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聴覚障害者留学(〜2026.03.31)
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2019年1月生活記録【第13期生 橋本重人】[2019年02月08日(Fri)]
この生活記録を書いているここワシントンD.C.では、今、雪が降っています。私の故郷では雪が積もっても2、3日ですぐに溶けてしまうのに比べ、ここではなかなか溶けないため新鮮に感じられます。また、以前暮らしていた温暖な気候のカリフォルニアとは全く環境が異なるため、恋しくなる時もあります。さて、今回はアメリカ合衆国の首都であるワシントンD.C.ならではのことを書きます。

先月1月19日(土)に行われたWomen’s March(女性たちの行進)に参加しました。2017年にトランプ氏がアメリカ大統領に就任した翌日、ワシントンD.C.には何十万人もの人々が集まってトランプ氏に対するデモ運動が行われたのがこの行進の発端となります。それから毎年その行進が行われており、今年で3回目になるそうです。目的は女性の権利だけでなく、移民、医療改革、人種差別、DV、宗教、労働者の権利、LGBTの権利などをトランプ氏に対して抗議することです。

当日の朝、ギャロデット大学の最寄りの駅まで歩いていると、ピンク色の帽子をかぶった女性グループが、それぞれプラカードを片手に同じ電車に乗っていくのを見かけました。メトロセンター駅で降りると、先ほどの帽子と同じ形をした帽子(後でわかりましたが、いわゆる「プッシー・ハット」と呼ばれるこの運動に関するコモングッズでした)をかぶっている人たちがたくさんいました。また、路上にはTシャツ、バッジ、バングルを売るお店が並んでいました。
どんなことが起こるのだろうとワクワクしながらみんなが一斉に集まっているところに行ってみました。そこにはステージがありましたが、誰も出てきていませんでした。ステージの横には大きいスクリーンが置いてあり、『40.12』といった数字が表示されていました。その数字が少しずつ減っていったため、時間のカウントダウンだったと気づきました。こんなに人が集まっていてもじっとしたままだったので、何か起こるのか不安になってきた私は、思い切って隣にいる女性の方に声をかけました。
私「(携帯電話で)すみません、私は耳が聞こえませんが、ここにいる皆さんは何をしているのですか。何か放送でも流れていましたか」
女性A「みんな音楽を聴きながらダンスしているよ。またはおしゃべりをして待っているのですよ」「(大きいスクリーンを指差して)あのカウントダウンが終わったら、いよいよ女性のマーチが始まるのよ!」と興奮気味。
しばらくの間、その女性と携帯を通して簡単な会話をしました。彼女はテネシー州からはるばるこのためにやってきたそうです。

カウントダウンが残り20分を切った頃に、別の女性が後ろから私の肩をポンポンと叩き、「あなた、ろうなの?」とアメリカ手話で聞いてきました。そうであることを告げると「じゃあ、向こうにろう者たちのグループがいるみたいだから一緒に来ない?」と思いがけず誘われたので、手話で色々なことが聞ける!と思い、「はい!」と即答しました。女性はもう一人の友人と来ていて、二人とも手話ができる聞こえる人でした。

そのとき、音声言語(英語)だけの世界の中で、手話で話しかけてくれるのは本当に心強く感じました。音声情報だけだと内容がまったく分からず、非常に不安な気持ちになります。目に見える情報が入ってくると不要な緊張感もなくなり、安心します。手話は私にとって大切な言葉です。「元気?」「おはよう」「何食べたい?」と簡単な手話でも私にとってはものすごく嬉しい気持ちになります。

それはさておき、その女性たちとアメリカ手話で自己紹介をしたり、他のろう女性たちのグループに混じりながら行進したりしました。みなさんはそれぞれプラカードを掲げて何かを叫びながら行進していました。面白かったプラカードをいくつか紹介したいと思います。全てトランプ氏やトランプ政権に抗議するものなので、リアルな文章ばかりでした。

@ IKEA has better cabinets. (イケアにはもっといいタンス(大統領顧問団)がありますよ)
Cabinetは箪笥という意味ですが、同時に「内閣(ここでは大統領顧問団)」という意味でもあります。トランプ政権に対して、皮肉を伝えている文章です。

A Is this the best a man can get? (これは男にとって一番いいものなの?)
これはカミソリ会社(Gillette)のコマーシャルの宣伝文句だそうです。その決まり文句をトランプ氏への皮肉として用いています。
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B Feminist DAD (フェミニストの父)
父も自分の娘が大切で、女性を支えるという意味です。娘だけでなく、姉や妹、従姉妹、おばなども支えていくということです。何万人もの男性が一緒にそのデモ運動に参加していました。
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C Fuck the Patriarchy (家長なんかやめちまえ!)
なんと指文字で表示しているプラカードを見つけました。Patriarchyとは家長・男性支配という意味で、『男性中心の社会はもう終わり。これからは女性も平等に働く権利がある』ということを示しているのです。
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D We are not ovary-acting (over reacting). (私たちは大げさではない)
Ovaryとは女性器を指し示すものであり、女性はただ子供を産む道具ではないことを伝えるためのメッセージです。女性は家の仕事や子育てに専念するべきだという考えがこのアメリカにもまだ残っているところもあるそうです。
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プラカードにはダジャレのようなもの(Service→Cervix、Trump→Dumpに変えてみたり)、強いメッセージが込められたものなど、それぞれの思いを表現していました。女性二人にアメリカ手話で色々説明してもらい、本当に勉強になりました。私一人だけだとそれぞれの文章の面白みに気づくことは難しかったのでしょう。英語のイディオム(慣用句)やアメリカの文化をもっと知る必要があるなと痛感した一日でした。最後にお世話になった二人と一緒に写真を撮りました。またいつか、どこかで会えるのを楽しみにしています。
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政治に関する運動で賑やかになっていたワシントンD.C.からの報告でした。
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https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/archive/1215
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