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聴覚障害者留学(〜2026.03.31)
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2018年12月生活記録【第13期生 橋本重人】[2019年01月08日(Tue)]
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新年明けました。
今年もどうぞよろしくお願いします。


昨年12月半ばに秋学期の授業が終わりました。私の在籍しているろう教育専攻では、一般的な最終テストではなく、プロジェクトの発表やエッセー、手話動画を提出して成績が決まります。本当に苦しくなって途中で課題を投げ出したくなる時もありましたが、大学の同期や友人たちと支え合って、なんとか乗り越えました。夜遅くベッドに入っても、早朝には目が覚め課題の続きに取り組む毎日でした。真っ暗の部屋の中でモソモソとしていたら、ルームメイトが起きてしまった時もありました(そのルームメイトは聴こえます。ごめんよ)。課題提出がすべて終わり、成績の知らせが届いた時はホッと胸をなでおろしました。そして、今は寮からアパートに引っ越し、生活に必要なものを買い出しに行ったりして過ごしています。必要なものを揃えるのは大変ですね。

さて、今回はアメリカの学校を見学したことを書きたいと思います。全ての学校はEDU785のField Experience and Seminarというクラスを通して見学しました。

・ロックビル高校(Rockville High School)
場所:メリーランド州
対象:高校(10年から12年まで)
今年はキュードスピーチ通訳を必要とする難聴学生が多いため、どの教室に行ってもキュードスピーチ通訳をよく見かけました。また、知的障害のあるろう・難聴学生のための特別支援学級の教室も見学しました。そこでは、身近な物の名前の単語(書記英語とアメリカ手話)を指導していました。つい最近海外から移住してきたろう学生何人かも一緒に学習をしていました。
その学校はキュードスピーチ通訳だけでなく、もちろん、アメリカ手話通訳も取り入れているとのことでした。FMマイクを使用しているろう・難聴学生はいませんでしたが、彼らは人工内耳と口話のみで会話をしていました(本当に通じ合っているかどうかまではわかりません)。なんとなく、緊張感のある学校でした。

・メリーランドろう学校コロンビア校(Maryland School for the Deaf, Columbia)
場所:メリーランド州
対象:早期教育から中学部まで
メリーランドろう学校には二つのキャンパスがあり、コロンビア校とフェデリック校があります。フェデリック校には早期教育部門から高等部まであります。ここ、コロンビア校の特徴といえば、重複障害を併せ持つ児童生徒が多いことです。フェデリック校はバイリンガルろう教育に、コロンビア校は重複障害の児童生徒の指導方法に力を入れているそうです。メリーランドろう学校は学生による団体やクラブ活動にも力を注いでいます。例えば、学生協議会、ヒスパニック系のろう学生団体、寮の中のリーダー、ジュニアNAD(国際ろうあ連盟)、LGBTQ団体などです。他にもAcademic competitions(学生のクイズ大会みたいなもの)にもチャレンジしており、他のろう学校と比べて積極的に学生の自主性を取り入れているそうです。

・フロスト中学校(Frost Middle School)
場所:バージニア州
対象:中学校(6年から9年まで)
とてもフレンドリーな雰囲気であり、生徒たちは口話、キュードスピーチ、手話など様々なコミュニケーション手段を取り入れている感じでした。口話で話すけど読み取りはキュードスピーチ通訳が必要、手話で話すけど口話のみ読み取ることができる生徒など、さまざまでした。私のろう教育専攻の同期に韓国系学生(養子として5歳からアメリカで暮らしている)がいますが、あるアジア系の男子生徒が私たち二人に「韓国人なの?」と聞いてきました。その同期が「そうだよ」と答えると、その生徒は目を輝かせて「僕も最近韓国から引っ越してきたよ。あなたの服装はとてもクールだね。僕もあなたみたいな先生になりたい。それからね…」とまくし立てるように話してきました。その時、今まで見学してきた学校の先生たちの中に、アフリカ系やアジア系の先生はあまり見かけなかったことに気づき、ある学部主任らしき人が「我々には白人だけでなく、POC(People of colors)の先生が必要である」と力説していたのを思い出しました。男子生徒は自分のロールモデルとなる人と嬉しそうにしていた姿を見ていると、やはりどの学校にもロールモデルが必要なんだなと痛感させられました。確かに、私自身も高校時代に目標となるろうの先生がいたからこそ、教育学部を選んだのだと思い出しました。

・リバー学校(The River School)
場所:ワシントンDCのジョージタウン
対象:1歳半から小学3年まで。
口話中心の学校でした。聞こえない子どもだけでなく、聞こえる子どもも一緒に学習をしていました。15人という少人数のグループで、そのうち3〜4人が聞こえない子どもでした。私が見学した限り、全員人工内耳を装用しており、聴覚活用ができているようでした。先生たちは手話を使わず、FMマイクを通して説明をしていました。驚いたことに、デフファミリーの子どもも在籍していました。その子は家の中では手話を使い、学校では口話で話しているそうです。自分から口話で学びたいという意見を尊重して、両親は通わせているそうです。
先生たちのほとんどがギャロデット大学の卒業生であり、しかも、その学校はギャロデット大学と連携をしているため、手話の良さも十分理解した上で指導を行なっているそうです。保護者と相談して、その子の学習面や生活面を見て、ケンダルろう学校に入った方がいいか、メインストリームの学校に行ったらいいかを決めるそうです。なるほど、先生たちは中立的な立場に立ってそれぞれの教育方法を知る必要があるのですね。口話がいいから、口話でやっていきましょう!という雰囲気ではありませんでした。

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