがあります。0歳児からの「指文字」と、その先生は言いました。つまり、聴者が音を通して英単語を覚えていくように、単語を指文字で覚えていく、ということでしょうか。別のろう学校でも、文字を教えるのは3〜5歳からだけど、指文字は0歳児から、と言っていました。
というのは、0-5歳児の間では、遊びや日常会話の中で「トマト(手話)→トマト(指文字)→トマト(手話)」というふうに自然に指文字を手話にはさみ、そして就学段階で単語を「書く」ことを教える時期には指文字を使いながら教えるそうです。

つまり、下の図のように、最初に「🐈」そのものの概念(意味)を理解した後、手話と指文字の「CAT (ねこ)」という単語を獲得し、そして最後に「CAT(ねこ)」と書けるように移行させるのです。

s_Screen Shot 2019-09-07 at 5.32.32 PM.png


また、現在「指文字」で、塊*を使って英単語を覚えられないか、という研究がアメリカでホットです。https://www.colorado.edu/program/fingerspelling/
ただ、日本語と英語の特徴に違いがあるため、日本語にも応用できるかどうかは分かりません。ここからは注意して読んでいただければと思います。

*塊
接頭辞、語幹、接尾辞はご存知でしょうか?英語には、一つの英単語の中にいくつか意味を持った塊があるのです。
例)education… e-「外へ」duce「導く」ate「〜する」tion「名詞」→「教育」

実は、アメリカ手話の指文字には英語とは違う塊があります。
例)英語 Piz・za / アメリカ手話 Pi・zza

さて、このようなアメリカ手話の塊を使って、「指文字」を通してどのように英単語を覚えるのでしょうか。こちら、一例になります。
全ての単語に共通するものはなんでしょうか。
C+AT …cat
H+AT …hat
R+AT …rat
H+AT+E …hate


そうです、「AT」です。他のスペルとATの間に少し間を入れることで、指文字で塊を作ります。

前に、黒板の前で「CAT」の意味がわからず困ってる子どもに、先生が指文字をするよう促すビデオを見たことがあります。その子は指文字で「c/at」と表した途端、意味を思い出していました。

s_Screen Shot 2019-09-07 at 5.32.19 PM.png


わたしも、友達と一緒に「at」ゲームをしたことがあるのですが、そこで「grater:おろし器具」という単語を初めて覚えました。その晩、その友達から実物のおろし器具を見せられ、この英単語は何かと聞かれたのです。英語語彙力のなさすぎるわたしでも、「atを使った単語で…gが付いていたような…ああ!grater?」と答えられたのです。そこから、この単語は今でも忘れずにいます。

s_grater.png

*「at」ゲームとは
Hat, rat, mate, cate, rate, hate, grate, など、「at」を使う英単語を順番に言い合い、最後まで残った人の勝ち。



このように、アメリカでは指文字の塊を使って英単語を覚えることが、研究や実践の面でホットになっております。しかしながら、日本語には塊はあるのでしょうか。おそらく日本語の場合は、漢字によって塊ができているのかなと思います。
例)半…半分、半袖、半日
上記の単語は「半」がつくことで、意味をなしていきますよね。漢字ごとに指文字の塊を作ればいいのでしょうか。例えば、「はん/そで」というように。

しかし、指文字で「はん」と表しても、「半」のほかに「反」という意味にもなります。音で塊を作るよりも、日本語は視覚的な塊が強いのかなとおもいました。そのところは英語と違います。
アメリカ手話よりも日本手話の方が、指文字が少ないと言われている所以も、「漢字」という資格的な塊の影響が大きいからかもしれません。*「小学生」「物質」「年金」など、漢字から手話化しているからです。

では、日本語の単語をどうやって効率良く覚えられるようにするか?
指文字をどう効率的に使うか?それはわたしの課題でもあり、皆様と一緒に考えられたらとも思います。






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◆クイズタイム◆

ろう学校では、先生の指文字を見て、子どもがその単語を紙に書き写すときが良くありますよね。
その際、あなたがもしも先生だったら、その子どもへ「ニワトリ」という指文字をどのようにあらわしますか?どのような指文字の表出方法だったら、子どもがその単語を覚えやすいでしょうか。




「に」「わ」「と」「り」と区切り、子どもに1文字ずつ書き写させますか?
実は、区切らずに単語全体の指文字「にわとり」を繰り返し何度も何度も見せた方がいいようです。
また、英語の場合は「cat」と出すのではなく、「c/at」と塊ごとに間を作るのもいいそうです。

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長くなってしまいましたが、来年1月に他州で教育実習があるためボストンの生活も残り4ヶ月を切りました。今後も引き続き気を引き締めて頑張りたいと思います。
それでは、また翌月にお会いしましょう。

Posted by 山田 at 09:48 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
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