
2019年2月 生活記録 【第12期生 西 雄也】[2019年03月07日(Thu)]
クラス
今学期に入り、大学院として最後の学期となりました。今学期履修することになったクラスは四つです。
Literacy Teaching and Learning: Elementary Grades (リテラシー(読み書き)教育と学習:小学生)
このクラスは、ろうの子供にとってのリテラシー(読み書き)の理論を学びます。リテラシーの内容は、小学生と高校の分野に分かれていますが、小学生グループはリテラシーの基礎、高校生グループはリテラシーを身につけられなかった生徒が高校にいる場合どのように指導するのが良いのかという内容に分かれています。クラスの中では合同で行いますが、担当教員と相談したところ、リテラシーの基礎を深く学ぶのが良いということで小学生のグループで学ぶことになりました。
Children’s Literature (子供の文学研究)
多文化、多様性、社会正義、ろうアイデンティティ、肌の色、ジェンダー(LGBTQ)、など様々なテーマをもとに毎週それぞれのクラスメイトが本を持参して発表したり、担当者ごとに子供達に読み聞かせをするにはどうするかを学んでいます。
Cultural Practices in the Deaf Community (デフコミュニテイの文化的習慣と行為)
特別にデフスタディーのクラスに参加しています。このクラスでは、文化的習慣の理論を学び、ろう者の言語(手話)や歴史などを読み解いて、ろう文化をどのように表現すると良いかを学びます。
2月はパフォーマンスの理論をテーマに学びました。
例えば、一般的には講演や人と話をするときに音声によって声の強弱のトーンや話す速さが異なるアプローチ方法によって聞き手や観客をひきつけたり、印象付けたりします。その理論をもとに手話(アメリカ手話)の場合どのように表現するのかを議論しました。
Capstone(キャプストーン)
自分で決定したテーマをもとに一年かけて研究したりまとめる内容であり、前学期から引き続き履修しています。
ラベリング(偏見やレッテル)の問題について

今学期が始まってから、子供の文学研究のクラスとデフスタディのクラス、黒人の歴史についての講演に参加した時に、偏見やレッテルに対する問題についてをテーマにした話を聞いたり議論する機会が沢山ありました。
すなわち、ラベリングの問題はある人たちの一部を見ただけで、容易にラベルをつけて決めつけるという問題です。
例えば、たまたまその時にテストの成績が悪かったら、頭が悪い。たまたま、その時に講演の内容が分かりにくい時に、話が下手な人と決めつけるというようなものです。
そして、ラベルを貼るという問題は人との関わりに影響がでることがあるということです。中には、ラベルを貼られた人がネガティブな影響を受けてしまい、そのようになってしまうということもあります。
障害者、LGBT、女性、貧しさ、頭が悪い、黒人(頭が悪い、もしくは問題を起こすというイメージを強く持つ者がいる)、など、
その中で、よく出てきたのは、ろう者に起きる問題でした。すなわちろう者は、一般的に、聴者から聴くことができない、口で話す事が難しい、勉強ができない、経験不足、かわいそう、もっと努力が必要(聴者と同化)、障害者など、ろう者の中には、一つか二つは遭遇する問題があります。それは偏見やレッテルにつながることもあり、中にはラベルを貼られ、頑張ることを諦めてしまうということもあるという話です。
本来はその人の背景、能力、特権の差、文化などを考える必要があるということです。
そして、ラベルを貼る側の心理や問題は何なのかについて考えたり、議論しました。
中にはアライ(Ally)の立場についての話もありました。アライは協力者、理解者、サポーターであり、尊重もしていく者という意味です。対象者は、黒人、障害者、LGBT、女性、貧しい人などです。
そして、アライの例(サポーター)とアライでない例(サポーターでない・立場を尊重しないで私情を挟む人)の違いについての講演や議論がありました。
このようなテーマをもとにした議論や講演には、アメリカでも起きる偏見や差別について改めて、深く考えさせられ、学ぶことができました。
日常の中でも、無意識のうちに潜む偏見や差別心についてみんなで考える、良い機会となりました。

↑黒人の歴史についての講演
(この時はろう者への抑圧をテーマにした話でした)